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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 首塚-03

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だれでも歓迎! 編集
 …それは、今よりも少し昔の話
 まだ、「首塚」組織が出来る前
 まだ、とある契約者が未成年だった頃の話…



「はぁっ……!!」

 走る、走る
 少年はそれから逃げる
 追ってくるパレードから、逃げ続けていた

「ちっくしょう…!」

 聞いたことは、あった
 あの黒服が教えてくれた

 …夢の国
 それは、子供を狙ってくる
 臓器を奪おうと狙ってくる
 決して、それと戦ってはいけない
 まだ、倒し方がわからないから…

「……畜生!!」

 ちゃんと、忠告されていたのに
 どうして、自分は戦おうとしてしまったのだ

 勝てると思ったのだ
 自分の能力を過信してしまっていた

 どんなに、どんなに焼こうとしても、相手は死ななかった

 …夢の国では、人は死なない

「だったら、敵も味方もなく、みんな死なないようにしやがれってんだ!!」

 死なないのは、相手だけ
 きっと、自分は死ぬだろう
 捕まれば、きっと殺される
 そして、臓器を抜かれるだろう

 だから、逃げる
 逃げる、逃げる、逃げる、逃げる、逃げる…

「………っ!?」

 っが!と
 彼は、無様に転んでしまった
 脚が、動かない
 疲労が蓄積してしまったのだ

「…う……ぁ…」

 迫ってくる
 黒いパレードが、迫ってくる
 あぁ、もう、駄目だ
 少年が、おのれの生涯をあきらめかけ、走馬灯が頭をよぎった…その時

「!?」

 ぐい、と
 何者かに、体を引っ張られた
 下に向かって、引っ張られた

 下?
 下は、道路のはず……っ!?

「大丈夫ですか?」
「ぁ…」

 一瞬、視界が遮られ
 視界が回復した時、目の前にいたのは、黒服だった
 自分を、見逃してくれた黒服
 あれ以来、何度か顔を見せてくれて、危険な都市伝説を教えてくれている…

「助けて…くれたのか?」
「まったく…戦ってはいけない、と言ったでしょう」

 う、と思わず言葉に詰まる
 自分は、この黒服の忠告を、無視してしまったのだ
 …なのに
 この黒服は、自分を助けてくれた

「…どうして」
「?」
「どうして、俺なんて助けるんだよ…」

 どうして
 どうして、どうして、どうして
 どうして、自分なんかを

 忠告を無視して、自分は襲われてしまったのだ
 見捨ててしまえば、良かったのだ

 しゅん、としている少年の様子に、黒服は小さく苦笑して
 酷く優しく、少年の頭を撫でた

「…子供が襲われているところを、見逃す事などできませんよ」

 そう、ただ、それだけ
 それが、この黒服の、信念なのだ
 あぁ、しかし、そのせいで
 自分は、この黒服を危険に巻き込んでしまうのではないか
 …そう、少年が危惧したのは
 本能的に、それの接近を、感じ取ったからかもしれない

「っ、あ…!」
「………!」

 黒服の能力で、地下トンネルに逃げこんだ二人
 …しかし

「逃がさないよ?」

 その、地下トンネルに
 夢の国は、姿を現した

 夢の国は、どこにでもある
 王様は、どこにでも出現する…!
 それに…この地下トンネルは、本来「夢の国」の一部なのだから……!!

「………」

 黒服は、少年を庇うように立ち、夢の国を睨みつけた
 くすくすと、夢の国は笑っている

「この地下トンネルも、夢の国の一部なんだよ?」
「…えぇ、わかっています」

 黒服の声は、静かだった
 ぎゅう、と少年は無意識に、黒服にしがみ付く
 ガタガタと、情けなく、体は震えていた

 一歩
 夢の国は、こちらに近づこうとして

「………え?」

 夢の国の、王様の体は
 何かに阻まれて…こちらに、近づけない

「…え?」

 きょとん、と、少年は夢の国と黒服を、交互に見つめた
 微かに動揺した様子の夢の国と違い、黒服は落ち着き払った様子で、夢の国を見つめ続けている

「え…どうして………っ何で!?」

 …夢の国が
 まるで、地下トンネルから追い出されるように、何かに押しのけられている
 見えない力で、少しずつ、確実に…地下トンネルから、排出されようとしている

「…やはり、ですか」
「な、何?あなた、何をしたの?」
「…私は、何もしていません」

 静かに、黒服は首を左右にふった
 その時の声が悲しそうに聞こえたのは、気のせいか?

「貴方は、拒まれているのですよ…『夢の国の地下トンネル』に」
「………!?」

 拒まれて、いる?
 どう言う事なのか?
 少年は、話についていけない
 ただ、黒服にしがみ付く事しか、できない

「そんなっ!?だって、ここだって、夢の国の…」
「…そう、夢の国の、一部です。だから、ですよ」

 黒服の声は、どこまでも静かで
 …そして、悲しそうだった

「『夢の国の地下トンネル』は、今のあなたを拒んでいます。暗い、悲しい力に囚われた貴方を拒んでいます…夢の国は本来、そんな悲しい存在ではないはずなのですから」

 子供の臓器を奪い取るなんて
 そんな、悲しい悲しい夢なんて
 夢の国の産みの親は、認めない
 だから、「夢の国の地下トンネル」は、「夢の国」を拒んでいる

「…思い出して御覧なさい。『夢の国』が本来はどんな存在だったのか」

 静かに、夢の国を見つめながら、黒服は口を開く
 まるで、歌うような声音
 静かに、静かに
 歌うように、言葉は続く

「思い出して御覧なさい。夢の国と契約した時、あなたはどんな気持ちだったのか。
 思い出して御覧なさい。『夢の国』を生み出した、本当の王様の…その、願いを」
「………っ!」

 夢の国が、耳をふさいだ

 …黒服は、組織の者
 都市伝説を吹聴しないよう、釘をさして周り…場合によっては、記憶を操作してくる
 大抵の黒服は、奇妙な光を放つアイテムで記憶を消すが、この黒服は少し違う
 その声で催眠術にかけ、記憶を消す
 そして、その催眠術の力は、忘れていた記憶をも呼び覚ます

「思い出して御覧なさい、貴方が本当に望んでいるのは、何なのか…」
「-----っやめて!!!」

 夢の国が、叫ぶ
 まるで、それが合図だったように
 夢の国は、地下トンネルから、完全に排出された

 …まるで、思い出すことを拒んだ夢の国に、地下トンネルが絶望したように

「…駄目、でしたか」

 悲しそうに、そう呟いて
 …くらり
 その体が、よろけた

「お、おいっ!?」
「…大丈夫です……地下トンネルも、かなり無理をして、彼女を拒絶したようですね…」

 元々、地下トンネルは「関係者以外立ち入り禁止」
 特殊な力で入り込んでも、大抵排出される
 …しかし
 「夢の国」は元々、関係者だ
 排出するのに、「地下トンネル」自体がかなり無理をしたのだろう
 その負担が、黒服にのしかかる

「…ほら、帰りますよ?送りますから」
「あ……」

 す、と
 黒服は、少年に手を差し伸べた
 尋常ではない負担が、体にかかっているはずなのに
 それでも、少年を家に送り届ける事を優先しようとしている

 …この黒服は、どこまでも子供の味方でいようとしているのだ
 まるで、「夢の国の地下トンネル」のその意思に、重なり合うように

 いや、もしかしたら
 そんな心を失っていないから、こそ
 黒服と化した今も…地下トンネルとの契約が、消えていないのかもしれない

 …少年は、おずおずと黒服の手を取った
 少年の手を掴み、黒服は少しよろけながらも、暗い地下トンネルを進んでいく

「…もう、あんな無茶をしてはいけませんよ?たとえ、戦いを挑まれたとしても、正直にそれを全て受ける必要性などありません。逃げる事も、時としては必要なのですよ?」
「……わかった」

 あんな経験のあとだからか、少年は素直で
 …いや
 それだけではない
 この黒服が、本当に…自分を、心配してくれた事が、嫌でもわかってしまって
 だから、こそ
 無理をさせてしまったのが、申し訳ない
 自分のせいで、黒服に無理をさせてしまったのが…


 この時、少年は既に決意を固めたのだ
 大人になって強くなったら、今度は自分が、この黒服を助けてやろうと

 この時、黒服は既に決意を固めていたのだ
 「夢の国」に関連する都市伝説と契約している身として…「夢の国」の暴走を少しでも止められるよう、努力していこうと


  そんな二人のその決意を
  ただ、夢の国の地下トンネルだけが
  意思など持たないはずの、夢の国の地下トンネルだけが……知っていた




 to be … ?





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