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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 正体不明-06

最終更新:

Elfriede

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正体不明 06


 あちらを駆け回る子供
 こちらではしゃぎ回る子供
 服の裾を引っ張る子供
 座っている椅子をよじ登ってくる子供
 火の付いていない煙草を咥え、背中と頭と膝の上に子供を乗せたまま書類仕事を続けているサロリアス
「やーごめんね、さっちゃん。うちで引き取るまでの間、一時的に預かってくれる場所が無かったからさぁ」
「黒羽……そう思ってんなら早く手続きを済ませてこい」
 凄むように睨み付けるサロリアスに、Z-No.2こと天駆黒羽(あまがけ・くろば)はけらけらと笑う
「ういーす、りっちゃんとせっちゃんにも書類手伝ってもらってるからもうすぐだよ」
「梨々と雪華にやらせといてお前は何してんだ」
「書類はいいから子供の相手しといでって追い出された」
「……それならまず、これをどうにかしろ」
 ペンを持つ手にぶら下がる子供を、苦虫を噛み潰したような顔で持ち上げるサロリアス
「あっはっは、さっちゃんてば子供に懐かれるよねぇ。顔恐いのに」
「うるせぇ」
 腕にぶら下がってきゃあきゃあと騒ぐ子供達を抱き上げ、撫でくり回す
「ところで……身寄りの無い子供集めて何やらかす気だ、お前」
「んー? 育てんの。うちの地元は怪異に強いからねー、寺と学校買って孤児用の全寮制学校作った」
「作ったってお前……そこまで金あったのか?」
「色々出資もあったからねー」
 黒羽が子供を構っていると、わらわらとそちらに集まってくる他の子供達
「あっちで都市伝説との関りを祓ってからなら、平穏に過ごせるかもしんないっしょ?」
「人の良いこった」
「せっちゃんの方がスケールでかいけどね。地元の山まるごといくつか買ったらしいよ? 人と関りたくない都市伝説の隠れ里作ったってさ」
「……スケールがでかいのを通り越して出鱈目なレベルだな」
「道路も開発計画も入りようが無い僻地らしいからね、安かったんじゃない?」
「安いにしたって、限度ってもんがあるだろうが……ったく」
 まだ背中や頭に乗せたまま、うんざりとした様子で椅子から立ち上がるサロリアス
「でかいもん作るのは良いがな、『組織』に利用されねぇうちに縁切っとけよ?」
「うちの組織、そう簡単に辞めれるもんでないとは思うけどねー。まーなんとかなるっしょ」
「人が良過ぎるんだよ、手前ぇらは」
「さっちゃん程じゃないと思うけどなー」
「うるせぇ」
「黒羽ちゃん、書類できたよ?」
「相変わらずやっかましいっスねぇ? あっしは子供とか苦手っス」
「子供が苦手ってのはダメだなぁ。将来困るよー?」
「……よし、まず思考を止めれ黒羽。変な妄想垂れ流さない」
「えー? さっちゃんの見た目なら正妻とは別に愛人居てもいいと思うよ?」
「正妻ポジションがなんでそうなるっスか」
「あらあらご不満ですかー? それならいっそ」
「やめんかアホカラス!?」
「お前ら楽しそうだな……暇ならガキ達をどうにかしろ」
 騒ぐ女性陣を恨めしそうに睨みつけながら、放置された子供にたかられてうんざりとしているサロリアスであった

―――

「どうしたんスか、社長」
「ちょっと昔の事をな」
 紫煙を吐き、煙草を携帯灰皿に捻じ込むサロリアス
「報告じゃ犯人はガキらしいが……あいつら大丈夫なのか?」
「その辺の割り切りは出来てるっスよ。助ける手があればそっちを取るでしょうけどね」
 広げた地図を見下ろしながら、『組織』の備品ではなくサロリアスの会社の備品である無線を手に取る
「黒羽っち、ターゲットは見付かったっスか?」
《おうさ、視界はクリアー。ターゲットはB7の交差点から北へ向かって移動中だよー》
「了解、それじゃターゲットに接近して思考を探るっスよ」
 無線を切って地図を畳む梨々
「無茶すんなよ」
「ここしばらくの騒動で懲りてるっスからね。食い意地の張った連中は勘弁っスねぇ……まあ今回は黒羽っちも居るし問題無いっスよ」
 にへらと笑みを浮かべ、ビジネススーツにタイトスカートには似合わない古ぼけた蓑を翻す
「ま、斬九郎も頼ってくれたんだし、頑張ってあげようじゃないっスか」
「Zナンバーで相性を考えると、確かに私達が最適でしょうしね」
 集まったメンバーの元Zナンバーの最後の一人、元Z-No.3こと氷室雪華(ひむろ・せつか)
 黒服姿で集まった一行の中で唯一人、純白の着物姿で佇んでいた
「『さとり』『烏天狗』『雪女』……契約者持ちとはいえ『ブロブ』相手なら充分お役目を果たせるかと」
「お前らに『組織』の仕事させたくねぇから、まとめて辞めさせたんだがな俺は」
「それでも後輩に頼られるのは悪い気はしないですよ?」
 口元を袖で隠し、ふふと笑う雪華
「お前らは良いかもしれんがな……『組織』で大掛かりな仕掛けを打たなきゃいけねぇ時は碌な事にならねぇ」
「大掛かり、ですか?」
 動員されたのはたかだか3人、現No.-0が先陣に立つとはいえかなり小規模な人数と言える
「人数じゃねぇ、戦力がだよ……それに最近は事件が妙な方向に転がる事例が多い。気をつけろ」
「あなたの予感は当たりますからね、肝に銘じておきます」
 そう言うと雪華も、ばさりと蓑を羽織る
 黒羽が用意した『天狗の隠れ蓑』で姿を消した梨々と雪華は、異形を纏う少女に接近するべく移動を開始した
「今回は俺にゃあどうしようも無ぇ相手だが……どうしたもんか」
 役者は揃うか揃わぬか
 一人の少女を中心に、事態は渦を巻く


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