「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 夢幻泡影-18

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Retsuya

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初夏の昼。 学校町の北区にある山に、白い獣が降り立った。
そして、獣の背中に乗っていた少女がゆっくり地に足をつけ、続いて毛の中から火の玉が飛び出す。

(ミナワ>よいしょっと。 ありがとうございます、バクさん。
(獏>あぁ。暑ぃな~・・・だが何でこんなところに?
(ミナワ>えぇ~・・・恥ずかしいですけど、私、一度この山から学校町を見渡したくて・・・
(ウィル>その気持ちわかりやすぜ。 あっしも、生まれた時からあの湖から離れられなかったんでい。
    だからこの山に登るのが何よりの夢で、あっし・・・
(獏>わかったから泣くな;

そういってドロン、と小さな姿になるバク。
そして3人は夏の日差しに燃え上がりそうな学校町を見下ろしていた。
裂邪は現在登校中だ。 故にシェイドも今ここにいない。
しかし、登校する前に裂邪の提案で、母親にばれない様に彼等を外出させたのだった。

(ミナワ>・・・意外に、小さい町なんですね。
(バク>そうバクねぇ・・・こんな小さな町のどこに都市伝説が詰まっているバクか?
(ウィル>全くでい。
(ミナワ>でも、こんな小さな町でも、大きな出会いがありました・・・
    シェイドさんや、バクさんや、ウィルさん。 そして・・・ご主人様との出会い。
    私、この町で生まれて良かったって思うんです。

ふと、彼女が横に目をやると、ニヤニヤしながら見ているバクと、黄色く燃えるウィルの姿があった。

(ミナワ>・・・どうかしましたか?
(バク>いやね? 一度聞きたかった事があったバクけど、いい機会だバク。
   単刀直入にいうと、主とは今何処まで行ってるバクか?
(ミナワ>え、えぇ~!?///

顔を真っ赤に染めあげるミナワ。 暑さの所為ではないことぐらいよくわかる。

(ミナワ>な、何なんですかいきなり///
(バク>バクククク、顔真っ赤バクよ?w
(ウィル>ヒュー! 熱いぜい姐さん!
(ミナワ>もぉ~、バクさんとウィルさんのいじわるぅ/// ご主人様とはそんな――――ッ!

楽しい時間も、そう長続きしなかった。 突然感じる殺気と、強烈な臭気。

(ミナワ>・・・誰かいまsゲホッ! な、何ですかこれ!?
(バク>ぐ、臭いバグ! 耐え゛られな゛いバグ!
(ウィル>大丈夫ですかい御二人さん!?

その時、木々の中から不気味なものが現れた。
それはトランプのスペードのような形の飾りに、黄色い大きな目が光る赤い球体状の頭部を持ち、
手は長く先端が鉤爪のように鋭利で、下半身は足ではなくスカートのようになっており、常に浮遊している。

(???>フッフッフ・・・ドウヤラ全員都市伝説ノヨウデスネ。
(ミナワ>・・・もしかして・・・ケホッ!・・・「3mの宇宙人」・・・ですか?

「3mの宇宙人」。
1952年、アメリカのウェストバージニア州フラットウッズで発見された宇宙人で、
別名「フラットウッズ・モンスター」。
その体からは強烈な悪臭が漂い、1時間以上経った現場にもその匂いは残っていたそうだ。

(3m>フフフフフ・・・苦シイデショウ? 少シノ辛抱デスヨ。

「3mの宇宙人」はミナワ達に近づき、その鋭い爪を高々と振り上げた。

(ミナワ>ぁ――――
(ウィル>任せなせえ!

ウィルが叫ぶと同時に、赤い炎が一気に増殖し、その場に散らばる。
燦々と照りつける太陽の下で、赤々と燃える炎に囲まれると、普通ならぶっ倒れる。
案の定「3mの宇宙人」は思わず立ち眩んでしまった。

(ウィル>今でさあ!
(バク>と、とりあえず森に逃げるバク!

怯んでいる「3mの宇宙人」を他所に、3人は森の中へと走る。 が、当然見逃す筈は無い。
立ち直った後、彼はすぐに3人を追い始めた。

(3m>クッ・・・小癪ナ真似ヲ・・・! 




(ミナワ>ハァ、ハァ、・・・こ、これからどうしましょう!?
(バク>戦うしかないバクよ! 少なくともオイラは行くバク!
(ウィル>あっしも戦いやすぜ!

バクが変身し、走りながら即座に答える。

(獏>テメェはやめとけ! ただでさえ森の中だ! こんなところでテメェの能力使ったら俺様達が危ねぇ!
(ウィル>し、しかし・・・

瞬間、後ろから木々が倒れる音がした。 そして声も聞こえる。

(3m>フフフ・・・待チナサイ坊ヤ達・・・!
(獏>来やがったか! ミナワ! 悪いがサポート頼むぞ!
(ミナワ>え、あ、はい!

獏はそのまま急ブレーキをかけ、「3mの宇宙人」に突っ込んだ。
モロに喰らってふらついたが、すぐに体勢を整え、その爪で反撃にかかる。
普段なら、獏はこんな攻撃は余裕で躱せるのだが、全てがギリギリ命中しかけという事態。

(ウィル>ど、どうしたんでい獏の旦那ァ!?
(獏>「におい」の所為だ! 畜生、全然調子出ねぇ・・・ッ! あ゛ぁ! 目まで霞んできやがった!?
(3m>フフフ、終ワリデスヨ!

「3mの宇宙人」がトドメをさそうとして爪を立てた瞬間、ポヨン、と爪を弾かれる。

(3m>・・・シャボン玉・・・?
(ミナワ>ば、バクさん!大丈夫ですか!?
(ウィル>あ、姐さん!

倒れかけの獏を心配し、ミナワは彼の元へ駆けようとした。 が、それを遮る「3mの宇宙人」。

(ミナワ>ッ!?
(獏>ミ・・ナワ・・・!
(3m>面白イ能力デスネェ・・・厄介デスノデ先ニ貴方カラ消シマショウカ。
(ウィル>姐さんには指一本触れさせねえ!

ウィルが間に入り、勢いよく燃え盛ってみせたが、「3mの宇宙人」は冷静だった。

(3m>フフフ、無駄デスヨ。 貴方ニ実体ガ無イ事クライ分カッテイマス。
   熱ササエ耐エレバコノママオ嬢サンヲ仕留メルコトハ造作モ無イ。
(ミナワ>あ・・・ケホッ!
(ウィル>くぅ・・・姐さん、何とか逃げて―――
(3m>サヨウナラ。

振り上げられた右腕。 とてつもない臭気の所為で、ミナワは動くこともできなかった。
―――助けて、ご主人様―――




――――――ザンッ!
ギャァァァァァァ!と響く叫び声。 ミナワがふと顔をあげると、霞んだ先に見えたものは、
右腕の無い「3mの宇宙人」と、切り落とされた彼の右腕、
そして闇色の鎌を持った学生服の少年・・・

(ミナワ>・・・ごしゅじん・・・さま?
(3m>キ、貴様ァ・・・契約者カ!?
(裂邪>エイリアン風情が・・・俺の家族に何しやがんだぁ!?

周囲を威圧する怒号と気魄。 先程までキレかけていた「3mの宇宙人」も一瞬で竦みあがった。

(3m>・・・ナ・・・何ダトイウノデスカ・・・ソレニ私ノ異臭ガ効イテナイナド―――
(裂邪>異臭? あぁこのにおいのことか?
   アンモニアとカメムシの臭いに耐えられる俺にこんな臭いが効くかぁ!
   ウィル!『百物語』! ミナワ!周りにありったけのシャボン玉を散らしてくれ!
   そして獏!もう少し頑張ってくれると嬉しい!
(ウィル>がってんでい!
(ミナワ>はい、ご主人様!
(獏>ククク・・・OKィ!

早速ウィルは増殖して辺りに散らばり、ミナワはシャボン玉を同様に散らせ、
獏は力を振り絞って立ち上がる。

(3m>・・・フフフ、何ノツモリカ知リマセンガ、ソウハサセmグアァッ!?

「3mの宇宙人」の脇腹に、『シャドーサイス』の黒い刃が深く突き刺さり、そのまま蹴飛ばされる。
既に彼の体は緑色の血で塗れている。

(裂邪>慌てんな化け物! お前は今から最ッ高の殺し方してやっから有難く思え!

既に辺りは炎とシャボン玉に包まれていた。 裂邪はヒョイ、と獏に飛び乗る。

(裂邪>ウィル!『白闇(ホワイトダークネス)』! 火事にならない程度にな!
(ウィル>がってん! ハァァァァァァァァァア!

ウィルが一気に燃え上がると、シャボン玉が全て弾ける。
と同時に、ミナワの「ドナドナ」の歌声が聞こえ、赤い炎が青くなり、一帯を霧が立ち込めた。

(3m>ナッ・・・ミ、見エナイ・・・逃ゲルトデモイウノカ?
(裂邪>においのする方向はわかるな!?
(獏>あぁ! 行くぜぇ!

「3mの宇宙人」の耳に届いた会話はそれが最後だった。 その一瞬後、彼を襲ったのは無数の斬撃。
霧の中を獏が駆けまわり、それに乗っている裂邪が、
『シャドーサイス』で標的をすれ違いざまに切り刻んでいるのだ。

(3m>ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァァァァ・・・
(裂邪>ヒハハハハハハハハ! これが『最後(レッツト)』だ!

裂邪が「3mの宇宙人」を縦両断する。
とっくに原型を留めているとは言えなかったそれは、霧の中に消えていった。

(裂邪>ウヒヒヒ・・・名づけて『覚悟(エアヴァルトゥング)』。
   何の覚悟も無い奴が、俺の大切な家族に手を出すな!

『シャドーサイス』がゆっくりとシェイドの姿に戻る。 そしてミナワが泣きながら裂邪に飛びつく。

(ミナワ>ご主人様ぁ!!(ガシッ
(裂邪>ほえ!? いや、よく頑張ったなお前等。 遅くなってすまなかった。
(ミナワ>そんなぁ・・・来て下さって・・・ありがとうございましたぁ・・・・!

そのまま彼女は裂邪の胸の中で大声で泣き出した。横ではバクがニヤニヤしながらそれを見ていた。

(バク>バククク、やっぱりお似合いバクよお二人さんw
(ウィル>いよっ! 憎いねこのっ!
(裂邪>ば、バカッ!やめr・・・ってお前等超元気じゃん!
   チクショウ、一応お前等も心配して来たのに・・・

刹那、ピタッと泣くのをやめ、ミナワが裂邪に問う。

(ミナワ>ご主人様、学校はどうなさったんですか?
(裂邪>それがよ、俺さっきまで体育の授業やってたんだ。
   そしたら跳び箱で7段跳んだと同時に疲れがガッときてだな、
   着地失敗してそのまま倒れた訳よ。
   んで保健室に運ばれて、シェイドがお前等の危機を知らせてくれたから、
   『シャドーダイブ』でこっちに来て、現在に至る。
(シェイド>恐ラク、疲レガ一気ニ来タノハオ前達ガ一戦ヤッテイルノダロウト思ッテナ。
(バク>流石黒のお兄さん、ナイス判断だバク。
(ウィル>・・・あれ? 旦那、その話通りだと、まだ学校終わってやせんぜ?
(裂邪>あぁ。 多分、俺がいなくなったから先生が学校中探し回tt――――――大変だぁ!?
   シェイド!『シャドーダイブ』! 一旦皆も連れていけ!
   学校に着いたら即行で皆を俺の部屋に!
(シェイド>了解シタ。

言われるがままに、シェイドは裂邪達を影に引きずり込んだ。



保健室―――

(裂邪>よし、頼んだぞシェイド。
(シェイド>分カッテイル。
(ミナワ>ご主人様も、お疲れの出ませんように♪
(裂邪>おう!

そしてシェイド達はまた影に潜り、黄昏宅を目指した。

(裂邪>さて、と・・・これからどうしようk―――
(先生>あ! 黄昏君! どこにいたの!?
(裂邪>(あ。)ウヒヒヒ・・・いや、なんか起きたら、
    ベッドの下だったんですよ;俺寝相悪くて・・・
(先生>もう、先生方に迷惑かけさせちゃダメでしょう!?
(裂邪>(ホントに学校中探し回ってたのか・・・)ご、ごめんなさいorz



その頃影の中では―――

(ミナワ>シャ~ボンだーまーとーんーだ♪ やーねーまーで~とーんーだ♪
(ウィル>姐さん超ご機嫌だぜい。
(バク>多分、主のことバクよ。 羨ましいバクねぇ・・・
(シェイド>・・・マ、元気ガアルノハイイ事ダ。
     トコロデバクヨ、私ハオ前ガ考エテイル事ノ方ガ気ニナルンダガ。
(バク>へ? オイラバクか?
(ウィル>そうでい、隠さず話して下せえ、バクの旦那?
(バク>いや・・・主、オイラ達のこと「家族」って・・・
(ウィル>あ、あのことでやすか・・・
(シェイド>フッ・・・全ク、ラシクナイモノダロウ?
(ウィル>けどあっしは、何か心に響きやしたぜ。あの言葉。
(バク>オイラもバク。 主も結構いいところあるバクね。 見直したバク。
(シェイド>[考エテモミヨ。 完全ニ悪ノ塊ナラバ、ミナワニ好カレル事ナドアリエンゾ?]
(バク>[分からないバクよ? お姉さんは近年稀に見る超純粋っ娘バクから。]
(ウィル>[途中までいい話だったんだから水差しなさんな;]
(ミナワ>(祈ったらご主人様が助けに/// ご主人様が私を・・・ご主人様ぁ・・・大好き♪)
    シャ~ボンだーまーきーえーた♪ とーばーずーに~きーえーた♪



(裂邪>ビェックショイ!ェックショイ!ックショイィ! あ゛ーチクショウ、また噂かな?
(先生>すごいじゃない、3回もくしゃみなんて。 黄昏君、誰かに惚れられてるんじゃない?
(裂邪>先生、おちょくらないで下さいよ。(・・・ミナワかもね。ウヒヒヒヒ♪)

ボフッ、と枕に頭を埋める裂邪。 今日の事を振り返り、心のどこかで感じた事。

(裂邪>(・・・『覚悟(エアヴァルトゥング)』か・・・俺には、あるのかな・・・)

   ...END

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