「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 夢幻泡影-26

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匿名ユーザー

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ミナワとプールに行く約束をした日の夜。俺は気晴らしに真夜中のこの町を徒歩で1週していた。
いや、気晴らしってのは嘘だな。 ちょいと確かめたい事があった。
こいつ―――ウィルの姿は、可視なのか不可視なのか。
前々から試してみたかったんだが、どうせ人魂が出るのなら、真夏の夜の方がいい。
そう思って俺はわざわざ今日、ウィルと2人でこうして散歩していたのだ。

(裂邪>お前とこの数時間一緒に歩いて分かった事がある。どうやらお前の姿は「一応」不可視らしい。
(ウィル>「一応」、てぇと?
(裂邪>お前が赤く燃える時、つまり興奮状態になった時だが、
    その時だけ周囲にいた一般人の100%がお前の方を見て驚いていた。
    しかしそれ以外。 平静の緑、悲しみの青、悩みの紫・・・
    それらは全て他に人達には見られてなかったようだ。
(ウィル>あぁ~、それで色んな話をしてたんで?
(裂邪>そゆこと。

泣ける話とかムカついた話とかなぞなぞとかをしてやっていた。

(ウィル>流石旦那でい、そんな事まで考えて話してたんでやすね!
(裂邪>正直、お前の単純さには驚いたが・・・まぁいいや。 とりあえず帰るz―――

ピタ、と俺は言葉と足を止めた。 同時にウィルも止まる。

(裂邪>ウィル、わかったか?
(ウィル>てやんでい、わからねぇ筈がありやせん。

すぐ近くには廃車置場。 ここから都市伝説らしき気配がする。
隠れているようで、姿は見えないし、気配も薄い。

(ウィル>どうしやす?
(裂邪>決まってんじゃん、殺ろうぜ。 ウヒヒヒヒ・・・

俺達は廃車置場へと足を踏み入れた。 先手を打ったのは奴だった。
中ほどまで歩いていくと、傍の廃車の下から黒い人影が俺に飛びかかり、
右腕を刃物で切りつけると、別な廃車の下に潜り込んでいった。
血が滴り落ちる。 幸い、半そでだったから親にもバレずに済みそうだ。

(裂邪>った・・・・!
(ウィル>旦那ぁ!
(男>クックック、久しぶりのガキかぁ?
(裂邪>チィ、「下男」か! まずいな、ここなら奴の隠れる場所はいくらでもある・・・

今は曇り。 当然月は無いし、何故か街頭も無い。
ウィルの『電光』を使えば全員を呼べるが・・・

(ウィル>シェイドの旦那達も呼んだ方が―――
(裂邪>いや、お前だけで十分だ。
(ウィル>―――え?
(裂邪>前に「首塚」の兄ちゃんが犬の都市伝説を焼き払ってくれた時に思ったんだ。
    “燃える戦士”ってのも悪くない、ってな!

ウィルの赤い炎が一瞬にして紫になる。 ホント、感情隠せない奴だなこいつは・・・

(裂邪>とにかく、『ウィルウィップ』!
(ウィル>がってんでい!

俺はウィルを両手で覆うように構えて、瞬時に両手を横に広げると、
その動きに合わせて火の玉が鎖のように連なり、炎の鞭が完成する。

(裂邪>ヒハハハハハ・・・今日の俺は『太陽』を従えた男だ。 覚悟しろ「下男」ぉ!
(下男>何が覚悟だ、ガキの分際でぇ!

下男がナイフを構えてまた俺に襲い掛かる。 しかし毎度同じ訳にはいかない。
俺は燃え盛る鞭を下男に向けて叩きつけた。
尤も、ウィルには質量が無い為、物理的なダメージは皆無だ。
が、興奮状態に達した現在のウィルは「熱」を持っているから、それだけで十分だ。
モロに炎の洗礼を受けた下男が地面に倒れて情けなくもがく。

(下男>が・・・ぁ・・・くそっ、熱いし「痛ぇ」・・・

さっきも言ったが、『ウィルウィップ』に物理ダメージは一切、無い。
これは『ウィルウィップ』考案時に編み出したトリックだ。
要は脳の錯覚。 普通、鞭で殴られたら痛い。 常人ならばそう考えるのが当たり前。
この下男もそんな事を頭に入れていて、俺に叩きつけられた。
物理ダメージこそ無いが、“奴の脳は”物理ダメージがあるように勘違いしてしまう。
つまり、奴は“ありもしない幻のダメージ”を受けているのだ。
これが、これこそが、ウィルに“幻”の称号を与えた由縁である。

(裂邪>「痛かった」ぁ? これからもっと「痛め」つけてやるよぉ!

はっきりいって、俺は運動神経は良くない。 見栄張ってもせいぜい下の中くらいだろう。
故に筋力も無いから、殴っても蹴っても大して相手にダメージは与えられない。
だから今俺がやるべき事は「精神的に」ダメージを与える。
俺は下男に向けて尚も鞭を振るい続けた。
奴隷とかに鞭打ってる人ってこんな感覚なのだろうか。
SMプレイってこんな感じなのだろうか。
SMかぁ・・・ミナワを縛り付けるのもまた一興か。

(裂邪>ヒハハハハハ!どうしたどうしたどうしたぁ!
(下男>くぅ、迂闊に近づけん・・・!

下男はまた車の下に隠れた。 またかチクショウよく隠れる野郎だ。

と思ったが、あの野郎今度は俺の左腕に傷を作りやがった。
また血が流れる。 こんなもんミナワに見つかったら叱られちまう・・・

(ウィル>大丈夫ですかい旦那!
(裂邪>ぐっ・・・正直・・・目眩がする・・・

血を出しすぎたらしい。 そもそも戦いにおいて血を流すのはモスマン戦以来だ。
そんなことを思い出したお陰で、ふと、あの時の失敗を機に考えた技があった事も思い出した。

(裂邪>[ウィル!こういうのできるか!?]
(ウィル>[ん・・・わかりやせんが、やってみるんでい!]

炎の鞭が俺の手を離れると思うと、それは数を増やし、炎の龍のようになった。
さらに、それから伝わる熱気は、俺の腕を流れる血さえも瞬時に乾かした。

(裂邪>よし、やれ! 『プロミネンス』!
(ウィル>がってん!

炎の龍が、廃車を飲み込むように飛びまわる。
散々いうが、ウィルは実体が無いので物体も通過できる。
さらに言うと、車は破壊できないが、熱は通る。 さて、そろそろ・・・

(下男>ギャァアアアァァァァアァァァア!

出てきなすった。 全身に火傷を負いながらのたうち回る下男。 ロクに動ける気配も無い。
そして天から恵みが降り注ぐ。 雨だ。 どうやら天は俺に味方してくれるらしい。

(裂邪>ウィル!『百物語』からの『白闇』!

ウィルは龍の状態を解き、火の玉が一気に辺りに散らばる。
癖になってしまったのか、『ドナドナ』も『さっちゃん』も歌ってないのに青い炎に変わり、周りに霧ができる。
さ、フィニッシュと行こうか。 俺と下男の両隣を、道しるべのようにして並ぶ緑色の炎。
これもモスマン戦以来使っていなかった技『ウィルオウェイ』。
下男の目の前に、赤い扉が現れ、それはゆっくりと開かれた。

(下男>な・・・な、何だ、これは・・・
(裂邪>「ウィルオウィスプ」の伝説、“迷い人を危険に誘う”って奴の曲解だよ。
    危険の最上位は「死」。 そう、この扉の向こうは「死」の世界だ。
(下男>っ・・・!
(裂邪>つっても、誰もこん中に入れた事無くてさ。
    お前が初めてこの扉の向こうの世界を見るんだ。

俺は動けない下男の首根っこを掴む。流石に大の大人を引きずると腕がズキズキする。でももう少しだ。

(下男>や・・・やめ、ろ・・・

下男が震えているのがわかる。 動脈もすごい速さで鼓動していた。
残念な事に、俺は正義のような優しさはもっていない。
それにもう一つ残念な事だが、先に仕掛けたのはこいつだ。許せる要素は無い。 よって。

(裂邪>いってらっしゃい。 冥府へ。

何とか扉の前に連れてきた下男を扉の向こうに蹴り飛ばす。遠のく叫び声は、扉の閉まる音によって中断された。
閉まると同時に扉も霧も消え、空も晴れて月と星が輝いていた。
あ・・・やば・・・俺はその場で仰向けに倒れこんだ。 雨の所為でグショグショになった地面の上に。
ちょ・・・この服気に入ってたのに・・・

(ウィル>だ、旦那ぁ!
(裂邪>あぁ・・・無理し過ぎたみたい。ウヒヒヒヒ・・・いや~、ご苦労だった、ウィル。
(ウィル>旦那こそ、お疲れさんでい。
(シェイド>全ク、無茶シオッテ・・・

気がつくと、シェイドがそこに立っていた。 あぁ、月で影ができたからね。

(裂邪>あ、シェイド。
(シェイド>「ア」、デハナイ。 ミナワ達モ心配シテイル・・・
(裂邪>ですよねぇ・・・
(ウィル>すいやせんシェイドの旦那。 旦那、帰りやしょうや。

しかし俺はまずこの傷を洗いたい。 でないと血だらけで帰ったらマジでミナワが泣き出してしまう。
どこかに綺麗な水でもあればいいのだが・・・あ。

(裂邪>いや待て。 ちょっと寄り道させろ。
(ウィル>え?
(裂邪>シェイド、前にウィルにあった湖を覚えているか? あそこに連れていってくれ。
(シェイド>ム? 構ワンガ・・・
(ウィル>だ、旦那・・・本当でやすか?
(裂邪>あれから行ってないだろ? 今日は頑張ってもらったしな。ささやかなご褒美だ。

ウィルが黄色に燃えている。 とても嬉しそうで何よりだ。
そういや、友達がいるとか言ってたな、オーブやらしゃれこうべやら・・・
まぁ、挨拶くらいはしておかないとな。

(裂邪>というわけだ。 シェイド、『シャドーダイブ』。
(シェイド>了解シタ。

俺は立ち上がり、シェイドが開いた影の扉へ、ウィルに続いて飛び込んだ。
そして影の中で思った。 今度は炎のパンチかブレイズキックも試してみよう、と。

   ...END

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