恐怖のサンタ 日常編 19
「第三十八回山田家総会議ー!」
「わー!」
「ゎ、ゎー」
「わー!」
「ゎ、ゎー」
ハイテンションで切り出した俺に合わせてくれたのは、良子と小声の沙希だけだった。
顔を赤くしている沙希を見ると、悪い事をさせてしまったのかもしれない。
顔を赤くしている沙希を見ると、悪い事をさせてしまったのかもしれない。
昼がそろそろ夕方へと変わりそうな時刻。
わずか八畳ほどの小さな居間に、山田家の面々が揃っていた。
人間の側は丸テーブルを囲むようにして座り、動物二匹は部屋の隅の暗いところでじゃれあっている。
突然の召集に俺を除く四人の内半数は若干の困惑顔。一人が今日の予定を潰され語立腹の様子。最後の一人はここ三時間ほど携帯と格闘していた。
わずか八畳ほどの小さな居間に、山田家の面々が揃っていた。
人間の側は丸テーブルを囲むようにして座り、動物二匹は部屋の隅の暗いところでじゃれあっている。
突然の召集に俺を除く四人の内半数は若干の困惑顔。一人が今日の予定を潰され語立腹の様子。最後の一人はここ三時間ほど携帯と格闘していた。
「で? いきなりどうしたの、山田。私これでも忙しいんだけど」
「予定を無理やり空けさせたのは悪かった。緊急の事なんだ」
「はるくんはるくん、緊急なら『山田家緊急総会議』にした方がいいと思うな」
「なるほど、これは盲点だった」
「一生盲点でよかったのに」
「よおし、じゃあ最初の掛け声からやっちゃうぞ!」
「ねぇこれのどこが緊急?」
「俺様ニ聞クナ。ちびがき」
「なんだとー! チビだけど私ガキじゃないし」
「がきガがきダッテ気ヅイタ時ニ初メテがきジャナクナルンダヨテメェ」
「じゃあ私今気づいた今大人になったー」
「小学生カテメェ」
「小学生だもん」
「アア……ソウダッタナ、ソウイヤ」
「第三十八回山田家緊急総会議ー!」
「わー!」
「ゎー」
「予定を無理やり空けさせたのは悪かった。緊急の事なんだ」
「はるくんはるくん、緊急なら『山田家緊急総会議』にした方がいいと思うな」
「なるほど、これは盲点だった」
「一生盲点でよかったのに」
「よおし、じゃあ最初の掛け声からやっちゃうぞ!」
「ねぇこれのどこが緊急?」
「俺様ニ聞クナ。ちびがき」
「なんだとー! チビだけど私ガキじゃないし」
「がきガがきダッテ気ヅイタ時ニ初メテがきジャナクナルンダヨテメェ」
「じゃあ私今気づいた今大人になったー」
「小学生カテメェ」
「小学生だもん」
「アア……ソウダッタナ、ソウイヤ」
「第三十八回山田家緊急総会議ー!」
「わー!」
「ゎー」
……やべぇなんだこのカオス。
無秩序ってレベルじゃないぞ。
無秩序ってレベルじゃないぞ。
「どうしてこうなった」
「発端は山田」
「発端は山田」
ですよねー。
俺は軽く咳払いをして、場を紛らわせる。
まずは今日の報告からだ。
マゾから預かっていた紙束を、テーブルの上に置く。
まずは今日の報告からだ。
マゾから預かっていた紙束を、テーブルの上に置く。
「今日、マゾが例の三人の一人から『教会』関する情報を貰ってきた」
「あ、契約者。その『資料』後でちゃんと返してくださいね。我が家の家宝にするんですから」
「始まったと思ったらいきなり話の腰が折れたね、山田」
「折れたなぁ。というか家宝って」
「初めて直希様が私に下さった「プレゼント」ですよ! 形ある物ですよ! 勿論十重二十重に新聞紙で包んで高そうな箱に入れて毎日拝むに決まってるじゃないですか」
「ソンナ物残サレタ子孫ハドウスリャイインダヨ、ソレ」
「毎日拝むのは家訓にします」
「嫌過ぎる…………」
「あ、契約者。その『資料』後でちゃんと返してくださいね。我が家の家宝にするんですから」
「始まったと思ったらいきなり話の腰が折れたね、山田」
「折れたなぁ。というか家宝って」
「初めて直希様が私に下さった「プレゼント」ですよ! 形ある物ですよ! 勿論十重二十重に新聞紙で包んで高そうな箱に入れて毎日拝むに決まってるじゃないですか」
「ソンナ物残サレタ子孫ハドウスリャイインダヨ、ソレ」
「毎日拝むのは家訓にします」
「嫌過ぎる…………」
――――閑話休題。
「いや、さっきから話ズレ過ぎだろ」
「発端は山田」
「いや今回はマゾだったぞ」
「わざわざそのマゾお姉ちゃんにに家宝のことを聞き返した山田が発端」
「発端は山田」
「いや今回はマゾだったぞ」
「わざわざそのマゾお姉ちゃんにに家宝のことを聞き返した山田が発端」
ですよねー。
軽く咳払いをして、再度場を紛らわせる。
そう、まずは今日の報告からだ。
まだ話の内容は一歩すらも進んでないのに、精神的疲労が半端じゃない。なぜだ。
そう、まずは今日の報告からだ。
まだ話の内容は一歩すらも進んでないのに、精神的疲労が半端じゃない。なぜだ。
「えーとだな。『教会』なんだが、どうやらもうこの町に来ているらしい」
「もう……ですか?」
「ああ。『資料』によれば、な」
「教会って、昨日の話題に出てた?」
「まじカヨ。ドォスンダテメェ。昨日俺様ガアレダケ警告シテヤッタノニヨォ」
「お前管巻いてただけだからな…………で、取り合えず、皆この資料に目を通しておいてくれ。『教会』について色々書いてあるから」
「うん。分かった」
「もう……ですか?」
「ああ。『資料』によれば、な」
「教会って、昨日の話題に出てた?」
「まじカヨ。ドォスンダテメェ。昨日俺様ガアレダケ警告シテヤッタノニヨォ」
「お前管巻いてただけだからな…………で、取り合えず、皆この資料に目を通しておいてくれ。『教会』について色々書いてあるから」
「うん。分かった」
わらわらと資料の周りに人が集まる。
一枚、また一枚と束の中から資料が抜き取られていった。
一枚、また一枚と束の中から資料が抜き取られていった。
「山田ー、で、私たちのす、す……すたんどは、どうするの」
「スタンスな。それだと何か超能力みたいじゃん」
「大シテ違ワネェケドナ」
「スタンス……ですか。ぅあ、あの、やっぱり戦うのは避けたほうがいいと、思いますけど……」
「はるくん、やっぱりその人たちって強いの?」
「結構強いらしいぞ。何でも学校町を地図から消せるとか」
「あ、私なんかよりも全然強いんだ」
「スタンスな。それだと何か超能力みたいじゃん」
「大シテ違ワネェケドナ」
「スタンス……ですか。ぅあ、あの、やっぱり戦うのは避けたほうがいいと、思いますけど……」
「はるくん、やっぱりその人たちって強いの?」
「結構強いらしいぞ。何でも学校町を地図から消せるとか」
「あ、私なんかよりも全然強いんだ」
――――良子も、ぶっちゃけいい線いってると思うぞ、とは言わない。
女の子はいつだって「か弱い存在」として扱われたいのだ。
――――良子も、ぶっちゃけ怖さでなら余裕で勝ってると思うぞ、とも言わない。
だって、それを言うと本当に恐ろしい目に遭わされるんだもん。
女の子はいつだって「か弱い存在」として扱われたいのだ。
――――良子も、ぶっちゃけ怖さでなら余裕で勝ってると思うぞ、とも言わない。
だって、それを言うと本当に恐ろしい目に遭わされるんだもん。
「けど山田、実際に会っちゃったらどうするの」
「実際にあったら、か…………」
「実際にあったら、か…………」
資料の中から無造作に、一枚の紙を取り出す。
13使途のメンバーの一人らしき人物の写真と、その簡略な情報が載っていた。
写真に写っているのは、何故か修道女の服を着ているガチムチマッチョ。
他の資料に写真が一枚も掲載されていないのに比べ、どういうわけかこの資料だけ、ボディビルダーのポーズをしたオカマの写真が幾つも並んでいる。
名前の欄には「ヴァレンタイン」の文字。
13使途のメンバーの一人らしき人物の写真と、その簡略な情報が載っていた。
写真に写っているのは、何故か修道女の服を着ているガチムチマッチョ。
他の資料に写真が一枚も掲載されていないのに比べ、どういうわけかこの資料だけ、ボディビルダーのポーズをしたオカマの写真が幾つも並んでいる。
名前の欄には「ヴァレンタイン」の文字。
「………………」
俺は詳細を読まず、それをそっと机の上に戻した。
これはいいや。見ないでおこう。ついでに記憶からも放逐しよう。
うん、きっと会わない。こんな変態とはきっと会わない。
会わない…………よね?
これはいいや。見ないでおこう。ついでに記憶からも放逐しよう。
うん、きっと会わない。こんな変態とはきっと会わない。
会わない…………よね?
「ま、まぁその、あれだ。逃げればいいんじゃないか?」
「山田、ヘタレ」
「ヘタレじゃない。今回に限って言えば、正直下手したら本当に殺されるからな」
「ふーん…………」
「山田、ヘタレ」
「ヘタレじゃない。今回に限って言えば、正直下手したら本当に殺されるからな」
「ふーん…………」
佑香が、手元の資料に目を戻す。
……今回の相手は、本当に厄介なのかもしれない。
佑香を見て、唐突にそう思う。
相手は「教会」。そして佑香と我が家最強の戦闘力を誇る良子は、「幽霊」である。
実際の教会と違うとは言われても、どうしてもそこには「退治する側」と「退治される側」という対立構造がイメージされてしまう。
……今回の相手は、本当に厄介なのかもしれない。
佑香を見て、唐突にそう思う。
相手は「教会」。そして佑香と我が家最強の戦闘力を誇る良子は、「幽霊」である。
実際の教会と違うとは言われても、どうしてもそこには「退治する側」と「退治される側」という対立構造がイメージされてしまう。
「――――ナァ、へたれ」
「ん。どうした、デビ田」
「ん。どうした、デビ田」
深い思考に沈みかけた頭を上げ、デビ田に返答する。
「モシモ、モシモダ。コイツラガ本気デ学校町ヲフッ飛バシタトシテ、テメェトソコノまぞハドォナル?」
「え? そりゃ…………」
「え? そりゃ…………」
思い出す。
昨年の五月。マゾはドラゴンの炎を、毒を受けてすら復活した。
その攻撃が何であれ、ただの物理的なものであれば、ほぼ必ず再生する身体。
俺とマゾが持っているのは、そういうモノだ。
昨年の五月。マゾはドラゴンの炎を、毒を受けてすら復活した。
その攻撃が何であれ、ただの物理的なものであれば、ほぼ必ず再生する身体。
俺とマゾが持っているのは、そういうモノだ。
「…………多分、それでも蘇るんじゃないか?」
「ソォカ……」
「ソォカ……」
デビ田はそれ以上、何の問いかけもしてこない。
――ふと……本当に、ふと、想像してしまう。
家も、ビルも、学校もない、黒く焦げた、更地。
その中で一人取り残された自分を、想像して、しまった。
家も、ビルも、学校もない、黒く焦げた、更地。
その中で一人取り残された自分を、想像して、しまった。
――――まさか、な。
これまでだって、何とかやってきた。
きっとこれからも、同じような未来が、穏やかな未来が、やってくるはずだ。
これまでだって、何とかやってきた。
きっとこれからも、同じような未来が、穏やかな未来が、やってくるはずだ。
根拠のない恐怖。根拠のない自信。
その二つに迫られた俺は、資料へと没頭した。
それが頭から余計な考えを取り除いてくれるんじゃないかと、根拠のない願いを、持って。
その二つに迫られた俺は、資料へと没頭した。
それが頭から余計な考えを取り除いてくれるんじゃないかと、根拠のない願いを、持って。
【Continued...】