……それは、天倉姉妹の両親の葬儀から、一週間後の事だ
翼の元に、天倉姉妹から、電話がかかってきた
…今まで通り、両親と一緒に住んでいた家で生活していたが……やはり、両親との思い出が多すぎるその家での生活は、辛すぎる、と
翼の元に、天倉姉妹から、電話がかかってきた
…今まで通り、両親と一緒に住んでいた家で生活していたが……やはり、両親との思い出が多すぎるその家での生活は、辛すぎる、と
それはそうだろう、と翼は考える
暖かい思い出が多ければ多い程…その両親が、あそこまで無残に殺された事実から逃げる事ができず、苦しいに決まっている
それでも、初めは、あの家での生活を続けようとしていたのだ
一週間耐えただけでも、たいしたものだ
暖かい思い出が多ければ多い程…その両親が、あそこまで無残に殺された事実から逃げる事ができず、苦しいに決まっている
それでも、初めは、あの家での生活を続けようとしていたのだ
一週間耐えただけでも、たいしたものだ
「わかった。「首塚」の方で抑えてる物件があるからな。そこ、紹介するか?」
『はい…お願い、します』
『はい…お願い、します』
任せろ、と翼は携帯ごしに答えながら
じゃら、と、そのマンションの鍵を、取り出した
じゃら、と、そのマンションの鍵を、取り出した
学校街 東区の一角
数年前にリフォームが完了した、元幽霊マンション
数年前にリフォームが完了した、元幽霊マンション
そこの空き部屋の鍵を手に、翼は天倉姉妹を連れて入っていく
…本来、リフォーム完了後満室が続いているこのマンションに、空き部屋などない
だが、「首塚」は、ここの空き部屋を抑えている
…本来、リフォーム完了後満室が続いているこのマンションに、空き部屋などない
だが、「首塚」は、ここの空き部屋を抑えている
マンションの二階、左から二番目の部屋
…いや、扉などない、壁の前で
翼が、鍵を見えないドアノブに差し込んだ事で、扉が出現した
天倉姉妹が驚いている様子に、翼は昨年の秋祭りの時の事を思い出す
そう言えば、望もこうやって驚いていたな、と
…いや、扉などない、壁の前で
翼が、鍵を見えないドアノブに差し込んだ事で、扉が出現した
天倉姉妹が驚いている様子に、翼は昨年の秋祭りの時の事を思い出す
そう言えば、望もこうやって驚いていたな、と
「この鍵があれば、この部屋の扉は問題なく見える。悪ぃが、今はこの一つしかないから…後でもう一つ、用意しとくな」
「わかりました、ありがとうございます」
「わかりました、ありがとうございます」
じゃらん、と鍵を手渡し、ひとまず、二人を中に入れる
…よし、今回はあの時のように女幽霊が待ち構えていたりはしていない
問題ない
…よし、今回はあの時のように女幽霊が待ち構えていたりはしていない
問題ない
「一応、必要最低限の家具は揃ってる。ただ、元々一人用の部屋を想定してたみたいで、ベッドが一つしかないから…何なら、それだけでも急いで用意するか?」
「あ…大丈夫です。一緒のベッドで寝ればいいんですし」
「まぁ、そう狭いベッドでもないし大丈夫だとは思うけど、いいのか?」
「あ…大丈夫です。一緒のベッドで寝ればいいんですし」
「まぁ、そう狭いベッドでもないし大丈夫だとは思うけど、いいのか?」
はい、と頷いている二人
男女ではないし、血の繋がっている姉妹なのだし、おかしな事にはならないだろうし、特に問題はないか
それでも、なるべく早く用意してやった方がいいだろうな、と考える
男女ではないし、血の繋がっている姉妹なのだし、おかしな事にはならないだろうし、特に問題はないか
それでも、なるべく早く用意してやった方がいいだろうな、と考える
「冷蔵庫の中、食糧の備蓄定期的にやってたから、すぐに買出しに行く必要はない、ただ、一応、チェックしとけよ?」
「はい」
「何から何まで……すみません」
「いいって。これも、「首塚」の勤めだから」
「はい」
「何から何まで……すみません」
「いいって。これも、「首塚」の勤めだから」
頭を下げてきた紗江と紗奈に、翼はそう答える
この二人が気を使う必要など、何もない
この二人は…これから、ゆっくり、心の傷を癒していくべきなのだから
この二人が気を使う必要など、何もない
この二人は…これから、ゆっくり、心の傷を癒していくべきなのだから
…さて
その上で、一つ、重要な問題が…
その上で、一つ、重要な問題が…
「…で、都市伝説状態のこの部屋なんだが、ちょっと問題が……」
『あ、なになに~?新しい住人~?』
『あ、なになに~?新しい住人~?』
ふわり
部屋の中に、半透明の、20代前半ほどの女が現れた
部屋の中に、半透明の、20代前半ほどの女が現れた
…っち、来たか
「突然来るなよ。二人が驚くだろ」
『何よ~、チャラチャラのケチ~』
『何よ~、チャラチャラのケチ~』
ぶーぶーぶー
子供っぽく文句を言ってくる女幽霊に、翼は軽くため息をついた
子供っぽく文句を言ってくる女幽霊に、翼は軽くため息をついた
「え、えっと、翼さん、その人?は…」
「あー、この部屋の付属品だ。少し鬱陶しいけど、食い物与えたら黙るから」
『ひどーい!私、この部屋の本体だもん、むしろ主だもん!!』
「あー、この部屋の付属品だ。少し鬱陶しいけど、食い物与えたら黙るから」
『ひどーい!私、この部屋の本体だもん、むしろ主だもん!!』
ごろごろごろごろごろ
幽霊の癖に質量をもって、不満を訴えつつ転がる女幽霊
果てしなく鬱陶しい
幽霊の癖に質量をもって、不満を訴えつつ転がる女幽霊
果てしなく鬱陶しい
「細かい説明ははしょるけど、まぁ、こう言う都市伝説的な部屋が出来た原因だと思っておいてくれ。たまに部屋ん中に無断で入り込んでくるけど、さっきも言った通り食い物与えたら黙るし、なんだったら清めた塩置いておけば逃げるから」
『清めの塩はらめぇええええええええええええ!!??浄化されちゃうからっ!?』
「今は持ってきてないから騒ぐな…それと、この二人が寝てる時は、この部屋、入るなよ?」
『清めの塩はらめぇええええええええええええ!!??浄化されちゃうからっ!?』
「今は持ってきてないから騒ぐな…それと、この二人が寝てる時は、この部屋、入るなよ?」
…幽霊としての特性、なのだろうか?
この女幽霊が傍にいると、悪夢を見やすいのだ
紗江と紗奈が眠っている時に、この女幽霊が部屋にくれば…姉妹が、悪夢を見てしまう可能性がある
心の傷を癒す為にも、それは避けたほうがいいだろう
この女幽霊が傍にいると、悪夢を見やすいのだ
紗江と紗奈が眠っている時に、この女幽霊が部屋にくれば…姉妹が、悪夢を見てしまう可能性がある
心の傷を癒す為にも、それは避けたほうがいいだろう
『は~い、わかってる~。でも、起きてる時はいいよね~?女の子同士だし~』
ごろん
転がって、仰向けの状態で寝転んだまま、女幽霊は紗江と紗奈を見上げた
姉妹は、やや戸惑ったように、女幽霊を見下ろしている
転がって、仰向けの状態で寝転んだまま、女幽霊は紗江と紗奈を見上げた
姉妹は、やや戸惑ったように、女幽霊を見下ろしている
「お前、女の「子」って歳じゃねぇだろ」
『酷い!?心はいつまでも女の子だもんっ!?』
『酷い!?心はいつまでも女の子だもんっ!?』
いや、餓鬼っぽい事は認めるが
「えっと……場合にもよりますけど、問題ないですよ」
紗江が、親切にも、女幽霊にそう答えた
ぱぁあ、と女幽霊が笑顔になる
……このマンションで、普段から生活している「首塚」メンバーは、「死人部隊」の中年と「一年生になったら」の子供のみ
話し相手となるとそれくらいしかいない(死人部隊の死人達をカウントすれば結構な人数にはなるが)、だから、紗江と紗奈のような若い女性の話し相手が出来るのが嬉しいのかもしれない
ぱぁあ、と女幽霊が笑顔になる
……このマンションで、普段から生活している「首塚」メンバーは、「死人部隊」の中年と「一年生になったら」の子供のみ
話し相手となるとそれくらいしかいない(死人部隊の死人達をカウントすれば結構な人数にはなるが)、だから、紗江と紗奈のような若い女性の話し相手が出来るのが嬉しいのかもしれない
「私は、天倉 紗江です」
「私は、天倉 紗奈です…えぇと、あなたは…」
『私は、幽霊マンションの幽霊。名前は、そう言えばないや。考えた事もなかったし』
「私は、天倉 紗奈です…えぇと、あなたは…」
『私は、幽霊マンションの幽霊。名前は、そう言えばないや。考えた事もなかったし』
ふわり
起き上がって、浮かびながら
ちょろちょろ、天倉姉妹の周りを飛び回って、女幽霊はどこか楽しそうに、笑ったのだった
起き上がって、浮かびながら
ちょろちょろ、天倉姉妹の周りを飛び回って、女幽霊はどこか楽しそうに、笑ったのだった
続くかどうかわからない