…ヴァレンタイン・ヴァレンタイン
「教会」所属の都市伝説契約者である
与えられている役割は、異教徒及び、「教会」にとって異端となる存在の殲滅
エイブラハム司祭の下についている、武闘派である
「教会」所属の都市伝説契約者である
与えられている役割は、異教徒及び、「教会」にとって異端となる存在の殲滅
エイブラハム司祭の下についている、武闘派である
「…ッヴァタシが……その、ヴァタシが……っ!」
少年と幼女の攻撃によって、ガーゴイルを発動した石の体は、半分が砕け散っていた
今、ガーゴイルを解除して人間の姿に戻ったならば…その命は、終わる
半ば這うようにして、公園へと逃げ込んだ
今、ガーゴイルを解除して人間の姿に戻ったならば…その命は、終わる
半ば這うようにして、公園へと逃げ込んだ
…そこで
「………!」
月光の下、人影を、見た
肩に小さな小鳥を乗せ、月を見上げるその青年は、幻想的ですらある
肩に小さな小鳥を乗せ、月を見上げるその青年は、幻想的ですらある
…見覚えのある姿だった
何故、あの男がここに?
何故、あの男がここに?
…いや、だが、これはチャンスだ
「……カイン…司祭……!」
何とか、声を張り上げ、彼を呼ぶ
その声に驚いたように小鳥が飛び立ち、青年……カインが、ヴァレンタインに気付いた
その声に驚いたように小鳥が飛び立ち、青年……カインが、ヴァレンタインに気付いた
「…ヴァレンタインか!?……動くな、今、治療する!」
カインは駆け寄り、ヴァレンタインにそっと手をかざした
祈るように、願うように
祈るように、願うように
その、祈りが
その、願いが
神へと、届いたかのように
その、願いが
神へと、届いたかのように
…ヴァレンタインの、破壊された体が
淡い光に包み込まれ、癒えて行く
痛みが、嘘のように引いていくのを、ヴァレンタインは感じ取った
淡い光に包み込まれ、癒えて行く
痛みが、嘘のように引いていくのを、ヴァレンタインは感じ取った
(…相変わらず……ユニコーン契約者「処女(乙女)の騎士」ヘンリーと並んで、高い治癒能力保持者と言う事はあるわねぇ…!)
「幼子の使い」カイン
…彼は、とある女性に信託を与え、数々の子供を癒してきたと言うサントニーニョ(聖なる子供)…幼い頃のイエス・キリストをかたどった人形…の契約者なのだ
信託に従い、手をかざしたりマッサージする事によって、医者すら匙を投げた状態を癒す事ができる
契約によりその力は強化され、このような体の欠損すら、癒す事ができるようになっているのだ
…彼は、とある女性に信託を与え、数々の子供を癒してきたと言うサントニーニョ(聖なる子供)…幼い頃のイエス・キリストをかたどった人形…の契約者なのだ
信託に従い、手をかざしたりマッサージする事によって、医者すら匙を投げた状態を癒す事ができる
契約によりその力は強化され、このような体の欠損すら、癒す事ができるようになっているのだ
(でもぉ……どう言う事ぉ?その、カイン司祭が、この街に来てるだなんてぇ…)
…まさか、無断でこの街に来た事が、バレた?
いや、違うだろう
そうならば、こうやって治療してくるはずが…
………あ、いや、この男なら、治療してくる可能性が、あるか
いや、違うだろう
そうならば、こうやって治療してくるはずが…
………あ、いや、この男なら、治療してくる可能性が、あるか
「…大丈夫か?」
そっと、カインの手が離れる
ヴァレンタインの体は、完全に復活していた
ガーゴイルを解除し、立ち上がる
ヴァレンタインの体は、完全に復活していた
ガーゴイルを解除し、立ち上がる
「大丈夫よぉ、感謝しますわ、カイン司祭」
「傷ついている仲間を癒すのは、当たり前の事だ」
「傷ついている仲間を癒すのは、当たり前の事だ」
ヴァレンタインの感謝の言葉に、カインは小さく笑った……ように、見えた
この男、笑顔を浮かべる事が苦手なようで、笑っても、どこか寂しそうな表情になるのだ
過去の出来事が関係しているらしいが、ヴァレンタインはそこまで知らないし、知る必要性も感じていない
この男、笑顔を浮かべる事が苦手なようで、笑っても、どこか寂しそうな表情になるのだ
過去の出来事が関係しているらしいが、ヴァレンタインはそこまで知らないし、知る必要性も感じていない
「…しかし、ヴァレンタイン。お前ほどの使い手が、何故、そこまでやられたんだ?……ニーナの使命と、何か関係があるのか?」
「カイン司祭は、ニーナの使命に関連して、来日したの?」
「エイブラハム司祭に、彼女と合流して、使命を手伝うように言われている」
「カイン司祭は、ニーナの使命に関連して、来日したの?」
「エイブラハム司祭に、彼女と合流して、使命を手伝うように言われている」
……なるほど
エイブラハム司祭が、ニーナをいつでも「始末」できるように…その時の言い訳に使う為に、使わしたのか
ならば
エイブラハム司祭が、ニーナをいつでも「始末」できるように…その時の言い訳に使う為に、使わしたのか
ならば
「ヴァタシも、そうなのよぉ。でも、なかなかあの子と合流できなくってぇ…他に悪魔を見つけたから倒そうとしたら、返り討ちにあっちゃったわぁ。噂通り、この街は悪魔が多いみたいよぉ」
「…そうか…」
「…そうか…」
暗い表情をするカイン
この街の現状に、心を痛めているのかもしれない
この街の現状に、心を痛めているのかもしれない
…まったくもって、優しい男だ
だからこそ、利用しやすい
だからこそ、利用しやすい
「ヴァタァシ達「教会」の人間が、この街に三人も来て居る事がバレたらまずいわぁ……なるべく、知られないように行動しましょうねぇ?」
「あぁ、エイブラハム司祭からも、そう言われている」
「力を合わせて、ニーナを見つけて…協力してあげなくちゃ、ねぇ?これ、ヴァタァシの連絡先よぉ、見つけたら、すぐに知らせてねぇ?」
「あぁ、エイブラハム司祭からも、そう言われている」
「力を合わせて、ニーナを見つけて…協力してあげなくちゃ、ねぇ?これ、ヴァタァシの連絡先よぉ、見つけたら、すぐに知らせてねぇ?」
…居場所さえ、わかれば
カインに気付かれる前に、ニーナを消してしまえばいいのだ
任務一つ果たせぬ役立たずなど、エイブラハム司祭の部下にふさわしくない
カインに気付かれる前に、ニーナを消してしまえばいいのだ
任務一つ果たせぬ役立たずなど、エイブラハム司祭の部下にふさわしくない
「……では、俺は、これで」
「あらぁ?カイン司祭、私が使ってる寝床で、泊まって行けばいいじゃなぁい?ベッドに余裕はあるわよぉ」
「………男女が、同じ寝台で寝るなど」
「あら、やだぁ。相変わらず、真面目な人ねぇ」
「あらぁ?カイン司祭、私が使ってる寝床で、泊まって行けばいいじゃなぁい?ベッドに余裕はあるわよぉ」
「………男女が、同じ寝台で寝るなど」
「あら、やだぁ。相変わらず、真面目な人ねぇ」
………
非常に、非常に、信じられない事実なのだが…
…このカイン、ヴァレンタインの事を女性だと思っているのである
ちょっぴり(?)マッシヴで、ちょっぴり声が野太いだけの女性だと思っているのである
キリスト教の教義では異性装はアウトである
よって、カインは、「教会」所属の契約者がそんなどう考えてもアウトな事をしているはずがないと考え、カソックを纏うヴァレンタインは女性である、と考えているのだ
色々と突っ込みどころが満載ではあるが……ある意味、世間知らずなのだ、カインは
非常に、非常に、信じられない事実なのだが…
…このカイン、ヴァレンタインの事を女性だと思っているのである
ちょっぴり(?)マッシヴで、ちょっぴり声が野太いだけの女性だと思っているのである
キリスト教の教義では異性装はアウトである
よって、カインは、「教会」所属の契約者がそんなどう考えてもアウトな事をしているはずがないと考え、カソックを纏うヴァレンタインは女性である、と考えているのだ
色々と突っ込みどころが満載ではあるが……ある意味、世間知らずなのだ、カインは
「…とにかく。ニーナが見つかったら、すぐに連絡する。ヴァレンタインも、ニーナが見つかったら、俺に知らせてくれ………あの子も、一人で心細いだろうから」
「えぇ、そうねぇ……寂しい、でしょうからねぇ」
「えぇ、そうねぇ……寂しい、でしょうからねぇ」
だから、早く
ニーナを、祖父の元へと送ってやろうではないか
「教会」に背いて地獄行きへとなった、彼女の祖父の、元へ
ニーナを、祖父の元へと送ってやろうではないか
「教会」に背いて地獄行きへとなった、彼女の祖父の、元へ
ヴァレンタインが浮かべた笑みの下の本性に、気づく事なく
カインは、夜の闇の中、立ち去っていった
ヴァレンタインもまた、夜の学校街へと消えていく
カインは、夜の闇の中、立ち去っていった
ヴァレンタインもまた、夜の学校街へと消えていく
…その
ヴァレンタインの、後姿を
小さな小鳥が、じっと見つめていて
……しかし、やがて興味を失ったかのように、カインを追いかけて飛んでいったのだった
ヴァレンタインの、後姿を
小さな小鳥が、じっと見つめていて
……しかし、やがて興味を失ったかのように、カインを追いかけて飛んでいったのだった
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