その声が、聞えた瞬間
「…サァアアアアンジェルマァアアアアン?」
サンジェルマンは、今日が自分の命日にならなければいい、と何ともわからぬ存在に祈った
サンジェルマンの前に姿を現したのは、幼女と呼んでも差し支えのない外見の少女
ゴスロリ服に黒いレース生地の日傘という恰好のその少女
しかし、実際にはその外見通りの年齢ではない事を、サンジェルマンはよく知っている
ゴスロリ服に黒いレース生地の日傘という恰好のその少女
しかし、実際にはその外見通りの年齢ではない事を、サンジェルマンはよく知っている
「…これはこれは、ヘンリエッタお嬢さん。私に何かご用ですかな?」
「………しらばっくれる気か?サンジェルマン…わかっておろう?」
「………しらばっくれる気か?サンジェルマン…わかっておろう?」
少女、ヘンリエッタは、今、酷く不機嫌なようだ
こんな時は、ロクな事が起きない事を、サンジェルマンはよく理解していた
いい歳だと言うのに、内面が外見年齢に引っ張られてしまっているのか、成長しきっていないヘンリエッタ
こうやって不機嫌な時、子供のような癇癪をおこすことがある
…ヘンリエッタのような都市伝説が癇癪を爆発させて、それをぶつけられては洒落にならない
こんな時は、ロクな事が起きない事を、サンジェルマンはよく理解していた
いい歳だと言うのに、内面が外見年齢に引っ張られてしまっているのか、成長しきっていないヘンリエッタ
こうやって不機嫌な時、子供のような癇癪をおこすことがある
…ヘンリエッタのような都市伝説が癇癪を爆発させて、それをぶつけられては洒落にならない
「貴様が支援しておる、ハーメルンの笛吹き……上田とか言う男。余計な事をしでかしてくれたのぅ?」
サンジェルマンを睨み上げ、そう言ってくるヘンリエッタ
まずい
怒りが、完全に自分に向いていることを、サンジェルマンははっきりと自覚した
まずい
怒りが、完全に自分に向いていることを、サンジェルマンははっきりと自覚した
……っが!!
ヘンリエッタが、サンジェルマンの足をぎゅう、と踏んでくる
ぐりぐりと踏み躙り、睨みあげ続けた
…あ、ヤバイ、目が据わってきている
ヘンリエッタが、サンジェルマンの足をぎゅう、と踏んでくる
ぐりぐりと踏み躙り、睨みあげ続けた
…あ、ヤバイ、目が据わってきている
「あはは、紳士的に行きましょう紳士的に。そもそも私は彼を追跡調査こそしていますが彼に対する支援なんて何も……」
「………それで、妾をごまかしきれるとでも思っておるのか、この、馬鹿者がぁ!!!」
「………それで、妾をごまかしきれるとでも思っておるのか、この、馬鹿者がぁ!!!」
ぐりぐりぐりぐりぐりぐり!!
ヘンリエッタが、サンジェルマンの足を踏みつける力が強くなる
上田であったらちょっぴり喜びそうなところだが、生憎、サンジェルマンにそんな趣味はない
ヘンリエッタが、サンジェルマンの足を踏みつける力が強くなる
上田であったらちょっぴり喜びそうなところだが、生憎、サンジェルマンにそんな趣味はない
「お前が、あの男を支援している事実は、とうに把握しておる!A-No.0に伝えていないだけ、ありがたいと思うがいい!!」
サンジェルマンを睨み揚げ続けているヘンリエッタ
…それでも、足を踏みつける、という行為だけで止まっている分、まだ大人しい
昔と比べれば、本当………甘くなったものだ、とサンジェルマンは考える
かつては、国一つ滅ぼした事もあり…鮮血の姫などとも呼ばれた事のある、彼女が、だ
…それでも、足を踏みつける、という行為だけで止まっている分、まだ大人しい
昔と比べれば、本当………甘くなったものだ、とサンジェルマンは考える
かつては、国一つ滅ぼした事もあり…鮮血の姫などとも呼ばれた事のある、彼女が、だ
「…サンジェルマン?妾の話を聞いておるのか?」
「えぇ、聞いていますよ………それで、ヘンリエッタお嬢さん。あなたは、彼がしでかした何に、そんなに怒っているのですか?」
「えぇ、聞いていますよ………それで、ヘンリエッタお嬢さん。あなたは、彼がしでかした何に、そんなに怒っているのですか?」
ここは、誤魔化しても無駄だ
そう考え、逆に尋ねてみる
…すると、ぐりっ、と
また、サンジェルマンの足を踏み躙る力が、強くなり…ヘンリエッタが、日傘を持っているのとは逆の手を、振り上げた
あ、ますますヤバイ
彼女の本来の腕力で殴られたら、不老不死の自分は死ぬ事はないが、かなりのダメージをくらい……
そう考え、逆に尋ねてみる
…すると、ぐりっ、と
また、サンジェルマンの足を踏み躙る力が、強くなり…ヘンリエッタが、日傘を持っているのとは逆の手を、振り上げた
あ、ますますヤバイ
彼女の本来の腕力で殴られたら、不老不死の自分は死ぬ事はないが、かなりのダメージをくらい……
……っぽか
ぽかぽかぽかぽかぽか
ぽかぽかぽかぽかぽか
響いたのは、あまりにも可愛らしい効果音
かなり、手加減した力で殴られている
……その事実に…ヘンリエッタがどこまで、昔の冷酷さを、容赦のなさを失ってしまったか、理解する
彼女は、こんなにも甘くなってしまったのか
かなり、手加減した力で殴られている
……その事実に…ヘンリエッタがどこまで、昔の冷酷さを、容赦のなさを失ってしまったか、理解する
彼女は、こんなにも甘くなってしまったのか
まるで、だだっこのように、ぽかぽかぽか
ヘンリエッタはサンジェルマンを殴って…否、叩いてくる
ヘンリエッタはサンジェルマンを殴って…否、叩いてくる
「あのロリコンのせいで!!せっかくエーテルを見つけかけたというのに、見失ってしまったではないか!!どうしてくれるか!!」
「エーテルを?……あぁ、やはり、彼は生き延びていましたか」
「あの男が、刺客程度にそう簡単に殺される訳なかろう!!……事態が事態じゃ、早く接触をはかって、その身柄保護したかったと言うのに………!!」
「エーテルを?……あぁ、やはり、彼は生き延びていましたか」
「あの男が、刺客程度にそう簡単に殺される訳なかろう!!……事態が事態じゃ、早く接触をはかって、その身柄保護したかったと言うのに………!!」
ぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽか
…あ、一点集中で叩かれ続けると、だんだんと痛くなってきた
が、止めろと言っても、ヘンリエッタは止めてはくれまい
…あ、一点集中で叩かれ続けると、だんだんと痛くなってきた
が、止めろと言っても、ヘンリエッタは止めてはくれまい
「…ハンニバルが、動き出そうとしているのですね?」
「……そうじゃ……妾は、それを止めねばならぬ。あの男が、エーテルを狙った理由に………あ奴が管理していた何かしらのデータが関わるのならば…エーテルを、奴の部下を、保護せねばならぬ」
「……そうじゃ……妾は、それを止めねばならぬ。あの男が、エーテルを狙った理由に………あ奴が管理していた何かしらのデータが関わるのならば…エーテルを、奴の部下を、保護せねばならぬ」
ハンニバル・ヘースティングス
「組織」におけるナンバーはH-No.1、通称「不死身の狂人」
…そして、元「教会」のメンバーにして、今は「教会」に追われる異端者
「組織」におけるナンバーはH-No.1、通称「不死身の狂人」
…そして、元「教会」のメンバーにして、今は「教会」に追われる異端者
「組織」にて、数々の非人道的な実験に手を染め、今なお、「組織」に隠れてそれを行っているらしい男
笛吹探偵事務所を強襲してきた穀雨 彼方もまた、彼の実験の被害者だ
彼は幸い、一命を取りとめたが……あの男の実験で命を落とした存在は、軽く三桁に登る
笛吹探偵事務所を強襲してきた穀雨 彼方もまた、彼の実験の被害者だ
彼は幸い、一命を取りとめたが……あの男の実験で命を落とした存在は、軽く三桁に登る
ヘンリエッタは、ハンニバルのこれ以上の実験を止めようとしている
その為にも…ハンニバルが「何を成し遂げようとしているのか」、その正確な目的が知りたいのかもしれない
その為にも…ハンニバルが「何を成し遂げようとしているのか」、その正確な目的が知りたいのかもしれない
ハンニバルが、非人道的な実験を繰り返す目的は何なのか
何の信念の元、その道を歩むのか
…それを知らなければ、止める事ができるはずのものも、止められぬかもしれないから
何の信念の元、その道を歩むのか
…それを知らなければ、止める事ができるはずのものも、止められぬかもしれないから
「………じゃから、なぁ?サンジェルマン?妾は、上田とかいう男のせいで、エーテルを見失ってしまったのだよ。どうしてくれようか?」
……ごごごごごごごごごご
ヘンリエッタが、怒りのオーラを背負いだした
サンジェルマンは、小さく苦笑する
ヘンリエッタが、怒りのオーラを背負いだした
サンジェルマンは、小さく苦笑する
「彼をあなたの家具にする、と言うのはやめてあげてくださいね。ヘタをしたら、悦びますよ、彼は」
「そんな変態な家具はいらぬ。せいぜい、ゴミ箱にしか使わぬわ…………そうじゃな、サンジェルマン………すこぉし、貴様の血をもらおうか?」
「……あなたに噛み付かれるのは、勘弁願いたいのですがね」
「そんな変態な家具はいらぬ。せいぜい、ゴミ箱にしか使わぬわ…………そうじゃな、サンジェルマン………すこぉし、貴様の血をもらおうか?」
「……あなたに噛み付かれるのは、勘弁願いたいのですがね」
彼女に噛み付かれる、という事は
いつ、彼女の「下僕」にされてもおかしくない状況に陥るという事だ
それだけは、サンジェルマンとしては避けたいところだ
いつ、彼女の「下僕」にされてもおかしくない状況に陥るという事だ
それだけは、サンジェルマンとしては避けたいところだ
「噛み付く必要はない、お前が血を流せば良いのじゃからな?」
---っぴ、と
ヘンリエッタの爪先が…一瞬、鋭くなって
それが、サンジェルマンの指先を、軽く傷つけた
…つぅ、と血が流れ出る
ヘンリエッタの爪先が…一瞬、鋭くなって
それが、サンジェルマンの指先を、軽く傷つけた
…つぅ、と血が流れ出る
「問答無用ですか」
「これですむのだから、ありがたいと思え」
「これですむのだから、ありがたいと思え」
つ、とサンジェルマンの手を取ったヘンリエッタ
…ぴちゃり
舌が、指先から流れ出る血を舐め取る
ちりりとした、妙な感触に、サンジェルマンはかすかに眉をひそめた
ぴちゃり、ぴちゃり
傷口を舐め、血を吸い取るヘンリエッタ
同時に…己の情報が、ヘンリエッタに舐め取られている事を、サンジェルマンは自覚した
…ぴちゃり
舌が、指先から流れ出る血を舐め取る
ちりりとした、妙な感触に、サンジェルマンはかすかに眉をひそめた
ぴちゃり、ぴちゃり
傷口を舐め、血を吸い取るヘンリエッタ
同時に…己の情報が、ヘンリエッタに舐め取られている事を、サンジェルマンは自覚した
血を与えるという事は
己の情報を、相手に与えてしまうという事
…さて
どれだけ、啜りとられるか?
己の情報を、相手に与えてしまうという事
…さて
どれだけ、啜りとられるか?
……つ、と
やがて、ヘンリエッタは唇を赤く染めて、サンジェルマンの指先から口を放した
やがて、ヘンリエッタは唇を赤く染めて、サンジェルマンの指先から口を放した
「…お主、少し酒を飲みすぎだぞ。それと、女遊びは控えておけ」
「おや、そこまで飲みすぎた覚えはないのですが………それと、女遊びじゃなくて、男遊びで」
「おや、そこまで飲みすぎた覚えはないのですが………それと、女遊びじゃなくて、男遊びで」
ごがっ!!!!!
「おごふっ!?」
「もっと控えんか、この節操なしめが!!!」
「もっと控えんか、この節操なしめが!!!」
急所への、容赦なき一撃に
……ヘンリエッタは、これくらい容赦のない方が彼女らしい、と
サンジェルマンは激しい痛みに耐えつつ、そう考えたのだった
……ヘンリエッタは、これくらい容赦のない方が彼女らしい、と
サンジェルマンは激しい痛みに耐えつつ、そう考えたのだった
終われ