…それは、黄昏 光彦が、学校街の交番に勤務するようになってから、一ヶ月ほどたった頃だったろうか
「うー、おまわりさん」
「うん?どうしたんだい、坊や」
「うん?どうしたんだい、坊や」
てちてち
コアラの絵がついたお菓子の箱をもった、小学校低学年か、それよりも幼い印象の少年が、てちてちと交番にやってきた
す、と500円玉を差し出す
コアラの絵がついたお菓子の箱をもった、小学校低学年か、それよりも幼い印象の少年が、てちてちと交番にやってきた
す、と500円玉を差し出す
「うー、落し物」
「落し物?」
「落し物?」
うー、と頷く少年
どうやら、この500円玉を拾って…ネコババせず、ここに届けに来たらしい
いまどき、珍しい行動だ
どうやら、この500円玉を拾って…ネコババせず、ここに届けに来たらしい
いまどき、珍しい行動だ
「落とした人、きっと困ってる」
「そうだね…それじゃあ、ここで預かっておくよ」
「うー、わかった」
「そうだね…それじゃあ、ここで預かっておくよ」
「うー、わかった」
こくん、と頷く少年
じ……と、光彦を見上げてくる
じ……と、光彦を見上げてくる
「…おまわりさん、最近、学校街に来た人?」
「うん?そうだけど……よくわかったね?」
「うー、今までここにいたおまわりさんと違う」
「うん?そうだけど……よくわかったね?」
「うー、今までここにいたおまわりさんと違う」
どこか、好奇心を持った眼差しで見上げてくる少年
その無邪気な様子に、光彦はどこかほんわかとした雰囲気を覚える
その無邪気な様子に、光彦はどこかほんわかとした雰囲気を覚える
「この街は、平和でいい街だね」
「平和?」
「平和?」
そう、と頷く光彦
まぁ、おかしな事件が多いようではあるが、全般的には平和な街だと思う
光彦が、そう考えていると
まぁ、おかしな事件が多いようではあるが、全般的には平和な街だと思う
光彦が、そう考えていると
-----きひひ、と
どこか、不気味な笑い声が、耳に届いた
どこか、不気味な笑い声が、耳に届いた
「平和?この街が?………毎日のように、血生臭い事が起こっているのに?」
「………っ!?」
「………っ!?」
見ると
先ほどまで、無邪気な表情を浮かべていた少年が……どこか、不気味に笑って光彦を見上げてきていた
奇妙に大人びた表情
その表情で光彦を見上げて、どこか小馬鹿にしたように笑ってくる
先ほどまで、無邪気な表情を浮かべていた少年が……どこか、不気味に笑って光彦を見上げてきていた
奇妙に大人びた表情
その表情で光彦を見上げて、どこか小馬鹿にしたように笑ってくる
「おじさんの目は節穴なのかな?………あぁ、それとも、まだこの街の「真実」に気づけていないだけかな?………きひひひひひ」
「…どう言う、事だい?」
「…どう言う、事だい?」
突然の、少年の変貌
噂に聞く、都市伝説の影響でも受けているのか?
それとも、この少年自体が都市伝説なのか…?
噂に聞く、都市伝説の影響でも受けているのか?
それとも、この少年自体が都市伝説なのか…?
きひひひ、と少年は笑い続ける
「知りたい?……きひひ、でも、駄目。駄目だよ。全然駄目。知りたければ、自分で見つけなきゃ駄目。教えられて知ったんじゃあ、意味がない………人間は、自分で体験しなければ、それを信じる事ができない愚かな生き物だからね。きひひひひひっ」
くるり
少年は、踵を返して、交番を後にする
その小さな体は、しかし、なぜかどこか恐ろしい生き物のようにも見えた
少年は、踵を返して、交番を後にする
その小さな体は、しかし、なぜかどこか恐ろしい生き物のようにも見えた
「……あぁ、でも。もしかしたら、知らないままの方が幸せかもよ?………ここは、ありとあらゆる意味で、恐ろしい状態になっている街だから………無知なままの方が、ずぅっと幸せかもね。きひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ」
振り返り、笑い続ける少年
それは、どう言う事なのか
光彦が追求しようとした…その時
それは、どう言う事なのか
光彦が追求しようとした…その時
「幸太ー?」
「うー!パパー!」
「うー!パパー!」
ぱっ、と
少年が…元の、無邪気な表情に戻った
どうやら、父親に呼ばれたらしい
てちてちと、走り去っていってしまう
その背中は、あっという間に見えなくなってしまって
少年が…元の、無邪気な表情に戻った
どうやら、父親に呼ばれたらしい
てちてちと、走り去っていってしまう
その背中は、あっという間に見えなくなってしまって
ただ
日常とはどこか隔離された奇妙な不気味さだけを、光彦に残していったのだった
日常とはどこか隔離された奇妙な不気味さだけを、光彦に残していったのだった
fin