「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 我が願いに踊れ贄共・咎負い人-11a

最終更新:

guest01

- view
だれでも歓迎! 編集
 雪が、雨へと変わる
 足元の雪も、どんどんと溶かされていく

 ……己が、不利になったはずの、状況
 しかし………メルセデスは、笑うだけだ
 裂邪の挑発を、楽しげに受け止める

「あぁ、そうだなぁ?俺はとっくに「バルディエル」に飲まれている。雹と霰を司る俺じゃあ、こうも暑くされちゃあ敵わねぇなぁ?」

 つ、とメルセデスが指を動かす
 メルセデスが何をやろうとしているか、カイザーは瞬時にそれを理解して

「っ逃げなさい、今すぐに!」

 裂邪とレクイエムに、慌ててそう声をかけるカイザー
 だが、間に合わない

「《カルトフォーレ》」

 ----ぴしぃっ!!

 裂邪の足元にできていた、巨大な水たまりが……瞬時に、凍った
 それだけではない
 氷は鋭い刃となって飛び出し、まるで、地面から無数の刃が生えたような状態になる

 そう
 ………………足元が、そんな状態になったのだ
 通常ならば、その刃に全身を貫かれるところだろう

 だが
 その刃は、裂邪に届かなかった
 周囲に展開された火の玉が、即座にその氷を溶かしつくしたからだ

「っははははは!!面白ぇ、普通の氷じゃ効かねぇか!!」
「あぁ、そうさ。カキ氷野郎。お前の攻撃は俺には届かない!」

 火の玉が、メルセデスに襲い掛かる
 だが、その全てが……メルセデスの背負う棺桶に、受け止められた
 一切、表面に焼け跡すらつくことがない
 まるで、都市伝説の攻撃を無効化しているかのようだ

 けらけらと、メルセデスは楽しげに笑う
 久方ぶりに、戦いがいのある相手が見つかった
 そうとでも言うように

「そうか、そうかぁ!!ならば「アイスマン」 メルセデス・オラーリャ、ちょいとばかし本気でいかせてもらうぜぇ!!」

 メルセデスの手元に、辺りの水分が集まっていく
 それはビキビキと音を立てて凍っていき

「《カルトシュナイデ》」

 鋭い、氷の刃へと変わった
 地を蹴り、裂邪へと接近していく!

「そんな刃………」
「避けなさい!その刃は、熱では溶けません!!」

 -----え?

 カイザーからかけられた、警告の声
 確かに……間近まで接近して、しかし
 メルセデスの手に納まった氷の刃は、一切、溶ける事なく形を保っていて………

「うわっ!?」

 慌てて、攻撃を避けた裂邪
 っぴ、と髪が数本、宙を舞う

「っちぃ………カイザー、邪魔すんじゃねぇ!!」
「…相手は、子供です………ここで戦う必要など、ないでしょう」

 ざ、と
 カイザーが、メルセデスと裂邪の間に、割り込む
 これ以上、メルセデスに裂邪を攻撃させまいとするかのように、そこから動こうとしない

「おい、あんた…」
「……そちらの少女を害してしまった事、私から謝罪します………申し訳ありません」

 裂邪に、そう告げたカイザー
 メルセデスに対する警戒を解かずに、続ける

「…お願いです、どうか、退いてください。確かに、あなたの能力は、メルセデス相手に多少は相性がいいようです……それでも、完全に打ち勝つには………あなたにはまだ、少々、経験が足りないようです」

 裂邪を、レクイエムを
 カイザーは、ここから………メルセデスから、逃がそうとしている
 そんなカイザーの態度に、メルセデスは面白くなさそうに、言い放つ

「正当防衛も許されないってか?餓鬼相手だろうが、相手が攻撃してきたなら、身を護るくらいいいだろう?………それとも、エイブラハム様の考えに逆らうか?」
「……どうせ、あなたから挑発したのでしょう?そうではなかったとしても、今は派手な行動は慎むように言われているのです…………ここで、彼らの命を奪う必要は、ありません。あの方の考えにも、反しないでしょう」

 カイザーの言葉に、メルセデスはやや不満げだったが……

 ……何か、思いついたのだろうか
 にぃ、と笑って

「っ!?」

 ぐい、と
 カイザーの腕を引き、自分の元へと引き寄せた

 そして、ピタリ
 氷の剣の切っ先を、カイザーの首筋に当てる

「っ何を……」
「あぁ、動くなよ?動いたら、あの餓鬼共、俺達の目的を邪魔する「異教徒」として、処分するぞ」

 メルセデスの言葉に、カイザーは動きを止めた
 ……この状況でもなお、メルセデスはその気になれば、裂邪とレクイエムを殺し得る行動をとれる
 それを、カイザーははっきりと認識しているからだ

「何考えてんだ?」

 警戒を強めながら、メルセデスを睨む裂邪
 レクイエムが人質にとられたならともかく……

「……餓鬼、その燃えた拳で、こいつごと俺を貫いてみるか?お前なら、できそうだなぁ?」

 にやにやと笑いながら、メルセデスは裂邪を見下ろす
 ……何を、企んでいる?
 やや後方に退きながら、レクイエムも警戒する

「できるなら、やってみろよ、さぁ!!もっとも、こいつは俺やそっちの嬢ちゃんと違って、完全にゃあ人間をやめてないがな!」
「え……」
「ッメルセデス!!」

 メルセデスの意図を正確に理解し、カイザーはメルセデスの言葉を止めようとした
 しかし、メルセデスは邪悪に笑い、言葉を止めようとしない

「こいつは、飲まれかけではある、人間の理から外れ始めている………だがなぁ!!まだ完全に飲まれていない、完全に人間止めた訳じゃねぇ!!こいつを殺したら、お前は殺人犯だなぁ??」

 そう
 先ほど裂邪は「お前、都市伝説に飲まれてるんだってな? だったら・・・焼き殺しても殺人扱いじゃねぇよなぁ!?」と、そうメルセデスに告げた
 ……都市伝説契約者ではあるが、まだ、人間を殺した事はないのだろう
 その裂邪に、メルセデスは殺人と言う「罪」を犯させようとしている

「ほら、どうした?……あぁ、そっちの嬢ちゃんでもいいぜ?こいつごと、俺を殺して見せろよ。『お前達を気遣って逃がそうとした優しいこいつ』ごと、殺して見せろよ」
「……っ貴様」

 あからさまな挑発
 この状況を……メルセデスは、はっきりと楽しんでいる

「殺せないなら、退きな。退かないなら、俺がお前達を処分する、もしくは………」

 氷の剣の、切っ先が
 カイザーの首筋に、かすかに傷をつけた
 つ……と、血が流れ始める

「お前達のような、危険分子を庇った、助けようとしたこいつの首を、切り裂いてやろうか?お前達を助けようとした、優しい優しいこいつのなぁ!!」

 裂邪とレクイエムの反応をうかがうように、メルセデスは笑う
 そうした上で、楽しげにカイザーに告げるのだ

「お前は動くなよ?行動するなよ?なぁ、カイザー……お前が大人しくしてりゃあ、あの二人共、見逃してやるよ。エイブラハム様にも、報告しないでおいてやる」
「………っ」

 …メルセデスの、その言葉に
 カイザーは、小さく、体をはねらせる

「……偽りは、ありませんね……?」
「あぁ、今回は嘘じゃない。ちゃんと約束は守ってやるぜ?」

 …メルセデスの答えに、カイザーは隙を見て逃れようとするその行為を、諦めた
 耐えるように、その拳は強く握られていて…肩が、悔しげに、小さく震えている

「さぁ、どうするぅ?お前らに決めさせてやる。さぁ、選べよ。ここから退くか、それとも、お前らを助けようとした、優しい優しい、人間を止めきれてないこいつを見捨てるか?」



 雨が降り続ける
 冷たい、ぴぃんとした空気が張り詰める、そんな中
 冷たい、冷たい悪意が………裂邪とレクイエムに、突きつけられた







to be … ?







タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
ウィキ募集バナー