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連載 - バールの少女-02

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バールの少女 02 (首なしライダー視点)


「あ、ちょ、ちょっと、待って下さい!」
少女に呼び止められる。俺は足を止めて振り向いた。
「今、この町は危ない状況ですよね」
「知ってるのか?」
俺の問いに、女のカンです、と答える。
「詳しい事はよく分かりませんけど」
少女は俯いた。俺は一瞬、『夢の国』の事を話そうかと考えた。話すべきか、止めておくべきか……。

「あの、さっきの話なんですけど」
「? さっきの話?」
「その、妊娠の、話、です」
少女はそう言って顔をあげた。顔が真っ赤になっている。
「今は少し待ってもらえますか? この状況が落ち着いたら、私の話を聞いて欲しいんです」
「……状況がよく分からんが、分かった。後で聞かせてくれ」
彼女は小さく頷いた。
「今から、人を助けに行くんですよね」
「……分かるのか?」
これからの予定については何も話してない。俺の問いに、少女は再び答えた。女のカンです、と。
「私にも、手伝わせてもらえませんか。もう、誰も死ぬ所、見たくないんです」
じわり、と。少女の目には、確かに涙が浮かび始める。
「誰にも死んで欲しくないんです。だから」
俺は言葉を失った。一体どういう事だ?
確かに『夢の国』を放っておけば確実に犠牲者が出る。彼女の言う「女のカン」というヤツで、察している、という事か?

いや、何よりも重要なのは。犠牲者を出してはいけないという事――。

彼女をここに置いていくという選択肢はとうに捨ててある。
それに、あのグー○ィーを殴り飛ばしたのはこの少女だ。共に闘えば、打ち勝てるかもだ。
俺は少女の肩に手を置いた。少女の目からは、既に、大粒の涙が零れている。
「だから、私は……」

「お嬢さん、俺が君を守る。だから、手伝って欲しい」
朝野に、このお嬢さん。守らなければならないモノが増えたが。
やるしかないだろう。もう腹は括ってある。
「よろしくお願いします」
そう、少女は告げた。小さいが、決然とした声で。

「じゃ、じゃあ、ちょっと、準備させて下さい」
彼女は片手に持っていた「バールのようなもの」を両手で構えると、後退りして俺から距離を取った。
「準備って、何をするんだ?」
彼女は目を瞑り、大きく深呼吸をする。

「バールさん!
 貴方のチカラが必要なんです!
 私に貴方のチカラを貸して下さい!」

少女はそう叫び、勢いよく「バールのようなもの」を地面へと振り下ろす。
地を揺るがすような震動と一緒に、重い金属音が大きく響いた。
そして、その音は徐々にフェードアウトして――いない。いや、むしろ、その音は大きくなり始めている。
「く、ふぅ」
彼女の口から呻き声が漏れた。バールを持ったまま中腰の姿勢になって、何だかふらついているようだ。どうにも様子がおかしい。

俺は少女の元へ歩み寄って肩を支えると、彼女の持つバールを掴んだ。
「な、なんだこれ?」
バールそのものが震動している。それは唸るような独特の音を発していた。まるで音叉じゃないか。
俺がバールを握ってる事もあってか、少女はバールから手を離した。
こっちを見上げて微笑んでいる。その目と頬は、涙で濡れてはいたが。
「ありがとうございます。震えるのが物凄いから、持ってるのがやっとでした」

「お嬢さんは、契約者、なのか?」
俺は、とりあえず、今一番気になる事を聞いてみた。
「契約者って、『都市伝説』の、ですか? えっと、多分、今『契約』した事になるから、契約者って事ですよね」
は? 俺はまたも絶句した。
今のが、契約? て事は、何? 今まで、契約無しでバール振り回してたって、そーゆー事なワケ?
「大丈夫、理屈じゃないんです」
混乱している俺をよそに、涙で濡れた笑顔でそんな事を言う。
「あ、そう言えば、まだ自己紹介してませんでしたね。私、早川小塚って言います。コズカって呼んで下さい」
「は、はあ」
「ライダーさん、これからどうしましょうか?」
一方的に、少女――コズカちゃんは話を進め出した。
「えーっと、ライダーさんのバイクが今無いんですよね。どうしましょうか」
言われて思い出す。バイクは先程の戦闘で黒い服の集団に破壊されてしまった。
どうしましょうかって、こっちが聞きたいくらいだ。本当にどうしようか……。いや、待てよ。
俺の手の中で震え続けるバールを握りしめたまま、俺は考えた。『理屈じゃない』、か。
心の中で、ある事を念じてみる。ただ、その事のみを一点集中で思い描いてみた。

聞き慣れた駆動音が近づいてきたのは、その時だった。




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