「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 首塚-78c

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 聞こえてきたのは、壁が崩れるような轟音
 それからしばらくして、銃声
 ……とりあえず、後者に関しては誰がやらかしたのか、一発でわかるのが色々とアレだ

「っちょ、さっきから何だ、この物騒な音!?」
「…あー、多分、大丈夫だ……そっちに近寄りさえしなければ」

 ミナワを庇うような体勢をとりながら、警戒した様子を見せた裂邪に、やや遠い目をしつつ答えてやる翼
 …何というか、プールに被害が出ていないといいのだが

「ノロイが来てないから、大丈夫だろ」
「…?あのネズミちゃん?」
「あぁ、あいつ、都市伝説になりかけてるから、危険感知能力が高いんだよ」

 「鼠は、沈没する船から真っ先に逃げ出す」になりかけているノロイ
 既に、半分以上都市伝説と化しているノロイは、その危険感知能力はかなり高い
 何らかの危険を感じ取れば、こちらにも知らせにくるだろう

 と、翼の言葉に、裂邪とミナワが、「え?」と言う表情をする

「なりかけ?」
「あぁ」

 ぱちゃぱちゃ
 幸太の手を引いて、泳ぐ練習に付き合ってやりながら、頷く翼
 …ちなみに、幸太は望と違い、こうやって手をとってもらったり、ビート板を使えば浮けるには受けるのだが、水に顔をつける事ができないのだ
 手を引かれて浮きながら、何度か顔をつけようとして…でも、うまくいっていない

「そう言う事って、あるんですか?」
「確立は低いらしいけどな。動物の方が、都市伝説の影響受けやすい、とは聞いてるぞ?」

 翼も、その辺りの原理はよくわからない
 ただ、人間が都市伝説に飲み込まれるのとはまた違って、動物が都市伝説になる、と言う事はありえるらしいのだ
 …ノロイの都市伝説化とは状況が違うが、たとえば、フランスで語られるベート系や、アフリカで語られた「ゴースト&ダークネス」が、もっともたる例だろう
 死体を食い漁り、人の味を覚えた獣が人を襲う
 それがベートとして、人食いライオンとして語られ……語られた固体が、そのまま都市伝説と化した例とて、あるのだ

「うー、人が語れば都市伝説になるー。動物に関する逸話は多いー。うーうー」
「まぁ、そう言えばそうだよなぁ」

 うん、と納得している様子の裂邪
 動物に関する都市伝説というものは、結構多いのだ
 そんな生まれ方をする都市伝説もいるだろう、と判断したのかもしれない

 そうやって、しばし、時間をすごしていると

「…あぁ、いた。お待たせ」
「うー!パパー、滝夜叉ー!」

 虎吉が、ようやく滝夜叉を引っ張り出してくるのに成功したようで、プールサイドにやってきた
 …幸太が虎吉をパパと呼んだ事で、裂邪とミナワが一瞬混乱したように見えたが、まぁ、気にしないでおこう

「…む、むぅ………ま、まぁ、思ったより人もおらぬし、良いか」

 …やはり、水着姿は少々、恥ずかしいようだが
 ぱちゃり、プールサイドに腰掛、脚を水に入れている滝夜叉
 泳げるのか、泳げないのか…とりあえず、水遊び自体は嫌いではないのか、脚でぱちゃぱちゃと水に波紋を作っている

「虎吉よ、ここに蝦蟇を放つのは」
「駄目よ」
「…勘弁してください、滝夜叉様」

 滝夜叉の言葉に、虎吉と翼が、ほぼ同時に止めた
 …ノロイレベルなら、まだ監視員の目をごまかせるが、あの巨大蝦蟇は、ちょっと

「……あら?そっちの子達は?」

 と、虎吉が、裂邪達に気づいた
 小さく首をかしげる様子は、若い母親そのもの

「あ、こいつらは…」
「うー、影のお兄ちゃんと、しゃぼん玉のおねーちゃんー!」

 うーうー、翼に手をとられたままの幸太が、説明する
 裂邪達が、幸太の「パパ」発言の衝撃から戻り、小さく頭を下げているのが見えた
 あら、と虎吉が小さく笑う

「良かった、知り合いが増えたのね?」
「うー!」

 虎吉の言葉に、嬉しそうに答える幸太
 虎吉としては………どちらかといえば、友達が多い方ではない幸太の事を、心配していて
 裂邪達が、幸太にとって友達になってくれればいい…とでも、考えているのかもしれない
 幸太には、「首塚」での関係者以外……友と呼べる存在は、少ない
 せいぜい、1歳年上の赤坂 美樹と言う少女くらいしかいないのだ

 原因は、わかっている
 しかし、その原因をどうにかできるような状態ではないのだ



続くかどうかわからない



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