ドクター86
流された水着は取り戻したのだが、メイの泳ぎは覚えたばかりの犬かきである
下流に向かううちは良かったのだが、水着を掴んだ状態では上手く泳げず、上流へ戻るには勢いが全く足りなかった
やや騒動の中心から離れた場所でよじよじとプールサイドに這い上がり、プールサイドでは走らないという注意を律儀に守り水着を握り締めてぺたぺたと歩いていった
そんな姿を狙撃銃のスコープ越しに遠方のマンションの屋上から眺める黒服女、アンネローゼ
「うーん、やっぱこの町の都市伝説密度は異常だわ。さっきの男って朝比奈秀雄よね……アレと既に知り合いなのかな? ゆーくん達だけならバレても逃げ切れるけど、あれだけ色々いたら無理だわ」
諦めたように構えを解き、銃を分解してケースに収めていくアンネローゼ
「それにしてもプールかー。いいなー、こっちはこんな暑いのに仕事で、しかも上手くいってないのに」
水着を脱がせて騒ぎを起こし、結果として都市伝説集団の密度を高めてしまった変態達を焼き払ってしまいたい衝動に駆られるが、それも結局自分の存在を悟られる結果になるだけなので自重する
「ま、この調子じゃ狙える状況じゃないわね。アイスでも買ってこよ」
下流に向かううちは良かったのだが、水着を掴んだ状態では上手く泳げず、上流へ戻るには勢いが全く足りなかった
やや騒動の中心から離れた場所でよじよじとプールサイドに這い上がり、プールサイドでは走らないという注意を律儀に守り水着を握り締めてぺたぺたと歩いていった
そんな姿を狙撃銃のスコープ越しに遠方のマンションの屋上から眺める黒服女、アンネローゼ
「うーん、やっぱこの町の都市伝説密度は異常だわ。さっきの男って朝比奈秀雄よね……アレと既に知り合いなのかな? ゆーくん達だけならバレても逃げ切れるけど、あれだけ色々いたら無理だわ」
諦めたように構えを解き、銃を分解してケースに収めていくアンネローゼ
「それにしてもプールかー。いいなー、こっちはこんな暑いのに仕事で、しかも上手くいってないのに」
水着を脱がせて騒ぎを起こし、結果として都市伝説集団の密度を高めてしまった変態達を焼き払ってしまいたい衝動に駆られるが、それも結局自分の存在を悟られる結果になるだけなので自重する
「ま、この調子じゃ狙える状況じゃないわね。アイスでも買ってこよ」
―――
「平気、もう大丈夫だから、やめっ、やめー」
「んー、やっぱり若いと肌の張りが違うわね。今のエルフリーデもしっとりもちもちしてて良いのだけれど」
プールサイドで沙々耶が胸を隠すために羽織ったバスタオルの下に両手を潜り込ませ、バスタオル越しにも判るほどに思い切り揉みしだくトライレス
つい先程まで溺れた沙々耶のための心配蘇生手順に基づいた意識確認が、いきなりこれである
「先生、いい加減にしましょう。公共の場でやり過ぎです」
「あらエルフリーデ、遅かったわね? そういうあなたも、公共の場でなければやるんでしょう?」
「TPOぐらいは弁えます。というか溺れた相手へそういう事をしてどうするんですか」
「ちょっと水を飲んだだけなのは確認してるし、気付けみたいなものよ。何でも四角四面に捉えてると場の雰囲気が暗くなるわ」
笑顔のままでも手は止めないトライレス
その視線がつぅっとスライドしていった先にいたのは、ぞんざいに水着を身に纏ったパスカルの姿
武術の達人ですらその初動を見逃したであろうトライレスの動きを、ずいと間に割り込むようにして封じたのはヘンリーだった
「あら、やるわね?」
「乙女は守護するものだからな」
「俺は乙女じゃねぇっつーの。それより、今ここで何が起きてる?」
「さあ……水中に、水着を剥ぎ取って流してしまう都市伝説がいるのは気付いてたけど」
「気付いてたなら注意しろよ!?」
ヘンリーの後ろからパスカルが思い切り怒鳴りつけるが、トライレスは悪びれた様子も無く微笑を浮かべる
「危険は無いと判断した以上、水着を剥いで回ってくれる都市伝説なんて素敵なものを退治したら勿体無いでしょう?」
「被害出てんだろうが!? 溺れたんだろ、この子が!」
パスカルに指をさされて、胸を揉まれ続けているせいか指摘のせいか、顔を真っ赤にして俯く沙々耶
「水着は流されたけど普通に泳げないだけよ、この子」
「水着が流されなきゃ派手に溺れたりはしなかったんじゃないのか?」
「かといって、警戒心丸出しで片付くまでは遊べない、なんてのも可哀想じゃない」
水中では既に一部の契約者や都市伝説と、黒幕らしい水霊の戦闘が始まっている
「戦うにしても相性が悪いわ。私が戦ったら水の中にいる子達がみぃんな死んじゃうし。かといって……液体状の軟体相手に対抗できる子、いるかしら?」
このメンバーの中でまともに戦えるのは有羽だけで、その能力は殴打が普通に通用する相手でなければ発揮できない
「あの戦闘バカ、肝心な時にいねぇんだから……」
非実体の神すら叩き斬る武人は、とっくの昔にこの場を離れている
頭を抱えるパスカルを尻目に、トライレスは視線をプールの外へと向ける
一見すれば空を見ているようにも見えるその視線の先は、遠くに見えるマンションの屋上
「色々戦闘がこなせる子、うちにも欲しいわねぇ」
やがて、デリアと沙々耶の水着を取り戻して戻ってきたメイだが
溺れた沙々耶が脱がした末に流されてしまったコンスタンツェの水着は未だ回収されておらず、プールのどこかを漂っているのであった
「んー、やっぱり若いと肌の張りが違うわね。今のエルフリーデもしっとりもちもちしてて良いのだけれど」
プールサイドで沙々耶が胸を隠すために羽織ったバスタオルの下に両手を潜り込ませ、バスタオル越しにも判るほどに思い切り揉みしだくトライレス
つい先程まで溺れた沙々耶のための心配蘇生手順に基づいた意識確認が、いきなりこれである
「先生、いい加減にしましょう。公共の場でやり過ぎです」
「あらエルフリーデ、遅かったわね? そういうあなたも、公共の場でなければやるんでしょう?」
「TPOぐらいは弁えます。というか溺れた相手へそういう事をしてどうするんですか」
「ちょっと水を飲んだだけなのは確認してるし、気付けみたいなものよ。何でも四角四面に捉えてると場の雰囲気が暗くなるわ」
笑顔のままでも手は止めないトライレス
その視線がつぅっとスライドしていった先にいたのは、ぞんざいに水着を身に纏ったパスカルの姿
武術の達人ですらその初動を見逃したであろうトライレスの動きを、ずいと間に割り込むようにして封じたのはヘンリーだった
「あら、やるわね?」
「乙女は守護するものだからな」
「俺は乙女じゃねぇっつーの。それより、今ここで何が起きてる?」
「さあ……水中に、水着を剥ぎ取って流してしまう都市伝説がいるのは気付いてたけど」
「気付いてたなら注意しろよ!?」
ヘンリーの後ろからパスカルが思い切り怒鳴りつけるが、トライレスは悪びれた様子も無く微笑を浮かべる
「危険は無いと判断した以上、水着を剥いで回ってくれる都市伝説なんて素敵なものを退治したら勿体無いでしょう?」
「被害出てんだろうが!? 溺れたんだろ、この子が!」
パスカルに指をさされて、胸を揉まれ続けているせいか指摘のせいか、顔を真っ赤にして俯く沙々耶
「水着は流されたけど普通に泳げないだけよ、この子」
「水着が流されなきゃ派手に溺れたりはしなかったんじゃないのか?」
「かといって、警戒心丸出しで片付くまでは遊べない、なんてのも可哀想じゃない」
水中では既に一部の契約者や都市伝説と、黒幕らしい水霊の戦闘が始まっている
「戦うにしても相性が悪いわ。私が戦ったら水の中にいる子達がみぃんな死んじゃうし。かといって……液体状の軟体相手に対抗できる子、いるかしら?」
このメンバーの中でまともに戦えるのは有羽だけで、その能力は殴打が普通に通用する相手でなければ発揮できない
「あの戦闘バカ、肝心な時にいねぇんだから……」
非実体の神すら叩き斬る武人は、とっくの昔にこの場を離れている
頭を抱えるパスカルを尻目に、トライレスは視線をプールの外へと向ける
一見すれば空を見ているようにも見えるその視線の先は、遠くに見えるマンションの屋上
「色々戦闘がこなせる子、うちにも欲しいわねぇ」
やがて、デリアと沙々耶の水着を取り戻して戻ってきたメイだが
溺れた沙々耶が脱がした末に流されてしまったコンスタンツェの水着は未だ回収されておらず、プールのどこかを漂っているのであった