「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 花子さんと契約した男の話-60

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 玄宗さんを隣の部屋に連れて行き、キャリアウーマン風のスーツの女性に事情を説明し、布団をしいてもらった
 ……女性の視線が、何かおかしかったのは気のせいだろう
 女性の背後で、女子中学生の生首が涙目で震えているのも気のせいだろう、多分

 とにかく、玄宗さんを休ませる
 …相当、顔色が悪い
 かなり、無理をしてくれたようだ
 翼さんから聞いた事があるが、玄宗さんは、あまり体が丈夫ではないらしい
 それに、契約都市伝説との相性が悪く、使うたびに疲労を背負い込んでしまうそうだ
 ……今回のこれも、疲労を背負い込んだ結果なのだろう
 休めば治ると言っていたが…

「…本当に、大丈夫ですか?」
「……むぅ……問題、ない」

 こちらの問いに、そう答えてくる玄宗さん
 だが、声にも、疲労の色が滲み出ている
 やはり…相当、無茶をしたようだ

「…すみません、無理をさせてしまって」
「むぅ。君が責任を感じる事などない。暗示をかけたのはA-No.666とやらだし、それを解くと言う行為は、僕が進んで行った事だ」

 淡々と、玄宗さんはそう答えてくる
 …俺が言えた台詞じゃないかもしれないが、表情が乏しく、感情が伝わりにくい

「…僕は、彼女達に力になると言いながら。結局、彼女達を救えなかったのだよ。だから、これが……せめて、僕に出来る、罪滅ぼしだ。他にも、今後の生活のサポートなど、できればよいのだが…」
「……天倉達の、今後の生活については、学費や生活費の面については、「組織」から支給される事になっている、そうですね」
「あぁ、天地から、聞いたのかい?……そうらしい、「組織」としては、身内がやらかした罪だからね。その責任をとって……との、事なのだろうな」

 そう言うことなのだろう
 だが、それを行うのは、天倉達を傷つけ、彼女らの両親を奪ったA-No.666の所属していた派閥ではなく…大門 大樹さんや、広瀬 宏也さんが所属している穏健派との事だ
 奴らが責任を取る訳ではない
 ……筋が通らない
 奴らは、犯した罪の償いをしないと言うのか

「獄門寺 龍一…だったな」
「……はい」
「君が今抱いている怒り。それは、彼女らの友人として抱く怒りかい?それとも……学校町を、その住人を守護すると言う役目を担う、獄門寺家の人間としての怒りかい?」

 どこか、淡々とした、その問いかけに
 俺は、短く答える

「…両方、です」

 誤魔化したわけではない
 正直な、答え
 天倉達の友人としても、怒りを抱いているし
 …獄門寺家の人間としても…俺は、怒りを抱いているのだと思う
 どちらの怒りの比率が高いか?
 ……それを尋ねられると、どう、答えたら良いか、わからなくなるが

「そうか。君は、獄門寺家の役割を、理解しているのだな」
「……そう言う家に生まれたからには。役割を理解し、まっとうすべきであると、考えています」
「むぅ……翼の言っていた通り、なかなかに真面目な性格だな」

 顔色が悪いまま、玄宗さんは小さく苦笑してくる
 女性のような、綺麗な笑顔
 だが、その笑顔は、まるで病床で浮かべる最期の笑顔と錯覚しそうな儚さを含んでいるようにも見えた

「君が真面目なのはよくわかったが…無理をしないようにな。君が背負おうとしているその責任は、あまりにも大きく、重たすぎる」
「……そのお言葉、そのまま返します。玄宗さん、あなたも…「仲介者」としての責任を、背負っているのでしょう」

 この人は、「仲介者」
 他の都市伝説契約者に、都市伝説退治の仕事を依頼する者
 …命の危険、それが伴う仕事
 それを、他人に紹介すると言う、責任
 この人は、それを重く背負っている
 翼さんから聞いた話だと、一度、紹介した仕事で相手が危険な目にあった事があり、しばらく責任を感じて、都市伝説退治の仕事を他人に任せず、自分ひとりで全て担おうとした事があったらしい
 周囲が説得して、どうにかなったらしいが…

 …今回の件でも
 天倉達に、玄宗さんは「何かあったら、助ける」と約束したらしい
 そうしておきながら、天倉達を救えなかった、とこの人は感じている
 だから
 あんな無理を、平気でしたのだろう

「……何、君の背負う事になる責任と比べれば……まだ、マシさ。君の背負う事になる責任は…学校町と言う街故の重みがあるのだから」

 そう言って、玄宗さんは目を閉じた
 そのまま、小さく苦笑してくる

「…すまない、僕は、少し眠らせてもらう……君は、彼女らが心配だろう?彼女達のところに戻るといい」
「……ですが」
「むぅ。僕は子供ではないのだから、誰かが見守って入れくれないと眠れない、と言う事はないよ」

 …玄宗さんを、一人置いていくのは気が引けるが…天倉達が心配なのも、事実
 すみません、と俺は頭を下げて、天倉達がいる部屋に戻ることにした

 ………この後待っている、将門公がつけてくれる稽古に、備えながら





to be … ?




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