真夜中の公園にて―――
ナトリウムイエローに照らされた寂しい公園。
当然子供の影など一つもないが、別な影が一つあった。
ニット帽にサングラス、マスク・・・風貌からして男性らしい。
ナトリウムイエローに照らされた寂しい公園。
当然子供の影など一つもないが、別な影が一つあった。
ニット帽にサングラス、マスク・・・風貌からして男性らしい。
(男>さ~て、今日はどうしようk―――
(少年>おっじさん♪
(男>ぅおわ!?
(少年>おっじさん♪
(男>ぅおわ!?
男を後ろから驚かすように突き飛ばす子供。 ・・・裂邪である。
(裂邪>こんな時間に公園で何してるの?
(男>(な、なんだ、ガキか・・・よし、こいつにしよう)
ぼ、坊やこそ、こんな時間に何してるんだ?
もう遅いから家に帰りなさい。危ないよ。
(裂邪>おじさんこそ危ないよ。
この辺りはね、夜中に変な人が出るんだって。
(男>へぇ~、そうなのか・・・ところで・・・
その変な人って、もしかしてこんなかお―――
(裂邪>そもそも「顔」なんてねぇだろ!
(男>(な、なんだ、ガキか・・・よし、こいつにしよう)
ぼ、坊やこそ、こんな時間に何してるんだ?
もう遅いから家に帰りなさい。危ないよ。
(裂邪>おじさんこそ危ないよ。
この辺りはね、夜中に変な人が出るんだって。
(男>へぇ~、そうなのか・・・ところで・・・
その変な人って、もしかしてこんなかお―――
(裂邪>そもそも「顔」なんてねぇだろ!
いきなり裂邪はサングラスをかけた男の眉間めがけて渾身のパンチをあびせた。
真夜中の公園で子供に顔面を殴られるとは思っていなかった男は流石に混乱し、
思わずサングラスとマスクを取ってしまった。
裂邪の言うとおり、その男には目、鼻、口・・・「顔」を構成する要素が全くなかった。
「のっぺらぼう」である。
のっぺらぼうの目があったであろう位置には先ほどのサングラスの破片が刺さり、
赤い涙のように血が頬を伝っていた。
真夜中の公園で子供に顔面を殴られるとは思っていなかった男は流石に混乱し、
思わずサングラスとマスクを取ってしまった。
裂邪の言うとおり、その男には目、鼻、口・・・「顔」を構成する要素が全くなかった。
「のっぺらぼう」である。
のっぺらぼうの目があったであろう位置には先ほどのサングラスの破片が刺さり、
赤い涙のように血が頬を伝っていた。
(のっぺらぼう>ク・・・クソッ・・・ガキが!
(裂邪>ヒヒヒ・・・まさか平成にもなってのっぺらぼうに会えるなんて思ってなかったよ・・・
でもお前みたいな古い妖怪でも一応都市伝説らしいし・・・
悪いけど、消えてもらうよ?
(のっぺらぼう>ほぅ・・・ガキの分際で契約者か・・・だったら早々に捻り潰してやる!
(裂邪>ヒヒヒ・・・まさか平成にもなってのっぺらぼうに会えるなんて思ってなかったよ・・・
でもお前みたいな古い妖怪でも一応都市伝説らしいし・・・
悪いけど、消えてもらうよ?
(のっぺらぼう>ほぅ・・・ガキの分際で契約者か・・・だったら早々に捻り潰してやる!
のっぺらぼうは拳を振りかぶり、裂邪に向けて迫ってくる。
(裂邪>・・・シャドーマン、来い。
ナトリウムランプの光によってできた、裂邪の前方に伸びる長い影から、
黒いローブの「人の形をした何か」が1体現れ、のっぺらぼうの行く手を遮る。
黒いローブの「人の形をした何か」が1体現れ、のっぺらぼうの行く手を遮る。
(のっぺらぼう>ぬお!? 影から・・・!?
(シャドーマン>「ノッペラボウ」・・・絶滅シテナカッタノカ・・・
(裂邪>子供に殴られて血ィ流すくらいだから、大した事はなさそうだ。早いとこ片付けよ!
(シャドーマン>了解シタ。
(のっぺらぼう>生意気な!
(シャドーマン>「ノッペラボウ」・・・絶滅シテナカッタノカ・・・
(裂邪>子供に殴られて血ィ流すくらいだから、大した事はなさそうだ。早いとこ片付けよ!
(シャドーマン>了解シタ。
(のっぺらぼう>生意気な!
のっぺらぼうは尚も襲い掛かろうとするが、裂邪は逆方向に走った。
(のっぺらぼう>何だ?今更逃げようってか!
(裂邪>(んなわけねぇだろバーカ♪)
(裂邪>(んなわけねぇだろバーカ♪)
裂邪はこの公園で一番大きな木の後ろで止まった。
のっぺらぼうもすぐに追いついたが、自身が罠にはまった事には気づいていない。
のっぺらぼうもすぐに追いついたが、自身が罠にはまった事には気づいていない。
(のっぺらぼう>覚悟しろよガキィ・・・泣いても許してやんねぇからな!
(裂邪>泣くのはそっちだよ。 シャドーマン? あとヨロシク♪
(裂邪>泣くのはそっちだよ。 シャドーマン? あとヨロシク♪
その瞬間、のっぺらぼうの足を無数の手が掴んだ。
(のっぺらぼう>な・・・何だこれは!?
(裂邪>シャドーマンはこの世と別次元を行き来する存在・・・その扉は“影”。
あと、シャドーマンは大きな影があると、客人を自分達の世界に招き入れることができるみたいだよ。
そのあとはどうなるか知らないけどね。
(のっぺらぼう>なんだと!?
(裂邪>シャドーマンはこの世と別次元を行き来する存在・・・その扉は“影”。
あと、シャドーマンは大きな影があると、客人を自分達の世界に招き入れることができるみたいだよ。
そのあとはどうなるか知らないけどね。
(のっぺらぼう>なんだと!?
そう話してる間にのっぺらぼうの体は既に腰までが影の中に沈んでいる。
腹、胸、そして右腕・・・とうとう首まで沈んでいった。
腹、胸、そして右腕・・・とうとう首まで沈んでいった。
(のっぺらぼう>ひぃ・・・た・・・助けて・・・くれ!
(裂邪>あれれ~? 「泣いても許さない」って言ったの誰だっけ?
なのに自分だけ命乞いするなんて大人気無いよ?
(のっぺらぼう>チク・・・ショ・・・呪ってや・・・
(裂邪>しぶといねぇ。 さっさと沈め♪
(裂邪>あれれ~? 「泣いても許さない」って言ったの誰だっけ?
なのに自分だけ命乞いするなんて大人気無いよ?
(のっぺらぼう>チク・・・ショ・・・呪ってや・・・
(裂邪>しぶといねぇ。 さっさと沈め♪
裂邪がのっぺらぼうの頭を踏みつける。 「あっ」という間にのっぺらぼうは“影”に沈んでいった。
彼の姿は、もう、どこにも無い・・・
彼の姿は、もう、どこにも無い・・・
(裂邪>ウヒヒヒヒ・・・
記念すべき一体目がのっぺらぼうっていうのはちょっと惜しいけど、なんかクセになりそうで怖いな。
どうにかなっちゃいそう♪
(シャドーマン>・・・・・・
(裂邪>ん? どうかした?
(シャドーマン>オ前・・・変ワッテルナ・・・ダガ気ニ入ッタ。
コウナレバ最後マデツキ合ワセテモラオウ・・・世界征服トヤラニ。
(裂邪>そうか、よかった。
記念すべき一体目がのっぺらぼうっていうのはちょっと惜しいけど、なんかクセになりそうで怖いな。
どうにかなっちゃいそう♪
(シャドーマン>・・・・・・
(裂邪>ん? どうかした?
(シャドーマン>オ前・・・変ワッテルナ・・・ダガ気ニ入ッタ。
コウナレバ最後マデツキ合ワセテモラオウ・・・世界征服トヤラニ。
(裂邪>そうか、よかった。
一仕事を終え、裂邪は家路を急いだ―――
(裂邪>―――あ、シャドーマン、ちょっといい?
(シャドーマン>ン?
(シャドーマン>ン?
翌日の放課後―――
裂邪はインターネットの動画サイトを見ていた。
裂邪はインターネットの動画サイトを見ていた。
(裂邪>ウヒヒヒ・・・見てみなよ、昨日のことなのにもう投稿されてる。
「公園の監視カメラに写ったシャドーマン」・・・
この動画があれば皆が「シャドーマン」という都市伝説を知る事になる。
有名にもなるし、強くなるんでしょ? その力でこの世界を・・・
ヒハハハハハ! これで世界は俺のもn―――
(少年>ただいまー!
(裂邪>ウヒッ!?
「公園の監視カメラに写ったシャドーマン」・・・
この動画があれば皆が「シャドーマン」という都市伝説を知る事になる。
有名にもなるし、強くなるんでしょ? その力でこの世界を・・・
ヒハハハハハ! これで世界は俺のもn―――
(少年>ただいまー!
(裂邪>ウヒッ!?
裂邪は驚いた拍子にネットを閉じた。 彼の弟が帰ってきたようだ。
(弟>あ、お兄ちゃん、いたの?
(裂邪>おいおい、兄に向かって「いたの?」はねぇだろ・・・
ところで。いつもより帰るの遅くない? もう5時前だぞ?
(弟>あ、えと・・・いろいろあってね・・・
(裂邪>・・・ま た 彼 女 か?
(弟>いないよそんなの!
(裂邪>じゃあそのポケットの膨らみは何だ?
(弟>あぁ、これはベッコウ飴・・・
(裂邪>『彼女にもらった』、だろ? それにベッコウ飴ってことは?
「口裂け女に出会ったらこれを投げつけて逃げてね☆」なんて言われたんだろ?
お熱いお熱い・・・青春だねぇ、秋なのに。
(弟>うぅ~! あってるけど違う!・・・ところでさっき「世界は俺の」・・・とかいってなかった?
(裂邪>あぁ、世界征服の計画を練ってたところだ。
(弟>まだそんなこと考えてたの!? 世界征服なんていけないって毎日言ってるでしょ!
(裂邪>やめろといわれて「はいそうですね」で通る世界だと思ってたならお前はまだガキだ!
(弟>いい!? お兄ちゃんが大人になるまでに、ボクが絶対にいい人にしてみせるからね!
(裂邪>やれるもんならやってみろ! 俺は一生悪を貫く!
(弟>絶対にしてみせるからね!・・・はぁ、もう疲れた。 『555』の映画見よっと♪
(裂邪>へっ、やっぱまだガキだな・・・
(待てよ?『555』の映画はかの有名なオーガ様の活躍する・・・)待て! 俺も見る!
(弟>あれ? お兄ちゃんも正義に目覚めたの?
(裂邪>アホかぁ!
(裂邪>おいおい、兄に向かって「いたの?」はねぇだろ・・・
ところで。いつもより帰るの遅くない? もう5時前だぞ?
(弟>あ、えと・・・いろいろあってね・・・
(裂邪>・・・ま た 彼 女 か?
(弟>いないよそんなの!
(裂邪>じゃあそのポケットの膨らみは何だ?
(弟>あぁ、これはベッコウ飴・・・
(裂邪>『彼女にもらった』、だろ? それにベッコウ飴ってことは?
「口裂け女に出会ったらこれを投げつけて逃げてね☆」なんて言われたんだろ?
お熱いお熱い・・・青春だねぇ、秋なのに。
(弟>うぅ~! あってるけど違う!・・・ところでさっき「世界は俺の」・・・とかいってなかった?
(裂邪>あぁ、世界征服の計画を練ってたところだ。
(弟>まだそんなこと考えてたの!? 世界征服なんていけないって毎日言ってるでしょ!
(裂邪>やめろといわれて「はいそうですね」で通る世界だと思ってたならお前はまだガキだ!
(弟>いい!? お兄ちゃんが大人になるまでに、ボクが絶対にいい人にしてみせるからね!
(裂邪>やれるもんならやってみろ! 俺は一生悪を貫く!
(弟>絶対にしてみせるからね!・・・はぁ、もう疲れた。 『555』の映画見よっと♪
(裂邪>へっ、やっぱまだガキだな・・・
(待てよ?『555』の映画はかの有名なオーガ様の活躍する・・・)待て! 俺も見る!
(弟>あれ? お兄ちゃんも正義に目覚めたの?
(裂邪>アホかぁ!
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