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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - ドクター-80

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ドクター80


相手を拘束する鎖と枷
視界を遮るガス
この程度のものは、彼女の能力としては最低限のレベルである
むしろ手加減中の手加減であり、絹漉豆腐を崩さず箸で摘むような微妙な力加減を要求されているのだ
「美味しそうだったわねぇ、さっきの黒服の娘……エルフリーデとの約束が無かったら……」
桜色の唇を割って、赤い舌があらゆる欲を求めるかのようにちろりと蠢く
その足は夜の賑やかな繁華街から、診療所のある人気の無い北区へと向けられる
肌を露わにしたサマードレスと、その細い体躯と繊細な硝子細工を思わせる顔立ちは、夜闇で輝くには異質であり否応にも目立ち
故に、良からぬものを誘うには充分な存在感であった
少女の背後についてくる気配は、人通りや人家が少なくなるほどにその存在感を増していき、やがてはその背後へと迫りくる
「この手法では女性の都市伝説や契約者は釣りにくいのかしら」
今まさに少女の肩に触れようとしていた男の手が、ぴたりと止まる
「まあ、幼女に釣られるのはロリコンの誘拐犯。女性の話はあまり聞かないものね……念のため聞いておくけど、どこか組織に属しているのかしら?」
「組織? よく判らんが俺には仲間の類は居ない。俺が契約した都市伝説の能りょ」
悠々と己の能力を語ろうとした男の手首に、がちりと鉄の枷が填まり込む
「な、何だこれは!?」
「得意げにものを語るのは、絶対的優位に立ってからにするのね。まあそれも死亡フラグの類だけど」
反対の手首に、足首に、がちりがちりと填まり込んだ鉄の枷
それに繋がれた鎖がじゃらりと音を立て、男を思い切り後方に引き寄せ始めた
鎖が手繰り寄せられる先にあったのは、棺にも似た錆色の物体
それがまるで肉食獣の顎のようにがぱりと開くと、歯の代わりにびっしりと並ぶ鋭い鉄針が姿を覗かせる
「あなたの目は、私と同じ色をしているわ。抵抗できないようなか弱い少女を嬲るのが好き。そうでしょう?」
「な、これは、あ、あああああああ!?」
「本来なら見目麗しい、うら若き乙女以外は受けられぬ鉄の抱擁よ」
鉄の処女(アイゼルネ・ユングフラウ)と呼ばれるその拷問具は、後世の研究では実在を疑われている
「がぁっ!? 拷問具の、契約者、だと……」
がしゃりと鉄の処女の中に放り込まれ、鉄針が背中を貫く痛みに苦悶の声を漏らす
ゆっくりと扉が閉じ始めると、それに打ち込まれた無数の鉄針がじりじりとその身に迫ってくる
「まあ拷問具そのものも実在は疑われ都市伝説と化しつつあるけれど。私が契約しているのは、もっとその根源」
恐怖に歪む男の顔を、さも楽しそうに微笑みながら見守る少女
彼女が契約する一つめの存在
無数の拷問器具を所有し、殺したうら若き乙女の血でその若さを保ったという血の伯爵夫『エリザベート・バートリー』
鉄の処女の扉が、がちんと閉じる
全身を貫かれた男の絶叫が漏れ聞こえるその隙間に、ついと指を這わせて
「男が苦しみ悶える様を愉しむ趣味は無いわ。すぐ楽にしてあげるから感謝なさい」
突如、鉄の処女の内側に満たされる奇妙な色のガス
途端に悲鳴はか細くなり、僅かに呼吸が詰まる音が聞こえたかと思うと、力無く首を傾け内壁にぶつけたであろう音が小さく響いた
彼女が契約する二つめの存在
あまりにも有名でありながら存在が立証されないまま、その存在の是非を問う事を禁じられた存在『アウシュビッツのガス室』
血と謎の液体を漏らす鉄の処女は、少女の指の一振りで虚空へと消える
残されたのは夜闇に佇む一人の少女の姿のみ
少女はふうと溜息を一つ漏らす
「生意気盛りのエルフリーデも美味しいけど、もっと色んなものを食べたいわね……性的な意味で」
甘い香りを漂わせて虫を誘う食肉花のような少女は、つまらなそうに夜闇に消えていった


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