「歩み止めるは叶わず」より
*
ケモノツキ_13_「教会」は警告する
学校町とは不干渉であったはずの「教会」。
それが明らかな害意を持って、学校町に進入してきた。
そして、「学校町に何かが起きる」と警告してきた
「協会」は敵ではないのか?それなのになぜ警告を?「教会」の目的は?
答えの出ぬ問題に、悠司は半ば混乱していた。
それが明らかな害意を持って、学校町に進入してきた。
そして、「学校町に何かが起きる」と警告してきた
「協会」は敵ではないのか?それなのになぜ警告を?「教会」の目的は?
答えの出ぬ問題に、悠司は半ば混乱していた。
「……「協会」が学校町を…襲う?」
『焼き尽くされるか凍りつかされるって、結構ヤバいんじゃない?』
『主、すぐにでも黒服に報告するべきです。』
「そうだ、黒服さんに報告して「組織」に止めてもら……。」
『焼き尽くされるか凍りつかされるって、結構ヤバいんじゃない?』
『主、すぐにでも黒服に報告するべきです。』
「そうだ、黒服さんに報告して「組織」に止めてもら……。」
携帯電話に伸ばされた手が止まる。
「組織」に報告することが一番正しい方法であると、理解はしている。
だが、先ほどのカインの態度と司祭の言葉をみると、二人は親しげな間柄に思えた。
カインは自分を信頼してくれていて、その結果、司祭は悠司へ警告をしてくれた。
その双方の信頼を裏切るような行為に、悠司は戸惑いを覚える。
「組織」に報告することが一番正しい方法であると、理解はしている。
だが、先ほどのカインの態度と司祭の言葉をみると、二人は親しげな間柄に思えた。
カインは自分を信頼してくれていて、その結果、司祭は悠司へ警告をしてくれた。
その双方の信頼を裏切るような行為に、悠司は戸惑いを覚える。
『おい主、なにボーっとしてんだよ。報告すんじゃねーのか。』
「……黒服さんに報告したら、あの人…「組織」」に狙われるんじゃ…。」
『そうなんじゃない?「組織」ってそういうもんだし。』
「それって、僕を気遣って警告してくれた人を、僕の手で危険に晒す、ってこと……だよね。」
『じゃあ学校町が壊されるのを黙って待つってのか?』
「そ…それは……。」
「……黒服さんに報告したら、あの人…「組織」」に狙われるんじゃ…。」
『そうなんじゃない?「組織」ってそういうもんだし。』
「それって、僕を気遣って警告してくれた人を、僕の手で危険に晒す、ってこと……だよね。」
『じゃあ学校町が壊されるのを黙って待つってのか?』
「そ…それは……。」
わかっている。そんなことはできるはずが無い。許されるはずが無い。
二人の信頼を失うことと、学校町全体の危険を天秤にかければ、答えは明らかだ。
だが悠司は、そこまで割り切って考えることはできない。
二人の信頼を失うことと、学校町全体の危険を天秤にかければ、答えは明らかだ。
だが悠司は、そこまで割り切って考えることはできない。
そんな悠司の心中を察して、タマモが悠司に話しかける。
『主、先の司祭は、こちらが何らかの組織に加入していることを悟ったと思われます。そして、その上で警告してきました。
ならば自分の話した情報が、私たちの組織に流れることも見越している…とは考えられませんか?』
「それは…そうかもしれない。でもそれって、「協会」への裏切り行為じゃ…?」
『警告した理由は、主がカインの縁者だったから…と言ってはいましたが、それも本音かどうかはわかりませんね。』
『ホントはあんなことしたくないんじゃない?誰かに止めて欲しいとか。』
『その可能性も考えられますね。いずれも今は憶測にすぎませんが。』
ならば自分の話した情報が、私たちの組織に流れることも見越している…とは考えられませんか?』
「それは…そうかもしれない。でもそれって、「協会」への裏切り行為じゃ…?」
『警告した理由は、主がカインの縁者だったから…と言ってはいましたが、それも本音かどうかはわかりませんね。』
『ホントはあんなことしたくないんじゃない?誰かに止めて欲しいとか。』
『その可能性も考えられますね。いずれも今は憶測にすぎませんが。』
あの司祭は、悠司が「組織」に報告することを望んでいるのかもしれない。
タマモたちの言葉を受け、悠司はそう考えた。
しかし今度はカインのことが頭をよぎる。
カインと親しい同胞を「組織」へ売る行為に、悠司は再び悩む。
タマモたちの言葉を受け、悠司はそう考えた。
しかし今度はカインのことが頭をよぎる。
カインと親しい同胞を「組織」へ売る行為に、悠司は再び悩む。
「でも…カインさんと親しい人を危険に晒すなんて、そんなのカインさんが……」
『いつまでもうじうじ言ってんじゃねーよ鬱陶しい。じゃあカインの野郎に直接聞いてみりゃいいだろうが。』
「…えっ?」
『あ、それいいかもー。それが一番わかりやすいじゃん?』
「で、でもさっきの人、自分が言ったということは伏せて欲しいって言ってたけど…。」
『そこは適当に誤魔化しましょう。それくらいならどうとでもなりますよ。』
『今ならまだ俺が匂いであいつを追えるぞ。どうするんだ、主?』
『いつまでもうじうじ言ってんじゃねーよ鬱陶しい。じゃあカインの野郎に直接聞いてみりゃいいだろうが。』
「…えっ?」
『あ、それいいかもー。それが一番わかりやすいじゃん?』
「で、でもさっきの人、自分が言ったということは伏せて欲しいって言ってたけど…。」
『そこは適当に誤魔化しましょう。それくらいならどうとでもなりますよ。』
『今ならまだ俺が匂いであいつを追えるぞ。どうするんだ、主?』
あの司祭が「組織」への報告を良しとして、カインもそれを良しとするなら、悩む道理はどこにもない。
「…うん、わかった。お願い、タイガ。カインさんを探し出して。」
そう言って目を閉じる悠司。
直後、タイガが目を開き、周囲を見渡しながら気だるそうに頭をかいた。
直後、タイガが目を開き、周囲を見渡しながら気だるそうに頭をかいた。
「戦えねぇのはつまんねぇな……。めんどくせぇからさっさと終わらせるぞ。」
タイガは辺りの匂いを数回嗅ぐと、カインの去った方向へむけて走り出した。
『ねえタマモ。質問を誤魔化すって言ってたけど、どうすればいいの?』
『そうですね…。まず話す内容ですが――――』
『そうですね…。まず話す内容ですが――――』
・
・
・
・
・
既に日は落ちて暗くなった学校町を、タイガは迷うことなく走っていく。
雪の降る中でもタイガの嗅覚は、確実にカインの匂いを捕らえていた。
そしてついに、前方に見知った後姿を見つけた。
後ろから走ってくる音に気付いたのか、カインが後ろを振り返った。
雪の降る中でもタイガの嗅覚は、確実にカインの匂いを捕らえていた。
そしてついに、前方に見知った後姿を見つけた。
後ろから走ってくる音に気付いたのか、カインが後ろを振り返った。
「悠司…?」
「やっと見つけたぜ……。主がお前に話があるってよ。じゃ、あとは勝手にしろ。」
「やっと見つけたぜ……。主がお前に話があるってよ。じゃ、あとは勝手にしろ。」
タイガは目を閉じ、悠司に体を明け渡す。
そして襲い掛かる筋肉痛に、悠司は雪の上に崩れ落ちた。
そして襲い掛かる筋肉痛に、悠司は雪の上に崩れ落ちた。
「ゆ、悠司ッ!?大丈夫か!?」
崩れ落ちた悠司に駆け寄るカイン。
その様子を見て、以前と同じ能力の代償だと判断したカインは、悠司に手をかざす。
すると優しい光が悠司を包み、その体を癒していく。
その様子を見て、以前と同じ能力の代償だと判断したカインは、悠司に手をかざす。
すると優しい光が悠司を包み、その体を癒していく。
「す、すみませんカインさん……。」
「気にしなくていい。だが、そうまでして俺を探して一体どうしたんだ?」
「……カインさんに、相談したいことがあるんです。聞いて、もらえますか?」
「気にしなくていい。だが、そうまでして俺を探して一体どうしたんだ?」
「……カインさんに、相談したいことがあるんです。聞いて、もらえますか?」
悠司はカインの目を見つめる。
その目から深刻さを感じ取り、カインは深く頷いた。
その目から深刻さを感じ取り、カインは深く頷いた。
「わかった、俺でよければ相談に乗ろう。」
「……ありがとうございます。」
「……ありがとうございます。」
一度深く深呼吸をしてから、悠司はゆっくりと話し始めた。
「僕の友人が……悪いことをしようとしてるのを知ってしまったんです。
それを止めたいけれど、僕の力ではどうすることもできなくて……その友人を止めるよう、他の人にお願いしようと思っているんです。
でもそうすると、その友人は一生辛いことになるかもしれない……。かといって何もしなければ、関係のない多くの人が不幸になる。
……もしカインさんならこういうとき、どうするべきだと思いますか?」
それを止めたいけれど、僕の力ではどうすることもできなくて……その友人を止めるよう、他の人にお願いしようと思っているんです。
でもそうすると、その友人は一生辛いことになるかもしれない……。かといって何もしなければ、関係のない多くの人が不幸になる。
……もしカインさんならこういうとき、どうするべきだと思いますか?」
カインの目を真っ直ぐ見つめながら、悠司はその答えを待つ。
【ケモノツキ_13_「教会」は警告する】 終
「答える者」へ続く