「まほうつかい、とりひきする」より
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ケモノツキ_16_魔法使いの取引
死後の魂と引き換えに「教会」の情報を得ることができる。
生きている間の制約はないのだから、実質ノーリスクな取引にも見える。
しかしそれは――――
生きている間の制約はないのだから、実質ノーリスクな取引にも見える。
しかしそれは――――
『ふざけないでください。「教会」の情報を得るために、主一人がそこまで代償を負う必要など――』
「大丈夫、タマモ。もう答えは決まってるから。」
「大丈夫、タマモ。もう答えは決まってるから。」
悠司はタマモの言葉をさえぎり、カラミティを真っ直ぐ見据える。
「……ごめんさいカラミティさん。その取引には、応じられません。」
ほう、と続きを促すような視線を向けられ、悠司は言葉を続ける。
「死んだ後の魂がどうなるのかなんて分からないけど……だからこそ、簡単に差し出していいものじゃないと思うんです。」
「魂じゃなくてもいいんだぞ?それと釣り合うくらい価値のある大切なものなら、な。」
「……大切なものはありますけど、それは絶対にあげることはできません。」
「ふぅん。じゃあ俺様の持ってる「教会」の情報は要らないんだな?」
「魂じゃなくてもいいんだぞ?それと釣り合うくらい価値のある大切なものなら、な。」
「……大切なものはありますけど、それは絶対にあげることはできません。」
「ふぅん。じゃあ俺様の持ってる「教会」の情報は要らないんだな?」
一瞬、言葉に詰まる。
「……「組織」が「教会」の行動を止めるために、「教会」の情報は必要だと思います。…でもその代償は、僕には払えません。」
俯き、どこか悔しそうに、申し訳なさそうに告げる。
数秒の沈黙の後、顔を上げ、カラミティを真っ直ぐ見つめる。
数秒の沈黙の後、顔を上げ、カラミティを真っ直ぐ見つめる。
「それに、カラミティさんが「教会」を止めてくれるというなら……僕はカラミティさんを信じます。」
――――焼き尽くさせる事も、凍りつかせる事も。絶対、実行させたりしない
僕にその力はないけど、
僕にその力はないけど、
「カラミティさん……どうか、学校町を守ってください。」
――――本当なら、俺様がいてやりたいけれど
僕にできることはある。
僕にできることはある。
「僕はカインさんを守ります。そのための力を、僕に貸してください。」
――――俺様はカインを助けたい
僕が、カインさんを守る。
僕が、カインさんを守る。
【ケモノツキ_16_魔法使いの取引】 終
「まほうつかいとしょうねん」へ続く