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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - トイレの花子様-04

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匿名ユーザー

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トイレの花子様 04


車が付いたのは高そうなホテル。やはり罠だったのか?
その疑心を察したのかメイドが言う。ちなみに執事風は現場の片付け係にされ、いない。

メ「この時間では学校には入れませんし、女子トイレで一晩過ごすのは社会的にマズイでしょう。
  また、貴方の家にこの方を連れて行くのも不可能でしょう。都合よく家族が外泊するのはアニメ・マンガ・ラノベ・美少女ゲームだけです。
  貴方も花子様のそばに居たいとお思いでしょう。そうするとこれが一番なのです。」

本当に優しそうな眼差しで花子様を見ながら言うメイド。
おそらくこのホテルは【機関】の物なんだろう。フロントをスルーしてエレベーターに乗り込む。
階は全部で20階…19階?一番高い階は20階なのだが、エレベーターの位置を示すランプは19個しかない。

男「17階が無い?」

メ「お気づきになりましたか?エレベーターが止まらない隠しフロアの都市伝説を模したものです。」

そして存在しない17階で止まる。ドアが開くと普通のホテルのフロアだった。異常な点は超高そうってだけだ。

メ「このフロアは今回のような時に機関関係者や契約者に貸し出されます。
  当ホテルは通常、一般客を相手にしていますので、こうやって隠すのです。
  17階が無いのはオーナーの遊び心としてお客様にはご理解いただいております。」

部屋に案内しながら冥土は言った。

男「あ、でも外泊するって親に連絡しなきゃ…」
メ「それはもう大丈夫です。もう了承は得ました。」

と、俺の声で言う。このメイドさん、ある意味花子様よりデキる…!
花子様が起きていたら、さぞ驚き悔しがっただろう。
いまだ気を失ったままの花子様をお姫様抱きしながら思った。

メ「こちらです。」

案内された部屋、875室のドアの前で止まる。これもオーナーの遊びか?
ドアを開けると旅行番組でしか見たことの無いようなVIPルーム。
ここで一つ質問を投げかける。

男「花子様の治療とかってのは…」

少し切なそうな目でメイドは言う。

メ「都市伝説は医学では基本的に救えません。自然治癒能力に任せるしかないのです。
  ですがその自然治癒能力を高めたりする事はできます。限度はありますが。」
メ「この空間や家具はそれを引き上げるように構成されてますので、あまり悲観しないでください。」

男「ご都合主義の塊みたいですね。ほんとに都合が良い。」

メ「それが【機関】の役割ですから。」

メ「何かございましたらお呼びください。失礼します。」

静かにドアが閉まり、メイドは去っていく。
とりあえず花子様にリジェネをかけるというベッドに花子様を寝かせる。
ひとまずベッドから離れ、部屋に罠とかが無いか調べようと思ったのだが、何かが引っかかり離れられない。

花「…ばに…なさい……。」

俺のシャツの胸辺りを掴み、寝言らしい事をいう。
離れられるハズも無く、気を失って入院した主人公を付きっ切りで看病して疲れて眠ってしまった幼馴染のように、俺も眠りに落ちた。
胸倉を掴まれたまま…。

 ・ ・ ・ ・ ・

花「ん…」

ひどい胸焼けのような気持ち悪さで目を覚ますと、辺りの異様さに気が付く。

花「ここは…どこ?」

どこかボヤけた意識ながら、警戒モードになる。が、それはすぐに解かれる。

花「男…?」

ベッド脇で眠る下僕を見つける。とりあえず危険ではない…罠であっても今の状態ではどうせ助からない。
開き直りのような安堵を感じ、記憶をさかのぼる作業に入る。

花「あの時、アイツに殴られてそれから…」

記憶が無い。それから今までの一切の記憶が。
しかしそう時間を置かずにそれを知ることになる。

花「コイツをトイレに引きずり込んで…うぷッ!?」

再び男の顔を見たのをスイッチに、飛んでいた記憶が一気に戻ってくる。
そして同時に、おぞましい吐き気に襲われ、トイレに走る。

花「ごほっ…がはっごほ…はぁはぁ……ごふっっごほごほ…」

吐き出したのはおびただしい量の血。都市伝説だから、正確には血ではないのかもしれないが。
人間なら余裕で失血死しそうな量。死んだほうがマシだと思える不快感に襲われる。
その不快感は【白い糸】のグロい死に方の視覚情報によるものではなく…

花「これじゃあ…私、ただの化け物じゃない…。かろうじて人の形をした、凶悪で凶暴な化け物…。」

それを引き起こした自分への恐怖。そして…

花「見られてた…?男に…」

好きだとかそんな感情は無いのだが、彼にそれを見られたという事実が嫌でたまらない。
そして再び吐き気に襲われ吐血する。

それから小一時間、断続的な吐血を繰り返す。
医学的には死ねない存在のため、これだけ吐血しても死ぬことはない。
ただし敵の攻撃によるダメージならばそれもありえなくはない。
それらはつまり、これが【白い糸】の攻撃による吐血ではないことを示す。
全ては私の精神的な傷が物理的な形で現れているのだ。
だから私は少しでも気丈になろうと思い独り言を言う。

花「なんで、あんな無能のために私が…こんな…」

効果があったのか、吐血は減っていったが、今度は涙が出て止まらなかった。
こんな忙しい自分の体が嫌になる。

ひとしきり泣いてやっと落ち着いた。いつか失恋したであろう女子生徒が私の個室で昼休み中泣いて、ちょっと吹っ切れた顔で帰って行ったっけ。
あの時は鬱陶しくも感じたけどこんな気持ちだったのかな?なんて私のキャラじゃないわね。
なんか思考がスイーツ(笑)的で軽く自己嫌悪だが、ひとまず苦痛から開放されたのでそれを喜ぼう。
だけど…

花「もう多分、一緒にはいられないわね…」

普段からSに振舞ってきた。もちろん素でやっているのだが。
だからこそ、私のあんな姿を見て、「明日は我が身」なんて思うかもしれないし、これからまた同じような局面に遭遇しないとは限らない。
それでまたこんな思いをするのはもう嫌だ。だから…

花「契約を解いてしまおう…」

男は私を忘れ、こんな事に巻き込まれない。私も、ひっそりと消えていき、二度とツライ思いをしなくて済む。もともと都市伝説なんて実在しないモノの私が存在しようと思うのが間違いなのだ。

解約の口付けをしようと男の頬に手を添える。

花「最後まで無能だったわね…駄犬……。駄目な主人でごめんなさいね…。」

なぜか再び涙が流れる。これからすることが最良の選択肢のハズなのに。

男「…なこさま…もっと……でください。」

起きたのかと思ったが、ただの寝言だった。寝言でも踏まれたがるなんてとんだ変態だ。

男「むにゃ…やっぱり澪が一番です…花子様にはそれが分からんのです。」

下僕の癖に私に意見するな、生意気な。それに私だって彼女には萌えてるわ、馬鹿にしないで…。

男「テンプレだけど目覚めた時にベッド脇で看病疲れで寝てる一途なコって萌えますよね。スタンダードには力がありますムにや。」

お前は自分の状態を知ってて言ってるのか?お前に萌えろとでも?馬鹿犬。でも…

花「まったくだわ。たしかに萌えるわよ…。」

さっきとは別の涙が視界を奪ってくる。涙に完全に視界を奪われる前に、私は男の唇を奪った。

花「一生私に仕えなさい。駄犬…」

もしかしたら、私の弱さに流された駄目な選択だったのかもしれない。
でも、私の選択にはついて来てもらうわ。私のそばにいる事以外、何も出来ない駄犬。
でもそれで良いわ。駄犬に何かしてもらうほど、私は弱くないもの。
これで良いのよ。私は私でいて良いのよ…。

寝言だけど男は私を拒絶してなかった。それだけがこれだけ私を身勝手に、女王様に、花子様にしてくれた。

目が覚めたら私を拒絶するかもしれない。それならそれで良い。そのときは解約するだけ。
なら、目覚めるまでの数時間こうしていたい。
男をベッドに担ぎ上げ、その腕を枕に二度寝することにした。

 ・ ・ ・ ・ ・

翌朝


男「うわああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!111」

その叫び声で目を覚ます。やっぱり拒絶されたか…。

男「花子様が隣で寝てて、血が血があああああああ!」

あんな化け物が隣で寝てたらそれは怖いだろうな。どうせ血生臭い女だよ私は…。

男「ああああ、記憶に無いけど俺は、花子様を襲ってしまったのか!?あろうことか処女を奪ってしまったのか!?花子様処女だったんすか!!!?」

何を言ってるんだコイツは…。状況を確認する。シーツには血。吐血したのが手かどこかに付いてたんだな。
で…ッ!?上裸!?そういえば昨日暑くて脱いだ気がする…。これは、誤解するわ…私も犯された気になってきた。

私のSッ気が騒いだちょっとからかってやろう。

花「私が手負いで抵抗できないのをいい事に、好き勝手して…。
  止めてって言ったのに…痛いって言ったのに何度も何度も、無理やり私に欲望を流し込んで…。
  都市伝説だってねぇ、私みたいに限りなく人間に近ければ妊娠もするのよ?」

もちろん嘘だ。でも少し胸がチクッとした。嘘をついた罪悪感で無いのは確かだがナゼかは分からない。

男「ああああもうなんというか101回のゴメンナサイ!ちゃんと責任取ります!!立派に育てます!!!
  一流企業に就職してMAX養います!あわわわわわわわっわわわわわっわわわわ!」

そんな彼の反応が面白くてたまらない。これだから彼を虐めるのは止められない。

花「全部嘘に決まってるじゃない。だいたいいくら弱ってると言ってもお前なんかにむざむざ犯されるハズないわよ。
  もしそういうことになったって、そのときは絶対私が騎上位で主導権を握るわよ。」

そう、全部嘘。襲われてもいないし妊娠もしない。
なぜかさっきからチクチクする。思春期の女子が何もないことにガッカリするのとは違う。もっと根本的なモノな気がするが、やはり分からない。

花「相変わらすの馬鹿っぷりね。なのになんで朝っぱらからあれだけ高速で喋れるのよ…。
  ところで…」

一番怖くて聞きたくない事。でも聞かないといけない事。
それを聞く勇気はさっきのやりとりで補充した。

私としたことが、唇が、声が震える。

花「お前は…私が怖くないの?」

男「いや俺強いお姉様大好きだし、そういう人に虐められるの好きだから怖くないっすよ?」

花「そうじゃないわよ。見たでしょう?私が【白い糸】を葬る様子を…化け物みたいな私を…。
  あんな風になる私なのよ?怖くないの?こわいでしょ?私が自分で怖いと思ってるのよ、お前が怖いと思わないハズ無いもの。」

男「全然。」

しれっと言ってのける。

花「今は気を使わなくて良いのよ。正直に言いなさい。」

絶対気を使って言ってる。あれを生で見て怖くないハズがない。

男「うん。だから全然怖くないし、気も使ってないっすよ。」
男「なんていうか難しいこととかキレイなこと言えないし、うまく言葉に出来ないんで、一言にまとめます。
  俺ヤンデレ大好きなんですよ♪」

コイツはどこまで本気なんだ…。いや、全部本気だ。この駄犬に嘘がつけるワケがない。
なんだか損した気分だが、嬉しかった。ヤンデレ呼ばわりされたのも、この際どうでも良い。あの言葉に込められた意味を要訳すれば、私は傍にいて良いって事だ。それだけで十分だった。

花「でもあれは只の狂気だ。ヤンデレは愛ゆえに狂行に走るモノだから、お前への愛無く発動したあれはヤンデレじゃないでしょう。お前レナをヤンデレって言っちゃうタイプでしょ?」
男「レナはヤンデレじゃないって理解してますよ。ただヤンデレってのはツンデレより定義が難しいから(ry」

 ・ ・ ・ ・ ・

その後、朝食に呼びに来たメイドに気づかず、昼飯までヤンデレについて議論した。
途中から我慢できないという様子で会議に加わったメイド。おそらく【機関】とかの構成員で強いんだろう。自分が置かれた状況と、幾多のアニメ・マンガから得た知識がそう告げる。
いっしょに話して分かった。こいつは話の分かる奴だ。だから敵じゃない。

メ「申し訳御座いません。仕事を忘れてこのような失態を…。」
花「気にしなくて良いわよ。貴女は話の分かるようだし、お世話になったからね。」

花子様が思ったより早く復活したので、メイドさんに【機関】について花子様に説明してもらう。
その間、俺はあることについて考えていた。

「私が怖く無いか?」…か。怖くないという言葉に偽りは無いのだが、無性に不安になる。
あれだけ気弱な花子様は初めて見た。確かにグッとくるものなんだが…
花子様がエスじゃなくなるんじゃないか…これが不安だった。

説明を聞き終わった花子様。真剣な表情ステキ☆

花「【機関】に入ったときのメリットが多くて、デメリットが皆無なのが逆に怖いのよね…。
  お試しセットとかはないの?」

メ「お試し期間だけ良い待遇にしてYESと言わせ、傘下に入れてから牙を剥くかもしれませんよ?」

しばらくの沈黙の後、二人は微笑む。

花「分かったわ、その話乗らせて貰うわよ。ただし…」

メ「気の向かないミッションは応じなくて結構です。我々に対しても女王様でいてください。」

分かってるという様子でメイドが返す。多分俺達の担当がこのメイドじゃなかったら、花子様は機関に組することは無かっただろう。
こうしてめでたく(?)機関入りした俺たちだった。
正直もっと悩むべきだし機関が足かせになる事もあるだろう。花子様もそれくらい承知してるだろう。
むしろ裏切られる兆候があっても組織を調教しかねないな、なんて考えていた。



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