“原罪”の別視点
パタン、と携帯電話を閉じるローゼ
裂邪からの電話―――彼の弟が『COA』に吸い込まれたという連絡を受け、
彼女は再び、『COA』に侵入する事を決めた
裂邪からの電話―――彼の弟が『COA』に吸い込まれたという連絡を受け、
彼女は再び、『COA』に侵入する事を決めた
(ローゼ>もう一度、行ってまいりますわ
皆さんはここで待機していてください
(日天>なっ・・・1人で行く気か!?
(ローゼ>大丈夫ですわ、裂邪さんもいらっしゃることですし
(ロール>アンタはここ最近で能力使いまくってるじゃん!
これ以上負担かけたらマジやばいって!
(日天>あぁ! せめて、オレ達だけでも―――
皆さんはここで待機していてください
(日天>なっ・・・1人で行く気か!?
(ローゼ>大丈夫ですわ、裂邪さんもいらっしゃることですし
(ロール>アンタはここ最近で能力使いまくってるじゃん!
これ以上負担かけたらマジやばいって!
(日天>あぁ! せめて、オレ達だけでも―――
スッ、と彼女を止めるように蓮華が手を伸ばす
(日天>れ、蓮華さん・・・!
(蓮華>この人がやる気になったら、誰も止められないのはご存知でしょう?
(ローゼ>R-No.1・・・あとは、宜しくお願いしますわ
(蓮華>死にに行くみたいな言い方しないでください
書きかけの報告書がまだ残ってますからね。書き終えてから逝って下さい
(蓮華>この人がやる気になったら、誰も止められないのはご存知でしょう?
(ローゼ>R-No.1・・・あとは、宜しくお願いしますわ
(蓮華>死にに行くみたいな言い方しないでください
書きかけの報告書がまだ残ってますからね。書き終えてから逝って下さい
苦笑する、と思いきや、思いっきり笑ってしまったローゼ
蓮華がジョークを飛ばすのは、竹の花を見かけるよりも稀なのだ
一頻り笑った後、彼女はロベルタに小さなメモを渡す
蓮華がジョークを飛ばすのは、竹の花を見かけるよりも稀なのだ
一頻り笑った後、彼女はロベルタに小さなメモを渡す
(ローゼ>R-No.6? もう1度だけ、ここにお願いできる?
(ロベルタ>う~ん・・・オッケー、何とか、行ける、よっと!
(ロベルタ>う~ん・・・オッケー、何とか、行ける、よっと!
疲れきった表情で、ガラッ、と勢いよく引き出しを開ける
その中は、我々の知る引き出しの中身ではなかった
その中は、我々の知る引き出しの中身ではなかった
(ローゼ>ありがとう。では―――
(ライサ>待ってお姉様!
(ライサ>待ってお姉様!
がしっ、と強くローゼに飛びつくライサ
(ローゼ>ら、ライサ・・・貴方も、ここで皆さんと一緒に
(ライサ>やだ! 私もお姉様と行く! 向こうで、怪我をしてる人がいるかもしれないから!
ゲームの中でも、痛いのは嫌なことだから、癒してあげたいの!
(ライサ>やだ! 私もお姉様と行く! 向こうで、怪我をしてる人がいるかもしれないから!
ゲームの中でも、痛いのは嫌なことだから、癒してあげたいの!
涙目になりながら訴える
ローゼは少し迷って・・・ぽん、とライサの頭に手をやり、優しく微笑んだ
ローゼは少し迷って・・・ぽん、とライサの頭に手をやり、優しく微笑んだ
(ローゼ>分かりましたわ。でも、無茶だけはなさらないでね?
(ライサ>うん!
(ライサ>うん!
ローゼは彼女を抱き上げると、他のメンバーに小さく手を振り、
底の無い引き出しの中へと飛び込んだ
光はすぐに見えた
彼女はその「向こう側の引き出し」から顔を出し、
底の無い引き出しの中へと飛び込んだ
光はすぐに見えた
彼女はその「向こう側の引き出し」から顔を出し、
(ローゼ>遅れて申し訳ありませんわ!
部屋には、依頼主―――黄昏 裂邪ただ一人
恐らく「シャドーマン」の作り出した異空間にいるのだろう
それにしても、何故この少年は少し驚いているのだろうか
そんなことを考えていると、彼が口を開いた
恐らく「シャドーマン」の作り出した異空間にいるのだろう
それにしても、何故この少年は少し驚いているのだろうか
そんなことを考えていると、彼が口を開いた
(裂邪>すまないローゼちゃん。それに・・・ライサちゃん?
(ライサ>怪我してる人がいるかもしれないから、私も行く!
(ローゼ>と言って聞きませんの
(裂邪>いや、助かる。ゲームとは言え、死を体験するのはあいつらにゃ早過ぎるし
(ライサ>怪我してる人がいるかもしれないから、私も行く!
(ローゼ>と言って聞きませんの
(裂邪>いや、助かる。ゲームとは言え、死を体験するのはあいつらにゃ早過ぎるし
彼の言うとおり
彼もそうだが、彼の弟も、まだ子供
子供に、そのような恐ろしい体験をさせるわけにはいかない
彼女はライサを抱きながら、引き出しから出る
彼もそうだが、彼の弟も、まだ子供
子供に、そのような恐ろしい体験をさせるわけにはいかない
彼女はライサを抱きながら、引き出しから出る
(裂邪>じゃあ、頼んだ
(ローゼ>えぇ・・・『アセンション』!
(ローゼ>えぇ・・・『アセンション』!
パチン!と指を鳴らすと、3人を赤いオーロラのようなものが包み込む
瞬時に背景は、平凡な住宅の一室から、青空の広がる草原へと―――
バチッ!
何かが、電磁波の壁に触れたらしい
オーロラが晴れると、目の前にいたのは、
背中に翼が生え、全身が鱗で覆われた、剣を持つ人の形をした化け物―――ドラゴニュート
彼女はそれを見た事が無かったが、敵である事に違いはないと判断した
ライサを庇うように己の背後に降ろし、ジッとしてるように無言で指示して、
右腕に『フォトンエッジ』を生成し、黒い鎌を持った裂邪と共に切りかかった
瞬時に背景は、平凡な住宅の一室から、青空の広がる草原へと―――
バチッ!
何かが、電磁波の壁に触れたらしい
オーロラが晴れると、目の前にいたのは、
背中に翼が生え、全身が鱗で覆われた、剣を持つ人の形をした化け物―――ドラゴニュート
彼女はそれを見た事が無かったが、敵である事に違いはないと判断した
ライサを庇うように己の背後に降ろし、ジッとしてるように無言で指示して、
右腕に『フォトンエッジ』を生成し、黒い鎌を持った裂邪と共に切りかかった
―――漆黒が包む黄昏に
―――深紅の薔薇が咲き誇る
(裂+0>『ローズ・オブ・ダスク』!
赤い刃と黒い鎌がクロスを描き、ドラゴニュートの腹部に血の十字架が出来た
どさり、とその場に倒れるドラゴニュート
まだ息はあるようだが、今は一刻を争う時
すぐにでも、裂邪の弟を探し出さねば
どさり、とその場に倒れるドラゴニュート
まだ息はあるようだが、今は一刻を争う時
すぐにでも、裂邪の弟を探し出さねば
(少年>お兄ちゃん!どうしてこんな所に!?
背後から、そんな声が聞こえた
振り向くと、今まで気がつかなかったが、丁度ライサの真後ろに少年がいた
ちらと様子を見ると、裂邪は何やら安心した表情をしている
もしや、と彼女は思い、
振り向くと、今まで気がつかなかったが、丁度ライサの真後ろに少年がいた
ちらと様子を見ると、裂邪は何やら安心した表情をしている
もしや、と彼女は思い、
(ローゼ>裂邪さん、彼が・・・
(裂邪>あぁ、黄昏正義。俺の弟だ
(裂邪>あぁ、黄昏正義。俺の弟だ
よかった、どうやら無事だったようだ
彼女もほっとするが、状況が状況である
周辺には、正義という少年の友人と思しき子供達が3人、
そして、「こっくりさん」と正体不明の都市伝説――正義少年と契約関係らしい――の姿
さらに、先程斬ったものと同タイプの化け物が、他にも4体いる
武器はそれぞれ違うらしく、斧、弓、ハンマー、棍棒、
剣と合わせて5体いたようだ
様子から、少年達が劣勢・・・間に合ったと考えるべきか、もう少し早ければと嘆くべきか
不意に、斧を持ったドラゴニュートが裂邪に襲い掛かる
彼女は守ろうとしたが、その前に裂邪自身が弾き飛ばした
彼女もほっとするが、状況が状況である
周辺には、正義という少年の友人と思しき子供達が3人、
そして、「こっくりさん」と正体不明の都市伝説――正義少年と契約関係らしい――の姿
さらに、先程斬ったものと同タイプの化け物が、他にも4体いる
武器はそれぞれ違うらしく、斧、弓、ハンマー、棍棒、
剣と合わせて5体いたようだ
様子から、少年達が劣勢・・・間に合ったと考えるべきか、もう少し早ければと嘆くべきか
不意に、斧を持ったドラゴニュートが裂邪に襲い掛かる
彼女は守ろうとしたが、その前に裂邪自身が弾き飛ばした
(裂邪>なぁ、俺は別にお前らが何しようが怒りゃしねぇよ
ぶっちゃけお前らも余計なお世話だとか思ってるだろうし
でもさ、他人に心配かけちゃいかんと思うんよ
ぶっちゃけお前らも余計なお世話だとか思ってるだろうし
でもさ、他人に心配かけちゃいかんと思うんよ
彼の影が、一層黒くなる
その瞬間、影の中から7体、いや8体の都市伝説が飛び出した
「赤マント」、「注射男」、「下水道に棲む白いワニ」、「ベッドの下の殺人鬼」、
何故か合体している「テケテケ」と「トコトコ」、「メリーさんの電話」、そして「幽霊」
どれも契約状態ではない
それに、本来ならどれも討伐対象になり得る都市伝説ばかりである
しかし彼女は裂邪を信じた
否、信じざるを得なかった
その瞬間、影の中から7体、いや8体の都市伝説が飛び出した
「赤マント」、「注射男」、「下水道に棲む白いワニ」、「ベッドの下の殺人鬼」、
何故か合体している「テケテケ」と「トコトコ」、「メリーさんの電話」、そして「幽霊」
どれも契約状態ではない
それに、本来ならどれも討伐対象になり得る都市伝説ばかりである
しかし彼女は裂邪を信じた
否、信じざるを得なかった
(パーカー>少年殿!助太刀に来た!
(女子校生>少年くん!もう大丈夫だからね!
(正義>「ベッド下の男」! 「テケトコ」!
(女子校生>少年くん!もう大丈夫だからね!
(正義>「ベッド下の男」! 「テケトコ」!
どうやら、正義少年の味方であるらしい
友達、といったところだろうか
思わず、笑ってしまったローゼ
こんな関係を持てる人が、この世に沢山いてくれたら・・・
友達、といったところだろうか
思わず、笑ってしまったローゼ
こんな関係を持てる人が、この世に沢山いてくれたら・・・
(裂邪>メリーさんにレイちゃん、この『回復薬』をあいつらに
(メリー>わかったわ!
(ローゼ>ライサ、貴方もあの子達をお願いできる?
(ライサ>任せてお姉様!
(メリー>わかったわ!
(ローゼ>ライサ、貴方もあの子達をお願いできる?
(ライサ>任せてお姉様!
子供達の治癒は、彼女達に任せよう
先程斬った、剣を持ったドラゴニュートも起き上がり、5体の目線がローゼ達に向けられる
ハンマーと棍棒は「ベッドの下の殺人鬼」達に任せるとして、残りの3体をどうするか
先程斬った、剣を持ったドラゴニュートも起き上がり、5体の目線がローゼ達に向けられる
ハンマーと棍棒は「ベッドの下の殺人鬼」達に任せるとして、残りの3体をどうするか
(裂邪>ローゼちゃん、あの弓使いを頼めないかな?
(ローゼ>え? でもそれだと裂邪さんが・・・
(裂邪>俺達は1回、あいつらを3匹相手にしたんだ
剣使いは死にかけてるし
それに、ちょっと考えがある
(ローゼ>・・・分かりましたわ。死ぬ事のありませんように
(裂邪>あぁ、あんたもな
(ローゼ>え? でもそれだと裂邪さんが・・・
(裂邪>俺達は1回、あいつらを3匹相手にしたんだ
剣使いは死にかけてるし
それに、ちょっと考えがある
(ローゼ>・・・分かりましたわ。死ぬ事のありませんように
(裂邪>あぁ、あんたもな
ローゼは遺伝子の構造を変化させて脚力をあげ、
弓を持ったドラゴニュートに飛び掛ると同時に蹴りを入れた
後方に飛ばされる弓使いだが、飛ばされながらも矢を3本射る
弓を持ったドラゴニュートに飛び掛ると同時に蹴りを入れた
後方に飛ばされる弓使いだが、飛ばされながらも矢を3本射る
(ローゼ>『フォトン・ヴェール』!
すぐさま張られた赤いカーテンのような壁
バチバチと音を立てながら、矢は弾き返される
即座に『フォトン・エッジ』で弓使いに切りかかる
弓使いもその名の通り、弓を使って防御しながら攻撃を入れようとする
大柄な体躯故に、小さな身体であるローゼには当たらないのだが、どちらも防戦一方だ
バチバチと音を立てながら、矢は弾き返される
即座に『フォトン・エッジ』で弓使いに切りかかる
弓使いもその名の通り、弓を使って防御しながら攻撃を入れようとする
大柄な体躯故に、小さな身体であるローゼには当たらないのだが、どちらも防戦一方だ
(弓使い>ギャッ! ギャァッ!!
(ローゼ>(くぅ・・・これでは持久戦になってしまいますわ・・・
少しでも動きを止められれば・・・)
(ローゼ>(くぅ・・・これでは持久戦になってしまいますわ・・・
少しでも動きを止められれば・・・)
―――私、メリー。今貴方の後ろにいるの
後頭部に蹴りを受け、よろめくドラゴニュート
それより、少しドラゴニュートの動きが鈍くなったように見えた
再び状況を確認すると、裂邪と一緒にいた、ピンクのドレスを着た少女と、白い着物を着た少女がいた
それより、少しドラゴニュートの動きが鈍くなったように見えた
再び状況を確認すると、裂邪と一緒にいた、ピンクのドレスを着た少女と、白い着物を着た少女がいた
(ローゼ>貴方達は・・・えっと、メリーさんに、レイちゃん、だったかしら
(メリー>手伝ったわけじゃないんだからね、ただ見てるだけじゃつまらないから!
(レイ>おねーちゃん、私達も戦うよ!
私は、そんなに力は無いけど・・・相手の邪魔をするくらいならできるの!
(メリー>手伝ったわけじゃないんだからね、ただ見てるだけじゃつまらないから!
(レイ>おねーちゃん、私達も戦うよ!
私は、そんなに力は無いけど・・・相手の邪魔をするくらいならできるの!
都市伝説とはいえ、子供に手を借りるというのは、「組織」としても胸が痛むが・・・
今は、彼女達の力を借りるしかない
今は、彼女達の力を借りるしかない
(ローゼ>1分・・・いえ、30秒だけでいいですの
あれの動きを止めていてください!
あれの動きを止めていてください!
大きく頷くと、レイは両手をドラゴニュートに向ける
彼女は「交通事故で死んだ子供の幽霊」だ
故に「子供を道連れにする」ような能力を使えるのだが、何分契約状態にないので、
十分な力を発揮できず、完全に操ることは出来ない
だが動きさえ鈍れば、メリーが瞬間移動しつつ攻撃することが容易になる
実は彼女達は、普段からこの方法で悪い都市伝説を撃退していたのだ
彼女は「交通事故で死んだ子供の幽霊」だ
故に「子供を道連れにする」ような能力を使えるのだが、何分契約状態にないので、
十分な力を発揮できず、完全に操ることは出来ない
だが動きさえ鈍れば、メリーが瞬間移動しつつ攻撃することが容易になる
実は彼女達は、普段からこの方法で悪い都市伝説を撃退していたのだ
その間に、ローゼは両腕を広げ、掌に赤い光を集中させる
(ローゼ>「幼気」解放・・・フォトンを、極限まで加速させます
そのまま彼女は、例えるなら「ファイナルフラッシュ」のような構えをとる
周囲の空気が僅かに振動し、それが徐々に大きくなっていく
周囲の空気が僅かに振動し、それが徐々に大きくなっていく
(ローゼ>フォトンは質量が0に近い、だから運動エネルギーも無いに等しいけれど・・・それを「幼気」で補えば!
メリーさん!レイちゃん!お退きになって!
メリーさん!レイちゃん!お退きになって!
時間稼ぎをしていたメリーとレイは、ドラゴニュートから早々に離れた
ドラゴニュートが最後に見たものは、光か、それとも
ドラゴニュートが最後に見たものは、光か、それとも
(ローゼ>終わりですわ・・・『フォトン・ストリーム』!!
ローゼの両掌からのびる赤い光条は、
大地を抉り、空を震わせ、
ドラゴニュートを跡形も無く消滅させた
しかし真に恐ろしいのは、それほどのことをやってのけて尚、息も切らしていないローゼだろうか
大地を抉り、空を震わせ、
ドラゴニュートを跡形も無く消滅させた
しかし真に恐ろしいのは、それほどのことをやってのけて尚、息も切らしていないローゼだろうか
(メリー>・・・こ、ここまでする必要あったの?
(ローゼ>ん~・・・ちょっとやりすぎちゃったかしら? おほほほほ♪
(ローゼ>ん~・・・ちょっとやりすぎちゃったかしら? おほほほほ♪
後ろから、「わ、わっ!」と慌てる声が聞こえた
見ると、どうやらミナワが空から落ちてきた裂邪をキャッチしたらしい
「ベッドの下の殺人鬼」達も、なんとかやってくれたようだ
見ると、どうやらミナワが空から落ちてきた裂邪をキャッチしたらしい
「ベッドの下の殺人鬼」達も、なんとかやってくれたようだ
(ローゼ>任務完了、ですわ♪
...To be Continued