………暑い
ひたすらに、暑い
7月の終わりの、とある熱帯夜
影守は蒸し風呂状態のアパートを飛び出し、夜の街を彷徨っていた
まったく、水道をひねるとお湯が出てくるとか何事だ
どうなっているのだ、今年の暑さは
冷蔵庫で涼んでいやがった狐達への呪詛を心に秘めつつ、ふらふらと彷徨っていると
ひたすらに、暑い
7月の終わりの、とある熱帯夜
影守は蒸し風呂状態のアパートを飛び出し、夜の街を彷徨っていた
まったく、水道をひねるとお湯が出てくるとか何事だ
どうなっているのだ、今年の暑さは
冷蔵庫で涼んでいやがった狐達への呪詛を心に秘めつつ、ふらふらと彷徨っていると
「……影守さん?どうかなさったのですか?」
…かけられた、その声に
振り返った影守の表情が、ゾンビのようになってしまっていたとしても、それは彼のせいではないのだし
その影守の表情に、声をかけた人物である美緒が、悲鳴をあげてしまったとしても、それは彼女のせいではないのだ
振り返った影守の表情が、ゾンビのようになってしまっていたとしても、それは彼のせいではないのだし
その影守の表情に、声をかけた人物である美緒が、悲鳴をあげてしまったとしても、それは彼女のせいではないのだ
「………ふぅ」
冷たい麦茶を一気飲みして、やっと一息ついた影守
空調の風が心地いい
空調の風が心地いい
「…申し訳ありませんでした。あなたの顔を見て、悲鳴をあげてしまうだなんて…」
「いや、こちらこそ、驚かせてしまって、すみません」
「いや、こちらこそ、驚かせてしまって、すみません」
頭を下げてきた美緒に、苦笑する影守
…ここは、美緒が住んでいるマンションだ
以前、送り狼に襲われ、脚を挫いてしまった美緒を送り届ける際、玄関先までは影守も来ていたが…中に入るのは、初めてだ
夏の暑さで色々と限界点を突破しようとしていた影守を不憫に思った美緒が、せめて涼んでいってほしい、と招き入れたのである
年頃…と言うには少々年上だが…の一人暮らしの女性が、男性を無防備に家に招きいれるものではないとは思うのだが………美緒が、影守を信頼している証なのだろう
以前、送り狼に襲われ、脚を挫いてしまった美緒を送り届ける際、玄関先までは影守も来ていたが…中に入るのは、初めてだ
夏の暑さで色々と限界点を突破しようとしていた影守を不憫に思った美緒が、せめて涼んでいってほしい、と招き入れたのである
年頃…と言うには少々年上だが…の一人暮らしの女性が、男性を無防備に家に招きいれるものではないとは思うのだが………美緒が、影守を信頼している証なのだろう
「……「組織」は、もっと契約者の労をねぎらい、せめて生活環境だけでも、整えるべきですね」
影守の現状を知り、ぽつりとそう呟く美緒
……実際、影守の日頃の「組織」への貢献度などを見るに、もっと彼は優遇されるべきなのだが……
………彼の上にK-No.0がいる事が、それに関わってきているか、どうか
それは神とA-No.0のみが知る事だ
……実際、影守の日頃の「組織」への貢献度などを見るに、もっと彼は優遇されるべきなのだが……
………彼の上にK-No.0がいる事が、それに関わってきているか、どうか
それは神とA-No.0のみが知る事だ
「「組織」は構成員が多いですからね。全員の生活環境を万全に整えるとか、さすがに難しいですよ」
「……ですが」
「俺は、大丈夫です…気を使わせてしまって、すみません」
「……ですが」
「俺は、大丈夫です…気を使わせてしまって、すみません」
大丈夫、といいつつ、限界点を超えようとしていたのは、影守なのだが
…影守の言葉に、美緒は少し、困ったように微笑んで
…影守の言葉に、美緒は少し、困ったように微笑んで
……そして
やや、恥ずかしげに視線を彷徨わせた後……口を、開く
やや、恥ずかしげに視線を彷徨わせた後……口を、開く
「そ、その………こ、このような場所でも、よろしければ…………い、いつでも、涼みにいらしてください」
「え?…いや、そんな、悪いですよ」
「え?…いや、そんな、悪いですよ」
美緒の言葉に、慌てて首を振る影守
いえ、と美緒は続ける
いえ、と美緒は続ける
「私は……影守さんには、感謝しても、しきれません……あなたの言葉がなければ……私は、兄の思いを………踏みにじってしまう、ところでしたから」
あの日、兄が、都市伝説に飲み込まれてしまっていたと、知った日
絶望感にとらわれた彼女の心を救い上げたのは、影守の言葉だったから
その事実に、美緒は感謝しても、しきれない
あの影守の言葉が、あったから、こそ
……彼女は、都市伝説に飲み込まれた兄を、受け入れる事が、できたのだ
絶望感にとらわれた彼女の心を救い上げたのは、影守の言葉だったから
その事実に、美緒は感謝しても、しきれない
あの影守の言葉が、あったから、こそ
……彼女は、都市伝説に飲み込まれた兄を、受け入れる事が、できたのだ
「…あの後、宏也さんとは?」
「……特別、変化があった訳ではありませんが……でも、以前より、こちらを気にかけてくれているように、思えます」
「……特別、変化があった訳ではありませんが……でも、以前より、こちらを気にかけてくれているように、思えます」
どこかセクハラな態度などは、以前と変わりないが
……でも、どこか、気にかけてくれている
美緒は、それを感じ取っていた
………それで、十分だ
……でも、どこか、気にかけてくれている
美緒は、それを感じ取っていた
………それで、十分だ
「影守さんは?…あの騒動は、ずいぶん大きな問題だったそうですが……お忙しいのでは?」
「…いや、こっちは何というか、別方面で忙しいというか」
「…いや、こっちは何というか、別方面で忙しいというか」
ちょっと、遠い目をする影守
このくそ暑い時期、兄貴が大量発生するから困る
どうすれば全滅させられるのだ、あれは
誰か、どうか、兄貴の弱点を都市伝説として語ってくれ
それだけが、望みだ
このくそ暑い時期、兄貴が大量発生するから困る
どうすれば全滅させられるのだ、あれは
誰か、どうか、兄貴の弱点を都市伝説として語ってくれ
それだけが、望みだ
遠い目をした影守を見て、とにかく、忙しいと判断したのだろう
美緒は、気遣うように言う
美緒は、気遣うように言う
「そうやってお疲れなのですから、きちんと、体は休めませんと………そ、その、あ、あなたが、アパートで睡眠をとれず、体を休めることすらままならないのでしたら………と、泊まって行っても、構いません」
「え?……い、いや、悪いですって」
「い、いえ、その……へ、部屋は余って、いますから。問題ありません。あなたが、倒れられてしまっては……し、心配、ですから」
「え?……い、いや、悪いですって」
「い、いえ、その……へ、部屋は余って、いますから。問題ありません。あなたが、倒れられてしまっては……し、心配、ですから」
元々、このアパートは、美緒が家族と共に住んでいた場所
部屋は、余っているのだ……父や兄が使っていた部屋が、そのまま、残っているから
部屋は、余っているのだ……父や兄が使っていた部屋が、そのまま、残っているから
影守を思っての、この提案……果たして、影守に美緒の想いがどこまで伝わっているのか、それは、わからない
もげろと言いつつ終わる