誘拐と人食い 12
計画はほぼ完璧に出来上がった
あとは大量の水を発生、操作できる能力を持った契約者や都市伝説の到着を待つばかり
この一手で『ソニー・ビーン一家』はその無敵性を発揮する事無く溺死させ、排水処理と同時に容易に残党を殲滅する事ができる
それが今囚われの身であるポーラの悲願であり、彼らに『喰われた』事によりエネルギーとなり怨嗟の念と共に留まり続けている数多の魂への救済にもなる
その事はずっと彼女と語り続けてきたのだが
「いざとなったら決心が鈍るね、ホント。まあ人員が揃ったらやるしかないし、諦めもつくかな」
π-No.0、ピーターの内心を察したかのようなタイミングで、ポケットの中で携帯電話が鳴る
「はーい、こちらπ-No.0でーす」
人材が集まった報告だろうと電話を受けたピーターだが、通話相手の声を聞いて微妙な表情を浮かべていた
あとは大量の水を発生、操作できる能力を持った契約者や都市伝説の到着を待つばかり
この一手で『ソニー・ビーン一家』はその無敵性を発揮する事無く溺死させ、排水処理と同時に容易に残党を殲滅する事ができる
それが今囚われの身であるポーラの悲願であり、彼らに『喰われた』事によりエネルギーとなり怨嗟の念と共に留まり続けている数多の魂への救済にもなる
その事はずっと彼女と語り続けてきたのだが
「いざとなったら決心が鈍るね、ホント。まあ人員が揃ったらやるしかないし、諦めもつくかな」
π-No.0、ピーターの内心を察したかのようなタイミングで、ポケットの中で携帯電話が鳴る
「はーい、こちらπ-No.0でーす」
人材が集まった報告だろうと電話を受けたピーターだが、通話相手の声を聞いて微妙な表情を浮かべていた
―――
深々と頭を下げるメイド達の間を通り抜け、豪奢な扉を開き部屋に足を踏み入れるピーター
「よう来たのぅ」
珍しく苦虫を噛み潰したような顔をしているピーターを、不敵な笑みを浮かべた老人が出迎えた
「何の用? 今ちょっと忙しいんで、早めに済ませて欲しいんだけど」
「その割には、こんな辺鄙な場所までよう来たのぅ」
老人は意地の悪い笑みを浮かべ、ベッドから降りてバスローブを羽織る
「まあ落ち着け。儂が屋敷に男を招くだけでも特例中の特例じゃぞ? 女の子を助けるためじゃからの」
その言葉に、ピーターの表情が微妙に変わる
「お前さんの連れはまだ顔も身体も直接拝んどらんもんでな。その前に死なれてもうては勿体無かろうが」
「彼女の決意も作戦も無駄にするつもりは無いから。止めたいだけなら無駄だよ?」
「いやいや、人喰いなんて連中を放っておくつもりは無いぞ? ちょいとした代案を用意しただけでの」
「代案も何も……そもそも僕達がやろうとしてる事を、何で知ってる?」
「あんだけ派手に人員集めとりゃ、情報はそれなりに入ってくるわい」
老人が室内に設置されたカメラに目配せすると、メイド長が音も無く扉を開ける
「儂らの協力を受け入れるつもりは無いかの? 犠牲を出さずに『ソニー・ビーン一家』を殲滅できる、そんな手じゃて」
メイド長の背後から現れたのは、二人の男
「ジジイ、梨々じゃなく俺に何の用だ。ボケが進行して男に走ったんなら脳髄に鉛弾ブチ込んでスッキリさせてやるぞ?」
「ぼくも、普段は顧客に顔出す立場じゃないんだけど。いくらお得意様でもあんまり我侭言われても困るなぁ」
隣の男を牽制するかのように殺気を纏ったサロリアス
それをさらりと受け流しながら、営業スマイルを浮かべた『誘拐結社』のリーダー
どう考えても隣り合わせで現れる事が無さそうな二人の登場に、ピーターはどういう事かと問い質すような視線を向ける
「都市伝説の戦いで重要なのは相性じゃて。上手い事立ち回っとる『ソニー・ビーン一家』じゃがの、ここの面子が居ればどうとでもなる」
老人は曲者極まり無い笑みを浮かべて、三人の男を見回す
「ここの面子って、ぼくに何かさせる気? 別にそんな義理も無いし、誘拐したものを売る仕事はしてるけど、直接戦闘に荷担するってのは芸風じゃないんだけど」
「俺に何させようってんだジジイ。情報屋としてのコネ以外に用なんざ無ぇぞ。第一、こいつと組むとか本気で有り得ねぇ」
「まず音門、お前じゃ」
老人はびしりと人差し指を突きつける
「情報屋のコネとして儂を利用しとるのは判るがな? それなら『さとり』を寄越すのはちょいと仁義に反しとるじゃないかの? お?」
「うちの若い女はあいつだけだ。そっちの指名だろうが」
「おうとも。だがの、梨々ちゃんは能力のオンオフが可能のようじゃのう? それでいて儂の頭ん中探って情報を抜いていくよう指示したのは……お前さんじゃろ?」
「その話なら、梨々をひん剥いて満足したんじゃねぇのか」
「梨々ちゃんはそれで許したとも。だがお前さんは別じゃぞ?」
その言葉に、露骨に舌打ちするサロリアス
「……俺に何をさせるつもりだ?」
「お前の『誘拐結社』への貸し、儂に寄越せ」
「そういう事か」
サロリアスは露骨に顔を顰め、隣の青年を睨み付ける
「先日喫茶店で話した一件、俺ぁもう何も言わねぇ。その代わりジジイの仕事を引き受けろ、お前らの都合のいい範囲で構わねぇ」
「なるほど、そういう流れなら仕方ない」
青年は肩を竦め、サロリアスから離れぼすりとソファに腰を下ろす
「多少主義に反するけど、それじゃお引き受けしましょうか……めんどくさいけど」
「とまあ、ここまで手が揃えばあとはお前さんだけじゃがの?」
流れるような話の展開に、半ば呆れたように席につくピーター
「内容次第ではすぐに話は打ち切らせてもらうから」
「かかか、都市伝説の戦いは相性よ。まあこういう手合いと組むのを嫌がる連中も多いがの」
老人は青年に視線を送り、笑みを浮かべたままふんぞり返る
「あとうちの組織って自由主義だから、ぼくが了承しても他の連中が動くかとか判らないからね?」
「安心せい、お前さん一人いれば充分片付く。まあ数がおった方が確実じゃがのぅ」
その様子を壁際で一人離れて見ていたサロリアスは、呆れた顔で溜息を吐き
「ジジイ、この部屋は禁煙か?」
「煙草が嫌いな女の子がおらん時はフリーじゃぞ」
その言葉に、ドアの前に控えたメイド長にちらりと視線を向ける
「灰皿をお持ちしますね」
「携帯灰皿がある、別にいい」
そう言ってサロリアスは、所在なさげに一人煙草に火を点けた
「よう来たのぅ」
珍しく苦虫を噛み潰したような顔をしているピーターを、不敵な笑みを浮かべた老人が出迎えた
「何の用? 今ちょっと忙しいんで、早めに済ませて欲しいんだけど」
「その割には、こんな辺鄙な場所までよう来たのぅ」
老人は意地の悪い笑みを浮かべ、ベッドから降りてバスローブを羽織る
「まあ落ち着け。儂が屋敷に男を招くだけでも特例中の特例じゃぞ? 女の子を助けるためじゃからの」
その言葉に、ピーターの表情が微妙に変わる
「お前さんの連れはまだ顔も身体も直接拝んどらんもんでな。その前に死なれてもうては勿体無かろうが」
「彼女の決意も作戦も無駄にするつもりは無いから。止めたいだけなら無駄だよ?」
「いやいや、人喰いなんて連中を放っておくつもりは無いぞ? ちょいとした代案を用意しただけでの」
「代案も何も……そもそも僕達がやろうとしてる事を、何で知ってる?」
「あんだけ派手に人員集めとりゃ、情報はそれなりに入ってくるわい」
老人が室内に設置されたカメラに目配せすると、メイド長が音も無く扉を開ける
「儂らの協力を受け入れるつもりは無いかの? 犠牲を出さずに『ソニー・ビーン一家』を殲滅できる、そんな手じゃて」
メイド長の背後から現れたのは、二人の男
「ジジイ、梨々じゃなく俺に何の用だ。ボケが進行して男に走ったんなら脳髄に鉛弾ブチ込んでスッキリさせてやるぞ?」
「ぼくも、普段は顧客に顔出す立場じゃないんだけど。いくらお得意様でもあんまり我侭言われても困るなぁ」
隣の男を牽制するかのように殺気を纏ったサロリアス
それをさらりと受け流しながら、営業スマイルを浮かべた『誘拐結社』のリーダー
どう考えても隣り合わせで現れる事が無さそうな二人の登場に、ピーターはどういう事かと問い質すような視線を向ける
「都市伝説の戦いで重要なのは相性じゃて。上手い事立ち回っとる『ソニー・ビーン一家』じゃがの、ここの面子が居ればどうとでもなる」
老人は曲者極まり無い笑みを浮かべて、三人の男を見回す
「ここの面子って、ぼくに何かさせる気? 別にそんな義理も無いし、誘拐したものを売る仕事はしてるけど、直接戦闘に荷担するってのは芸風じゃないんだけど」
「俺に何させようってんだジジイ。情報屋としてのコネ以外に用なんざ無ぇぞ。第一、こいつと組むとか本気で有り得ねぇ」
「まず音門、お前じゃ」
老人はびしりと人差し指を突きつける
「情報屋のコネとして儂を利用しとるのは判るがな? それなら『さとり』を寄越すのはちょいと仁義に反しとるじゃないかの? お?」
「うちの若い女はあいつだけだ。そっちの指名だろうが」
「おうとも。だがの、梨々ちゃんは能力のオンオフが可能のようじゃのう? それでいて儂の頭ん中探って情報を抜いていくよう指示したのは……お前さんじゃろ?」
「その話なら、梨々をひん剥いて満足したんじゃねぇのか」
「梨々ちゃんはそれで許したとも。だがお前さんは別じゃぞ?」
その言葉に、露骨に舌打ちするサロリアス
「……俺に何をさせるつもりだ?」
「お前の『誘拐結社』への貸し、儂に寄越せ」
「そういう事か」
サロリアスは露骨に顔を顰め、隣の青年を睨み付ける
「先日喫茶店で話した一件、俺ぁもう何も言わねぇ。その代わりジジイの仕事を引き受けろ、お前らの都合のいい範囲で構わねぇ」
「なるほど、そういう流れなら仕方ない」
青年は肩を竦め、サロリアスから離れぼすりとソファに腰を下ろす
「多少主義に反するけど、それじゃお引き受けしましょうか……めんどくさいけど」
「とまあ、ここまで手が揃えばあとはお前さんだけじゃがの?」
流れるような話の展開に、半ば呆れたように席につくピーター
「内容次第ではすぐに話は打ち切らせてもらうから」
「かかか、都市伝説の戦いは相性よ。まあこういう手合いと組むのを嫌がる連中も多いがの」
老人は青年に視線を送り、笑みを浮かべたままふんぞり返る
「あとうちの組織って自由主義だから、ぼくが了承しても他の連中が動くかとか判らないからね?」
「安心せい、お前さん一人いれば充分片付く。まあ数がおった方が確実じゃがのぅ」
その様子を壁際で一人離れて見ていたサロリアスは、呆れた顔で溜息を吐き
「ジジイ、この部屋は禁煙か?」
「煙草が嫌いな女の子がおらん時はフリーじゃぞ」
その言葉に、ドアの前に控えたメイド長にちらりと視線を向ける
「灰皿をお持ちしますね」
「携帯灰皿がある、別にいい」
そう言ってサロリアスは、所在なさげに一人煙草に火を点けた
―――
「最上さーんっ! 見捨てて逃げるとか酷いじゃないですか!?」
引き裂かれ血塗れになった服は見る影もなくズタボロになっており、辛うじて全裸を免れている程度の有様だった
そんな彼が見たものは、路地裏の一角で椿の上着を羽織る半裸の少女の姿
「最上さん、そっちの趣味がごっ!?」
顎をつま先で綺麗に蹴り抉られ、半回転して受身も無しに後頭部からアスファルトに叩きつけられる
「いやいや俺は別に最上さんがそっちの趣味でも何ら問題ないというか、むしろそちらの可愛らしいお嬢さんとセットでお相手をしていただきたく!」
が、即座に跳ね起きて、素肌に直接上着を羽織った少女に飛び掛る南八
「ひいっ!?」
少女は悲鳴を上げて、鎌と鉄針をその脳天に叩き込んだ
「近寄るな!? ぶっ殺されたいのかよ! というかむしろぶっ殺す!」
涙目で椿の後ろに隠れる少女
その能力、その態度、その口調は
「ゲェー!? 貴様っ、あの時の痴漢かっ!」
「だから痴漢じゃねぇよ!? 都市伝説ってもんを理解しろよこの町に住んでるならよ!?」
その少女は『赤紙青紙』
赤と青の包帯のような紙に覆われていた身体はボリューム感には乏しく、元々のカラフルなミイラのような姿では小柄な男性にしか見えない
顔まで覆っていた巻紙は声をくぐもらせていたらしく、素顔を晒した折には声まで可愛らしく聞こえてくる
ちなみに身体を覆っていた紙だが、『ソニー・ビーン一家』の子供達から逃げる折に所々が破れ落ちてしまい、現状のような格好になってしまっていたのである
「よし、そのままこっち見るな。女の肌を直に見ると目が潰れるぞ。むしろ私が潰す」
鎌と鉄針で叩き落された南八を、止めを刺すように蹴り転がす
だがその程度でどうにかなるようならとっくに死んでいるのがこの男である
「例え潰れようがこの両目に焼き付けるのが男としての義務でおんぎゃー!?」
跳ねるように起き上がった南八の両目に、カウンターで椿の人差し指と中指が抉り込まれる
「目がっ!? 目が抉れたように痛いっ!?」
「それで済むお前が最近は割と不思議に思えてきたぞ」
指先をハンカチで拭いながら、椿は呆れたように呟いた
「こんなバカを殺す事に情熱を注がないで、もっと建設的に生きた方がいいぞ。殺せるなら殺してくれた方が有り難いが」
「でも、俺って襲って殺す以外の存在意義を知らないし」
「それじゃあ不肖この俺が女としての幸せを教えてあげぶほっ!?」
即座に喉仏をつま先で抉られ、悶絶し転げ回る南八
「とりあえずうちに来い。殺すだのなんだのとかいう不毛な存在意義を矯正してやる」
「ふ、不毛って……俺、マジで何で存在してるんだろう」
がっくりと項垂れる『赤紙青紙』
「ともあれ、道理でもげないわけだ。もぐものが付いてないんだからな、どっちにも」
「何の話だよ」
「別に何でもない。そこのバカが復活する前に行くぞ、私の家を知られたくない」
「最上さんの家ですげひゅ!?」
予想通り起き上がってきた南八の鳩尾に、抉るようなボディブローを叩き込んで再び黙らせ
「女だってバレたから、今後顔を合わせたら追いまわされるぞ。匿ってやるから早く来い」
「ひぃっ!? わ、わかった! 早く、早く!」
路地裏から飛び出してすぐにタクシーを拾う二人の女性
「うう……契約者、欲しい」
存在意義を変えるにも、今よりずっと強くなるのにも、必要なのは契約者である
「私はダメだぞ、もう契約してるものがある」
「都市伝説との契約無しでその強さだったら、俺、本気で都市伝説辞めたい……」
この町にはそれなりに、契約も何も無しでそこいらの化物より圧倒的に強い人間も存在するのだが
二人はそんな存在は知らないし、出会った事も無いのは幸か不幸か
ちなみにこの後、血塗れの全裸男が路地裏に倒れているという通報により、救急車より先に駆けつけた警察によって保護された南八は、その元気さから酔っ払いとして処理され留置所にお世話になるのであったとさ
引き裂かれ血塗れになった服は見る影もなくズタボロになっており、辛うじて全裸を免れている程度の有様だった
そんな彼が見たものは、路地裏の一角で椿の上着を羽織る半裸の少女の姿
「最上さん、そっちの趣味がごっ!?」
顎をつま先で綺麗に蹴り抉られ、半回転して受身も無しに後頭部からアスファルトに叩きつけられる
「いやいや俺は別に最上さんがそっちの趣味でも何ら問題ないというか、むしろそちらの可愛らしいお嬢さんとセットでお相手をしていただきたく!」
が、即座に跳ね起きて、素肌に直接上着を羽織った少女に飛び掛る南八
「ひいっ!?」
少女は悲鳴を上げて、鎌と鉄針をその脳天に叩き込んだ
「近寄るな!? ぶっ殺されたいのかよ! というかむしろぶっ殺す!」
涙目で椿の後ろに隠れる少女
その能力、その態度、その口調は
「ゲェー!? 貴様っ、あの時の痴漢かっ!」
「だから痴漢じゃねぇよ!? 都市伝説ってもんを理解しろよこの町に住んでるならよ!?」
その少女は『赤紙青紙』
赤と青の包帯のような紙に覆われていた身体はボリューム感には乏しく、元々のカラフルなミイラのような姿では小柄な男性にしか見えない
顔まで覆っていた巻紙は声をくぐもらせていたらしく、素顔を晒した折には声まで可愛らしく聞こえてくる
ちなみに身体を覆っていた紙だが、『ソニー・ビーン一家』の子供達から逃げる折に所々が破れ落ちてしまい、現状のような格好になってしまっていたのである
「よし、そのままこっち見るな。女の肌を直に見ると目が潰れるぞ。むしろ私が潰す」
鎌と鉄針で叩き落された南八を、止めを刺すように蹴り転がす
だがその程度でどうにかなるようならとっくに死んでいるのがこの男である
「例え潰れようがこの両目に焼き付けるのが男としての義務でおんぎゃー!?」
跳ねるように起き上がった南八の両目に、カウンターで椿の人差し指と中指が抉り込まれる
「目がっ!? 目が抉れたように痛いっ!?」
「それで済むお前が最近は割と不思議に思えてきたぞ」
指先をハンカチで拭いながら、椿は呆れたように呟いた
「こんなバカを殺す事に情熱を注がないで、もっと建設的に生きた方がいいぞ。殺せるなら殺してくれた方が有り難いが」
「でも、俺って襲って殺す以外の存在意義を知らないし」
「それじゃあ不肖この俺が女としての幸せを教えてあげぶほっ!?」
即座に喉仏をつま先で抉られ、悶絶し転げ回る南八
「とりあえずうちに来い。殺すだのなんだのとかいう不毛な存在意義を矯正してやる」
「ふ、不毛って……俺、マジで何で存在してるんだろう」
がっくりと項垂れる『赤紙青紙』
「ともあれ、道理でもげないわけだ。もぐものが付いてないんだからな、どっちにも」
「何の話だよ」
「別に何でもない。そこのバカが復活する前に行くぞ、私の家を知られたくない」
「最上さんの家ですげひゅ!?」
予想通り起き上がってきた南八の鳩尾に、抉るようなボディブローを叩き込んで再び黙らせ
「女だってバレたから、今後顔を合わせたら追いまわされるぞ。匿ってやるから早く来い」
「ひぃっ!? わ、わかった! 早く、早く!」
路地裏から飛び出してすぐにタクシーを拾う二人の女性
「うう……契約者、欲しい」
存在意義を変えるにも、今よりずっと強くなるのにも、必要なのは契約者である
「私はダメだぞ、もう契約してるものがある」
「都市伝説との契約無しでその強さだったら、俺、本気で都市伝説辞めたい……」
この町にはそれなりに、契約も何も無しでそこいらの化物より圧倒的に強い人間も存在するのだが
二人はそんな存在は知らないし、出会った事も無いのは幸か不幸か
ちなみにこの後、血塗れの全裸男が路地裏に倒れているという通報により、救急車より先に駆けつけた警察によって保護された南八は、その元気さから酔っ払いとして処理され留置所にお世話になるのであったとさ