「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 花子さんと契約した男の話-54

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だれでも歓迎! 編集
 手を差し伸べた事を後悔する訳ではない
 それを、後悔してはいけない
 あなたは、私が手を差し伸べた事を感謝してくれるけれど

 けれど、あなたは気付いていないでしょう
 私が手を差し伸べたのは、私自身もまた
 孤独に耐えられずにいたからなのだという、事実に





                               Red Cape












 私は、トイレの花子さんです
 学校の七不思議に数えられる事も多い、トイレをテリトリーとした都市伝説です
 トイレの花子さんは全国各地にいるけれど、私は、その中でも、わりとおーそどっくすな花子さんです
 おかっぱ頭に白いブラウス、真っ赤な吊りスカートと言う格好で、生まれた元となった噂は「休日の学校に遊びに来ていた少女が変質者に追われ、トイレの3番目の個室に隠れたが見つかって殺害された」という噂です
 そう言うお話から生まれたから、私はおじさんはあんまり好きじゃないです
 私達花子さんを生み出す噂には、他にも「発狂した母親に追いかけられた少女が、学校のトイレの奥から3番目の個室に隠れたが、結局殺害されてしまった」 とか
 「戦時中、かくれんぼが大好きだった少女が、学校内のトイレの個室に隠れていたところ、校舎が空襲を受け、逃げ遅れて死亡した」 とか
 「生前、父親に虐待を受けた少女の霊で、おかっぱ頭はその時の傷を隠すため」とか
 色んな噂があります
 基本的に、悲劇から生まれる存在みたいです
 私達花子さんはみんな、基本的にはトイレに住んでるけれど、中にはとある場所の柿の木の上に住んでる「柿の木の上の花子さん」もいるらしいです

 花子さんなので、トイレの三番目の扉の前で、扉を三回ノックされて「花子さん」って呼ばれたら、「は~い」って返事をします
 この後、「何して遊ぶ」って聞いてくる花子さんもいるけれど、私はお返事するだけです
 ちなみに、「何して遊ぶ」って聞いてくる花子さんに対して「縄跳び」とか「首しめごっこ」とか「おままごと」って答えちゃ駄目です
 首をしめられたり、包丁で刺されちゃう事があるのです

 私には、「けーやくしゃ」がいます
 けーやくしゃは、私とけーやくしてくれた人です
 けーやくした時は小学校高学年だったけれど、今は高校生です
 私とけーやくしてから、ずっと、けーやくを打ち切らずに傍にいてくれています
 にじゅーよじかん一緒にいられる訳ではないけれど、一杯傍にいてもそのままにさせてくれるので、けーやくしゃの事が大好きです
 けーやくしゃとけーやくしたおかげで、私は暗いトイレに独りぼっちでいなくてすむのです

 私のけーやくしゃは、強い人です
 小学生の頃は、剣道を習っていました
 道場に通っていた以外に、知り合いの人にも訓練させてもらっていたって言っていました
 その知り合いの人は、私は会った事はありません
 けーやくしゃも、詳しい事は話してくれた事はないです
 今はもう、剣道をやめてしまったけれど、今でも、木で出来た刀を持つと、とっても強いです
 けーやくしゃのお家の人は、木で出来た刀を持ったけーやくしゃの事を「乱神モード」って呼んでました
 よくわからないけど、格好いいと思います

 けーやくしゃは、刀を持つととっても強いのだけれども、普段は使いません
 その代わりに、普段は銃を使います
 お家から持ち出すのは大変だから、私の力でお水で銃を作って、それを使ってもらいます
 水の弾丸は、何発撃ってもなくならないから便利だ、って言ってました
 証拠の銃弾も残らないので、ばっちぐーだそうです
 銃弾が残っちゃうと、色々面倒なんだ、って言ってました
 詳しい事は、難しくてよくわかんないです

 本当は
 けーやくしゃが戦わなくても大丈夫なように、私が頑張らなきゃいけません
 けーやくしゃは、私とけーやくしてくれたのだから、けーやくしゃは私が護るべきです
 でも、けーやくしゃは、自分も戦おうとします
 「花子さんだけに戦わせるなど、卑怯だから」と言ってます
 卑怯でもなんでもないのに、けーやくしゃはそう言って聞きません
 私は都市伝説で、けーやくしゃとけーやくしたのだから、けーやくしゃの為に、他の都市伝説と戦う事は当たり前です
 けーやくしゃや、けーやくしゃの周りの人を襲ってくる悪い都市伝説をやっつけるのは、当たり前の事なのに
 けーやくしゃは、私にだけ辛い役目を背負わせるのは卑怯だから、と言って来ます
 私は、全然気にしてないのに、けーやくしゃは優しいから、気にしてくれるのです
 せめて、けーやくしゃが直接手を下さなくてもいいように、私がもっと頑張らないといけません

 もう
 あの時みたいに
 けーやくしゃをおいて、ぶざまに気絶しちゃいけない
 私が、弱かったから
 相手に一撃を入れることも敵わず、逆に、相手の一撃で、気を失ってしまったから
 そのせいで、けーやくしゃは「失敗」してしまいました
 失敗しちゃったせいで、けーやくしゃは、剣道をやめてしまって
 失敗しちゃったせいで、諦めて、でも、完全には諦めきれないままで
 私が、もっとしっかりしていれば
 あの時、気絶なんてしていなければ
 けーやくしゃは、あんな思いをしなくてすんだのに

 けーやくしゃは、「自分は正義の味方じゃないし、正義の味方にはなれない」と言っていました
 全部を護る事なんて、自分にはできないから
 だから、せめて、身内と、学校のクラスメイトだけでも護りたい、って言っていました
 ただ、それだけの力があればいい
 過剰な力はいらない、って言っていました
 そうして、いつか、「八代目様」のようになりたいのだと言っていました

 …私は
 けーやくしゃの、力になりたいです
 けーやくしゃが、「八代目様」のようになる、お手伝いをしたいです
 その為に、ずーっと、けーやくしゃの傍にいます
 けーやくしゃが、私をいらないと言わない限り
 私か、けーやくしゃが死んでしまうまで、ずーっとずーっと傍にいて
 けーやくしゃの力になったり、けーやくしゃの理解者になったりしたいです


 それが
 けーやくしゃとけーやくした事で、けーやくしゃの運命を捻じ曲げてしまったかもしれない、私の
 そのせいで、けーやくしゃを諦めさせてしまったかもしれない、私が
 せめて、けーやくしゃの為にできる、唯一の事だと思うのです




fin



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