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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 仄暗い魂-17

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Retsuya

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だれでも歓迎! 編集
地球の何処かにある、青空の下に広がる黄金色の草原
広大なこの大地を、とぼとぼと歩いていく人影が1つ
晒しの上に黒い長袖の上着を羽織り、黒のミニスカートを穿いた、
短めの灰色の髪と赤い瞳、そして肩に乗っている白いネコが特徴のその少女は、
発情期を向かえた獣のように大声で鳴いている自らの腹を撫で、一言

(ルート>・・・お腹減ったぁ・・・

少女――ルート・ライフアイゼンは絶賛空腹中であった
肩の上で涼しそうな顔をしているネコ――エーヴィヒが、彼女に向けて口を開いた

(エーヴィヒ>こんな内陸だと、それこそ昆虫くらいしか食べる物が無さそうだね
       草食動物の1頭や2頭いれば助かるんだけど
(ルート>テメェはどうせ何も喰わなくてもいいんでしょぉ?
     便利ねぇ、悪魔ってぇ・・・
(エーヴィヒ>悪魔にも食事を摂る者はいるけどね
       暴食を司る「ベルゼブブ」とかは特に
(ルート>アタシも今暴食したい気分よぉ・・・
     あーぁ、アリでもバッタでも何でも良いから、何処かに居ないかなぁ
     もぉこの草でも良いんだけどぉ―――ん?

自らの掌を見て、ふと、

(ルート>・・・まだ、食べ物あるじゃなぁい♪
(エーヴィヒ>幾ら何でもそれは悪食過ぎると思うよ
(ルート>それくらいアタシは餓えてるのよぉ・・・がるるるるぅ・・・

正しく餓えた獣のように、しかし弱々しく唸ってみせる
外見相応の、幼い少女らしい振る舞い
先日までの彼女は何処に行ってしまったのだろうか
と、エーヴィヒを見ながら歩いていたルートがふと前を見た瞬間、彼女の目が輝き出した
幾つか並んだ即席らしき家屋
はっきりと感じる人の気配
どうやら、小さな集落があるようだった

(ルート>やったぁ!! 久しぶりのまともな食事だぁ!! ついてるぅ♪
(エーヴィヒ>集落を食物扱いしないように
       けど、確かに人間に会うのは数日振りだね
(ルート>あ、エーヴィヒは黙っててよぉ? ネコが突然口利いたら気味悪がられるから―――

轟く爆音
昇る黒煙
響く悲鳴

(エーヴィヒ>食事どころじゃなさそうだよ
(ルート>・・・ハァ、やっぱりついてないぃ・・・

がくり、項垂れて溜息を吐くルート
まるでこの世の終わりを迎えるかのような表情を浮かべている

(エーヴィヒ>どうする?
(ルート>・・・決まってんじゃないのぉ

ぱちんっ、と両手で己の頬を叩いて、「よしっ!」と気合いを入れて顔を上げる

(ルート>腐っても、アタシは元「組織」だからねぇ!





     †     †     †     †     †     †





燃え盛る家屋を蹂躙し、口から火を吹いて集落を火の海に変えようとする巨大な化物
身体全体が毒々しい緑色に染まって、無数の棘が生えているそれは、
頭と尻尾が蛇のようにしなやかで、足は亀のように逞しい
化物を恐れ、逃げ惑う住人達
その中で1人、足が縺れて前のめりに転げてしまった少女
ギロリと鋭い目を光らせて、化物は舌を伸ばして少女を喰らおうとした
しかし、その舌は横から飛来したゲル状の球体によって弾かれ、
さらに狙っていた少女も、新たに現れた少女によって助けられてしまった

(ルート>さぁ、逃げてぇ! 早く!!

ルートの指示を聞き、急いでその場から離れる少女
ところが化物の目は既にその少女ではなく、今目の前にいるルートを捉えていた
じゅるりと口から溢れる涎が垂れ、じゅうっ!という音をたてて地面を溶かす

(ルート>あれ、えっと、こいつどっかで見たことあるぅ・・・何だったっけぇ?
(エーヴィヒ>この姿、それに炎と毒を吐き、乙女を狙う性質・・・
       間違いないね、「ペルーダ」だよ
(ルート>あぁそれそれぇ!!・・・でも何処で知ったんだろぉ?

首を傾げるが、「ま、いっかぁ」と呟き、両手を広げ、
全ての指の先端からウィルスで出来た刃を1本ずつ、合計10本を作り出す
「ペルーダ」も、既にルートを捕食する気満々のようで、興奮状態にあった

(ルート>毒を持ってるのは厄介ねぇ・・・アタシのインフルエンザウィルスが効いてないみたいだしぃ
(エーヴィヒ>乙女を狙うらしいから、下手をすれば君の命も危ないね
       僕も手を貸した方が良いかな?
(ルート>じゃぁ、お願いするわぁ!
(エーヴィヒ>仰せの侭に

肩から飛び降り、ネコらしく見事な着地をしてみせると、
エーヴィヒの姿が揺らぎ、それは白い毛並みの小さなネコではなく、
黒い斑のある金色の毛並みの秀麗な、大きな豹の姿となった
エーヴィヒの契約都市伝説の1つであり、「ソロモン72柱」の1柱、「オセ」の姿だ

(エーヴィヒ>幸運を祈るよ
(ルート>任せなさいってぇ!

吐き出される火炎
1人と1匹は、互いにそれを跳んで回避した
豹の姿であり、そもそも悪魔であるエーヴィヒは納得の運動能力であるが、
飲まれたとは言え人間であるルートが、巨大である「ペルーダ」の身体を越える程の高さまで跳んでいる
「オセ」は幻影を作る事ができるが、これがエーヴィヒの仕業ではない
強いて言うなら、彼女にこのような芸当ができるようになったのはエーヴィヒのお陰だ
そもそも「インフルエンザは地球外のウィルス」は身体能力を強化できるものではない筈だった
しかし、「オセ」の『隠された秘密を見つけ出す』能力で、擬似的に肉体強化に成功したのだ
“ウィルスを自身に感染させ、自身を操作する”ことによって
ルートは落下の勢いで、10の刃を「ペルーダ」の頭に向けて切り裂こうとした

(ルート>いっただきぃ!!――――――いっ!?

と、「ペルーダ」の身体中の棘が逆立ち、それが発射される
瞬時に刃をクロスして、射出された棘から身を守り、ゆっくりと着地する

(ルート>っちぇ! 何なのよぉ!!
(エーヴィヒ>「ペルーダ」は棘を飛ばせるからね・・・あれにも毒があるから、気を付けて
(ルート>・・・んん? 何でだろぉ、やっぱり聞いたことあるぅ・・・

またも首を傾げるが、飛来する棘の雨を避ける為にそれを中断する
背後に跳んで、叩き斬り、蹴折り、横に跳ぶ
ルートは周囲に液状の球体を浮遊させ、

(ルート>『ギフト・ヴァイラス』!

掌を「ペルーダ」に向けて、弾丸を一斉に撃ち出した
次々と、ウィルスの塊がその巨体に命中するが、「ペルーダ」はけろりかんとしていた
小さく舌を打ち、ルートは人並外れたスピードで間合いを詰めた
「ペルーダ」は近づいてきた標的を狙って火炎を吐き出すが、ルートは難なくかわす
だが宙に浮いた彼女を見逃す程、この怪物は馬鹿ではなかった
逆立った背中の棘の先端が、一斉にルートの方を向く

(ルート>ッ!? し、しまっ――――――

1本、また1本と、自分に向かってくるその棘を、
常人の約2倍という反応速度で次々と弾き返す
全て防ぎ切り、一度距離を取ろうとした矢先だった
長く鋭い翡翠の毒の棘が、小さな身体を貫いた
声が出ず、代わりに真っ紅な血を吐き出す少女を、
「ペルーダ」はその長い尻尾で容赦無く地面に叩きつけた
笑い声ともとれる大きな雄叫びをあげ、
毒棘竜は大好物である乙女の生肉を、満足そうに咀嚼した




と思えば、「ペルーダ」は口の中にあるものを吐き出した
唾液と共に落ちてきたものは、溶けかけた岩の塊
少女の姿は、何処にも無かった
右、左と見回す化物を見て、滑稽そうに笑う無邪気な声を聴き、
「ペルーダ」は少し離れた場所に立った少女を見据えた

(ルート>ヒャハハハハハハ・・・あー危なかったぁ、なんちゃってぇ♪
     偽者は効果覿面ねぇ、Dankeエーヴィヒ
(エーヴィヒ>お安いご用だよ

そう言って、ルートは自分と同じ大きさの豹の頭を撫でる
エーヴィヒの契約都市伝説「オセ」は、幻影を見せる事ができる悪魔だ
先程「ペルーダ」が仕留めたルートだったものも、彼が見せた幻にすぎない
その騙された張本人は怒りが混じった咆哮を轟かせ、全身の棘を逆立たせる

(エーヴィヒ>また来るよ、今度はあの幻のようにならないでね
(ルート>それよりテメェも戦いなさいよぉ!
(エーヴィヒ>悪いね、僕は戦闘向けじゃないんだ、あくまでサポート専門
(ルート>ちぇっ、後でどうなるか分かってんでしょうねぇ?

飛び交う棘を避けながら、ルートは自らの周囲にウィルスを展開する

(ルート>ウサギの1匹ぐらい狩れるようにぃ、調教してやるんだからぁ!!

ウィルスを針状にして、「ペルーダ」の足に集中砲火する
硬い鱗で覆われた足を貫通する事はできなかったが、
数の暴力に押され、バランスを殺され、巨体はずずぅん!!と轟音を立てて倒れた
にっ、と笑い、ルートは再び幾兆のウィルスを集めた
今度は自分の右腕に、巨大な刃を作り上げる
空さえ斬り裂けそうなその剣を振り上げ、

(ルート>行っけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!『ゴットアルム』!!!

力強く、振り下ろした
ある時は巨木を、ある時は蟲竜を薙ぎ払ったその剣は、
いとも簡単に毒棘竜の身体を両断する――――

(ルート>―――――――ッ!?

ことはなく、がっ!!と火花を散らして棘に抑えられ、
巨体が立ち上がると同時に押し返され、彼女が尻餅をついたと同時に刃は消滅した
すぐにルートも立ち上がり、「ペルーダ」の放った火球を避けつつ距離を取った

(ルート>あぁチクショォ!! どうなってんのよぉ!!
(エーヴィヒ>女の子らしい言葉を覚えた方がいいね
(ルート>黙んなさい!! テメェも何か手伝えぇ!!
(エーヴィヒ>指示があるなら何なりと
(ルート>面倒ねぇ! あのデカブツの弱点とか――――



―――――――ねぇ日天さぁん、これもリンドヴルムの仲間なのぉ??



(ルート>へ・・・あ!



―――あぁ、「ペルーダ」という竜の一種だ。オレもまだ見た事は無いけどな

―――へぇ~、変わった形だねぇ



突然脳裏に過ぎる、彼女の過去の記憶
それが、彼女に勝利を確信させた

(ルート>思い出したぁ・・・エーヴィヒ! アタシの偽者、よろしくぅ!
(エーヴィヒ>了解



―――唾液や棘に毒があり、炎も吐ける。しかも棘を飛ばして攻撃するらしい

―――えぇ!? 厄介なリンドヴルムぅ・・・



ずらりと並ぶ、ルートの姿
「ペルーダ」は迷いを見せながら、それらに向けて火球を吐き、棘を飛ばす



―――だが、はっきりとした弱点もあるんだ

―――弱点?



(ルート>隙だらけよぉ、この脳筋!!

ルートは再び、先程のように大きなウィルスの剣を生成した



―――そうだな、いつか戦うかも知れないから、お前にも教えてやろう



(ルート>今度こそ・・・くたばれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!



―――いいかルート、「ペルーダ」の弱点は、



毒棘竜が気づいた時は既に遅かった
ルートの刃は急所を捉え、大きく真っ赤な華を咲かせた



――――――――この、長い“尻尾”だ



甲高い断末魔を轟々と響かせて、「ペルーダ」は力無く、静かに、己の血に伏した
巨大な刃を消し、ウィルスの役目を終わらせ、大きく深呼吸をするルート
ネコの姿に戻りながら駆け寄ってきたエーヴィヒをその腕で包み、
既に亡骸となった「ペルーダ」を見て、ぽつりと呟く

(ルート>・・・これ、食べられるぅ?
(エーヴィヒ>毒で死ぬ覚悟があるなら
(ルート>じゃあ、やーめたぁ

諦めた様子でルートが踵を返した瞬間に、
「ペルーダ」の屍は細かな光の粒となって、風に流れて散っていった

(エーヴィヒ>でもよく分かったね、折角僕が教えてあげようと思ったのに
(ルート>ヒャハ♪ 昔、“誰か”に教えてもらったんだぁ

楽しそうに、しかし果敢なげな笑顔で言うと、
彼女はエーヴィヒを肩に乗せ、

(ルート>次は・・・ここの住民達の安否確認!

逃げた住民達に事が鎮まったと報告する為、走り出した―――

「おい君! 怪我は無いか!?」

若い男性の声
自分に向けられているらしいその声に振り向くと、2つの人影がこちらに駆け寄ってきた
声の主である男性と、それに付き添う女性
その2人に共通しているのは、サングラスに黒いスーツ

(ルート>・・・「組織」ぃ? いるならテメェらがあの化け物倒せば良かったじゃないのぉ!!
(黒服女>なっ・・・それは、その、応援を呼んでいまして・・・そ、それより怪我はありませんか!?
(ルート>あるように見えるぅ!? お陰様でぴんぴんしてるわよぉ!!
     ていうか、なぁにテメェら、新人?
(黒服男>え・・・あ、まぁ、最近黒服になったばかりだが
(ルート>でしょうねぇ、スーツもサングラスも新しすぎるしぃ、
     それに・・・何だか弱っちそう
(黒服男>(堂々と失礼な・・・誰なんだこの子は?)
(黒服女>(さ、さぁ・・・先輩、でしょうか?)
(ルート>何ボーっとしてんのよぉ!ここの住民達は何処!?
(黒服女>あ、はい! この先に避難を――――

最後まで聞かずに、ルートは女性が指差す先に向かって走り出した
辿り着くと、確かに住民達が集まっていた
だが、その表情は険しいものばかりだった
燃える家々を見ているのもそうだが、それ以上に彼らの一部が問題だった

(ルート>――――――ッ!!

骨折、火傷、分断、そして毒の侵食
あらゆる状態の怪我人が屯していた

(黒服男>っこ、これは・・・
(黒服女>酷いですね・・・
(ルート>他人事みたいに言ってんじゃないわよぉ!!「組織」はいつ来るぅ!?
(黒服女>え、えっと、恐らく10分後には―――
(ルート>なら「蝦蟇の油」か「河童の妙薬」くらい有んでしょ! さっさと怪我人の治療して!
(黒服男>わ、分かった――――待て、流石にこの人数だと足りなくなる
(ルート>あぁんもぉ!! テメェら、何に飲まれてるぅ!?
(黒服女>私は、「口裂け女」に・・・
(黒服男>俺は「注射男」だが
(ルート>あぁ良かった、何とかなりそうねぇ
     「口裂け女」でメスとか適当な刃物出して!
     「注射男」は麻酔注射とかできない!?
(黒服男>・・・お、お前、何を――――――

ルートは迅速に己の荷物の中の物を取り出す
出てきたものは、少ないが幾つかの医術道具だった

(ルート>丁度メスと麻酔がないのよねぇ
(黒服男>こ、ここで手術する気か!? お前、まだ子供だろう!?
(ルート>うっさいねぇ、アタシも飲まれてるし、歳はテメェより上だしぃ
     それに、ここでやんなきゃこいつら死んじゃうかも知れないんだよぉ!?
(黒服男>ッ・・・
(ルート>文句言ってる暇があんなら、アタシの言う事を聞いてさっさと動けぇ!!

少女の怒号が響くと、2人は速やかに指示されたものを能力で出現させ、
薬を持って他の怪我人を当たった
ルートはそれを見届けると、注射器とメスを構えた

(エーヴィヒ>本当にやるのかい?
(ルート>アタシは元R-No.10、救護班を従えてたのよぉ?
     まぁ、多少のブランクはあるけど、応急処置くらいならできるわぁ

軽く息を吸って、精神を整え、メスを輝かせた

(ルート>・・・手術、開始





     †     †     †     †     †     †





数分後―――

(エーヴィヒ>・・・良かったのかい? ここ暫く、通常の食事を摂ってないじゃないか
(ルート>ん~、でも、恩を売るような真似はしたくないしぃ・・・

集落を離れ、彼女達は再び草原を歩いていた
応急処置は全て成功したが、その後「組織」が来た為に、
「オセ」の能力で姿を晦ませて早々にあの場から退散したのだった

(ルート>それに、あの状況でご飯も何もないじゃないのぉ
(エーヴィヒ>それもそうだけど、「組織」に言えば食料くらい貰えたんじゃないかな
(ルート>・・・もう、「組織」とは関わりたくない

俯きがちに呟くと、エーヴィヒはそれ以上何も言わなかった
ふと、ルートが見上げると、空は既に赤く染まりかけていた

(ルート>ハァ、野宿できるところ探さなきゃね
(エーヴィヒ>木のあるところがいいね
(ルート>だったらテメェも自分の足で探せぇ!!

首根っこを掴んで、彼女はネコを広い草原に投げ飛ばした





―――「ペルーダ」は乙女を好む性質があってな。とある娘がこの「ペルーダ」にずたずたに引き裂かれて殺された

―――ひえぇ・・・

―――けど、その恋人が娘の仇を討つ為に「ペルーダ」と戦い、尻尾を斬って討伐に成功した

―――へぇ、そうなんだぁ・・・ねぇ、日天さん

―――ん?

―――もし、アタシが「ペルーダ」に襲われたら・・・殺される前に助けてくれるぅ?

―――・・・どうだろうな。オレは、そんなに強くないから

―――嘘でも「勿論」とか言ってよぉ!

―――す、すまん;



(ルート>・・・ちゃんと、助けられたじゃない・・・

寂しそうに、彼女はまた呟いた

   ...setzen Sie fort

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