光彦「よぅ正義、[明美 ]。元気にしていたか。」
駅から出ると、懐かしい声が聞こえる。そう、正義の父親、[黄昏光彦 ]である。
駅から出ると、懐かしい声が聞こえる。そう、正義の父親、[黄昏
正義「あ、お父さん!」
半年と軽く言うが、それも結構長い時間。正義は嬉しそうに父親に駆け寄った。
しかしいつかのように抱きつくでなく、ただ話しかけるだけ。そう、正義はもう中学生なのだ。もう子どもではない、という事らしい。
しかしいつかのように抱きつくでなく、ただ話しかけるだけ。そう、正義はもう中学生なのだ。もう子どもではない、という事らしい。
正義「お兄ちゃんとはどうだった?」
光彦「あぁ、飯は上手だったな。少なくとも、明美以上だな。」
明美「えぇ、ミツ、それは酷いんじゃない?」
大王「(いつまでこの会話は続くんだ?)」
光彦「あぁ、飯は上手だったな。少なくとも、明美以上だな。」
明美「えぇ、ミツ、それは酷いんじゃない?」
大王「(いつまでこの会話は続くんだ?)」
少々長かった団欒も、ふいに正義の母の言葉で止まる。
明美「そろそろ家に行きましょうよ。足が疲れちゃった。」
光彦「まったく、親子の再会をじゃまするとは。」
明美「なによ。それなら私も裂邪と感動の再会をさせてよ。『ママぁー!』『裂邪ぁー!』って。」
正義「えー、お兄ちゃんはそんなんじゃないよ。」
明美「そろそろ家に行きましょうよ。足が疲れちゃった。」
光彦「まったく、親子の再会をじゃまするとは。」
明美「なによ。それなら私も裂邪と感動の再会をさせてよ。『ママぁー!』『裂邪ぁー!』って。」
正義「えー、お兄ちゃんはそんなんじゃないよ。」
約2名の笑いが起こったところで3人を、いや、【恐怖の大王】を含めて4人を乗せた車は走り出した。
大王「(思えば、俺が世界征服に乗り出せないのは、この両親の所為でもあるな。子ども思いで、明るくて。おかげで少年もこの始末か。)」
正義「そういえば、なんでお兄ちゃんは来なかったの?」
光彦「また散歩と言って出て行ったよ。よほど正義に会うのが恥ずかしいんだろうな。」
明美「いや、きっとこの綺麗な私に会うのが」
光彦「そういえば正義、学校はどうだったんだ?」
正義「楽しかったよ!あ、そういえば修学旅行のお土産まだだったね。あとで渡すよ。」
明美「もう、マサヨシまで無視?お母さん寂しいんですけどぉ。」
正義「そういえば、なんでお兄ちゃんは来なかったの?」
光彦「また散歩と言って出て行ったよ。よほど正義に会うのが恥ずかしいんだろうな。」
明美「いや、きっとこの綺麗な私に会うのが」
光彦「そういえば正義、学校はどうだったんだ?」
正義「楽しかったよ!あ、そういえば修学旅行のお土産まだだったね。あとで渡すよ。」
明美「もう、マサヨシまで無視?お母さん寂しいんですけどぉ。」
―――なんだかんだで、これから正義が住む事になる家に着いた。
光彦「よし、じゃあ荷物を家に入れるか。」
正義「ねぇ、お兄ちゃん探しに行ってもいい?」
光彦「ん?別にいいが、なんでだ?」
正義「だってお土産、一緒に渡したいから。じゃあ行ってきまーす。」
明美「いってらっしゃーい。気をつけるのよ。」
光彦「(まぁ、大丈夫だろうな。)」
正義「ねぇ、お兄ちゃん探しに行ってもいい?」
光彦「ん?別にいいが、なんでだ?」
正義「だってお土産、一緒に渡したいから。じゃあ行ってきまーす。」
明美「いってらっしゃーい。気をつけるのよ。」
光彦「(まぁ、大丈夫だろうな。)」
外へ出て少し経った頃に、大王が正義に話しかけてくる。
大王「少年。あんなやつに、プレゼントを渡すのか?」
正義「・・・別にいいじゃん。『罪を憎んで人を憎まず』って言うしさ。」
大王「煮込む煮込まないは分かったが、アメと鞭は大事だと思うぞ。俺なら良い事をしてから、だと思うが。」
正義「『悪い子だからあげない』って言っても逆に悪くなる方が多いよ。それより、『少年』って呼ぶのはもう止めてよ。」
大王「あぁ分かったよ、『少年』。」
正義「だから!もうボクは中学生だよ!子どもじゃないんだよ。」
大王「そう言っているうちは子どもだ。そうだな、俺が大人になったと認めた時に『少年』と呼ぶのを止めてやる。」
正義「うぅ、うん、分かった。でもどうやったら認めるんだよ?」
大王「無論、『幹部になったら』だ。」
正義「やっぱり大王には認めてもらわなくていい。まだ世界征服狙ってたのか。」
大王「(まったく、いつまで経っても少年は『少年』のままだな。)そういえば、何故『大王』なんだ?」
正義「え?大王は大王じゃん。」
大王「友やコインは『くん・ちゃん』付けだろ。なら俺は『大王様』、少なくとも『大王さん』じゃないのか?」
正義「えぇ、じゃあ大王が世界征服を諦めたら“バッサァァァ・・・”考えてあげても・・・。」
正義「・・・別にいいじゃん。『罪を憎んで人を憎まず』って言うしさ。」
大王「煮込む煮込まないは分かったが、アメと鞭は大事だと思うぞ。俺なら良い事をしてから、だと思うが。」
正義「『悪い子だからあげない』って言っても逆に悪くなる方が多いよ。それより、『少年』って呼ぶのはもう止めてよ。」
大王「あぁ分かったよ、『少年』。」
正義「だから!もうボクは中学生だよ!子どもじゃないんだよ。」
大王「そう言っているうちは子どもだ。そうだな、俺が大人になったと認めた時に『少年』と呼ぶのを止めてやる。」
正義「うぅ、うん、分かった。でもどうやったら認めるんだよ?」
大王「無論、『幹部になったら』だ。」
正義「やっぱり大王には認めてもらわなくていい。まだ世界征服狙ってたのか。」
大王「(まったく、いつまで経っても少年は『少年』のままだな。)そういえば、何故『大王』なんだ?」
正義「え?大王は大王じゃん。」
大王「友やコインは『くん・ちゃん』付けだろ。なら俺は『大王様』、少なくとも『大王さん』じゃないのか?」
正義「えぇ、じゃあ大王が世界征服を諦めたら“バッサァァァ・・・”考えてあげても・・・。」
突如、目の前に謎の生物が現れた。都市伝説である事はすぐに分かる。
しかしゴミ袋かと思っていたら赤く光る目があり、蛾のような羽があり、さらに脚がある、というリアクションに困る姿をしているのだ。
いったい何の都市伝説なんだ?考えている暇もなく奴は急降下して攻撃をしようとしてくる。
しかしゴミ袋かと思っていたら赤く光る目があり、蛾のような羽があり、さらに脚がある、というリアクションに困る姿をしているのだ。
いったい何の都市伝説なんだ?考えている暇もなく奴は急降下して攻撃をしようとしてくる。
?都市伝説「・・・、喰、う。」
大王「・・・、戦うのみだな。」
正義「そうみたいだね。大王、いくよ!」
その言葉に反応し、大王が上空に黒雲を広げる。
大王「・・・、戦うのみだな。」
正義「そうみたいだね。大王、いくよ!」
その言葉に反応し、大王が上空に黒雲を広げる。
大王「さて、何で行く?」
正義「んと、『槍の日』で行こう。あれなら避けられないはず。」
大王「なるほど、では行くか!」
正義「んと、『槍の日』で行こう。あれなら避けられないはず。」
大王「なるほど、では行くか!」
黒雲にスパークが走り、大量の槍が降ってくる。まさに『槍の日』。しかしあの都市伝説は槍をするすると避けていく。
大王「これを避けるとは、なかなかだな。」
正義「でも、これならどう!?」
正義「でも、これならどう!?」
正義はおもむろに降ってくる槍の1つを手に取り、敵へと投げつける。
正義「(上に気を取られている隙に横から来る、下手に避ければ上の攻撃に当たる。これを避けられるか?)」
正義の作戦さえも、あの都市伝説は軽く避けてしまう。遂に雲の外に出てしまった。
大王「くっ!想像より速いようだな。もっと量が多ければ避けられんだろうが、修行不足か。」
不意に向こう側、おそらく槍を投げた方向から、悲鳴のような叫びが聞こえる。
大王「ん?さっきの槍が通行人にでも当たったか?」
裂邪「正義ィ!お前か!?こんな所で槍投げんな!」
裂邪「正義ィ!お前か!?こんな所で槍投げんな!」
その声は、どう聞いても正義の兄、裂邪の声だった。その声に正義が反応するが、
?都市伝説「あ゛、さっきの・・・。」
正義「あ、お兄ちゃんいたのッ、って増えてるゥ?!」
正義「あ、お兄ちゃんいたのッ、って増えてるゥ?!」
声の方を向くと、裂邪の後に都市伝説と思わしきものがシェイドの他に3体ほどいた。
正確には火の玉、謎の小動物、あと正義が反応している事から、おそらくあの小学校高学年ほどの少女も都市伝説だろうか。
正確には火の玉、謎の小動物、あと正義が反応している事から、おそらくあの小学校高学年ほどの少女も都市伝説だろうか。
裂邪「無視すんな!まぁいい、そこの【モスマン】もろとも―――」
?小動物「なぁ主、あのおっさんは誰バク?」
大王「(まさか更に契約したというのか?それともあの少女も契約者なのか?って)『おっさん』?!」
シェイド「アイツカ?【恐怖の大王】ダ。」
?都市伝説×3「えッ!?【恐怖の大王】ッ?!」
?小動物「なぁ主、あのおっさんは誰バク?」
大王「(まさか更に契約したというのか?それともあの少女も契約者なのか?って)『おっさん』?!」
シェイド「アイツカ?【恐怖の大王】ダ。」
?都市伝説×3「えッ!?【恐怖の大王】ッ?!」
大王の正体を知ると突然、あの3体が慌てふためきだした。何故かは黄昏兄弟とシェイド、大王も分からなかった。
大王「ん?俺はそんなに有名なのか?」
正義「コインちゃんも知ってたからね。最近生まれた都市伝説は知っている、とかかな。」
シェイド「落チ着ケ。契約者ニ恵マレズ、今デハタダノ『おっさん』ダ。」
大王「だから何故『おっさん』なんだ!?」
正義「コインちゃんも知ってたからね。最近生まれた都市伝説は知っている、とかかな。」
シェイド「落チ着ケ。契約者ニ恵マレズ、今デハタダノ『おっさん』ダ。」
大王「だから何故『おっさん』なんだ!?」
相手にされないのでつまらなくなったのか、急にあの【モスマン】という都市伝説が裂邪に向けて目からビームを放つ。
裂邪「あっつぅ!」
正義「お兄ちゃん!」
大王「目からビーム、か。少々厄介だな。」
モスマン「・・・、腹、減った・・・。」
裂邪「チックショウ、モスラかよ!シェイド![バク]![ウィル]!」
正義「お兄ちゃん!」
大王「目からビーム、か。少々厄介だな。」
モスマン「・・・、腹、減った・・・。」
裂邪「チックショウ、モスラかよ!シェイド![バク]![ウィル]!」
その命令に反応し、シェイドは長い爪のような姿に変形して裂邪の右手に付き、[バク]と呼ばれる小動物は熊ぐらい大きさのキメラのような姿に変身し、
[ウィル]と呼ばれる火の玉は急に増え、1列に連なり鞭のようになって左手に付いた。
[ウィル]と呼ばれる火の玉は急に増え、1列に連なり鞭のようになって左手に付いた。
正義「かっこいい・・・。」
大王「言うと思った。いいから戦うぞ!」
正義「分かった。大王、変身だ!」
大王「無茶を言うな!行くぞ。」
そう言うと、黒雲から剣が2本降ってくる。大王は普通に手に取り、正義は手にとってから、すぐに【モスマン】に向かって行った。
大王「言うと思った。いいから戦うぞ!」
正義「分かった。大王、変身だ!」
大王「無茶を言うな!行くぞ。」
そう言うと、黒雲から剣が2本降ってくる。大王は普通に手に取り、正義は手にとってから、すぐに【モスマン】に向かって行った。
正義「てりゃあぁぁ!」
【モスマン】はゆっくりと、上へ飛翔していった。「あ。」という声は既に遅く、“ゴンッ”という鈍い音が鳴る。
向こう側からやってきた裂邪に正義がぶつかって、尻餅をついた。正義は涙目になりながら打ったところを撫でていた。
向こう側からやってきた裂邪に正義がぶつかって、尻餅をついた。正義は涙目になりながら打ったところを撫でていた。
裂邪「ッつったぁ~!正義!どこ見てやがる!?」
正義「もう!策もなしに突っ込んできて!」
裂邪「バカか!俺はお前と違って大人なんだ!何の考えもなしに敵に突っ込むかバーカ!どうせお前はこの1年間なんの成長もしていないんだろ!?
俺がいなくなった後も都市伝説に説教かまして、彼女とイチャイチャしてたんだろ?!」
正義「成長したよ!もうボクは中学生だよ!?それに説教は大事な事だし、ボクには彼女なんていないし!」
大王「・・・、やっぱり、子どもだよな。特に兄の方が。」ボソッ
正義「もう!策もなしに突っ込んできて!」
裂邪「バカか!俺はお前と違って大人なんだ!何の考えもなしに敵に突っ込むかバーカ!どうせお前はこの1年間なんの成長もしていないんだろ!?
俺がいなくなった後も都市伝説に説教かまして、彼女とイチャイチャしてたんだろ?!」
正義「成長したよ!もうボクは中学生だよ!?それに説教は大事な事だし、ボクには彼女なんていないし!」
大王「・・・、やっぱり、子どもだよな。特に兄の方が。」ボソッ
空腹で苛立っているのか、【モスマン】は空中からビームを乱射する。
正義と大王は修行のおかげもあって、難なく回避する。裂邪は、ふとみるとバリアで守られているようである。
正義と大王は修行のおかげもあって、難なく回避する。裂邪は、ふとみるとバリアで守られているようである。
大王「“チッ”便利な都市伝説だな。誰の能力だ?」
正義「あの女の子だよ。シャボン玉みたいにバリアを張ってた。」
大王「あいつも契約者か。シェイドと火の玉のを武器、そして盾付きとは豪勢だな。」
正義「ほんとだよ、いざって時に手に負えなくなりそう。でもあの子は都市伝説みたいだよ。」
大王「そうか、では4体と契約か?飲み込まれてても知らんぞ。」
正義「あの女の子だよ。シャボン玉みたいにバリアを張ってた。」
大王「あいつも契約者か。シェイドと火の玉のを武器、そして盾付きとは豪勢だな。」
正義「ほんとだよ、いざって時に手に負えなくなりそう。でもあの子は都市伝説みたいだよ。」
大王「そうか、では4体と契約か?飲み込まれてても知らんぞ。」
裂邪はウィルを鞭のように扱うが、攻撃は一向に【モスマン】には命中しない。
こちらも策を練るが、あいにく大王は飛び道具を降らす事はできず、雷は外れた時のこちらへの被害が不安、なかなか良い手が出ない。
こちらも策を練るが、あいにく大王は飛び道具を降らす事はできず、雷は外れた時のこちらへの被害が不安、なかなか良い手が出ない。
裂邪「―――そうだ、おいおっさん!雨降らせ!」
大王「またおっさんだと!?それが人に物を頼む態度か!」
正義「(お兄ちゃんの事だから、やはり何か手が?ここはおとなしく聞いておこうか。)大王、ここは。」
大王「・・・、仕方がないか。」
大王「またおっさんだと!?それが人に物を頼む態度か!」
正義「(お兄ちゃんの事だから、やはり何か手が?ここはおとなしく聞いておこうか。)大王、ここは。」
大王「・・・、仕方がないか。」
大王は上空に、太陽も隠れるほど黒雲を広げ、大量の雨を降らせる。
大王「これでお望みの量か?!」
裂邪「ウヒヒヒヒ、よくやった!ウィル!『百物語』!」
裂邪「ウヒヒヒヒ、よくやった!ウィル!『百物語』!」
裂邪の命令に反応し、ウィルが何十体にも増え、周りに散らばり、まるで蝋燭の灯火の様になる。
ふと、少女が歌を歌いだす。おそらく『さっちゃん』であろう、おそらくそのはずだ。
ふと、少女が歌を歌いだす。おそらく『さっちゃん』であろう、おそらくそのはずだ。
ウィル「「うおぉぉぉーん!バナナ半分なんて可哀想で~い!」」
周りから鳴り響く叫びと共にウィルの炎の色が青くなる。
大王「まさか、『さっちゃん』を聞いて泣いているのではないだろうな?」
正義「あれ、寒くなってきた?あ、霧!?」
正義「あれ、寒くなってきた?あ、霧!?」
気がつくと、周りにだんだんと霧が立ち込めてきた。おそらくこれが裂邪の作戦なのであろう。
正義「この霧で視界を悪くして、隙を突く、かな?」
大王「なるほど、完敗だ。あの火の玉のに周りを冷やす能力があったのか。能力をよく理解している。」
大王「なるほど、完敗だ。あの火の玉のに周りを冷やす能力があったのか。能力をよく理解している。」
しかし正義は霧の中を注意深く見回し、【モスマン】を探す。
正義「でも・・・、あそこか。緑色の光も見える。たぶん火の玉のやつだね。」
大王「おい、まさか横取りする気か?それは良くないんじゃないのか?」
正義「悪いけど、『同じ事』を、そう何度も繰り返させない。」
大王「おい、まさか横取りする気か?それは良くないんじゃないのか?」
正義「悪いけど、『同じ事』を、そう何度も繰り返させない。」
ゆっくりと放った、その言葉の重みは、誰よりも大王が知っていた。あえて黙認し、正義を【モスマン】のところへ向かわせた。
正義は駆け足で【モスマン】のところへ向かう。その姿がだいぶ見えた時、その影に跳びかかる。
正義は駆け足で【モスマン】のところへ向かう。その姿がだいぶ見えた時、その影に跳びかかる。
正義「てぇえりゃあぁぁー!」ブン! ベシィッ!
その剣を、正義は力強く、【モスマン】の頭に叩きつけた。峰打ちとでも言おうか。そのまま【モスマン】を霧の外へと弾き飛ばした。
【モスマン】は軽く気を失っているようだったが、ゆっくり起こし、そのまま説教が始まるのであった。
【モスマン】は軽く気を失っているようだったが、ゆっくり起こし、そのまま説教が始まるのであった。
正義「―――だから人を食べるなんて絶対にダメ!だからといっていくら空腹でも他人の物を奪うのもダメだよ。
困っている人を助けたりしてそのお礼として食べ物を貰うんだよ。分かった?―――。」
大王「(このご時世にお礼に食事を与えてくれる、心優しい人間などいるのだろうか?)」
困っている人を助けたりしてそのお礼として食べ物を貰うんだよ。分かった?―――。」
大王「(このご時世にお礼に食事を与えてくれる、心優しい人間などいるのだろうか?)」
なにか悔しそうにしている裂邪を余所に説教は終わり、【モスマン】はフラフラと空へと戻っていった。
正義「これからは人のためにがんばるんだぞぉー!」
モスマン「分かっ、た・・・。」
モスマン「分かっ、た・・・。」
正義は手を振り終えると、すぐに兄の方を向く。無論『あの悲劇』を繰り返さないためである。
あの時目を離したから、犠牲者が出た。だから次は絶対に目を離さない。それが正義の『誓い』である。
大王は、正義の気持ちや考え、今かすかに目に溜まった涙の訳は、長く共にいるためだいたい分かる。
だからこそ、その次の行動に驚かざるを得なかった。正義が、裂邪に抱きついたのである。
あの時目を離したから、犠牲者が出た。だから次は絶対に目を離さない。それが正義の『誓い』である。
大王は、正義の気持ちや考え、今かすかに目に溜まった涙の訳は、長く共にいるためだいたい分かる。
だからこそ、その次の行動に驚かざるを得なかった。正義が、裂邪に抱きついたのである。
正義「お兄ちゃん、久しぶりぃ!」ガスッ
裂邪「“ゴキッ”おごぉ!あ・・・ばら・・・ぼね?つ・・・っか・・・足・・・痛・・・」
正義「お兄ちゃん、寂しかった?また一緒に暮らせるからね!」
シェイド「平和ダナ。」
大王「・・・?あぁ。」
裂邪「“ゴキッ”おごぉ!あ・・・ばら・・・ぼね?つ・・・っか・・・足・・・痛・・・」
正義「お兄ちゃん、寂しかった?また一緒に暮らせるからね!」
シェイド「平和ダナ。」
大王「・・・?あぁ。」
大王は何故こんな事をしたか分からなかった。攻撃をするために飛びかかったのだとさえ思った。『兄だから』という理由もすぐに出たが、
なにかそれでは片付かない違和感がある。大王の疑問の回答は帰ってくる事はなく、正義は質問を投げかける。
なにかそれでは片付かない違和感がある。大王の疑問の回答は帰ってくる事はなく、正義は質問を投げかける。
正義「ところで、やっぱりその女の子達と契約したの?」
裂邪「・・・まぁな、『夢幻泡影四天王』、俺の世界征服のための俺の仲間だ。」
正義「まだそんな事言ってたの!?お父さんと一緒だったのに世界征服を諦めてないなんて!」
裂邪「悪いか!すぐに諦められる夢なんて見ねぇよ!俺は一生諦めない!人の夢は終わらねぇ!」
正義「最後の言葉どっかで聞いたよ?!」
裂邪「・・・まぁな、『夢幻泡影四天王』、俺の世界征服のための俺の仲間だ。」
正義「まだそんな事言ってたの!?お父さんと一緒だったのに世界征服を諦めてないなんて!」
裂邪「悪いか!すぐに諦められる夢なんて見ねぇよ!俺は一生諦めない!人の夢は終わらねぇ!」
正義「最後の言葉どっかで聞いたよ?!」
やはり口喧嘩が始まった。しかし『いつも通り』ではなく、若干正義の歯切れが悪い。なにか・・・。
大王「もういいだろ、兄を見つけたんだから。親も心配するぞ?」
正義「あ、そうか。お兄ちゃん、もう帰るよ。」
裂邪「シェイド、『シャドーダイブ』で[ミナワ]達を先に俺の部屋に。」
正義「あ、そうか。お兄ちゃん、もう帰るよ。」
裂邪「シェイド、『シャドーダイブ』で[ミナワ]達を先に俺の部屋に。」
裂邪の命令により、シェイドの能力で自分の契約している都市伝説は影の中へと溶けるように入っていった。
大王「どういう事だ?お前は帰らないのか?」
裂邪「お前らが迎えに来たんだから、俺が部屋に帰ったら不自然だろ?それに親父達にミナワ達を見られる訳にはいかんし。」
大王「ん?契約者以外でも見えるタイプなのか?」
裂邪「お前らが迎えに来たんだから、俺が部屋に帰ったら不自然だろ?それに親父達にミナワ達を見られる訳にはいかんし。」
大王「ん?契約者以外でも見えるタイプなのか?」
裂邪は数分硬直し、驚いたように言葉を放つ。
裂邪「見えないやつもいるのか!?」
正義「え?う、うん。例えば幽霊系は、基本的に契約者か都市伝説の被害者にしか見えないらしいよ。」
大王「俺も見えない、はずだ。」
正義「え?う、うん。例えば幽霊系は、基本的に契約者か都市伝説の被害者にしか見えないらしいよ。」
大王「俺も見えない、はずだ。」
裂邪は何故か黙りこくっていた。考え事でもしているのだろうか。
正義「ほら、もう帰るよぉ?」
こうして、3人はゆっくりと家へ帰るのであった。
光彦「おぅ、帰ってきたか。」
正義「ただいまぁー!」ガラガラ
明美「おかえりぃ、裂邪、マサヨシ。」
裂邪「あ、母さん久しぶり。」
正義「ただいまぁー!」ガラガラ
明美「おかえりぃ、裂邪、マサヨシ。」
裂邪「あ、母さん久しぶり。」
少々雑談があった後、正義が父親と裂邪にいつかのお土産を渡す。
正義「そしてこれが、修学旅行のお土産。水族館で買ったんだ。はい。」
そう言って、ガラスの中に白い線で作った水中生物が入っている置物を出した。父親にはイルカが、兄にはクラゲが入っているものを渡す。
光彦「ん、面白いな。何なんだこれは?」
裂邪「あら綺麗!・・・ありがとう。」
正義「ふふん。」ニコッ
光彦「ところで食い物はどこだ?クッキーとか無いのか?」
明美「もう、今いいところなのに。腐ると危ないからって買ってません。」
光彦「うっ、すまんすまん。ちょっと分からんかった。」
明美「裂邪が『ありがとう』って言ったのよ。信じられる?」ボソボソ
光彦「本当か?まいった、聞き逃したなぁ。」ボソボソ
裂邪「あら綺麗!・・・ありがとう。」
正義「ふふん。」ニコッ
光彦「ところで食い物はどこだ?クッキーとか無いのか?」
明美「もう、今いいところなのに。腐ると危ないからって買ってません。」
光彦「うっ、すまんすまん。ちょっと分からんかった。」
明美「裂邪が『ありがとう』って言ったのよ。信じられる?」ボソボソ
光彦「本当か?まいった、聞き逃したなぁ。」ボソボソ
家族が団らんしている部屋の外では、大王が考え事をしていた。何故少年とその兄の会話が変だと思えるのか?何かが違う。
本当に些細な違いだが、まるで少年らしくなく感じる。
ふと、もう1つある事に気付く。こんな事を考えているようでは世界征服なんてしていられないと。
どうやら少年の甘さがうつったようだ。ゆっくり甘さを忘れていかなければならないな。
―――世界征服への道は遠い。
本当に些細な違いだが、まるで少年らしくなく感じる。
ふと、もう1つある事に気付く。こんな事を考えているようでは世界征服なんてしていられないと。
どうやら少年の甘さがうつったようだ。ゆっくり甘さを忘れていかなければならないな。
―――世界征服への道は遠い。
第2話「初仕事」―完―
次回予告4コマ―――
☆資料をまとめ☆
???「『若者の骨粗しょう症に迫る』『キスをすると骨がもろくなる?』『牛乳のススメ』・・・。」
???「『若者の骨粗しょう症に迫る』『キスをすると骨がもろくなる?』『牛乳のススメ』・・・。」
???「おそらくこの事件によって沸いてきた記事だろうが・・・。本当にこの事件はその程度のものなのか?」
???「何人もの人間が同じ事にあっているんだぞ。いったいどういう事なんだ?」
―――教えてくれ 都市伝説よ―――
●謎の人物現る?!真相は、webで!(コラ では第3話に続きます。