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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - とある警察幹部の憂鬱-20

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 コツコツと、暗闇に響く足音
 広瀬 美緒は、陰鬱な表情で帰路についていた

 ……あの、希と言う少女は、結局始末されたらしい
 たくさんの人間を弄び殺した存在だ、自業自得だったのかもしれない
 けれど、まだ、あんなにも幼い少女だったのだ、更生の道もあったのではないだろうか?

 影守は、都市伝説を取り上げられ、謹慎処分をくらっているそうだ
 …討伐対象を意図的に見逃した、罰
 それですんだだけ、マシなのだろうか?

 そして
 それらの結果を伝えた、兄の…宏也の言葉が、引っかかる

『……今回の件、KNoが独自に追ってた、ってのが気になる。その希って子が、連中にとって「都合の悪い存在」だった可能性がある………KNoが置かれている状況が状況だしな。何か、引っかかる。俺も調べてみるわ…………でもって、結果次第じゃあ、俺が連中を叩きのめす」

 …もしかしたら
 あの希と言う少女も、ただの被害者だったのではないか?

『お前んとこに匿名で送られた資料、ってのも引っかかるからな……とりあえず、KNoの連中を信用するな。コンって奴はまだ少しは大丈夫そうかもしれないが……ハクとかいう奴は、信用しない方がいい』

 自分が
 あの時、ハクに連絡を取ってしまったから
 あんな結果になったのではないだろうか

 あの時点で、宏也に、兄に連絡を取っていれば
 もっと、マシな結果になったのではないだろうか

 自分が宏也に連絡をとらなかったから
 自分が、兄を信じ切れなかったから
 影守も、希も
 あんな結果になってしまった

 せめて、謹慎処分をくらっていると言う、影守の状態を把握したい
 …彼に、会いたい
 そう願いながらも、美緒はそれを実行する事ができない

 ……自分に
 あんな結末を招かせてしまった自分に
 そんな権利があるのか?

 ………そんな権利、自分にあるはずがない
 自分が、影守に会っていいはずがない
 自分のせいで、こんな事になってしまったのだから

 必要以上に考え込み、背負い込み
 美緒は自ら選択肢の幅を狭め、自分を追い込んでしまう

 美緒は、生真面目で考え込みすぎる
 そして、彼女はどこまでも……一般人でしか、ないのだ


 陰鬱な精神状態
 それは、都市伝説にとって、格好の獲物


「……お嬢さん、時刻を聞いてもよろしいかな?」

 前方から、影
 包帯塗れの、その姿、そして、質問

「…ッ注射男!」

 懐から銃を抜き、注射男に構える美緒
 彼女の射撃の腕では、奇跡でも起こらない限り、相手に命中する事はないのだが…それでも、牽制にはなる
 数歩、銃を注射男に向けたまま、後ずさろうとして

「そんな物騒なものは、いらないなぁ」
「………!?」

 がしり、と
 背後から、羽交い絞めにされた

「さぁ、やれ、注射男!」
「了解、契約者様」

 しまった、契約者がいたか!?
 逃れようともがく美緒だが、羽交い絞めにしてきているのは、男
 腕力で、敵わない

 形容しがたい色の液体の入った注射器を持った男が……ゆっくりと、美緒に、近づいてくる

(………ッ影守、さん………!)

 ---助けて、と
 この場に、駆けつける事のできない者に、すがってしまう
 すがれる資格など、ないと知りながらも

 恐怖から、目を閉じようとした、美緒


 その、視界の隅に
 漆黒の蝶が、一瞬、見えて


「-----------っぎゃあああああああ!!??」
「うわっ!?な、何だ、この蝶は!?」

 注射男と、その契約者の悲鳴が響き渡る
 突然、羽交い絞めの状態から解放され、よろけて転ぶ美緒
 閉じていた瞼を開ける

 見れば、注射男とその契約者に……漆黒の蝶の群れが、群がっていた
 こんな時刻に、こんな季節に、蝶が飛んでいるはずもない
 これも、何かの都市伝説か?

「よぉ、小悪党」

 蝶の群れが、空中に集まって
 その中に、人間の姿をした者が現れた
 ぶかぶかのローブを着て、長い杖を持った、長身の西洋人男性
 ファンタジー世界からそのまま飛び出したような外見のその男は、虚空に腰掛け、注射男とその契約者を見下ろし……笑った

「俺様、カインに褒めてもらいたいから、そっちの女、助けるな」

 訳のわからない事を、その男は一方的に告げる

「だから、お前らは、死ね」

 あまりにも一方的で、自分勝手な死刑宣告
 蝶に群がられながらも、契約者の男が激昂して叫ぶ

「な、何だ、突然僕達の楽しみを邪魔して……ッ注射男、あいつから殺せぇ!!」
「了解、契約者様」

 ずら、と
 注射男の両手に、各5本の注射器が出現した
 その全てに、形容しがたい色の液体が入っていて…注射男は、それを一斉に、虚空の浮かぶ魔法使いに向かって放った

 魔法使いの体が、蝶の群れに変わる
 その群れは一斉に美緒の目の前に移動し、また、魔法使いの姿に変わった
 魔法使いが、杖を振る

「さぁ、来るが良い、現世の迷い子よ。天に昇れず地獄にも落ちられぬ哀れなる愚か者よ。与えられし煉獄の炎の力を示すがいい!!」

 呪文が終わると同時、現れたのはカブの化け物
 カブの頭に、カブで出来たランタンを持った、不気味な存在
 ジャック・オ・ランタン
 通常、南瓜頭に南瓜のランタンで伝えられるそれの、カブバージョン

 カブの頭の、ぽっかり開いた目の向こうで
 そして、カブのランタンの向こう側で
 激しく、炎が燃えている

「さぁ、焼き尽くせ!!お前が落ちるはずだった地獄に、ふさわしき者を突き落とせ!!」
「っひ……!?」

 注射男の契約者が、逃げ出そうとする
 だが……もう、遅い
 カブのランタンから放たれた、強烈な炎
 夜の闇に一瞬の閃光を生み出したその炎は……注射男を、そして、その契約者を、一瞬で包み込んだ
 一瞬で火達磨になり、悲鳴もあげられずに二人は倒れる

「何だ、もう終わりかよ、つっまんねぇの……前の餓鬼連中の方が、数は多かったけど遊びがいがあったぞ」

 死んでしまった注射男と契約者を前に、魔法使いは勝手な事を言い放った
 それは、手に入れたおもちゃが思ったより面白くなくて、失望している子供の言葉によく似ていた

 くるり
 魔法使いが、美緒に振り返る
 突然現れた、己の救い主を前に……しかし、その存在から、どこか本能的な危険を感じて
 美緒は、震え出しそうな体を、声を抑えながら…魔法使いを、睨み上げた

「……助けてくださった事は、感謝します……しかし……あなたは、何者ですか?」
「ん?俺様か?」

 杖を、軽く担ぎ上げ
 魔法使いは、どこか無邪気に笑ってくる

「俺様は、カラミティ・ルーン。千年の時を生きる、大魔法使い様だよ」



 自分に自信がなく、真面目すぎ、どこまでも自分を追い込んでしまう女と
 どこまでも自分に自信たっぷりで、不真面目で、どこまでも自分勝手で我侭な男

 この二人の出会いが、後に二人に……否、女にどのような影響を与えるのか
 それはまだ、誰にもわからない






to be … ?






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