「あぁ、望、ここにいましたか……駄目ですよ、突然、水面を走り去って…」
「え、あ、だ、大樹さん……さ、探していてくれてたの?」
「当たり前ですよ」
「え、あ、だ、大樹さん……さ、探していてくれてたの?」
「当たり前ですよ」
望を探しに来たのだろう
心配そうにやってきた大樹の様子に、望がほんのりと頬を赤くした
……その様子に、翼はどこか、感慨深いものを感じた
恐らく、詩織から、大樹が望に告白した、と言う話を聞いたせいだろう
望が、大樹を好いていた事を…そうして、想いを告げられずに悶々としていた事を、知っているから
望の想いが成就した事を、翼は素直に祝福する
血の繋がりこそないが……翼は、望の事を、本当の妹のように思っているから
心配そうにやってきた大樹の様子に、望がほんのりと頬を赤くした
……その様子に、翼はどこか、感慨深いものを感じた
恐らく、詩織から、大樹が望に告白した、と言う話を聞いたせいだろう
望が、大樹を好いていた事を…そうして、想いを告げられずに悶々としていた事を、知っているから
望の想いが成就した事を、翼は素直に祝福する
血の繋がりこそないが……翼は、望の事を、本当の妹のように思っているから
だからこそ、望には、幸せになってほしいと思う
彼女が、辛い経験をしてきた事を知っているからこそ………なおさらだ
彼女が、辛い経験をしてきた事を知っているからこそ………なおさらだ
「…兄ちゃん、あの人って?」
「ん?あぁ、俺の家族だよ」
「ん?あぁ、俺の家族だよ」
望が、大樹相手に赤くなっている様子が気になったのか
こっそり、尋ねてきた裂邪にそう答える翼
こっそり、尋ねてきた裂邪にそう答える翼
そう、家族
大樹も望も、翼にとって、血の繋がりこそないが、大切な家族なのだ
大樹も望も、翼にとって、血の繋がりこそないが、大切な家族なのだ
「家族?あっちのロリっ子も?」
「ロリっ子って言い方するか、おい………あぁ、望も、妹みたいなもんだよ」
「ロリっ子って言い方するか、おい………あぁ、望も、妹みたいなもんだよ」
望からすれば、むしろ翼が弟のようなもの(精神年齢的に)かもしれないが
翼から見れば、そのような認識である
…長らく、家族という存在に飢えていた翼にとって
本当の両親と和解した後でも…大樹達は、大切な家族のままだ
翼から見れば、そのような認識である
…長らく、家族という存在に飢えていた翼にとって
本当の両親と和解した後でも…大樹達は、大切な家族のままだ
「……な、お前は、兄弟とか、いるか?」
「へ?………あ、一応、弟が一人」
「へ?………あ、一応、弟が一人」
そう、答えた瞬間
一瞬、裂邪が、複雑そうな表情をして…その表情から、その弟と、あまり仲が良くないらしい事を感じ取り、翼は小さく苦笑した
裂邪の言葉から、彼がその弟を苦手としているであろう雰囲気が、ありありと感じられた
一瞬、裂邪が、複雑そうな表情をして…その表情から、その弟と、あまり仲が良くないらしい事を感じ取り、翼は小さく苦笑した
裂邪の言葉から、彼がその弟を苦手としているであろう雰囲気が、ありありと感じられた
「そうか……大事にしろよ?家族ってのは、かけがえのない、大切なもんだからな」
「……かけがえのない、か」
「あぁ、そうさ………家族が欲しくても、手に入れる事ができない奴らだって、いるんだし………失ってしまう時は、本当に、一瞬だから」
「……かけがえのない、か」
「あぁ、そうさ………家族が欲しくても、手に入れる事ができない奴らだって、いるんだし………失ってしまう時は、本当に、一瞬だから」
どんなに求めても、焦がれても家族を手に入れる事ができない者が、いる
大切な存在を、一瞬で奪われてしまった者達がいる
以前の望や、つい最近までの恵や辰也の境遇を
鐘声や「一年生になったら」の境遇を……そして、「首塚」で保護されている者達の境遇を知っているからこそ
余計に、翼はそう考える
家族がいる、と言う事は………とても、幸せな事なのだ
大切な存在を、一瞬で奪われてしまった者達がいる
以前の望や、つい最近までの恵や辰也の境遇を
鐘声や「一年生になったら」の境遇を……そして、「首塚」で保護されている者達の境遇を知っているからこそ
余計に、翼はそう考える
家族がいる、と言う事は………とても、幸せな事なのだ
「うー、家族は大事ー」
「幸太?」
「幸太?」
ぺと、と
幸太が、翼の背中にくっついてきた
うーうー、続ける
幸太が、翼の背中にくっついてきた
うーうー、続ける
「うー、ステーキのおにーちゃんも、僕の家族ー!「首塚」の家族ー!うーうー!」
「はは、そうだな…幸太も、「首塚」での、俺の家族だよ」
「うー!」
「はは、そうだな…幸太も、「首塚」での、俺の家族だよ」
「うー!」
幸太の言葉に答えてやれば、幸太は嬉しそうに笑ってくる
…そうだ
自分達も、「首塚」と言う名の下、集まっている家族だ
少なくとも、翼はそう考えている
以前、将門にその考えを告げたら、肯定してくれた事もある
…幸太も同じ考えを抱いてくれていた事を、翼は正直に嬉しく思った
…そうだ
自分達も、「首塚」と言う名の下、集まっている家族だ
少なくとも、翼はそう考えている
以前、将門にその考えを告げたら、肯定してくれた事もある
…幸太も同じ考えを抱いてくれていた事を、翼は正直に嬉しく思った
…と
プールサイドで、しばしそんな話をしていると
プールサイドで、しばしそんな話をしていると
「ねー、翼、喉乾いたからさ、飲み物、買ってきてもらっていい?」
「ちゅっちゅー」
「ちゅっちゅー」
ざぱり
プールで、ビート板につかまって漂流者のようにぷかぷかしていた詩織が、翼にそう言ってきた
詩織の頭の上で、ノロイもちゅーちゅー鳴いている
プールで、ビート板につかまって漂流者のようにぷかぷかしていた詩織が、翼にそう言ってきた
詩織の頭の上で、ノロイもちゅーちゅー鳴いている
「飲み物か?まぁ、いいけど…」
「あ、私も欲しい」
「私もー」
「あ、私も欲しい」
「私もー」
望と友美も、便乗するように言ってきた
大樹が、小さく苦笑する
大樹が、小さく苦笑する
「私も行きますよ。望は、何が飲みたいですか?」
「え?…あ、私は、その」
「え?…あ、私は、その」
大樹に尋ねられ、赤くなっている望
…幸せそうだな、と、しみじみすると同時に、少し、羨ましい
…幸せそうだな、と、しみじみすると同時に、少し、羨ましい
「幸太、あなたも、何か飲む?買ってくるわよ」
「うー!ジュース飲むー!」
「あなた達二人も何か飲むかしら?ご馳走するわよ」
「え、でも…」
「幸太とお友達になってくれたから、そのお礼」
「うー!ジュース飲むー!」
「あなた達二人も何か飲むかしら?ご馳走するわよ」
「え、でも…」
「幸太とお友達になってくれたから、そのお礼」
くすくす笑って、虎吉が裂邪とミナワに尋ねている
…せっかくだし、三人で買ってこようか
…せっかくだし、三人で買ってこようか
「それじゃあ、ちょっと行ってくるな」
「ここで待っていてくださいね?あまり、遠くに行ってはいけませんよ」
「滝夜叉、みんなを見ていてね?」
「うむ、任せろ」
「ここで待っていてくださいね?あまり、遠くに行ってはいけませんよ」
「滝夜叉、みんなを見ていてね?」
「うむ、任せろ」
大人三人、一度、この場を離れて
子供達の分の、飲み物を買ってくる事にした
子供達の分の、飲み物を買ってくる事にした
…離れている間に
何が起きてしまうのか、予想だにも、せず
何が起きてしまうのか、予想だにも、せず
「さ~て、待ってる間、どうしようか」
「ビーチボールでもやらない?ほら、この辺りは足つくくらい浅いから、望や詩織も大丈夫よ」
「うー!ビーチボールやるー!!」
「ちゅちゅー!」
「ビーチボールでもやらない?ほら、この辺りは足つくくらい浅いから、望や詩織も大丈夫よ」
「うー!ビーチボールやるー!!」
「ちゅちゅー!」
そして
待っている間、子供達はビーチボールで遊ぶ事になって
流れるプールの、望達でも足がつく浅い位置に入っていく
待っている間、子供達はビーチボールで遊ぶ事になって
流れるプールの、望達でも足がつく浅い位置に入っていく
-------すぅ、と
水の中で蠢く何かに、気づく事、なく
水の中で蠢く何かに、気づく事、なく
to be … ?