盲目のフード男 04
「さて、仕事が来た訳じゃが」
猫が集まる深夜の空き地で片耳の猫がしわがれ声で言う
「あの女子、風邪だそうじゃな?」
「ああ…今は家で寝ている」
フードを被った男が猫の前に立ち、静かな声で答える
「ふむ…このグループは二人組で動く決まりじゃからの…困った困った」
「別に俺一人でも大丈夫だが…」
「よし!わしが代わりに着いてっちゃろ!!」
猫はフード男の話など聞かず、勝手に問題を解決した
「…勝手にしてくれ」
フード男は深く溜め息を吐いた
・ ・ ・ ・ ・
所変わって深夜の山道、暗く車も中々通らないその場所にフード男が立っていた
「で?今回のターゲットは?」
「聞いて驚くでないぞ…?その名も、地獄へ向かう無人タクシーじゃ!!」
男の服の胸元から片耳の猫が顔を覗かせる
「無人…か」
「安心せい、わしに任せておけば楽勝じゃ」
「本当か?」
「まあとりあえず、そのタクシーに乗らない事には始まらん」
しばらくそんな会話をしていると、二人(?)の前に一台のタクシーが止まった
タクシーの後部座席の扉が開き、フード男は黙って乗り込む
タクシーは行き先も告げてないのに、勝手に走りだした
タクシーの後部座席の扉が開き、フード男は黙って乗り込む
タクシーは行き先も告げてないのに、勝手に走りだした
(どうやら当たりのようじゃな)
(そのようだ)
二人(?)を乗せたタクシーは、やがて山の中へと入って行った
・ ・ ・ ・ ・
どれくらい経っただろうか、タクシーは未だに山道を走っている
「…どこへ向かっているんです?」
フード男がわざとらしく台詞を言う、すると
「お客さん…それはね…地獄ですよ…!」
運転手がとても低い声で答えたかと思うと姿が掻き消える
運転手が消えても尚、タクシーは山道を走っている
運転手が消えても尚、タクシーは山道を走っている
「さて、話によるとこのまま崖に落とされるそうじゃが…」
猫がフード男の服から飛び出し、シートに降り立つ
「…で?脱出する方法は?任せておけと言った分、ちゃんと考えてるんだろうな?」
「え?それはおぬしが考えてるのでは無いのか?」
「……」
フード男はこの時生まれて初めて、動物に殺意を持った
「と、とりあえず逃げる方法を考えるのじゃ!はようせんと真っ逆さまじゃぞ!」
猫は焦ってあわあわとシートの上を歩き回る
「…はぁ」
フード男は猫を連れて来た事を後悔しながら出る方法を探す
ドアは開かず、ブレーキも聞かない、どうにかして無理矢理外に出るしかないだろう
ドアは開かず、ブレーキも聞かない、どうにかして無理矢理外に出るしかないだろう
「チッ…!」
フード男は渾身の力を込め窓を蹴る、しかし窓はびくともしない
「ニャア!わしも手伝うぞい!!」
猫も一緒になって窓に体当たりをかます
ガン、ガン、と何回か攻撃してる内に窓に白く皹が入って行く
ガン、ガン、と何回か攻撃してる内に窓に白く皹が入って行く
「おおおぉ!!」
「ニャアアァ!!」
同時に放たれた一人と一匹の全力の攻撃で窓が砕け散り、勘一発フード男と猫は外に飛び出した
「…ギリギリだったな」
「いや~、ひやひやしたぞい」
崖下の暗闇に落下していくタクシーを見て、一人と一匹は呟いた
「所でだ」
フード男が白く曇った目で猫を見下ろして言う
「何が『わしに任せろ』だ、何一つお前はやってないんじゃないか?」
猫の鼻を指でつまみながら少し怒ったように言う
「いひゃひゃひゃひゃ、まあ待て、ここからがわしの本領発揮じゃから」
鼻をつままれてもがきながら猫が答える
「…ならば見せてもらおうか、お前の本領とやらを」
「よっし、今度こそわしに任せい」
猫は胸をはり自慢げに言った
「本当に大丈夫か?」
フード男は信じてないのか、見えない目で疑いの視線を猫に送っていた
・ ・ ・ ・ ・
山の中の森
鬱蒼と茂る木の合間に一人の中年男性がいた
鬱蒼と茂る木の合間に一人の中年男性がいた
「逃がしたか…いや、まだ手はある」
「タクシーを遠隔操作して奴らを轢いてやれば…」
中年はぶつぶつと呟き、木にもたれ掛かっている
そんな中年の視界に、光る二つの物体が移った
そんな中年の視界に、光る二つの物体が移った
「誰だ!?…なんだ猫か」
光る物体の招待は猫の目だった、中年は安堵の溜め息を吐く
しかし様子がおかしい、周りを見渡すと上下前後左右光る物体
周り全てを猫に囲まれ、すべての目が中年を見詰めていた
しかし様子がおかしい、周りを見渡すと上下前後左右光る物体
周り全てを猫に囲まれ、すべての目が中年を見詰めていた
「ひ…っ!な、何だ…一体…」
中年は恐れ、後ずさりをした
その時、中年の目の前に片耳の猫が現れ、口を開いた
その時、中年の目の前に片耳の猫が現れ、口を開いた
「ふぉっふぉ、人は殺すくせに猫は苦手なのか、愉快、愉快」
「ひぃっ!猫が喋った!?」
中年は更に驚き、体中から脂汗が吹き出した
「ふむ、怖がっておるな…安心せい、おぬしの体は余す所なく喰ってやるからの!」
周りの猫が一斉に鳴き声を上げる
中年は泣きながら抜けた腰で無理矢理立ち上がり逃げようとした
――その瞬間、中年の視界が夜よりも暗い闇に染まった
中年は泣きながら抜けた腰で無理矢理立ち上がり逃げようとした
――その瞬間、中年の視界が夜よりも暗い闇に染まった
・ ・ ・ ・ ・
「…はい、いつものように処理は任せます…はい、後、迎えをお願いします」
フード男は簡単な連絡を済まして携帯電話をしまう
傍らには縛られた中年男と欠伸をしている片耳の猫がいた
傍らには縛られた中年男と欠伸をしている片耳の猫がいた
「しかしお前、よく居場所がわかったな」
フード男が猫を見下ろして言う
「何、猫というのは犬程じゃないが鼻が効く、後は匂いをここの山猫に伝えただけじゃ」
自分の耳を掻きながら猫が説明をする
「…最後の最後でやっと約に立ったな」
「ふぉふぉ、ヒーローは遅れてやってくるもんじゃて」
そう言って猫はフード男の服の中に飛び込む
「今度来た時は美味い猫缶持ってくるんじゃぞ?」
「…考えておく」
そんな話をしていると一人と一匹の前に黄色い救急車が止まった
「お、迎えが来たようじゃな」
「…これに乗れと?」
「いやなら歩いて帰ってもいいんじゃぞ?」
「…はあ」
フード男は溜め息を吐きながら黄色い救急車に乗り込んだ
救急車は走りだし、山には元の静けさが戻った
救急車は走りだし、山には元の静けさが戻った