黒と白、赤と青
四色の翼を揺らめかせ、羽ばたかせ、黄金の天使は神々しくそこに存在していた
飛んでいるというよりは浮いているといった感じで、脚は地面に接していない
ただ静かに、漂うように、何かを狙う獣の如く隙を見せない
四色の翼を揺らめかせ、羽ばたかせ、黄金の天使は神々しくそこに存在していた
飛んでいるというよりは浮いているといった感じで、脚は地面に接していない
ただ静かに、漂うように、何かを狙う獣の如く隙を見せない
「……ほぅ、飲まれた……いや、“飲み込んだ”、か?
成程、今回の人間達はなかなか面白い。滅ぼすのが勿体ないとさえ感じる」
「あぁ? 冗談だろ、もうこいつらの未来はとっくに決まってんだよ!」
成程、今回の人間達はなかなか面白い。滅ぼすのが勿体ないとさえ感じる」
「あぁ? 冗談だろ、もうこいつらの未来はとっくに決まってんだよ!」
身体に突風を纏い始める「フラカン」
彼が動き出そうとする刹那に、裂邪は右手をゆっくりと上げ、人差し指を伸ばしてぴたりと止めた
様子を見る為に止まってしまった「フラカン」だったが、それは大きなミス
煌びやかな光条が指先から幾本も発せられ、彼を襲った
すぐに反応して回避を試みたが、1発だけ肩を掠めてしまった
ぱっ、と紅い華が咲き乱れる
彼が動き出そうとする刹那に、裂邪は右手をゆっくりと上げ、人差し指を伸ばしてぴたりと止めた
様子を見る為に止まってしまった「フラカン」だったが、それは大きなミス
煌びやかな光条が指先から幾本も発せられ、彼を襲った
すぐに反応して回避を試みたが、1発だけ肩を掠めてしまった
ぱっ、と紅い華が咲き乱れる
「当たった…!?」
【…「レイヴァテイン」の力………】
「テメェ……また俺の身体を傷付けやがったなぁ!?」
【…「レイヴァテイン」の力………】
「テメェ……また俺の身体を傷付けやがったなぁ!?」
拳に風を纏わせ、「フラカン」は怒りに任せて突風の如き速さで裂邪に迫った
しかし、彼の目の前に透明な何かが現れ、行く手を阻んだ
しかし、彼の目の前に透明な何かが現れ、行く手を阻んだ
「なっ………!?」
そのまま勢いで殴り付けると、ぽよん、と物体は大きく波打ち、拳を弾いて破裂した
どうやら、大きなシャボン玉だったようだ
彼はそれを生成し、盾の代わりに使用したのだ
どうやら、大きなシャボン玉だったようだ
彼はそれを生成し、盾の代わりに使用したのだ
【今のはミナワの力だ……これが、ウィルの力…】
背に生えた赤い翼が激しく燃え盛り、小さな炎が飛び出して、雨となって降り始める
「フラカン」は風を発生し、それを全て払い除けた
「フラカン」は風を発生し、それを全て払い除けた
「まだ分かんねぇのかぁ!? 俺にそんな攻撃が通用する訳―――――ッ!?」
裂邪を見た瞬間、「フラカン」の目が激しく泳ぎ始めた
眼前に、敵は“3人”
いつの間にか増殖した黄金の天使が、拳を振り上げて迫ってきた
眼前に、敵は“3人”
いつの間にか増殖した黄金の天使が、拳を振り上げて迫ってきた
「くっ、幻影か!? どこまで神を侮辱すればッあがぁっ!?」
攻撃は背後から
“3人”の裂邪は何事もなかったかのようにフェードアウトし、
代わりに確かな存在である裂邪が、うつ伏せに倒れる「フラカン」の背を蹂躙した
“3人”の裂邪は何事もなかったかのようにフェードアウトし、
代わりに確かな存在である裂邪が、うつ伏せに倒れる「フラカン」の背を蹂躙した
「うぐっ……テ、テメェ………!?」
【これが、理夢の力……!】
【これが、理夢の力……!】
脚を放し、眩い雷光を纏った脚でもう一度踏みつける
「フラカン」の身体はアスファルトに作り上げたクレーターの中心に僅かにめり込んだ
さらに裂邪は地面を抉りながら、彼の身体を蹴りあげる
「フラカン」の身体はアスファルトに作り上げたクレーターの中心に僅かにめり込んだ
さらに裂邪は地面を抉りながら、彼の身体を蹴りあげる
「がはっ!?」
【そして、これが……シェイドの力!】
【そして、これが……シェイドの力!】
右手で背の黒い翼に触れると、右腕に影が纏わりついて黒い刃を生成する
裂邪は蹴りあげた「フラカン」に目掛けて飛んでいき、その腹を貫いた
赤い血飛沫が飛び散り、口から血を噴き出す「フラカン」
黄金の鎧が、血と夕陽で紅く染まる
裂邪は蹴りあげた「フラカン」に目掛けて飛んでいき、その腹を貫いた
赤い血飛沫が飛び散り、口から血を噴き出す「フラカン」
黄金の鎧が、血と夕陽で紅く染まる
「ッおぼぁっ!?」
【どうだ? お前が“弱小”と罵った都市伝説の力は………!!】
【どうだ? お前が“弱小”と罵った都市伝説の力は………!!】
刃を引き抜き、血に塗れた傷口に蹴りを入れる
「フラカン」は再び吐血し、空中で反りかえって仰向けに倒れた
「フラカン」は再び吐血し、空中で反りかえって仰向けに倒れた
【ウヒヒヒヒヒ…お前は神だからって奢り高ぶり過ぎなんだよ
自分の行動全部に自信を持ち過ぎる。だから隙だらけだ
『油断大敵』って言葉はすげぇな……“神”にとっても、油を一滴も零さないようにってのは難しかったか?】
「黙れ………黙れぇ!!!」
自分の行動全部に自信を持ち過ぎる。だから隙だらけだ
『油断大敵』って言葉はすげぇな……“神”にとっても、油を一滴も零さないようにってのは難しかったか?】
「黙れ………黙れぇ!!!」
起きあがり、左掌から風と炎を凝縮した弾丸を発射する
空しくも、それは裂邪が作り出したシャボン玉と共に壊れて消えた
一瞬怯みながらも、何度も何度も同じ攻撃を繰り返す
ある弾は火炎弾と相殺し、
ある弾は実体の無い幻影を通過していき、
ある弾は影の刃によって斬り裂かれ、無力化する
肩で呼吸し始めた「フラカン」は、言葉も出せず、ただ息を荒げるだけだった
空しくも、それは裂邪が作り出したシャボン玉と共に壊れて消えた
一瞬怯みながらも、何度も何度も同じ攻撃を繰り返す
ある弾は火炎弾と相殺し、
ある弾は実体の無い幻影を通過していき、
ある弾は影の刃によって斬り裂かれ、無力化する
肩で呼吸し始めた「フラカン」は、言葉も出せず、ただ息を荒げるだけだった
「……………!?」
【…打つ手無し、か………お前、それでも“神”か?】
【…打つ手無し、か………お前、それでも“神”か?】
黒い翼を巨大な爪に変え、「フラカン」の肩を抉りながら捕縛する
宙ぶらりんの状態になった彼の傷を、炎を纏った拳で殴りつけた
苦悶の色を強めた声が、一帯に響き渡る
宙ぶらりんの状態になった彼の傷を、炎を纏った拳で殴りつけた
苦悶の色を強めた声が、一帯に響き渡る
【ウヒヒヒヒヒヒヒヒヒ……ヒハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!
良いザマだなぁおい!? あんなにバカにしてた人間にボコボコにされてどうよ?
そりゃあさぞ屈辱だろうなぁ! ヒッハハハハハハハハハハハ!!】
「テ、メ………人間風情がぁ…………っ!」
【まだ元気そうだな? んじゃ、その元気を命と共に】
良いザマだなぁおい!? あんなにバカにしてた人間にボコボコにされてどうよ?
そりゃあさぞ屈辱だろうなぁ! ヒッハハハハハハハハハハハ!!】
「テ、メ………人間風情がぁ…………っ!」
【まだ元気そうだな? んじゃ、その元気を命と共に】
空いた掌に黄金の光を集約し、雷光を走らせるそれを「フラカン」に向けた
彼を捕らえる影の腕に一層力が篭り、真っ赤な血がどくどくと溢れ出す
「フラカン」の目は未だに闘争心剥き出しだったが、光は既に消えかけていた
そんな彼の“黄昏”を見て、裂邪は小さく嘲笑った
彼を捕らえる影の腕に一層力が篭り、真っ赤な血がどくどくと溢れ出す
「フラカン」の目は未だに闘争心剥き出しだったが、光は既に消えかけていた
そんな彼の“黄昏”を見て、裂邪は小さく嘲笑った
「ち………き、しょ…………」
【ヒハハハハ……さあ、これで最期(レッツト)だ――――――】
「そこまでだ」
【あぁ? 良い所なんだから邪魔すんッ……ま、麻夜!?】
【ヒハハハハ……さあ、これで最期(レッツト)だ――――――】
「そこまでだ」
【あぁ? 良い所なんだから邪魔すんッ……ま、麻夜!?】
裂邪が驚愕の声を上げ、捕縛していた「フラカン」を投げ捨てた
そこに立っていたのは、「イシュピヤコック」に捕まっていた筈の麻夜だった
だが、どうも様子がおかしい
終始一言も話さず、ただ俯いているだけの彼女に、裂邪は嫌な予感を持ち始める
そこに立っていたのは、「イシュピヤコック」に捕まっていた筈の麻夜だった
だが、どうも様子がおかしい
終始一言も話さず、ただ俯いているだけの彼女に、裂邪は嫌な予感を持ち始める
【…おい! 麻夜に何しやがった!?】
「申し訳ない。そちらで勝手に遊んでくれていたお陰でスムーズに事が進んだよ」
「ッ!? 麻夜、おい麻夜! 俺の声が聞こえるk」
「違う」
「申し訳ない。そちらで勝手に遊んでくれていたお陰でスムーズに事が進んだよ」
「ッ!? 麻夜、おい麻夜! 俺の声が聞こえるk」
「違う」
焦りの混じった裂邪の声を遮るように、少女の声が冷たく静かに辺りに響いた
その声は他の誰の物でもない、紛れもなく神崎 麻夜本人の声だった
計らずとも、裂邪の読みは当たってしまった
最悪の形で
その声は他の誰の物でもない、紛れもなく神崎 麻夜本人の声だった
計らずとも、裂邪の読みは当たってしまった
最悪の形で
「我は「太陽の暦石」………石板に記されし滅びの予言を成就する者也」
【う、嘘だ………嘘だ!?】
「くくるくくくくくくくく……残念ながら真実なのだよ
君も知っている通り、私は“創造神”………この世の全てを生み出した神だ
私に創り出せない物は何も無い……人間と都市伝説の“繋がり”も同じだ」
【う、嘘だ………嘘だ!?】
「くくるくくくくくくくく……残念ながら真実なのだよ
君も知っている通り、私は“創造神”………この世の全てを生み出した神だ
私に創り出せない物は何も無い……人間と都市伝説の“繋がり”も同じだ」
「ククルカン」の話も聞かず、裂邪は彼に向かって、「フラカン」に放つ筈だった光弾を構えた
鼻で笑いながら対峙しようと一歩前に出る「ククルカン」だったが、す、と彼の前に小さくか細い手が阻んだ
鼻で笑いながら対峙しようと一歩前に出る「ククルカン」だったが、す、と彼の前に小さくか細い手が阻んだ
「下がれククルカン、我にさせろ」
「ッ………宜しいので?」
「肩慣らしには丁度良い……それにこの身体、なかなか興味深い」
【お前……麻夜の身体から出ていけ!!】
「ッ………宜しいので?」
「肩慣らしには丁度良い……それにこの身体、なかなか興味深い」
【お前……麻夜の身体から出ていけ!!】
掌から放たれる金色の光弾は、真っ直ぐに麻夜――中身は「太陽の暦石」だが――の元へ飛んでゆく
本来なら麻夜の身体を傷つける行為だが、裂邪には考えがあった
「レイヴァテイン」は“破滅の枝”の名の通り、破壊を司る北欧神話の武器
つまり、「ククルカン」という都市伝説が創造した契約の繋がりを、木っ端微塵に粉砕しようというものだった
だがその思惑が、逆に木っ端微塵に砕かれる事となる
本来なら麻夜の身体を傷つける行為だが、裂邪には考えがあった
「レイヴァテイン」は“破滅の枝”の名の通り、破壊を司る北欧神話の武器
つまり、「ククルカン」という都市伝説が創造した契約の繋がりを、木っ端微塵に粉砕しようというものだった
だがその思惑が、逆に木っ端微塵に砕かれる事となる
「第一の破滅……『カイーナ』」
麻夜が右腕をゆっくりと上げると、彼女の周囲のアスファルトが罅割れ、破壊されて3つの影が飛び出した
飛び出した者のうちの一つが、裂邪の光弾をもろに喰らい、跡形もなく消滅した
飛び出した者のうちの一つが、裂邪の光弾をもろに喰らい、跡形もなく消滅した
【何っ………あ、あれは!?】
裂邪が見たもの
それは、金色にも見える毛並みに、黒と黄の美しい梅花紋が点々と描かれた毛皮を持つ獣
ヒョウにも似ているが、これはジャガーという生物であり、ネコ科の肉食獣としては有名である
「太陽の暦石」に記された、4つの太陽の世界の破滅
その一つは、『ジャガーによって食い殺される』というものだった
これは、その能力で生まれたのだろう
だが、彼が驚いたのはそんなことではなく
ジャガー達が、人間のように二足歩行していたことだった
それは、金色にも見える毛並みに、黒と黄の美しい梅花紋が点々と描かれた毛皮を持つ獣
ヒョウにも似ているが、これはジャガーという生物であり、ネコ科の肉食獣としては有名である
「太陽の暦石」に記された、4つの太陽の世界の破滅
その一つは、『ジャガーによって食い殺される』というものだった
これは、その能力で生まれたのだろう
だが、彼が驚いたのはそんなことではなく
ジャガー達が、人間のように二足歩行していたことだった
【まさか………麻夜の「幼気」を使いこなして………!?】
「やっひゃひゃひゃひゃひゃ、真に滑稽であり傑作……
小僧、この醜い畜生共と遊んでやってくれ」
「やっひゃひゃひゃひゃひゃ、真に滑稽であり傑作……
小僧、この醜い畜生共と遊んでやってくれ」
人型のジャガーが襲いかかる
裂邪は火炎弾を拡散させて牽制するが、流石は獣、身軽に攻撃を避けてゆき、
逆に裂邪の周りをぐるぐると素早く回って翻弄した
まず1匹が、裂邪の懐に潜り込み、鋭い爪で鎧を穿とうとした
裂邪は火炎弾を拡散させて牽制するが、流石は獣、身軽に攻撃を避けてゆき、
逆に裂邪の周りをぐるぐると素早く回って翻弄した
まず1匹が、裂邪の懐に潜り込み、鋭い爪で鎧を穿とうとした
【こんな奴等………遊びにもならん!!】
爪が触れる寸前に、影の刃がジャガーの腕を斬り落とす
怯んだジャガーの頭を鷲掴みにし、裂邪は「レイヴァテイン」の力を込めて地面に叩きつけた
ぐちゃり、という鈍い音と共に、1匹目のジャガーが絶命する
怯んだジャガーの頭を鷲掴みにし、裂邪は「レイヴァテイン」の力を込めて地面に叩きつけた
ぐちゃり、という鈍い音と共に、1匹目のジャガーが絶命する
【あと1匹………そこか!】
背後から飛びかかるジャガーの気配を感知し、そこに向けて左掌をばっと広げた
ジャガーの身体が、空中でぴたりと止まる
いや、止まった訳ではない
透明な球体――――シャボン玉に閉じ込められ、その場に停止するどころか、
それはゆっくりと確実に地上から離れてゆく
ジャガーの身体が、空中でぴたりと止まる
いや、止まった訳ではない
透明な球体――――シャボン玉に閉じ込められ、その場に停止するどころか、
それはゆっくりと確実に地上から離れてゆく
【シャボン玉飛んだ…屋根まで飛んだ…】
静かに、彼は歌い始める
童謡の「シャボン玉」
ふわり、ふわりとジャガーは飛んでいき、いつしか天まで届かんとしていた
抜け出そうと必死に暴れるジャガーだったが、何をやってもシャボン玉は壊れない
童謡の「シャボン玉」
ふわり、ふわりとジャガーは飛んでいき、いつしか天まで届かんとしていた
抜け出そうと必死に暴れるジャガーだったが、何をやってもシャボン玉は壊れない
【屋根まで飛んで……壊れて消えた】
歌い終わった瞬間に、シャボン玉はようやく破裂して消滅した
閉じ込めていたジャガーと共に
閉じ込めていたジャガーと共に
「む……成程、確かに今回の人間は面白い
しかし「レイヴァテイン」にしては威力が小さいな……まぁ、そんな事はどうでも良い
傀儡とは言え、我が生み出した者を壊したのだ…裁きが必要だな」
【っは、何が裁きだ! 裁かれるようなことやってんのはお前らだろうが!!】
しかし「レイヴァテイン」にしては威力が小さいな……まぁ、そんな事はどうでも良い
傀儡とは言え、我が生み出した者を壊したのだ…裁きが必要だな」
【っは、何が裁きだ! 裁かれるようなことやってんのはお前らだろうが!!】
4対の翼を羽ばたかせ、影の剣を携えて麻夜に迫る
麻夜はただ、それを見て怪しく微笑んでいた
麻夜はただ、それを見て怪しく微笑んでいた
【引きずり出してやる……麻夜の中から、お前を!!】
「なら我は貴様の内臓を引きずり出してやろう………第二の破滅、『アンティノラ』」
「なら我は貴様の内臓を引きずり出してやろう………第二の破滅、『アンティノラ』」
麻夜の拳を、鋭い風が耳を劈く様な音を響かせて渦を巻き、
裂邪が振り下ろした黒い刃を掻き消しながら、その拳は彼に牙を剥いた
裂邪が振り下ろした黒い刃を掻き消しながら、その拳は彼に牙を剥いた
【―――――――――――――がはぁっ!?】
黄金の鎧は裂邪の腹部ごと貫かれ、僅かに形が液状になりかけていた
真っ紅な血が流れ出し、麻夜の腕を紅く染める
真っ紅な血が流れ出し、麻夜の腕を紅く染める
「……この程度、か………どうも何か“邪魔な物”が纏わりつく……何だこれは?」
【ごふっ………邪魔な、もの………?】
「…良い、直に慣れるだろう。その前に」
【ごふっ………邪魔な、もの………?】
「…良い、直に慣れるだろう。その前に」
裂邪の腹から腕を引き抜く
一層多量の血が溢れ出した彼を、軽々と投げ捨てた
放り投げられた衝撃で、またも血を噴き出す裂邪
一層多量の血が溢れ出した彼を、軽々と投げ捨てた
放り投げられた衝撃で、またも血を噴き出す裂邪
【おぐぅっ……!?】
「どうした、フラカンにも同じ事をやっていたみたいだが……やはり苦しいか?
なに、案ずる事はない………もっと苦しませてやろう」
「どうした、フラカンにも同じ事をやっていたみたいだが……やはり苦しいか?
なに、案ずる事はない………もっと苦しませてやろう」
両手を広げて構えると、掌に炎が集まり、巨大な火球を作り出す
近づく者全てを焦がす勢いで燃え滾るそれが狙いを定めるのは、やはり裂邪
近づく者全てを焦がす勢いで燃え滾るそれが狙いを定めるのは、やはり裂邪
「第三の破滅……『トロメア』」
業火は彼女の手を離れ、金色の天使を焼き尽くす
少年の断末魔は、炎が激しく燃え盛る音に飲まれて掻き消された
少年の断末魔は、炎が激しく燃え盛る音に飲まれて掻き消された
「やっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!
しまったな、少し加減を間違えたようだ……もう少し遊んでやりたかったのだがな」
「…「太陽の暦石」よ、そろそろ場所を変えましょう」
「そうだな、この身が馴染むまで……そして力が高まるまでは遠い
イシュピヤコック、あのボロ雑巾…フラカンを連れて来い」
「………了解」
「何か勘違いしてねぇか?」
しまったな、少し加減を間違えたようだ……もう少し遊んでやりたかったのだがな」
「…「太陽の暦石」よ、そろそろ場所を変えましょう」
「そうだな、この身が馴染むまで……そして力が高まるまでは遠い
イシュピヤコック、あのボロ雑巾…フラカンを連れて来い」
「………了解」
「何か勘違いしてねぇか?」
炎の中からの声に、麻夜は咄嗟に振り向いた
めらめらと燃え盛る炎の海に、確かに裂邪は立っていた
黄金の鎧を身に纏って
しかし、先程のように翼は生えておらず、鎧の形も僅かに違う
めらめらと燃え盛る炎の海に、確かに裂邪は立っていた
黄金の鎧を身に纏って
しかし、先程のように翼は生えておらず、鎧の形も僅かに違う
「…生きておったか、しぶといな」
「おや? 先程貴方が飲み込んだらしいお仲間がいないようだが?」
「ッヒヒヒ………死ぬのは俺一人で十分だ
全員、ここじゃない場所に送り返した」
「………やひゃっ………やっひゃひゃひゃひゃひゃ……
そうかそうか、なかなかに馬鹿で愚か……だが気に入ったぞ」
「…何を?」
「おや? 先程貴方が飲み込んだらしいお仲間がいないようだが?」
「ッヒヒヒ………死ぬのは俺一人で十分だ
全員、ここじゃない場所に送り返した」
「………やひゃっ………やっひゃひゃひゃひゃひゃ……
そうかそうか、なかなかに馬鹿で愚か……だが気に入ったぞ」
「…何を?」
「ククルカン」の問いに答えず、麻夜は一歩、一歩と裂邪に歩み寄りながら、
不敵な笑みを浮かべて彼に問うた
不敵な笑みを浮かべて彼に問うた
「小僧……我と共に滅びを見ないか?」
「……は?」
「貴様にチャンスをやろうと言っておるのだ…悪い話ではない筈だが
貴様、「水晶髑髏」を知っておるか?」
「……それがどうした」
「あれは13の「水晶髑髏」を集めた時、宇宙万物の力を手に入れる事ができるのだ
その力を手に入れれば、例え人間だろうとそこの神も、下手をすれば我でさえも滅ぼせるだろう
そこで、だ………この娘と貴様の2人を生かしてやる代わりに、「水晶髑髏」を破壊してはくれぬか?」
「……は?」
「貴様にチャンスをやろうと言っておるのだ…悪い話ではない筈だが
貴様、「水晶髑髏」を知っておるか?」
「……それがどうした」
「あれは13の「水晶髑髏」を集めた時、宇宙万物の力を手に入れる事ができるのだ
その力を手に入れれば、例え人間だろうとそこの神も、下手をすれば我でさえも滅ぼせるだろう
そこで、だ………この娘と貴様の2人を生かしてやる代わりに、「水晶髑髏」を破壊してはくれぬか?」
思わず息を飲む裂邪
それを黙って聞いていた「ククルカン」が押し入った
それを黙って聞いていた「ククルカン」が押し入った
「「太陽の暦石」、人間などにそのような事を………」
「この小僧は“人間”とは一概に呼び難い…強いて言えば“化物”に等しい
我々の意向も理解しておるだろう
どうだ小僧? もう一度言うが、これは貴様にとっても」
「断る!!」
「この小僧は“人間”とは一概に呼び難い…強いて言えば“化物”に等しい
我々の意向も理解しておるだろう
どうだ小僧? もう一度言うが、これは貴様にとっても」
「断る!!」
はっきりと、裂邪は言い放った
大きく深呼吸した後、彼はさらに続ける
大きく深呼吸した後、彼はさらに続ける
「俺と麻夜の“2人だけ”を生かす? 人間を舐めるのも大概にしろ!
麻夜にはなぁ、俺なんかとは比べ物にならないくらい大切な奴がいるんだ!
俺とだけ生き残ったって、麻夜は絶対に喜ばない!
俺だってそうだ! シェイドやミナワ、理夢、ウィル、両親や弟、友人、恩人、失いたくないものが沢山ある!
人間ってのは皆そうだ! 一人や二人生き残ったって何の意味もない!
だったらいっそ全員仲良く滅ぼされた方がマシだ!
だからってこのままぶっ殺される気は毛頭無い! お前らをぶっ潰して、絶対に明日を掴み取ってやる!
明日を夢見る人達の希望をぶっ壊す訳にはいかねぇんだよぉ!!」
麻夜にはなぁ、俺なんかとは比べ物にならないくらい大切な奴がいるんだ!
俺とだけ生き残ったって、麻夜は絶対に喜ばない!
俺だってそうだ! シェイドやミナワ、理夢、ウィル、両親や弟、友人、恩人、失いたくないものが沢山ある!
人間ってのは皆そうだ! 一人や二人生き残ったって何の意味もない!
だったらいっそ全員仲良く滅ぼされた方がマシだ!
だからってこのままぶっ殺される気は毛頭無い! お前らをぶっ潰して、絶対に明日を掴み取ってやる!
明日を夢見る人達の希望をぶっ壊す訳にはいかねぇんだよぉ!!」
その瞬間、裂邪を中心に強い波紋が広がった
一瞬の事だったが、それは「ククルカン」達をも震え上がらせた
そして、裂邪の鎧を、炎が纏い始めた
その輝きに勝るとも劣らない、金色の炎
一瞬の事だったが、それは「ククルカン」達をも震え上がらせた
そして、裂邪の鎧を、炎が纏い始めた
その輝きに勝るとも劣らない、金色の炎
「俺の全身全霊を……この一撃に賭ける…………!!!」
金の焔は裂邪の身体を覆い尽くし、黄金の巨鳥が降り立ったかのように燃え盛る
彼は麻夜に向けて―――否、倒すべき敵に向かって、拳を振り上げた
彼は麻夜に向けて―――否、倒すべき敵に向かって、拳を振り上げた
「うおおおおおおおおおおおおおお!! 『ゴッド・フェニックス』!!!」
その様は、まさに“不死鳥”
黄昏の陽の如き色をした不死鳥は、「太陽の暦石」が操る麻夜の身体を砕かんとした
黄昏の陽の如き色をした不死鳥は、「太陽の暦石」が操る麻夜の身体を砕かんとした
「……つまらん。期待しておったのだが…致し方無い」
麻夜の右手に拳が作られる
最後まで、彼女は裂邪を嘲笑っていた
最後まで、彼女は裂邪を嘲笑っていた
「最終破滅………『コキュートス』」
その言葉を最後に、裂邪の意識は途絶えた
...To be Continued