7月7日
七夕祭り
笹に飾る短冊に、願いをこめて
七夕祭り
笹に飾る短冊に、願いをこめて
大門家の玄関先に飾られた笹
七夕の飾りが施されたそれが、そよそよと風に揺れる
…そう、今日は七夕
織姫と彦星が、一年に一度、再会を果たす日
雨の日は天の川が増水し、その再開が敵わぬと言うが……幸い、今日は晴れている
天気予報でも雨の気配はないし、今年は問題なく、あの2人は再会を果たすのだろう
七夕の飾りが施されたそれが、そよそよと風に揺れる
…そう、今日は七夕
織姫と彦星が、一年に一度、再会を果たす日
雨の日は天の川が増水し、その再開が敵わぬと言うが……幸い、今日は晴れている
天気予報でも雨の気配はないし、今年は問題なく、あの2人は再会を果たすのだろう
「望、詩織、短冊書いたか?」
「私は書いたけど、望はまだみたいよ」
「私は書いたけど、望はまだみたいよ」
詩織が、笹に願い事を書いた短冊を飾っていく
飾られた短冊は、そよそよと風に揺られる
飾られた短冊は、そよそよと風に揺られる
…そして
部屋の中で、望は一人、悶々としていた
部屋の中で、望は一人、悶々としていた
……願い事
そんなものは、決まっている
そんなものは、決まっている
『大樹さんとの仲が進展しますように』
それだけ
ただ、それだけだ
たった、それだけの願いなのに…
ただ、それだけだ
たった、それだけの願いなのに…
「………」
何も書かれていない短冊を前に
シンプルな、その願いを…書き込めない
シンプルな、その願いを…書き込めない
だって
短冊は、玄関先に飾るのだ
誰だって見る事ができる
そう、それが問題だ
短冊は、玄関先に飾るのだ
誰だって見る事ができる
そう、それが問題だ
見られる
大樹さんにも、見られる訳で
もし、見られたら
…………恥ずかしすぎて、死ねる
大樹さんにも、見られる訳で
もし、見られたら
…………恥ずかしすぎて、死ねる
「うぅ~……」
悶々と、悩み続ける望
その横を、ノロイがてちてち、短冊を持って駆け抜けていた
うーうー、悩み続け…
その横を、ノロイがてちてち、短冊を持って駆け抜けていた
うーうー、悩み続け…
「………よし!」
意を決して
望は、願い事を書き始めた
望は、願い事を書き始めた
「ちゅっちゅー」
「ん?あ、ノロイも短冊書いたのか」
「ちゅー」
「ん?あ、ノロイも短冊書いたのか」
「ちゅー」
飾ってくれ、というように短冊を差し出してきたノロイから、短冊を受け取った翼
……短冊に書かれた願いは「家庭円満」
しかも、超達筆
…最早、鼠が字を書くのか、とか言う点についてはスルーである、突っ込む気もないようだ
もはや、半分以上都市伝説と化しているノロイ
今日も元気に、鼠を超越していた
……短冊に書かれた願いは「家庭円満」
しかも、超達筆
…最早、鼠が字を書くのか、とか言う点についてはスルーである、突っ込む気もないようだ
もはや、半分以上都市伝説と化しているノロイ
今日も元気に、鼠を超越していた
と、翼がノロイの分の短冊も飾ってやっていると
そっと、望が玄関の扉を開けて出てきた
ささっ、と自分で短冊を吊るす
そっと、望が玄関の扉を開けて出てきた
ささっ、と自分で短冊を吊るす
「望、何て書いたの?」
「…何だっていいでしょ」
「…何だっていいでしょ」
詩織の言葉から逃げるように、望はすぐに家の中に入ってしまった
詩織は早速、どれどれと望の短冊を覗き込む
詩織は早速、どれどれと望の短冊を覗き込む
「…詩織、趣味悪いぞ」
「いいじゃん。どうせ、大体予想できる内容だし…」
「いいじゃん。どうせ、大体予想できる内容だし…」
………
…………
…………
「…ヘタレって言うか、何と言うかねぇ」
「ちゅー」
「ちゅー」
うん、と
望が書いた短冊を見て、頷く詩織とノロイ
その様子に、翼は小さく首を傾げた
望が書いた短冊を見て、頷く詩織とノロイ
その様子に、翼は小さく首を傾げた
書かれた内容は、ただシンプル
『今年は、もうちょっと進展しますように』
果たして、この内容で、願い事が届くかどうか
…だが、これが望の精一杯
…だが、これが望の精一杯
今年は、大樹さんとの仲がもうちょっと進展しますように
その精一杯の願いをこめた、短冊なのだった
fin