三面鏡の少女 76
ほかほかと湯気を立てる小振りの丸焼きのチキンを中心とした様々な料理
砂糖菓子とチョコレート、マジパンで彩られた可愛らしい苺ショートのケーキ
ワイングラスの横に置かれた瓶は、ワインでもシャンパンでもなくアルコール成分の入っていない子供用のシャンメリーである
テーブルの傍らにはちかちかとささやかな電飾を瞬かせるイミテーションのツリーも立てられていた
「買出しの時から思ってましたが、日本のクリスマスはおかしいデス」
「そう? 俺にとっては子供の頃からこんな感じだからなぁ」
くくっと喉を鳴らせて笑う星と、何か居心地悪そうにテーブルの上を見ているニーナ
「ま、日本人って宗教観あんまり無いから。こうしてキリストの生誕を祝った後、一週間もしないうちに寺の鐘の音を聞いて、神社に初詣に行くんだぜ?」
「その昔、この国を訪れた宣教師が挫折したのも頷けマス」
ニーナは、はふうと盛大な溜息を吐いて項垂れる
「まー祝うだけならまだしも、日本のクリスマスはすっかりカップルが仲睦まじく過ごす日だからね」
「そうなのデスか?」
「割とそうなの。プレゼントやパーティーにかこつけないと、何もできない根性無しが多いから」
もっとも、星がよく知っているカップルはそんなものにかこつけなくとも、日頃からイチャイチャし通しなのだが
砂糖菓子とチョコレート、マジパンで彩られた可愛らしい苺ショートのケーキ
ワイングラスの横に置かれた瓶は、ワインでもシャンパンでもなくアルコール成分の入っていない子供用のシャンメリーである
テーブルの傍らにはちかちかとささやかな電飾を瞬かせるイミテーションのツリーも立てられていた
「買出しの時から思ってましたが、日本のクリスマスはおかしいデス」
「そう? 俺にとっては子供の頃からこんな感じだからなぁ」
くくっと喉を鳴らせて笑う星と、何か居心地悪そうにテーブルの上を見ているニーナ
「ま、日本人って宗教観あんまり無いから。こうしてキリストの生誕を祝った後、一週間もしないうちに寺の鐘の音を聞いて、神社に初詣に行くんだぜ?」
「その昔、この国を訪れた宣教師が挫折したのも頷けマス」
ニーナは、はふうと盛大な溜息を吐いて項垂れる
「まー祝うだけならまだしも、日本のクリスマスはすっかりカップルが仲睦まじく過ごす日だからね」
「そうなのデスか?」
「割とそうなの。プレゼントやパーティーにかこつけないと、何もできない根性無しが多いから」
もっとも、星がよく知っているカップルはそんなものにかこつけなくとも、日頃からイチャイチャし通しなのだが
―――
「へくちっ」
「どうした佳奈美、風邪か?」
「んん? 誰か噂とかしてるのかなぁ」
「それはいかん。佳奈美の事を語る輩が居るのはよろしくない。佳奈美が俺のものだともっと世に知らしめないとな」
「風邪! 風邪ひいた、今さっき急に!」
「そうか、じゃあ温かくして汗をかかないとな」
「なんか結果どっちも同じ!?」
「どうした佳奈美、風邪か?」
「んん? 誰か噂とかしてるのかなぁ」
「それはいかん。佳奈美の事を語る輩が居るのはよろしくない。佳奈美が俺のものだともっと世に知らしめないとな」
「風邪! 風邪ひいた、今さっき急に!」
「そうか、じゃあ温かくして汗をかかないとな」
「なんか結果どっちも同じ!?」
―――
「……なんか、ムカついてきた」
「急にどうしたのデスか、黙ったと思ったら不機嫌になって」
「クリスマスにイチャイチャしてるカップルが多いと思ったらさ、なんとなく。俺さぁ、ずっと好きだった人に春先に振られたばっかでさ」
ややむくれながら、テーブルの上のシャンメリーの瓶を手に取り、きゅっと栓を捻ってポンと軽快な音と共に飛ばす
壁にぶつかった栓が床に落ち、ころころと転がっていたところをニーナが拾い上げてテーブルの隅に置いた
「片付けるのは後でいいのに」
「忘れてて、踏んだりしたら危ないデス」
「真面目だなぁ、ニーナは」
「家事を任せられている身デス。家の安全を考えるのは当たり前デス」
「ニーナが居てくれて良かったな、ホントに色々助かった」
「そんなに家事とかが苦手なのデスか?」
「それもあるけどさ」
並べたグラスにシャンメリーを注ぎながら、星は苦笑する
「一人のクリスマスって超寂しいぜ? 職場の人とか誘おうにも、クリスマスも休めない人ばっかだから気が引けるし」
家族は
そう聞こうとして、ニーナは思い留まる
星が今まで家族の話題を口にした事は無いからだ
「どうしたんだ、変な顔して」
「変な顔とは何デスか! それより折角のお料理が冷めてしまいマス!」
誤魔化すように怒ったふりをして、手近な話題に移し
「ん、そっか。それじゃあメリークリスマス」
「今夜はイブデスよ」
「固い事言わない、日本式だから」
「むう」
やや納得がいかなかったニーナだが、そのせいか食事中の話題は世界各国のクリスマス談義となり、彼女の就寝時間となるまで話の種は尽きる事は無かったのだった
「急にどうしたのデスか、黙ったと思ったら不機嫌になって」
「クリスマスにイチャイチャしてるカップルが多いと思ったらさ、なんとなく。俺さぁ、ずっと好きだった人に春先に振られたばっかでさ」
ややむくれながら、テーブルの上のシャンメリーの瓶を手に取り、きゅっと栓を捻ってポンと軽快な音と共に飛ばす
壁にぶつかった栓が床に落ち、ころころと転がっていたところをニーナが拾い上げてテーブルの隅に置いた
「片付けるのは後でいいのに」
「忘れてて、踏んだりしたら危ないデス」
「真面目だなぁ、ニーナは」
「家事を任せられている身デス。家の安全を考えるのは当たり前デス」
「ニーナが居てくれて良かったな、ホントに色々助かった」
「そんなに家事とかが苦手なのデスか?」
「それもあるけどさ」
並べたグラスにシャンメリーを注ぎながら、星は苦笑する
「一人のクリスマスって超寂しいぜ? 職場の人とか誘おうにも、クリスマスも休めない人ばっかだから気が引けるし」
家族は
そう聞こうとして、ニーナは思い留まる
星が今まで家族の話題を口にした事は無いからだ
「どうしたんだ、変な顔して」
「変な顔とは何デスか! それより折角のお料理が冷めてしまいマス!」
誤魔化すように怒ったふりをして、手近な話題に移し
「ん、そっか。それじゃあメリークリスマス」
「今夜はイブデスよ」
「固い事言わない、日本式だから」
「むう」
やや納得がいかなかったニーナだが、そのせいか食事中の話題は世界各国のクリスマス談義となり、彼女の就寝時間となるまで話の種は尽きる事は無かったのだった