月夜の下で、獣が吠える
月に向かって、高々に
月に向かって、高々に
吠え続ける獣、獲物を見つけて
…にたり、笑った
…追い詰められたのだ
黒服は、現在の状況を、そう理解した
ここは、一度引くべきか?
黒服は、現在の状況を、そう理解した
ここは、一度引くべきか?
(…いや)
小さく、首を振る
あの都市伝説を、見逃す訳にはいかない
見逃しては、あの都市伝説は犠牲者を出すだろう
あの都市伝説を、見逃す訳にはいかない
見逃しては、あの都市伝説は犠牲者を出すだろう
しかし、自分では、あの都市伝説には敵わない
元々戦闘力がないせいもあるが…ここ三日程ほぼ睡眠をとっていないせいか、少し意識がくらくらとしてきている
このままでは、自分があの都市伝説の犠牲者になるだけである
……誰か、応援を呼ぶべきか
そう考え、スーツの内ポケットに入れている携帯に手を伸ばし…
元々戦闘力がないせいもあるが…ここ三日程ほぼ睡眠をとっていないせいか、少し意識がくらくらとしてきている
このままでは、自分があの都市伝説の犠牲者になるだけである
……誰か、応援を呼ぶべきか
そう考え、スーツの内ポケットに入れている携帯に手を伸ばし…
「-----っ!?」
背後から、飛び掛ってきた気配
それに気付き、慌ててその強襲を避けた
しかし
それに気付き、慌ててその強襲を避けた
しかし
「……っく!?」
それは、囮だったのだろう
避けた先に、それは待ち受けていた
巨大な獣の爪が、振り下ろされる
避けた先に、それは待ち受けていた
巨大な獣の爪が、振り下ろされる
すぱりっ、と
スーツが引き裂かれた
辛うじて直撃は避け、肌の表面がほんの少し、切り裂かれた程度ですんだ
ズキリ、かすかに痛みが走る
相手から、距離をとらなければ
しかし、女の体になってしまっている今の状態では、そう、早く走ることもできず
スーツが引き裂かれた
辛うじて直撃は避け、肌の表面がほんの少し、切り裂かれた程度ですんだ
ズキリ、かすかに痛みが走る
相手から、距離をとらなければ
しかし、女の体になってしまっている今の状態では、そう、早く走ることもできず
黒服の体は、再び飛び掛ってきた巨大な獣に、押し倒された
「ぐ……っ」
後頭部を地面に打ち付ける
ぐらり、思考が飛びかけるが…何とか、持ちこたえた
ずい、と、獣が顔を覗き込んでくる
それは、狼か、ハイエナのような顔をしていた
だが、子牛ほどの大きさの狼など、存在するものだろうか
全体的に赤い毛並み、しかし、頭部の毛は黒く、そして、喉から腹にかけては白い。背骨に沿って真黒な鬣状の筋が入っており、尾はまるで馬の尾のようだ
黒服にのしかかるそれとは別に、全く同じ姿をした…しかし、それよりは小柄な獣が二体、黒服を囲む
ぐらり、思考が飛びかけるが…何とか、持ちこたえた
ずい、と、獣が顔を覗き込んでくる
それは、狼か、ハイエナのような顔をしていた
だが、子牛ほどの大きさの狼など、存在するものだろうか
全体的に赤い毛並み、しかし、頭部の毛は黒く、そして、喉から腹にかけては白い。背骨に沿って真黒な鬣状の筋が入っており、尾はまるで馬の尾のようだ
黒服にのしかかるそれとは別に、全く同じ姿をした…しかし、それよりは小柄な獣が二体、黒服を囲む
ぐるるる…と、獣は小さく唸り声を上げた
ゆっくりと口を開くと、そこには鋭い牙が並び…ぽたり、その口から涎がたれた
獣は牙を剥き出し、黒服の首筋に近づいてくる
ゆっくりと口を開くと、そこには鋭い牙が並び…ぽたり、その口から涎がたれた
獣は牙を剥き出し、黒服の首筋に近づいてくる
「……っ」
喉笛を噛み切られるか
死の気配に身を固めたが…獣は、牙をつきたててくるだけで、喉笛に噛み付いてはこなかった
ぴちゃり、獣の舌が黒服の喉を舐める
死の気配に身を固めたが…獣は、牙をつきたててくるだけで、喉笛に噛み付いてはこなかった
ぴちゃり、獣の舌が黒服の喉を舐める
ぴちゃり、ぴちゃり
獣の舌は、ゆっくりと、黒服の喉から鎖骨へと、まるで味わうようにゆっくりと降りていく
舐められた箇所が空気に触れ、ヒヤリ冷たく…黒服は、妙な間隔を覚えた
ぴちゃり、ぴちゃり
獣の舌は、ゆっくり、ゆっくりと
スーツが引き裂かれた事によって露になっている、乳房への伸びていって…
獣の舌は、ゆっくりと、黒服の喉から鎖骨へと、まるで味わうようにゆっくりと降りていく
舐められた箇所が空気に触れ、ヒヤリ冷たく…黒服は、妙な間隔を覚えた
ぴちゃり、ぴちゃり
獣の舌は、ゆっくり、ゆっくりと
スーツが引き裂かれた事によって露になっている、乳房への伸びていって…
「………あら?」
…ふと
夜の公園を歩いていた少女は、その気配に気付いた
……都市伝説の、気配
それも、タチの悪そうな…
気配を消して、そちらに近づいていく
そこで、少女が見たものは
夜の公園を歩いていた少女は、その気配に気付いた
……都市伝説の、気配
それも、タチの悪そうな…
気配を消して、そちらに近づいていく
そこで、少女が見たものは
「----っな!?」
巨大な、子牛程の大きさの獣にのしかかられ、今、まさに食われようとしている…黒服の姿
今は、マッドガッサーの毒ガスのせいで性別が反転してしまっているが、見間違いようがない
つい最近、女体化してしまった姿を目の前で見ているのだから
今は、マッドガッサーの毒ガスのせいで性別が反転してしまっているが、見間違いようがない
つい最近、女体化してしまった姿を目の前で見ているのだから
「!」
黒服を囲んでいた二体
少女の存在に、気付いた
黒服も、少女の気配に気付いたのだろう
慌てて、声を駆けてくる
少女の存在に、気付いた
黒服も、少女の気配に気付いたのだろう
慌てて、声を駆けてくる
「っ逃げなさい!」
「ち、ちょっと…!」
「ち、ちょっと…!」
がるるるるるるるるるる!
二体の獣は、少女に向かって牙をむき出してくる
黒服にのしかかっている獣は、ちらり、少女を見て……が、すぐに興味を失ったように、また黒服に舌を這わせ始めた
逃げろ、と言われても
うっかりと、すぐ近くまで近づいてきてしまっている
今から逃げては、間に合わない!
二体の獣は、少女に向かって牙をむき出してくる
黒服にのしかかっている獣は、ちらり、少女を見て……が、すぐに興味を失ったように、また黒服に舌を這わせ始めた
逃げろ、と言われても
うっかりと、すぐ近くまで近づいてきてしまっている
今から逃げては、間に合わない!
「っこの!」
「!?」
「!?」
百円硬貨を二枚、黒服にのしかかる獣に向かって投げつける
向かってきたそれに気付いた獣は、少女の方に再び顔を向けて…
硬貨は、獣の口に入り込んだ
受け取った!!
向かってきたそれに気付いた獣は、少女の方に再び顔を向けて…
硬貨は、獣の口に入り込んだ
受け取った!!
「勝って嬉しい はないちもんめ!」
少女の歌が、少女の能力を発動させる
獣二体、お買い上げ完了!
少女に牙をむいていた小柄な獣が二体……くるり、と
巨大な獣に、向き直った
獣二体、お買い上げ完了!
少女に牙をむいていた小柄な獣が二体……くるり、と
巨大な獣に、向き直った
「!」
二体の獣は、巨大な獣に襲い掛かる
巨大な獣は、その二体の獣に応戦し、戦い始めた
獣の絶叫が、響き渡る
巨大な獣は、その二体の獣に応戦し、戦い始めた
獣の絶叫が、響き渡る
「大丈夫!?」
「はい…」
「はい…」
その間に、少女は急いで黒服に駆け寄った
頭を抑えながら、黒服は起き上がる
爪で引き裂かれたスーツ、肌に走る一筋の傷痕
あまり、傷は深くないようではあるが…そもそも、黒服自体の体調が万全でないのだろう
起き上がるのが、やっとのようだ
頭を抑えながら、黒服は起き上がる
爪で引き裂かれたスーツ、肌に走る一筋の傷痕
あまり、傷は深くないようではあるが…そもそも、黒服自体の体調が万全でないのだろう
起き上がるのが、やっとのようだ
「…すみません。助けられましたね」
「いいから。早く、行きましょう…何、あの変な狼みたいなの…」
「……『ジェボーダンのベート』です」
「…ジェボーダンの、ベート?」
「いいから。早く、行きましょう…何、あの変な狼みたいなの…」
「……『ジェボーダンのベート』です」
「…ジェボーダンの、ベート?」
『ジェボーダンのベート』
1764年、フランスのジェボーダン地方を、ある人食い獣が蹂躙した。
「主の使わされた裁き手」とも称されたそれは、しかし皮肉にも、無垢な子供や信心深い女ばかりを襲って殺した
事件が収束するまでの期間・約30ヶ月。その間に、100人以上もの人々が犠牲となった。
犠牲となったのは、16歳以下の子供や女ばかり。
その獣は狡猾で、獣と思えぬほど頭がよく、大胆で貪欲である。
三種類ほど出没していたと思われ、その内一体の正体は人間であったとも伝えられている…
「主の使わされた裁き手」とも称されたそれは、しかし皮肉にも、無垢な子供や信心深い女ばかりを襲って殺した
事件が収束するまでの期間・約30ヶ月。その間に、100人以上もの人々が犠牲となった。
犠牲となったのは、16歳以下の子供や女ばかり。
その獣は狡猾で、獣と思えぬほど頭がよく、大胆で貪欲である。
三種類ほど出没していたと思われ、その内一体の正体は人間であったとも伝えられている…
「フランス史上、最悪クラスの人食い獣の都市伝説です…日本に入り込んでいた、とは聞いていたのですが…」
よろり、なんとか立ち上がった黒服
少女は、その手を引いて、立ち去ろうとして…
少女は、その手を引いて、立ち去ろうとして…
「ドコヘイクツモリダ?」
「------っ!?」
「------っ!?」
駆けられた声に、振り返る
そこでは…少女が、巨大な獣から奪い取った二匹の獣が、喉笛を噛み千切られて死んでいた
その体は、静かに、溶けるように消えていこうとしている
…それを、足蹴にして
背の高い、引き締まった肉体をした、狼の毛皮を纏った異人が立っていた
そこでは…少女が、巨大な獣から奪い取った二匹の獣が、喉笛を噛み千切られて死んでいた
その体は、静かに、溶けるように消えていこうとしている
…それを、足蹴にして
背の高い、引き締まった肉体をした、狼の毛皮を纏った異人が立っていた
「ニガストデモ、オモッテイタノカ?」
異人の口から、片言の日本語が漏れ出す
異人は獣のような牙を、爪を、剥き出しにしてくる…!
異人は獣のような牙を、爪を、剥き出しにしてくる…!
「…ッジェボーダンのベートの…契約者、ですか」
弱々しい声で、黒服はそう呟く
…痛みや出血、それに、今までの疲労で、かなり意識が遠のいてきている
これは……まずい
…痛みや出血、それに、今までの疲労で、かなり意識が遠のいてきている
これは……まずい
「ソウダ……ヨクモヤッテクレタナ、ガキガ」
じろり
ジェボーダンのベートの契約者…
…否、最早、半分都市伝説に取り込まれかけているそれは、じろりと、はないちもんめの契約者の少女を睨みつける
まずい
とにかく、少女だけでも逃がさなければ
己の契約している都市伝説の力を発動させようとするが…如何せん、意識が薄らいできている状態だ
うまく、発動できない
あれが操っていた二体の獣は、既に消えうせた
はないちもんめの少女の能力では、対処できない…!
辛うじて意識を保ちながら、黒服は何とか少女を逃がそうとする
ジェボーダンのベートの契約者…
…否、最早、半分都市伝説に取り込まれかけているそれは、じろりと、はないちもんめの契約者の少女を睨みつける
まずい
とにかく、少女だけでも逃がさなければ
己の契約している都市伝説の力を発動させようとするが…如何せん、意識が薄らいできている状態だ
うまく、発動できない
あれが操っていた二体の獣は、既に消えうせた
はないちもんめの少女の能力では、対処できない…!
辛うじて意識を保ちながら、黒服は何とか少女を逃がそうとする
…その時、だった
獣の背後に、見覚えのある姿を、見たのは
獣の背後に、見覚えのある姿を、見たのは
「きゃっ!?」
ぼすん、と
少女の体を抱きしめる
胸元に顔を押し付けさせ、視界をふさぎ、耳を塞ぐ
少女の体を抱きしめる
胸元に顔を押し付けさせ、視界をふさぎ、耳を塞ぐ
「っちょ、何を…」
「ナニヲシテイ………っ!?」
「ナニヲシテイ………っ!?」
少女が抗議をあげようとし、獣が疑問の声をあげようとした、直後
じゅうっ、と
肉の焼ける、匂いがして
獣の雄叫びが、響き渡った
肉の焼ける、匂いがして
獣の雄叫びが、響き渡った
「……何やってやがんだ、てめぇはぁっ!!!」
そして、苦しみだした獣に対し
現れた金髪の青年は、怒気を含んだ声で怒鳴りつけた
現れた金髪の青年は、怒気を含んだ声で怒鳴りつけた
視界を塞がれる、耳を塞がれる
しかし、少女には、微かに聞こえてきていた
しかし、少女には、微かに聞こえてきていた
獣の苦しむ声が
誰かが、あの獣に攻撃しているのであろう、怒気の声が
微かに感じる、肉が焼けているような、匂い
誰かが、あの獣に攻撃しているのであろう、怒気の声が
微かに感じる、肉が焼けているような、匂い
少女は理解してしまった
黒服が、何故、こんなことをしてきたのか
…黒服は、見せまいとしている
今、起きているであろう状況を
何者かが、あの獣を焼き殺そうとしている、その光景を
きっと、瞬間的に、一瞬で焼くような攻撃ではないのだろう
きっと、じわり、じわり、少しずつ焼いていく…拷問のような攻撃で
あの獣は、その苦しみに悶えている
苦しみのた打ち回る相手に、さらに追撃を加えているであろう、その残虐な、残酷な、拷問のような戦闘を
黒服は少女に見せまいとしているのだ
黒服が、何故、こんなことをしてきたのか
…黒服は、見せまいとしている
今、起きているであろう状況を
何者かが、あの獣を焼き殺そうとしている、その光景を
きっと、瞬間的に、一瞬で焼くような攻撃ではないのだろう
きっと、じわり、じわり、少しずつ焼いていく…拷問のような攻撃で
あの獣は、その苦しみに悶えている
苦しみのた打ち回る相手に、さらに追撃を加えているであろう、その残虐な、残酷な、拷問のような戦闘を
黒服は少女に見せまいとしているのだ
…黒服は、こんなにも、少女に優しい
少女のトラウマになるかもしれないと、それを見せまいと必死なのだ
……そんな事
気にする必要などないのに、と少女は思う
自分は、とっくに人殺しだ
都市伝説相手だって、容赦なく殺してきた
…だから
自分は、今更そんな事で、トラウマになったりしないのに
少女がそんな考えを抱こうとも、黒服はその光景を見せまいと
ただ、必死に少女を抱きしめ視界を塞ぎ、耳を塞ぎ続けていた…
少女のトラウマになるかもしれないと、それを見せまいと必死なのだ
……そんな事
気にする必要などないのに、と少女は思う
自分は、とっくに人殺しだ
都市伝説相手だって、容赦なく殺してきた
…だから
自分は、今更そんな事で、トラウマになったりしないのに
少女がそんな考えを抱こうとも、黒服はその光景を見せまいと
ただ、必死に少女を抱きしめ視界を塞ぎ、耳を塞ぎ続けていた…
目の前にいた奴に、攻撃を加える
状況は、よくわからない
しかし、こいつは敵なのだ
青年は、そう判断していた
黒服が、傷ついている
傷ついたその状態で、この狼の毛皮を纏った奴と、対峙していた
こいつは敵なのだ
黒服を傷つけたのだ
そう判断し、青年は容赦なく攻撃を加えた
日焼けマシンで人間ステーキ、その力は、容赦なく毛皮の男を焼いていく
状況は、よくわからない
しかし、こいつは敵なのだ
青年は、そう判断していた
黒服が、傷ついている
傷ついたその状態で、この狼の毛皮を纏った奴と、対峙していた
こいつは敵なのだ
黒服を傷つけたのだ
そう判断し、青年は容赦なく攻撃を加えた
日焼けマシンで人間ステーキ、その力は、容赦なく毛皮の男を焼いていく
---おぉぉぉおおおおおおん!!
雄叫びを上げる男
ざわり、その姿が、子牛程の大きさの獣に変わり、青年に飛び掛ってくる
しかし…
ざわり、その姿が、子牛程の大きさの獣に変わり、青年に飛び掛ってくる
しかし…
「………」
青年は、冷酷な表情で、その獣に手を伸ばした
その指先が、ほんの少し、獣の鼻先に触れる
その指先が、ほんの少し、獣の鼻先に触れる
…じゅうぅうううううう……!!!
「ガ……ッ」
青年が触れた箇所が…さらに強く、焼けていく
倒れこんだ獣の顔面を、青年は鷲掴みにしてやった
じゅうじゅう、じゅうじゅうと、獣の顔面が、焼け爛れていく
倒れこんだ獣の顔面を、青年は鷲掴みにしてやった
じゅうじゅう、じゅうじゅうと、獣の顔面が、焼け爛れていく
日焼けマシンで人間ステーキ
それと契約した青年は、対象を自在に焼いていく事ができる
…そして、それと契約している青年は
触れる事によって、更に、その焼けていく速度を速めることもできるのだ
さながら、日焼けマシンの故障か、暴走のように
今、青年の体は、都市伝説の能力によって急上昇し、それ自体が凶器となっている
それと契約した青年は、対象を自在に焼いていく事ができる
…そして、それと契約している青年は
触れる事によって、更に、その焼けていく速度を速めることもできるのだ
さながら、日焼けマシンの故障か、暴走のように
今、青年の体は、都市伝説の能力によって急上昇し、それ自体が凶器となっている
容赦など、してやるものか
青年はそう考える
この獣は、自分の大切な存在を襲ったのだ
父のように慕う黒服を襲ったのだ
こんな奴に容赦する必要など、どこにある
暴れる獣の顔面を、さらに強く強く、握り緊める
じゅうじゅうじゅうじゅうじゅうじゅうじゅう
獣の体はどんどん焼け焦げ、焼け爛れていき
青年はそう考える
この獣は、自分の大切な存在を襲ったのだ
父のように慕う黒服を襲ったのだ
こんな奴に容赦する必要など、どこにある
暴れる獣の顔面を、さらに強く強く、握り緊める
じゅうじゅうじゅうじゅうじゅうじゅうじゅう
獣の体はどんどん焼け焦げ、焼け爛れていき
…やがて、ガクリ、と
その全身から力が抜けた
その全身から力が抜けた
「…この程度かよ」
吐き捨てるように呟いて、青年は獣から手を放した
どさり、獣は地面に倒れこみ…その体は、静かに、初めから存在してなかったかのように…ゆっくりと、消えて行った
どさり、獣は地面に倒れこみ…その体は、静かに、初めから存在してなかったかのように…ゆっくりと、消えて行った
…相変わらず、殺傷力にかけては、たいした能力である
効果が表れるまでのタイムラグが弱点ではあるが、それさえなければ、「骨を溶かすコーラ」ともいい勝負ができるだろう
……双方、戦って欲しくはないが
効果が表れるまでのタイムラグが弱点ではあるが、それさえなければ、「骨を溶かすコーラ」ともいい勝負ができるだろう
……双方、戦って欲しくはないが
「…何故、あなたが?」
「たまたま通りかかったんだよ……大丈夫か?」
「たまたま通りかかったんだよ……大丈夫か?」
はい、と黒服は小さく頷いた
…まさか、この青年に助けられる日が来るとは
人間の成長とは…本当に、早いものだ
…まさか、この青年に助けられる日が来るとは
人間の成長とは…本当に、早いものだ
「…ッ怪我してんじゃねぇか。どこが大丈夫なんだ」
「たいした怪我ではありません」
「けどよ………それと、そのガキ、窒息しかけてないか?」
「たいした怪我ではありません」
「けどよ………それと、そのガキ、窒息しかけてないか?」
……おや?
対して強い力で抱きしめているわけでもなし、窒息など…
………いや、そのわりには、若干苦しそうにジタバタし始めたような?
対して強い力で抱きしめているわけでもなし、窒息など…
………いや、そのわりには、若干苦しそうにジタバタし始めたような?
「…ぷはっ!?」
力を緩めると、少女は黒服の胸元から顔を離し、大きく酸素を吸い込んだ
げほげほと、咳き込んでしまっている
…黒服は知らない
豊満すぎるバストに顔を押し付けられるという行為は、時として窒息の危険を含んでいる事を
げほげほと、咳き込んでしまっている
…黒服は知らない
豊満すぎるバストに顔を押し付けられるという行為は、時として窒息の危険を含んでいる事を
「大丈夫ですか?」
「えぇ…」
「えぇ…」
けほ、とようやく呼吸が落ち着いたらしい少女に声をかけると、少女は頷いてきて
…じろり、日焼けマシンの契約者をにらみつけた
そう言えば、以前ちらりと顔をあわせてはいるが…しっかりと、対面した訳ではなかったような
…じろり、日焼けマシンの契約者をにらみつけた
そう言えば、以前ちらりと顔をあわせてはいるが…しっかりと、対面した訳ではなかったような
「…敵、ではありません…大丈夫です」
「………」
「………」
黒服はそう言うが、少女は警戒するように青年を睨み続けていた
嫌われたか?と青年は肩をすくめてくる
嫌われたか?と青年は肩をすくめてくる
「…とにかく、立てよ。家に送ってやるから」
「……その必要は、ありません」
「……その必要は、ありません」
ぐらり、ふらつく思考を抑えながら、何とか立ち上がる
獣に嘗め回された肌が、少し不快だ
軽く頭をふり、落ちようとしている思考を保とうとすると
獣に嘗め回された肌が、少し不快だ
軽く頭をふり、落ちようとしている思考を保とうとすると
「…?どうかなさいましたか?」
「………い、いや、なんでもない」
「………い、いや、なんでもない」
…?
何故、青年がやや、前屈みになっているのか?
その理由がわからず、黒服は首をかしげ…
何故、青年がやや、前屈みになっているのか?
その理由がわからず、黒服は首をかしげ…
……ぐらり
体が、よろけ倒れる
「っと!?」
「だ、大丈夫!?」
「だ、大丈夫!?」
青年に体を抱きとめられた
少女が、慌てて声をかけてくる
…まずい
完全に、疲労がピークに達したようだ
意識を、保てない
…仕方がない
少女が、慌てて声をかけてくる
…まずい
完全に、疲労がピークに達したようだ
意識を、保てない
…仕方がない
「…すみま、せん……少し、休みます…」
何とか、そう口にだして
黒服は、そのまま意識を手放した
黒服は、そのまま意識を手放した
「お、おいっ!?」
慌てて黒服に声をかける
…すぅ、と
微かに聞こえてくる寝息
どうやら、眠ってしまったようだ
そう言えば、最近忙しいとか言っていたような…
ほとんど、休んでいなかったのかもしれない
体が、限界だったのだろう
静かに、穏かに寝息を立てている
傷の具合を見てみるが、とりあえず、出血は止まっているようだ
ひとまず…大丈夫そうだ
見事な剥き出しEカップを見てしまった自分の息子は、あんまり大丈夫じゃないが
…すぅ、と
微かに聞こえてくる寝息
どうやら、眠ってしまったようだ
そう言えば、最近忙しいとか言っていたような…
ほとんど、休んでいなかったのかもしれない
体が、限界だったのだろう
静かに、穏かに寝息を立てている
傷の具合を見てみるが、とりあえず、出血は止まっているようだ
ひとまず…大丈夫そうだ
見事な剥き出しEカップを見てしまった自分の息子は、あんまり大丈夫じゃないが
……と
黒服が護ろうとしていた少女が、やや軽蔑の眼差しを向けてきていることに、気付いた
黒服が護ろうとしていた少女が、やや軽蔑の眼差しを向けてきていることに、気付いた
「…何だよ」
「……最低」
「……最低」
ぼそりっ
少女が呟いてきた言葉が、ぐさり、青年の心に刺さる
少女が呟いてきた言葉が、ぐさり、青年の心に刺さる
…わかってるよ
息子を元気にしている状況じゃない事くらい、わかってるよ!
そして、黒服は元々男で、近々元に戻る事もわかってるよ!!
新世界の扉をあけるつもりはないんだよ!!!
わかってるんだよ!!
でも!!
この生理現象はどうしようもないだろうが!!
目の前で、こんなにも遠慮なく露出されてちゃ、仕方ないだろう!!!!
息子を元気にしている状況じゃない事くらい、わかってるよ!
そして、黒服は元々男で、近々元に戻る事もわかってるよ!!
新世界の扉をあけるつもりはないんだよ!!!
わかってるんだよ!!
でも!!
この生理現象はどうしようもないだろうが!!
目の前で、こんなにも遠慮なく露出されてちゃ、仕方ないだろう!!!!
青年が言わんとしている事を、何となく理解したのか
…少女が青年に向けてくる眼差しに、ますます、軽蔑が篭っていく
…少女が青年に向けてくる眼差しに、ますます、軽蔑が篭っていく
「…とにかく、その人を放してよ。家に送るから」
「あぁ?……お前、こいつを背負って行くつもりか?」
「あぁ?……お前、こいつを背負って行くつもりか?」
青年に言われ、う、と少女は押し黙る
…女性の体になってしまっているとは言え、黒服と少女では体格差がありすぎる
運ぶとなると、引きずっていってしまう事になるだろう
…女性の体になってしまっているとは言え、黒服と少女では体格差がありすぎる
運ぶとなると、引きずっていってしまう事になるだろう
「…それじゃあ、聞くけど。あなた、この人の家、知ってるの?」
「うぐ……っ!?」
「うぐ……っ!?」
少女の反撃に、青年は押し黙る
…知らない
黒服が普段どこに住んでいるのか、青年は知らない
組織に支給されているマンションに住んでいるらしい事は知っているが、それがどこなのかわからないのだ
…知らない
黒服が普段どこに住んでいるのか、青年は知らない
組織に支給されているマンションに住んでいるらしい事は知っているが、それがどこなのかわからないのだ
青年は知らない
そう聞いてきた少女とて、黒服の家の住所は知らない事に
そう聞いてきた少女とて、黒服の家の住所は知らない事に
両者、一歩も譲らず
青年と少女は、公園の片隅で、しばし…気を失うように眠ってしまった黒服を挟み、睨み合うのだった
青年と少女は、公園の片隅で、しばし…気を失うように眠ってしまった黒服を挟み、睨み合うのだった
fin