「…さて」
っひゅん、とハンニバルが剣を構える
決闘場全体を見回し、己にとって誰が、何が一番の脅威であるのか
それを、即座に見極める
決闘場全体を見回し、己にとって誰が、何が一番の脅威であるのか
それを、即座に見極める
「…やはり、お前から始末すべきだな、H-No.360」
「っ!!」
「っ!!」
……ハンニバルが、軽く床を蹴った
その直後、その体は既に、宏也の目前まで接近している
宏也が伸ばしていた髪を盾代わりにしつつ、残りの髪でハンニバルのその体を、押しつぶそうとするのだが
その直後、その体は既に、宏也の目前まで接近している
宏也が伸ばしていた髪を盾代わりにしつつ、残りの髪でハンニバルのその体を、押しつぶそうとするのだが
「---っちぃ!?」
すぱんっ…、と
盾代わりに密集させていた髪が、切り裂かれる
その衝撃が、そのまま宏也の体をも引き裂いた
致命傷を、体内の賢者の石が、即座に再生させていく
宏也の放った攻撃を、ハンニバルはあえて受けて…宏也よりも早い速度でその傷を再生させていく
盾代わりに密集させていた髪が、切り裂かれる
その衝撃が、そのまま宏也の体をも引き裂いた
致命傷を、体内の賢者の石が、即座に再生させていく
宏也の放った攻撃を、ハンニバルはあえて受けて…宏也よりも早い速度でその傷を再生させていく
「私にいくら攻撃しようとも、無駄な事だ」
「どう、だろうなぁ!?」
「どう、だろうなぁ!?」
しゅるり、と
今度は、その全身を引き裂こうと、髪を巻きつける
ハンニバルは、軽く体をひねって、その攻撃を避けようとする
しかし、完全には避けきれずに……右半身に髪が巻きつき……一瞬で、引き裂かれ、ぐちゃぐちゃな肉片へと変わっていく
今度は、その全身を引き裂こうと、髪を巻きつける
ハンニバルは、軽く体をひねって、その攻撃を避けようとする
しかし、完全には避けきれずに……右半身に髪が巻きつき……一瞬で、引き裂かれ、ぐちゃぐちゃな肉片へと変わっていく
……あー、やっべ、恵とか舞に見せるべき光景じゃなかったかもしれない
今更ながらにそう考え、ちらり、そちらの様子をうかがう宏也
………よし、辰也もTさんもよくやった
二人が、それぞれ恵と舞(と、リカちゃん)の目を塞いでいる様子を見て、軽くほっとする
今更ながらにそう考え、ちらり、そちらの様子をうかがう宏也
………よし、辰也もTさんもよくやった
二人が、それぞれ恵と舞(と、リカちゃん)の目を塞いでいる様子を見て、軽くほっとする
…まぁ、それどころではないのだが
「くっそ、まだ治るか…」
肉片レベルまで引き裂いても、再生してくるハンニバル
冷たい表情で、宏也を睨んでくる
冷たい表情で、宏也を睨んでくる
「無駄だといっているのがわからんのかね?」
「……っち」
「……っち」
ぽたり
塞ぎきらない傷口から血を流しながら、宏也は舌打ちする
相手の都市伝説の正体を、見抜く為にも…攻撃の手を緩める訳には、行くまい
塞ぎきらない傷口から血を流しながら、宏也は舌打ちする
相手の都市伝説の正体を、見抜く為にも…攻撃の手を緩める訳には、行くまい
「……?」
…かすかに、首をかしげるTさん
先ほどの、ハンニバルの動き
若干の、違和感が…?
先ほどの、ハンニバルの動き
若干の、違和感が…?
「っちょ、Tさん、見えないっ。前見えないっての!」
「おっと、すまん」
「おっと、すまん」
ぱ、と舞の目を塞いでいた手を離すTさん
辰也も、そっと、恵の目を塞いでいた手を外す
辰也も、そっと、恵の目を塞いでいた手を外す
「…って、うわ、どちらにせよ、よく見えねぇ」
「はやいの」
「はやいの」
…そう
動きが、早い
宏也が繰り出す、髪の動き
それを避け、時に切り落としているハンニバルの動き
どちらも早すぎて…常人の目では、捕らえきれない
動きが、早い
宏也が繰り出す、髪の動き
それを避け、時に切り落としているハンニバルの動き
どちらも早すぎて…常人の目では、捕らえきれない
……だが
正直、不味い
ハンニバルが、こちらに出てきた以上、そう簡単にこちらを逃がしてはくれまい
そして…
正直、不味い
ハンニバルが、こちらに出てきた以上、そう簡単にこちらを逃がしてはくれまい
そして…
「--っやば!?防いでくれ!」
宏也の叫び
それよりも早く、Tさんは動く
それよりも早く、Tさんは動く
…その、飛んでくる斬撃を防ぐ事ができれば幸せだ!!
ハンニバルが剣を振るったことにより生まれた衝撃波を、宏也は完全に防ぎきる事ができず、それがTさん達に向かって飛んできたのだ
自分達の前に光の壁を出現させ、Tさんはそれを防ぐ
自分達の前に光の壁を出現させ、Tさんはそれを防ぐ
「……ほぅ?面白い能力だな」
かすかに、興味を持ったように呟くハンニバル
その隙だらけの姿に宏也が攻撃するが、やはり全て防がれている
その隙だらけの姿に宏也が攻撃するが、やはり全て防がれている
「………どの程度、防げるものか」
呟きと共に、ハンニバルの手元が…目に見えないスピードで、動く
宏也が防ごうにも防ぎきれず、そして、間に合わない
飛んでくる斬撃に、Tさんはぞくりと悪寒を感じた
再び、壁を出して防ごうとする
だが
宏也が防ごうにも防ぎきれず、そして、間に合わない
飛んでくる斬撃に、Tさんはぞくりと悪寒を感じた
再び、壁を出して防ごうとする
だが
「………しまった!?」
「……!!」
「……!!」
…Tさん達の…ハンニバルから見れば…背後にいた…天地
そちらへと飛んでいく斬撃を一つ、防ぎきれなかった
そちらへと飛んでいく斬撃を一つ、防ぎきれなかった
ハンニバルの言葉に…呆然としていた、天地に、斬撃が向かう
天地は、都市伝説によって体が強化されている訳でもない
その斬撃を喰らえば………その命など、一瞬で、散る
天地は、都市伝説によって体が強化されている訳でもない
その斬撃を喰らえば………その命など、一瞬で、散る
無慈悲な斬撃が、天地に届こうとして
しかし
それは、天地に届かない
何者かによって……それは、防がれた
それは、天地に届かない
何者かによって……それは、防がれた
「ぬ?」
「……え」
「……え」
灰色のコートが、ゆれる
サングラスの下の金色の瞳が、ハンニバルを睨みつけた
サングラスの下の金色の瞳が、ハンニバルを睨みつけた
「え…あ、あれ?朝比奈のおっちゃん?」
「……朝比奈、秀雄……」
「……朝比奈、秀雄……」
体の表面に、竜の鱗を出現させていて、やや印象は変わっているが…
それは、間違いなく、朝比奈 秀雄だった
あの長い階段から駆け出してきて、天地の前に出て彼を庇ったのだ
それは、間違いなく、朝比奈 秀雄だった
あの長い階段から駆け出してきて、天地の前に出て彼を庇ったのだ
「な、なんで、朝比奈のおっちゃんがここに…」
「……父さん」
「……父さん」
困惑している様子の舞
恵の呟きに、ますます「え?」と混乱している
恵の呟きに、ますます「え?」と混乱している
ハンニバルの斬撃を軽々と受け止めた朝比奈は……ちらり、己が庇った天地に視線をやって
無事である事を確認すると、すぐに視線をハンニバルに戻した
無事である事を確認すると、すぐに視線をハンニバルに戻した
「…おや、また君かね。はて、そこまで恨まれる事をしたかな?」
「………お前は、晴海を弄んで、殺した……彼女の最後の言葉を聞いた者として。私には、お前を殺す権利があるだろう」
「………お前は、晴海を弄んで、殺した……彼女の最後の言葉を聞いた者として。私には、お前を殺す権利があるだろう」
明らかな殺気を漂わせながら、呟く朝比奈
一歩、一歩、前に歩み出て…………まるで、恵達をも庇うように、前に立つ
一歩、一歩、前に歩み出て…………まるで、恵達をも庇うように、前に立つ
「門条 晴海の仇。とらせてもらうぞ」
門条 晴海
その名に、天地がえ?と、きょとんとした表情を浮かべる
…恐らく、自分の母親の名前など、知らないのだろう
自分と同じ苗字に、反応して……しかし、そもそも、限界が近い、その体
思考力も低下していて…ぐらぐらと、揺れる視界を定まらせようとしつつ、今の現状を把握しようとして
その名に、天地がえ?と、きょとんとした表情を浮かべる
…恐らく、自分の母親の名前など、知らないのだろう
自分と同じ苗字に、反応して……しかし、そもそも、限界が近い、その体
思考力も低下していて…ぐらぐらと、揺れる視界を定まらせようとしつつ、今の現状を把握しようとして
「…やれやれ。ショッキングな事になりかねないのだから、後で話すようにと言っていたのだが」
階段、から
声が、聞こえてきた
かつん、かつん…と、足音がして
声が、聞こえてきた
かつん、かつん…と、足音がして
「…直希?」
「天地、無事か?」
「天地、無事か?」
…直希だ
いつも通り、分厚い本を持った姿
階段を下りると…駆け寄る訳ではないが、それでも、天地に近づいていく
いつも通り、分厚い本を持った姿
階段を下りると…駆け寄る訳ではないが、それでも、天地に近づいていく
「……話は、聞こえていたぞ。まったく、君は妙なところで遠慮をする」
「…なお、き……で、も」
「僕は、そんなに頼りないかね?」
「…なお、き……で、も」
「僕は、そんなに頼りないかね?」
す、と
直希が、天地に手を差し出す
直希が、天地に手を差し出す
「君が「組織」にいられなくなったならば、僕が養ってやる………それとも、僕では不満か?」
直希の、その言葉に
天地は…小さく、笑って
天地は…小さく、笑って
「………まさか………」
と、呟くように、口を開く
「…ありがとう………ごめん、な」
そう、口にして
ぐらり、その体が……揺れた
体も、精神も、限界だったのだろう
倒れる天地を、直希が受け止めようとして
ぐらり、その体が……揺れた
体も、精神も、限界だったのだろう
倒れる天地を、直希が受け止めようとして
がごっ!!、と
受け止めきれず、天地と一緒に倒れこんで、後頭部を床に強打した
受け止めきれず、天地と一緒に倒れこんで、後頭部を床に強打した
「っちょ!?直希の兄ちゃん、大丈夫か!?」
「……むぅ……翼や誠だったならば、しっかりと受け止めるところなのだろうが……やはり、僕ではあの二人のようには、できんな」
「……むぅ……翼や誠だったならば、しっかりと受け止めるところなのだろうが……やはり、僕ではあの二人のようには、できんな」
むくり
痛そうだが、一応、大丈夫のようだ
宏也と朝比奈、二人を相手にしだしたハンニバルを睨みはじめる
痛そうだが、一応、大丈夫のようだ
宏也と朝比奈、二人を相手にしだしたハンニバルを睨みはじめる
「…お前、まで」
「む?辰也も負傷しているのか?………むぅ、困った。治癒能力持ちの天使を呼びたい所だが……あいにく、僕も今日はハンニバルと一戦交えた後で、あまり余裕がない」
「む?辰也も負傷しているのか?………むぅ、困った。治癒能力持ちの天使を呼びたい所だが……あいにく、僕も今日はハンニバルと一戦交えた後で、あまり余裕がない」
そう困ったようにいう、直樹の表情は
よくよく見れば…顔色が、悪い
それでも、立ち上がれている分、辰也や天地よりはマシか
よくよく見れば…顔色が、悪い
それでも、立ち上がれている分、辰也や天地よりはマシか
「青年、皆を連れて、上の階へと上がれるだろうか?」
Tさんが、直希にそう尋ねる
自分は残るつもりのようなTさんの言葉に舞は慌てるが、しかし
自分は残るつもりのようなTさんの言葉に舞は慌てるが、しかし
「上の階か?上がれなくもないが、上はダンピール大量発生中につき、現在戦場だが」
「うげ!?」
「…上にも、いるのか」
「うげ!?」
「…上にも、いるのか」
直希が「戦場」と言ったからには、上でも誰かが戦っているのだろう
…退く事すら、できないとは
状況が、どこまでも悪すぎる……!
…退く事すら、できないとは
状況が、どこまでも悪すぎる……!
動きを封じようとしたのだろう、脚を狙う宏也の攻撃を、全て切り落とし、ハンニバルは宏也と朝比奈から距離をとった
…朝比奈の炎のブレスを、警戒しているのだろうか?
…朝比奈の炎のブレスを、警戒しているのだろうか?
巨大な穴をはさみ、宏也達と睨みあうハンニバル
音が響いていた扉を背にして…
音が響いていた扉を背にして…
……あの、やかましい音が響いていた、扉からは
いつのまにか…音が、消えていて
いつのまにか…音が、消えていて
変わりに、ぴし、ぴし、と
…扉に、ヒビが、入り始めていた事に
辰也やTさん達は……この時、初めて気づいた
…扉に、ヒビが、入り始めていた事に
辰也やTさん達は……この時、初めて気づいた
-----扉が
内側からの力で、破壊された
飛び出してきたのは………………
内側からの力で、破壊された
飛び出してきたのは………………
「…水!?」
大量の、大量の……水
大量の水が、部屋から飛び出てきて……ハンニバルの体を、半ば押し流すように流れていって、巨大な穴へと流れ込んでいく
その、水と一緒に……人の形をした、もう、息をしていない者達も、流れ出てきて
大量の水が、部屋から飛び出てきて……ハンニバルの体を、半ば押し流すように流れていって、巨大な穴へと流れ込んでいく
その、水と一緒に……人の形をした、もう、息をしていない者達も、流れ出てきて
奥の扉の、暗闇の中
何かが…ゆらりと揺れて
暗闇の中から、銀色の双眸が、ハンニバルを睨みつけた
何かが…ゆらりと揺れて
暗闇の中から、銀色の双眸が、ハンニバルを睨みつけた
to be … ?