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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - とある組織の構成員の憂鬱-16

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 今の組織の状況を、簡潔に言い表すならば
 蜂の巣をつついたような大騒ぎ…とでも、言うべきなのだろうか

「全滅、ですか?」

 黒服の一人は、静かにため息をついた
 線の細い体の……ただし、ナイスバディの女性である
 本来は、少々線の細い男性の姿なのだが…今現在、とある都市伝説の攻撃により女体化中である
 多分、あと5日くらいで元に戻るが
 他に居る黒服は、二人
 片方は、屋内にも関わらず帽子を被った男性
 もう一人は、他の二人よりも人間らしさをしっかりと感じる男性で、彼のすぐ隣に女性が腰掛けていた
 女性は、小人の姿をしたバーテンダーに酒を注文している

「『夢の国』の黒服が、紛れ込んでいたとは…」
「我々のような元人間、もしくはまだ人間の黒服以外の黒服の40%が成り代わられていました。今、組織の中で、粛清が続いています」

 …三人の黒服は、大きくため息をついた
 何ということか
 「夢の国」を追い詰めていくはずが、逆にこちらの懐に入り込まれていたとは…!
 西区の学校での戦いで、かなりの数の契約者を失ってしまった
 組織としては、かなり痛い打撃である

「………」

 ……それに
 女性の姿になってしまっている黒服は、サングラスの下で、微かに悲しそうな表情を浮かべた
 …まだ、『夢の国』は暴走を続けているのだ
 まだ、『夢の国』は…思い出せていないのだ

 以前、自分が『夢の国』に直接、遭遇したのは何年前だったか
 確か、日焼けマシンの契約者の青年が、まだ少年だった頃だ
 あの少年を助け、『夢の国』を『夢の国の地下トンネル』からはじき出して以来…直接は、遭遇していない
 はないちもんめの少女を助けた時は、自分は地下トンネルから彼女を救出しただけだし…あの時は、『夢の国』は地下トンネルまで、追ってはこなかったから

 彼女は、いつまで暴走を続けるのか
 このままでは、彼女は…都市伝説『夢の国』に取り込まれてしまうかもしれない
 人間らしい心も、じょじょに、じょじょに失って…自分たちと、同じような状態になってしまうだろう
 自分たちは、都市伝説に取り込まれたことにより、「黒服」と言う都市伝説と化した
 …『夢の国』という都市伝説に取り込まれたら、彼女はどうなってしまうのか 
 ……そして
 『夢の国』という都市伝説に飲み込まれた契約者たちは?
 また、『夢の国』に連れ去られた子供たちは、どうなってしまう?


 …自分には、何もできないと言うのだろうか


「………?」

 ずい、と
 他の黒服に付き添っている女性から、酒が注がれたジョッキを差し出された
 小さく、首をかしげる

「飲んだら?……酷く辛気臭い顔になっているわよ」
「…ご気分を害したようでしたら、申し訳ありません……それと、私は、お酒はあまり…」

 …下戸ではないが、あまり飲める方ではない
 謹んで酒を辞退すると、す……と
 バーテンダーが、カクテルグラスを差し出してきた

「コンクラーベです。ノンアルコールなら、問題ないでしょう?」
「……ありがとうございます」

 甘い、酷く優しい口当たりのそれを、口に含む
 …所詮、自分は「組織」と言う都市伝説の一部、その歯車に過ぎないのだ
 そんな自分に、『夢の国』と言う強大すぎる都市伝説をどうこうできる力など、ある訳がない
 自分は、たまたま、『夢の国』に関連した都市伝説と契約していて、たまたま、ここと言う『夢の国』に関連した都市伝説と知り合いで
 …たまたま、その二つともが、今の『夢の国』のあり方に反抗し、取り込まれずにすんでいるだけ
 全てはたまたま、偶然、運が良かっただけ
 どうせ、自分に出来る事など…きっと、何もないのだ

「…組織が立ち直るまでは、我々、自由に動ける黒服が、都市伝説を対処するしかありません」

 女性を傍らに置く黒服が、そう口にする
 うむ、と帽子を被った黒服が頷いてきた

「この隙を狙って、『首塚』が動かないとも限りませんからな」
「…あぁ、そちらは問題ありません…『首塚』も、『夢の国』相手に手をこまねいているようですから」

 ……弱っている相手を叩くなど、つまらない、と将門が言っていたらしいし
 日焼けマシンの青年の言葉を思い出しながら、女体化してしまっている黒服は、そう口にした

「とは言え、『首塚』組織は一枚岩ではありませんから…油断は禁物、ですが」
「……まぁ、一枚岩ではないのは、こちらも同じ事ですからね」

 三者三様に、苦笑し合う
 …一枚岩ではないのは、こちらも同じ
 むしろ、こちらは今回の件でかなりの戦力を失ってしまい…戦力が、現在の『首塚』組織に、追いつかれかねないのだ

 油断はできない、そして
 …また新たに、戦力を確保しなければならない
 自分たち黒服の仕事は、しばし、ほぼ休みなしになりそうである

「…せめて。今夜のうちに、鋭気を養っておきましょうか」

 明日から、本格的に忙しくなるだろう
 黒服たちと、女性は、それぞれのグラス(一名マイジョッキ)を片手に
 『夢の国の地下カジノ』内のカクテルバーにて、決意を新たにするのだった





 終







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