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連載 - 恐怖のサンタ-a15

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uranaishi

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恐怖のサンタ 日常編 15


「…………『教会』?」

 佑香の言葉に、真っ先に反応したのはデビ田だった。

「オイがき、ソイツハ何テ言ッテヤガッタ?」
「私はガキじゃないけど、『教会』がここに来るとかどうとか」
「…………アリエネェ」

 ポケットの中で、デビ田が苦々しげに呟く。
 ……が、俺には今の話のどこにそんな重苦しくなる要素があるのか分からなかった。
 マゾの俺と同じような感想なのか、頭に疑問符を浮かべている。

「おいデビ田。俺とマゾが話しについていけてないんだけどさ」
「知ルカ」
「いや知ってくれよ……」
「アァ? ッツーカテメェラ『教会』モ知ラネェノカヨ」
「馬鹿にするな。あれだろ、神父さんが居てオルガンがあって礼拝なんかする」
「ソッチジャネェヨ」

 そっちじゃないと言われても、そもそも俺には何が選択肢に上がっているのかが分からないわけだが。

「むぅ、教会、教会……どこかで聞いた事があるような気がするんですがねー」
「アァアァ了解了解。テメェラガ何ッッッッッッニモ知ラネェノハヨォォォォク分カッタ」

 胸ポケットから、デビ田が鎌首をもたげる。
 心なしか、その顔は意地悪く笑っているように見えた。

「がき、ソイツノ首ニ何カカカッテタロ。見タカ?」
「私ガキじゃないけど、十字架みたいなネックレスがかかってたよ。そうだ山田、私あれ欲しい」
「高くなけりゃな。つーかなんだ、やっぱりそれ、その教会とか言うのに関係してるのか?」

 頼めば売ってくれるだろうか。高くなければいいのだが。
 密かに脳裏でそろばんをはじき始めた俺を、デビ田は鼻で笑う。

「ハッ! 止メトケ止メトケ。縁起デモネェ」
「いや、縁起でもねぇって言われても、マジでさっきから話が見えてこないんだけど……」

 4人の中で、デビ田一人が訳知り顔である。
 ――『教会』。そういえば俺も、以前誰かから聞いた事があるようなないような……。

「アァ。ジャァ手短ニ言ウゾ。『教会』ッテノハナァ――――」
「はるくーん、ご飯できたから、準備してもらっていーいー?」

 ――――台所から、声。
 どうやら、一通りの仕度が終わったので、俺たちに料理を運んで欲しいらしい。

「……なるほど、教会というのはご飯なわけですか」
「被ッタニシテモ無理アルダロ、ソノ解釈。ッツーカへたれテメェハ何立チ上ガッテンダ。話ハマダ終ワッテネェゾ」
「いやだって良子が準備しろって言ってるし……」
「ダカラテメェハへたれナンダヨ。チョット位大丈夫ニ決マッテンダロォガ」
「じゃあ後で、お仕置き受けような、一緒に」
「………………」
「………………」
「…………ヨシ、話ハ後ダ」
「ですよねー」
「――二人とも、ヘタレ」
「ヘタレじゃないよ! 戦略的譲歩だよ!」
「ふーん…………」

 興味なさげに、佑香が視線をずらす。
 行く先は俺の後方。そしてその先には

 ぎしゃー
 しゃぎゃー

 今ようやく起き上がろうとしている子ライオン二匹がいた。
 佑香の目が、獲物を狙う猫のように細くなる。
 ……南無阿弥陀仏。俺は二匹のことを忘れないよ。

「山田、ちょっと私、遊んでくるね」
「動物虐待にならない程度にな」
「大丈夫だよ、私は慈愛で満ち溢れてるから」

 ――――嘘つけー。
 子ライオンへと音を立てずに忍び寄る佑香を横目に、俺は心の中で呟いた。
 …………やっぱり俺、ヘタレかもしれない。

「……じゃ、行くか」
「契約者。私も手伝いますよー」

 腰を上げると、マゾも一緒に立ち上がる。
 デビ田はといえば、我関せずといった体でポケットの中で身体を丸めていた。
 もとより何が出来るというわけではないが、やはり手伝うつもりはないらしい。

「悪いな」

 マゾに手で感謝の意を示して、二人で台所へと向かう。
 ――今日の夕飯は、何だろう。
 そのときの俺の頭には、『教会』のことなど、ほとんど残っていなかった。




【Continued...】




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