…どれだけ、そうしていただろうか
カラミティは、ようやく落ち着いたようだ
カラミティは、ようやく落ち着いたようだ
「もう、大丈夫か?」
「…ん………平気だ」
「…ん………平気だ」
そう言いつつも、甘えるようにすり寄ってくるカラミティ
あやすように背中をなでてくるカインの手が心地いいのだろうか、静かに目を閉じていたが
…やがて、名残惜しげに顔を上げる
あやすように背中をなでてくるカインの手が心地いいのだろうか、静かに目を閉じていたが
…やがて、名残惜しげに顔を上げる
どこか、真剣な表情
ごそ、と、懐から、何かを取り出した
ごそ、と、懐から、何かを取り出した
それは、開いた手を象り、手のひらの部分に目が描かれたデザインの、古く、しかし美しいビーズで作られた護符だった
それが、三つ
それが、三つ
「カイン、これ、お前にやるよ」
と、そういって、差し出してくる
「これは?」
「ファーティマの手だ。悪意がこもった視線を防ぎ止める意味がある。マリヤの目とか五とも呼ばれるな」
「ファーティマの手だ。悪意がこもった視線を防ぎ止める意味がある。マリヤの目とか五とも呼ばれるな」
邪眼などと呼ばれる存在
世界中に、こういう目をあしらった護符は多い
有名どころでは、ホルスの目などもそうだろうか
魔法使いであるカラミティが持っているそれは、土産物屋で売られているようなそれらとは違う、本物のマジックアイテム
カラミティの言うような効能が、確かにあるのだろう
世界中に、こういう目をあしらった護符は多い
有名どころでは、ホルスの目などもそうだろうか
魔法使いであるカラミティが持っているそれは、土産物屋で売られているようなそれらとは違う、本物のマジックアイテム
カラミティの言うような効能が、確かにあるのだろう
「三つも、俺に渡すのか?」
「ん、一つはカインが持っててくれ。あとの二つは、カインが渡したい相手に渡せばいいと思って」
「ん、一つはカインが持っててくれ。あとの二つは、カインが渡したい相手に渡せばいいと思って」
じゃら、と
ビーズで作られたそれが、小さく音を立てる
ビーズで作られたそれが、小さく音を立てる
「受け取って、くれるか?」
やや、不安そうな眼差し
そのまなざしに、カインは小さく苦笑して見せる
そのまなざしに、カインは小さく苦笑して見せる
「……ありがとう。受け取っておく」
と、その三つのファーティマの手を、受け取った
とたん、嬉しそうな笑顔を浮かべるカラミティ
どこか、ほっとしているような、そんな様子も伝わってくる
とたん、嬉しそうな笑顔を浮かべるカラミティ
どこか、ほっとしているような、そんな様子も伝わってくる
「よかった。ちゃんと、肌身離さず持ち歩いておけよ?」
「あぁ、わかった。ありがとう、カラミティ」
「あぁ、わかった。ありがとう、カラミティ」
小さく、微笑むカイン
…どうしても、どこか、さびしげな笑みになってしまうカイン
………その理由を、知っていて、だが、どうしようもできずにいるカラミティ
いつか、必ず、心からの笑みを浮かべさせてみせる
それは、カラミティの強い願いの一つだ
…どうしても、どこか、さびしげな笑みになってしまうカイン
………その理由を、知っていて、だが、どうしようもできずにいるカラミティ
いつか、必ず、心からの笑みを浮かべさせてみせる
それは、カラミティの強い願いの一つだ
「じゃあ、俺様、ちょっとやらないといけない事があるから………カイン、気をつけろよ?」
「俺は、大丈夫さ……お前こそ、気をつけろよ?」
「俺様は、最強で万能の魔法使いだから大丈夫」
「俺は、大丈夫さ……お前こそ、気をつけろよ?」
「俺様は、最強で万能の魔法使いだから大丈夫」
ひら、と
その姿が、漆黒の蝶の群れへと変わっていく
その姿が、漆黒の蝶の群れへと変わっていく
……姿を消す、その、直前
「…何が起こっても、お前をちゃんと護るから」
と、小さく呟いて
カラミティは、漆黒の蝶の群れと共に、姿を消した
カラミティは、漆黒の蝶の群れと共に、姿を消した
ちゃらり
カインの手には、三つのファーティマの手だけが残される
カインの手には、三つのファーティマの手だけが残される
「…俺の事など、心配する必要などないというのに」
小さく、苦笑するカイン
カラミティは、いつだってカインの事を心配してくるが、カインからしてみれば、カラミティの方がずっと心配だ
精神年齢は子供だし、しかも、その精神は不安定になりやすい
しかも、それ以上に……………
カラミティは、いつだってカインの事を心配してくるが、カインからしてみれば、カラミティの方がずっと心配だ
精神年齢は子供だし、しかも、その精神は不安定になりやすい
しかも、それ以上に……………
「……せめて、俺にできることは、精一杯やらないとな」
もう
もう、二度と、大切な存在を失いたくはない
もう、二度と、大切な存在を失いたくはない
カラミティは、カインにとって大切な親友であり…………今のカインにとって、もっとも大きな心の支えだ
それを、もう、失いたくない
そう願うからこそ、カインはカラミティを気遣い続ける
そう願うからこそ、カインはカラミティを気遣い続ける
…かすかに、それを自覚して
自分はどこまで身勝手なのだろう、と自嘲するのだ
自分はどこまで身勝手なのだろう、と自嘲するのだ
カラミティから受け取ったファーティマの手を、懐に仕舞い込み
カインは、外に出て、空を見上げた
…もう、すっかり暗くなっている
はら、はらり
雪が舞い散り続けている
いつの間にやら、雪はだいぶ深くなっていた
ざく、ざく、と雪を踏みしめて歩いていく
カインは、外に出て、空を見上げた
…もう、すっかり暗くなっている
はら、はらり
雪が舞い散り続けている
いつの間にやら、雪はだいぶ深くなっていた
ざく、ざく、と雪を踏みしめて歩いていく
「……カラミティ、様子がおかしかったな……………何か、危険な事に巻き込まれていなければよいのだが」
はぁ、と白い息を吐き出しつつ、カインは呟く
もはや、親友が後戻りできぬほどに危険に踏み込んでいる事実に
そして、その危険が、己のすぐそばまで近づいてきている事実に
そして、その危険が、己のすぐそばまで近づいてきている事実に
まだ、カインは気づかない
to be … ?