【ラップトップハッピネス 第二話「飯島商会」】
「今回の商会からの依頼は要人の暗殺です。
詳細はこちらの資料にございますので後でご確認ください。」
「ああ、解った。」
「おや、そういえば娘さんの姿が見当たりませんが?」
「……少し、立て込んでいてね。」
「あらあらそうですか。」
「詮索好きなのが君の良くない所だよ飯島君。」
「これはこれは失礼致しました。」
詳細はこちらの資料にございますので後でご確認ください。」
「ああ、解った。」
「おや、そういえば娘さんの姿が見当たりませんが?」
「……少し、立て込んでいてね。」
「あらあらそうですか。」
「詮索好きなのが君の良くない所だよ飯島君。」
「これはこれは失礼致しました。」
テーブルを間に挟んで向き合う。
高級なガウンを着て気に入った銘柄のブランデーをくゆらせながら。
目の前の女は黒髪の長く伸びたのを後ろで束ねて軍服を洗練させたようなスーツを着ている。
高級なガウンを着て気に入った銘柄のブランデーをくゆらせながら。
目の前の女は黒髪の長く伸びたのを後ろで束ねて軍服を洗練させたようなスーツを着ている。
「それではそろそろおいとまさせて頂きますね。」
「まあ待て飯島下弦。」
「はい、なんでしょう。」
「君は……君のボスが言う革命などというものが成功すると思っているのかね?」
「大義は実行されるのですよ。」
「そうか、ならばいい、もう行ってくれ。
娘は私に探させる。」
「まあ待て飯島下弦。」
「はい、なんでしょう。」
「君は……君のボスが言う革命などというものが成功すると思っているのかね?」
「大義は実行されるのですよ。」
「そうか、ならばいい、もう行ってくれ。
娘は私に探させる。」
指を鳴らすと十一人の黒装束の男達が現れた。
シャドーマン、私はブラックサバスと呼んでいる。
私の命令のままに影に潜んで活動する十一体の都市伝説だ。
シャドーマン、私はブラックサバスと呼んでいる。
私の命令のままに影に潜んで活動する十一体の都市伝説だ。
「ほう、それが影山様の都市伝説。
シャドーマン十一体との契約なんて影山様にしか不可能でしょうね。
流石はフォーチュンクローバーの一員。」
「飯島下弦、貴様は少々うるさすぎる。」
「これは失礼。」
シャドーマン十一体との契約なんて影山様にしか不可能でしょうね。
流石はフォーチュンクローバーの一員。」
「飯島下弦、貴様は少々うるさすぎる。」
「これは失礼。」
飯島下弦は花のような笑顔を残してその邸宅から退去した。
それを見てから彼はシャドーマン達を夜の街に解き放つ。
それを見てから彼はシャドーマン達を夜の街に解き放つ。
「行け。」
「「「「「「「「「「「御意。」」」」」」」」」」」
「「「「「「「「「「「御意。」」」」」」」」」」」
全く同じタイミングで声が響き、男たちは影と化して四方八方へと消え去った。
誰も居なくなった邸宅で影山は一人ため息を吐く。
誰も居なくなった邸宅で影山は一人ため息を吐く。
「私は何をしているのだろうな。」
煙草に火をつける。
彼は若いころにシャドーマンと契約し、それ以来フリーの契約者として活動してきた。
この家もそうやって貯めた財産で建てた物で都市伝説を防ぐ魔法陣や近代兵器を止める為の分厚い壁で出来ている。
しかしこの新居(というより要塞)を建てた時、彼はあることに気づいた。
周りにだれも居ないのだ。
用心に用心を重ねて他人を一切近づけず生きてきた。
成功し、財を築いてこの街の怪人と呼ばれるようになった彼の側に居てくれる人間は居なかった。
そんな時に気まぐれに都市伝説――サキュバス――を買い、産ませたのが遥という少女だった。
彼は若いころにシャドーマンと契約し、それ以来フリーの契約者として活動してきた。
この家もそうやって貯めた財産で建てた物で都市伝説を防ぐ魔法陣や近代兵器を止める為の分厚い壁で出来ている。
しかしこの新居(というより要塞)を建てた時、彼はあることに気づいた。
周りにだれも居ないのだ。
用心に用心を重ねて他人を一切近づけず生きてきた。
成功し、財を築いてこの街の怪人と呼ばれるようになった彼の側に居てくれる人間は居なかった。
そんな時に気まぐれに都市伝説――サキュバス――を買い、産ませたのが遥という少女だった。
「捜索に恐らく十分、捕獲に五分というところか。」
だがしかし、彼女は少々難儀な体質だった。
人にあらざるゆえに普通のこどものように学校にも通わせられない。
魔にあらざるゆえに都市伝説としても扱うことはできない。
だが手放したくはない。
老いていく自らや死んだ魚のような目をした母親と違い、あの娘はどんなに辛くても生きようとしていた。
何故あれほどの仕打ちを受けてなお前向きに生きようとするのだろうか。
私一人の歪んだ欲望のために生かされているようなものなのに。
罪悪感もある。
しかしどうにもこうにもあの瞳を見るとゾクゾクとしてしまう。
私が憎くて憎くて仕方ないのだという瞳、私に対してあそこまでハッキリと反感を示してくれる人間などもう彼女くらいしか居ない。
やはり私は歪んでいるのだろう。
冷蔵庫を開けてチーズとワインを取り出す。
すでに五分が経過した。
もうそろそろアタリはついていると見ていいだろう。
人にあらざるゆえに普通のこどものように学校にも通わせられない。
魔にあらざるゆえに都市伝説としても扱うことはできない。
だが手放したくはない。
老いていく自らや死んだ魚のような目をした母親と違い、あの娘はどんなに辛くても生きようとしていた。
何故あれほどの仕打ちを受けてなお前向きに生きようとするのだろうか。
私一人の歪んだ欲望のために生かされているようなものなのに。
罪悪感もある。
しかしどうにもこうにもあの瞳を見るとゾクゾクとしてしまう。
私が憎くて憎くて仕方ないのだという瞳、私に対してあそこまでハッキリと反感を示してくれる人間などもう彼女くらいしか居ない。
やはり私は歪んでいるのだろう。
冷蔵庫を開けてチーズとワインを取り出す。
すでに五分が経過した。
もうそろそろアタリはついていると見ていいだろう。
「影山様」
シャドーマンの一人が突然現れる。
「何体かの私が撃破されたようです。」
「すぐに代わりは出せる。」
「すぐに代わりは出せる。」
指を鳴らすとまた私の周りに何体かのシャドーマンが現れる。
「遥様は何かの都市伝説に誘拐されているようです。
連れ戻すには戦闘が必要になるかと。」
「男か?」
「蝙蝠の姿をしていたのは解りましたが……?
声からするとおそらくはそうなるかと思われます。」
連れ戻すには戦闘が必要になるかと。」
「男か?」
「蝙蝠の姿をしていたのは解りましたが……?
声からするとおそらくはそうなるかと思われます。」
ほう、もう男を利用することを覚えたのか。
やはり血は争えないな。
やはり血は争えないな。
「興味が湧いた。その男から始末しよう。」
指を鳴らす。
本来ならば十一体しか出せないシャドーマン。
だがこの部屋の照明の配置は少々特殊で影が無数に増える仕組みになっている。
幾つにも増えた影から指を鳴らすごとにシャドーマンが湧いてくる。
本来ならば十一体しか出せないシャドーマン。
だがこの部屋の照明の配置は少々特殊で影が無数に増える仕組みになっている。
幾つにも増えた影から指を鳴らすごとにシャドーマンが湧いてくる。
「十一体はこの家の周囲で敵襲を警戒しろ。
残り七十七体は街中を探してその蝙蝠男を仕留めろ。」
「御意」
「ん、……蝙蝠?」
「はい、蝙蝠です。」
「蝙蝠といってもなんの都市伝説だ。」
「詳細は分かりません。」
残り七十七体は街中を探してその蝙蝠男を仕留めろ。」
「御意」
「ん、……蝙蝠?」
「はい、蝙蝠です。」
「蝙蝠といってもなんの都市伝説だ。」
「詳細は分かりません。」
都市伝説、特にUMA系には魔法陣の効果が無い。
とはいえUMA系ならば物理的な条件に制約されるし徹甲榴弾すら通さない壁があるから大丈夫だとは思うが……。
とはいえUMA系ならば物理的な条件に制約されるし徹甲榴弾すら通さない壁があるから大丈夫だとは思うが……。
「やれやれ。」
酒を飲み干す。
もうこんな年なのに本気になっている自分に気づく。
私は蝙蝠男に嫉妬しているのだろうか。
遥を奪われたような感覚がしているからこんなにもムキになっているのだろうか。
あくまで娘だ。私が彼女になにかするというわけにはいかない。
だから話だけは聴き続けていたし、反抗すれば殴りもして、自分の言うことだけを聞くようにし続けて……
もうこんな年なのに本気になっている自分に気づく。
私は蝙蝠男に嫉妬しているのだろうか。
遥を奪われたような感覚がしているからこんなにもムキになっているのだろうか。
あくまで娘だ。私が彼女になにかするというわけにはいかない。
だから話だけは聴き続けていたし、反抗すれば殴りもして、自分の言うことだけを聞くようにし続けて……
ガォンと空気を裂く音。
スゥっと血の気が引く。
今、何があった?
消滅するシャドーマン。
薄れていく意識。
天井にぶら下がったままこっちを見る青年。
彼が左手に持っている肉塊、あれは……!
今、何があった?
消滅するシャドーマン。
薄れていく意識。
天井にぶら下がったままこっちを見る青年。
彼が左手に持っている肉塊、あれは……!
「へえー、強力な契約者の肉って美味しいなあ。なーんか力も増して行く感じがするよ。」
「おま、え……?」
「蒼崎蓮って言います。」
「おま、え……?」
「蒼崎蓮って言います。」
青年は林檎でも頬張るみたいに私の心臓を食べていた。
「プロボクサーのパンチが大体36km/h、これは殆んどの人間が反応できない。
36km/hってのは秒単位で直すと10m/s、地球において重力加速度は 9.80665 m / s2
一秒落下していれば到達できる速さだね。
空気を透過していれば空気抵抗は無視できるし幾らでも加速できるって訳さ。
あんたがいくら早く動けようが用心深かろうがそこにこもっている以上あんたに勝ち目はなかった。
ってありゃ?
死んでる?
なんだつまらない、さっさと帰るか。」
36km/hってのは秒単位で直すと10m/s、地球において重力加速度は 9.80665 m / s2
一秒落下していれば到達できる速さだね。
空気を透過していれば空気抵抗は無視できるし幾らでも加速できるって訳さ。
あんたがいくら早く動けようが用心深かろうがそこにこもっている以上あんたに勝ち目はなかった。
ってありゃ?
死んでる?
なんだつまらない、さっさと帰るか。」
何故だろう。
私は今まさに殺されようとしているのに何故か安心していた。
不思議と穏やかな気持ちだった。
私は今まさに殺されようとしているのに何故か安心していた。
不思議と穏やかな気持ちだった。
【ラップトップハッピネス 第二話「飯島商会」 to be continued】