…全部知ってから?
何を言ってくるのだろうか、この男は
もう、十分
もう十分に、私は知った
何を言ってくるのだろうか、この男は
もう、十分
もう十分に、私は知った
あの少女は、兄の仇
それがわかれば、十分なのだ
それがわかれば、十分なのだ
「…これ以上、何を知れというのです………どいて、ください……っ」
美緒の手は、震え続けている
それでも、その銃口はヘンリエッタを狙っていて…そして、それは、二人の間に割り込んでいるエーテルに向けられている事になる
それでも、その銃口はヘンリエッタを狙っていて…そして、それは、二人の間に割り込んでいるエーテルに向けられている事になる
関係のない相手を、撃ってしまった
その事実が、彼女の心を揺さぶる
その事実が、彼女の心を揺さぶる
「……いいから、聞け………お嬢さん、確かに、実験の許可を出したのは、お嬢さんかもしれない……じゃあ、その実験を言い出したのは…実験を行った奴は、どうなった?」
ぴくり
美緒の体が、小さくはねる
美緒の体が、小さくはねる
本当の、仇
それは、ヘンリエッタでは、ない
それは、ヘンリエッタでは、ない
本当の、仇は
実験を行った、その相手
実験を行った、その相手
気づきたくなった事実、目をそらしていた事実
それが…突きつけられる
それが…突きつけられる
「…もう、おらぬ……あいつ自身が、殺してしもうたよ」
俯き、小さく答えるヘンリエッタ
あの実験を言い出したHNoは…もう、いない
広瀬 宏也によって、八つ裂きにされて死んでいる
あの実験を言い出したHNoは…もう、いない
広瀬 宏也によって、八つ裂きにされて死んでいる
つまり
美緒にとっての、本当の仇は
………もう、どこにもいないのだ
だからこそ、余計に、ヘンリエッタは美緒に撃たれる事を選択した
どこにもぶつけられぬ、発散できぬ憎悪で、美緒がつぶれてしまう事を、恐れたように
美緒にとっての、本当の仇は
………もう、どこにもいないのだ
だからこそ、余計に、ヘンリエッタは美緒に撃たれる事を選択した
どこにもぶつけられぬ、発散できぬ憎悪で、美緒がつぶれてしまう事を、恐れたように
……カタカタと
美緒の手は、震え続ける
その指先は、引き金にかけられたままで…
美緒の手は、震え続ける
その指先は、引き金にかけられたままで…
「…美緒さん」
「----っ」
「----っ」
そっと、その手に、影守の手がかぶさった
優しく、優しく…刺激しないように、そっと
美緒に、銃を下ろさせる
優しく、優しく…刺激しないように、そっと
美緒に、銃を下ろさせる
「…影守さん……あなたまで、邪魔をなさるのですか…?」
「違います…邪魔では、ない。美緒さん……ここで、彼女を撃つ事が、本当に正しいと……そう、思っていますか?」
「違います…邪魔では、ない。美緒さん……ここで、彼女を撃つ事が、本当に正しいと……そう、思っていますか?」
影守の言葉に
美緒の心が、揺さぶられる
美緒の心が、揺さぶられる
「……っ私は……っ」
「…確かに…あなたのお兄さんは、人間ではなくなってしまったかもしれない。けれど……それでも、心まで、人間ではなくなった訳じゃ、ないんです」
「…確かに…あなたのお兄さんは、人間ではなくなってしまったかもしれない。けれど……それでも、心まで、人間ではなくなった訳じゃ、ないんです」
都市伝説に飲み込まれても
彼は、心を失わなかった
失うはずの記憶さえも、大半をとどめたまま
心だけ人間で、その身は都市伝説と言う中途半端な存在となってしまった
…それが、H-No.360
広瀬 宏也
せんみつとも呼ばれ、それによって自身を隠し続けた男の、真実
彼は、心を失わなかった
失うはずの記憶さえも、大半をとどめたまま
心だけ人間で、その身は都市伝説と言う中途半端な存在となってしまった
…それが、H-No.360
広瀬 宏也
せんみつとも呼ばれ、それによって自身を隠し続けた男の、真実
「都市伝説になっても、あなたを護ろうとしたお兄さんを……美緒さんは、否定しますか?」
「…………ぁ」
「…………ぁ」
ヘンリエッタは言った
「あの男はいつだって、お前のことを心配して、妾達「組織」を利用して、護り続けようとしたのだから」
と
…広瀬 宏也が、自ら美緒との連絡役を買って出たのは、他の黒服が関わる事で、彼女が危険に巻き込まれるのを防ぐ為
自分が接触する事で、妹の現状を把握しようとしたから
「あの男はいつだって、お前のことを心配して、妾達「組織」を利用して、護り続けようとしたのだから」
と
…広瀬 宏也が、自ら美緒との連絡役を買って出たのは、他の黒服が関わる事で、彼女が危険に巻き込まれるのを防ぐ為
自分が接触する事で、妹の現状を把握しようとしたから
「お兄さんが、今でも、あなたを妹と思い続けているのなら…あなたがそれを否定してしまったら、お兄さんの、あなたへの想いも、すべて踏みにじる事になってしまう」
…今更ながらに、影守は気づく
以前、宏也が自分に「美緒を頼む」と言ってきた、その理由を
あれは、妹を護ってくれという、そういう意味だったのだろう
何故、自分にそれを言ってきたのかは、わからないが
以前、宏也が自分に「美緒を頼む」と言ってきた、その理由を
あれは、妹を護ってくれという、そういう意味だったのだろう
何故、自分にそれを言ってきたのかは、わからないが
「………さん」
小さく、つぶやく美緒
その手から
拳銃が、するりと零れ落ちて
拳銃が、するりと零れ落ちて
カタン、と
床に落ちて、転がった
床に落ちて、転がった
「……さ、ん、兄さん………辰也兄さん……」
ぼろぼろと、その両目から、涙があふれ出て
美緒には、もう、それを止める事ができない
美緒には、もう、それを止める事ができない
長い間、ずっと一人で抱え込んでいた感情が、あふれ出て、止める事ができないのだ
兄を失った当初の彼女に戻ったかのように、泣き続ける美緒
影守は、ただ、その肩にそっと手を添える事しか、できなかった
影守は、ただ、その肩にそっと手を添える事しか、できなかった
to be … ?