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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 正体不明-04

最終更新:

Elfriede

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正体不明 04


「やばいやばいやばい! 相性最悪だろこれ!?」
『物体X』討伐に集まっていた契約者と担当の黒服達は、ターゲットの弱点である炎や熱を操る能力ばかり
 迫り来る赤い津波には全く通用せず、即座に逃げに転じた者以外は尽くが呑み込まれてしまった
「動きが早い! 逃げる手の無い面子はこっち集まれ!」
 撤退を担当していた黒服の周辺に、十数人が一斉に集まる
「発動、『不知火』!」
 黒服とその周囲に集まった全員が、熱の無い炎に包まれるとほぼ同時
 赤い津波が全てを呑み込もうとその身を跳ね上げる
 だが炎に包まれた一行は、襲い掛かるのと同じ速度で後方に滑るように飛翔する
「これで捕まる事は無くなったが……どうするんだ、あれ」
 触手のように襲い掛かる赤い物体を、同じ速度で飛び回る『不知火』に包まれた一行
 だがその能力は捉まる事は無いものの、逃れ切る事もできない
「対応できる能力を派遣してもらうしか無いだろ」
「そうだな、それまで引き付けておければいいんだが」
 そんな黒服達の会話を、不安げに聞いている能力者達
 前線で戦う以上、それぞれが自分の戦闘力に自信を持っていたのだが、それが全く通用しない相手に出会ったのは初めてなのだ
「彼らもしばらく使い物にならないかもな」
「生きてるだけマシでしょう。8名ほどが不意打ちで喰われてますから」
「ともあれ早急に片付けないとやばいぞアレは」
「……頭、悪そう……引き付けておけば、大丈夫」
 そんな相談をしていた矢先
 赤い物体はそれこそ潮が引くかのように退いていく
「こちらの思惑に気付いたか?」
「まさか、あの手のパニックホラーモンスターにそんな知識がある例は」
「いや、あるな」
「……契約者……いる」
「だとしたらやばいな。呑まれかけて無差別に襲ってるわけじゃない、何かの意図を持って人を襲っているという事だ」
「上への連絡は?」
「今からだ。引き続き警戒は頼む」
「了解」
 黒服の一人が携帯電話を取り出し、着信履歴から作戦の指揮担当の番号へと繋げる
「作戦行動中はシンプルな無線とか使いたいもんだね」
「私用も兼ねてるし、都市伝説との相性は携帯の方が良いから仕方ない」
「……あ、もしもし? 俺です、Z-No.1720です……ええ……マジですか」
 何かあったのかといった視線が集まる中、Z-No.1720は通話口を押さえて小声で囁く
「Z-No.999の奴が先に遭遇してたそうだ。一般人を助けるために緊急避難してて連絡が遅れたらしい」
「女か」
「女だな」
「……あれから逃げるなら……仕方ないと思うけど」
「あいつの肩を持つのか、Z-No.4126」
「お前も優しくされてるのか。いかんな、あいつは女にだけ優しい」
「……そういう……わけじゃない……彼は単純に……弱い」
「お前らちょっと静かにしろ、電話聞こえねぇ……あ、いやいやこっちの話で。ともあれ現状の面子じゃアレに対抗できません。どうも契約者がいるっぽくて知恵が回るようで」

―――

「契約者、だと?」
 Z-No.0、然河斬九郎(ぜんが・ざんくろう)は顰めっ面でこつこつと指先で机を叩く
「あれが『ブロブ』にせよ類するものにせよ、契約は不可能だ。あれとの契約は接触で行うが、人間は触れた瞬間に喰われてしまう」
《でもあれは契約者無しの野良の動きじゃないですよ。攻撃が届かないと判断したら即撤退とか、単細胞生物のリアクションじゃないでしょう》
「何か特殊な技法で契約をしたか……もしくは、相当に相性が良かったか」
《とにかく、警戒は続けますが俺らは撤収します。担当の子らじゃ能力が通じませんから。あれに対応できる面子を用意して、どうにかして下さい》
「判った、早急に対策を練る。お前達は残存人員の安全を最優先に行動しろ」
 かちゃりと受話器を置き、顰めっ面をそのままに椅子から立ち上がり資料棚へと向かう斬九郎
 Z-Noの人員と担当の契約者リストを流し見しつつ、軽い溜息を吐く
「まったく、前任が辞める折に多くの人員がフリーとして流れ過ぎた。ようやく集めた手勢もこの有様ではな……他所の部署に借りを作るしか無いか」
 唐突に出来た空席にとりあえず埋めるといった形でNo-0の座を手にした斬九郎の下には、とりあえずといった手勢しか居なかった
 多少なりとも実績を積めば、人員や資材の確保も多少楽になるかと、面倒ながら火力だけでもどうにかなる『物体X』の討伐作戦を請け負ったのだが、このような横槍を受ける事になるとは
「またしばらくは他所の部署の雑用や使い走りになりそうだな……なかなか上手いように事は運ばないものだ」
『ブロブ』の弱点は明確ではないが、凍結により一時的に活動を停止させる事ができる
 その状態から空間制御系の能力で消滅、または放逐せしめるのが最善策であろう
「問題は、本当に契約者が存在した場合だ。そう簡単に罠には掛かってはくれんだろうな。面倒極まりない」
 多数の人員を抱えて居なくなった前任者サロリアスの存在を恨めしく思いながら、斬九郎は現状打破のための戦力集めに奔走する事となったのだった

―――

「半分以上逃げられちゃったね。ありがとうの気持ちが足りなかったのかな」
『ブロブ』の契約者の少女は、手のひらの上でぶくぶくと泡立つ『ブロブ』を眺めながら一人で呟き続ける
「あの人達は、あたし達の邪魔をするけど。みんな食べちゃって一つになれば、仲良くなれるよね」
 子供らしい微笑を浮かべながら、『ブロブ』をきゅっと握り締め手のひらの中へとしまい込む
 そしてふと顔を上げた先
 路地の向こうを歩く女性の姿を見て、少女はぱぁっと顔を輝かせる
「こないだ食べれなかった人だ。ねえ、今度こそちゃんと食べてあげようね」
 逃した獲物のにおいを嗅ぎ取ったのか、少女に呼応しているのか
 手のひらの中でぶくりぶくりと湧き上がる『ブロブ』
 Z-No.999と駅で別れ、自宅へと向かう旗上詩卯の姿を見つけ
 少女と化物はその後を追い始めた


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