バールの少女 02 (首なしライダー視点)
「あ、ちょ、ちょっと、待って下さい!」
少女に呼び止められる。俺は足を止めて振り向いた。
「今、この町は危ない状況ですよね」
「知ってるのか?」
俺の問いに、女のカンです、と答える。
「詳しい事はよく分かりませんけど」
少女は俯いた。俺は一瞬、『夢の国』の事を話そうかと考えた。話すべきか、止めておくべきか……。
少女に呼び止められる。俺は足を止めて振り向いた。
「今、この町は危ない状況ですよね」
「知ってるのか?」
俺の問いに、女のカンです、と答える。
「詳しい事はよく分かりませんけど」
少女は俯いた。俺は一瞬、『夢の国』の事を話そうかと考えた。話すべきか、止めておくべきか……。
「あの、さっきの話なんですけど」
「? さっきの話?」
「その、妊娠の、話、です」
少女はそう言って顔をあげた。顔が真っ赤になっている。
「今は少し待ってもらえますか? この状況が落ち着いたら、私の話を聞いて欲しいんです」
「……状況がよく分からんが、分かった。後で聞かせてくれ」
彼女は小さく頷いた。
「今から、人を助けに行くんですよね」
「……分かるのか?」
これからの予定については何も話してない。俺の問いに、少女は再び答えた。女のカンです、と。
「私にも、手伝わせてもらえませんか。もう、誰も死ぬ所、見たくないんです」
じわり、と。少女の目には、確かに涙が浮かび始める。
「誰にも死んで欲しくないんです。だから」
俺は言葉を失った。一体どういう事だ?
確かに『夢の国』を放っておけば確実に犠牲者が出る。彼女の言う「女のカン」というヤツで、察している、という事か?
「? さっきの話?」
「その、妊娠の、話、です」
少女はそう言って顔をあげた。顔が真っ赤になっている。
「今は少し待ってもらえますか? この状況が落ち着いたら、私の話を聞いて欲しいんです」
「……状況がよく分からんが、分かった。後で聞かせてくれ」
彼女は小さく頷いた。
「今から、人を助けに行くんですよね」
「……分かるのか?」
これからの予定については何も話してない。俺の問いに、少女は再び答えた。女のカンです、と。
「私にも、手伝わせてもらえませんか。もう、誰も死ぬ所、見たくないんです」
じわり、と。少女の目には、確かに涙が浮かび始める。
「誰にも死んで欲しくないんです。だから」
俺は言葉を失った。一体どういう事だ?
確かに『夢の国』を放っておけば確実に犠牲者が出る。彼女の言う「女のカン」というヤツで、察している、という事か?
いや、何よりも重要なのは。犠牲者を出してはいけないという事――。
彼女をここに置いていくという選択肢はとうに捨ててある。
それに、あのグー○ィーを殴り飛ばしたのはこの少女だ。共に闘えば、打ち勝てるかもだ。
俺は少女の肩に手を置いた。少女の目からは、既に、大粒の涙が零れている。
「だから、私は……」
それに、あのグー○ィーを殴り飛ばしたのはこの少女だ。共に闘えば、打ち勝てるかもだ。
俺は少女の肩に手を置いた。少女の目からは、既に、大粒の涙が零れている。
「だから、私は……」
「お嬢さん、俺が君を守る。だから、手伝って欲しい」
朝野に、このお嬢さん。守らなければならないモノが増えたが。
やるしかないだろう。もう腹は括ってある。
「よろしくお願いします」
そう、少女は告げた。小さいが、決然とした声で。
朝野に、このお嬢さん。守らなければならないモノが増えたが。
やるしかないだろう。もう腹は括ってある。
「よろしくお願いします」
そう、少女は告げた。小さいが、決然とした声で。
「じゃ、じゃあ、ちょっと、準備させて下さい」
彼女は片手に持っていた「バールのようなもの」を両手で構えると、後退りして俺から距離を取った。
「準備って、何をするんだ?」
彼女は目を瞑り、大きく深呼吸をする。
彼女は片手に持っていた「バールのようなもの」を両手で構えると、後退りして俺から距離を取った。
「準備って、何をするんだ?」
彼女は目を瞑り、大きく深呼吸をする。
「バールさん!
貴方のチカラが必要なんです!
私に貴方のチカラを貸して下さい!」
貴方のチカラが必要なんです!
私に貴方のチカラを貸して下さい!」
少女はそう叫び、勢いよく「バールのようなもの」を地面へと振り下ろす。
地を揺るがすような震動と一緒に、重い金属音が大きく響いた。
そして、その音は徐々にフェードアウトして――いない。いや、むしろ、その音は大きくなり始めている。
「く、ふぅ」
彼女の口から呻き声が漏れた。バールを持ったまま中腰の姿勢になって、何だかふらついているようだ。どうにも様子がおかしい。
地を揺るがすような震動と一緒に、重い金属音が大きく響いた。
そして、その音は徐々にフェードアウトして――いない。いや、むしろ、その音は大きくなり始めている。
「く、ふぅ」
彼女の口から呻き声が漏れた。バールを持ったまま中腰の姿勢になって、何だかふらついているようだ。どうにも様子がおかしい。
俺は少女の元へ歩み寄って肩を支えると、彼女の持つバールを掴んだ。
「な、なんだこれ?」
バールそのものが震動している。それは唸るような独特の音を発していた。まるで音叉じゃないか。
俺がバールを握ってる事もあってか、少女はバールから手を離した。
こっちを見上げて微笑んでいる。その目と頬は、涙で濡れてはいたが。
「ありがとうございます。震えるのが物凄いから、持ってるのがやっとでした」
「な、なんだこれ?」
バールそのものが震動している。それは唸るような独特の音を発していた。まるで音叉じゃないか。
俺がバールを握ってる事もあってか、少女はバールから手を離した。
こっちを見上げて微笑んでいる。その目と頬は、涙で濡れてはいたが。
「ありがとうございます。震えるのが物凄いから、持ってるのがやっとでした」
「お嬢さんは、契約者、なのか?」
俺は、とりあえず、今一番気になる事を聞いてみた。
「契約者って、『都市伝説』の、ですか? えっと、多分、今『契約』した事になるから、契約者って事ですよね」
は? 俺はまたも絶句した。
今のが、契約? て事は、何? 今まで、契約無しでバール振り回してたって、そーゆー事なワケ?
「大丈夫、理屈じゃないんです」
混乱している俺をよそに、涙で濡れた笑顔でそんな事を言う。
「あ、そう言えば、まだ自己紹介してませんでしたね。私、早川小塚って言います。コズカって呼んで下さい」
「は、はあ」
「ライダーさん、これからどうしましょうか?」
一方的に、少女――コズカちゃんは話を進め出した。
「えーっと、ライダーさんのバイクが今無いんですよね。どうしましょうか」
言われて思い出す。バイクは先程の戦闘で黒い服の集団に破壊されてしまった。
どうしましょうかって、こっちが聞きたいくらいだ。本当にどうしようか……。いや、待てよ。
俺の手の中で震え続けるバールを握りしめたまま、俺は考えた。『理屈じゃない』、か。
心の中で、ある事を念じてみる。ただ、その事のみを一点集中で思い描いてみた。
俺は、とりあえず、今一番気になる事を聞いてみた。
「契約者って、『都市伝説』の、ですか? えっと、多分、今『契約』した事になるから、契約者って事ですよね」
は? 俺はまたも絶句した。
今のが、契約? て事は、何? 今まで、契約無しでバール振り回してたって、そーゆー事なワケ?
「大丈夫、理屈じゃないんです」
混乱している俺をよそに、涙で濡れた笑顔でそんな事を言う。
「あ、そう言えば、まだ自己紹介してませんでしたね。私、早川小塚って言います。コズカって呼んで下さい」
「は、はあ」
「ライダーさん、これからどうしましょうか?」
一方的に、少女――コズカちゃんは話を進め出した。
「えーっと、ライダーさんのバイクが今無いんですよね。どうしましょうか」
言われて思い出す。バイクは先程の戦闘で黒い服の集団に破壊されてしまった。
どうしましょうかって、こっちが聞きたいくらいだ。本当にどうしようか……。いや、待てよ。
俺の手の中で震え続けるバールを握りしめたまま、俺は考えた。『理屈じゃない』、か。
心の中で、ある事を念じてみる。ただ、その事のみを一点集中で思い描いてみた。
聞き慣れた駆動音が近づいてきたのは、その時だった。
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