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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 仄暗い魂-20

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Retsuya

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だれでも歓迎! 編集
ザザァ・・・と寄せては返す細波の音を耳に、
小さな生き物達がひっそりと蠢いている磯部で、少女はただ水平線をじっと見つめていた
灰色の髪、紅い瞳、胸に晒し布を巻いて黒い上着を羽織った彼女の名は、ルート・ライフアイゼン
元はR-No.10として「組織」に身を置いていた少女である

(ルート>海、かぁ・・・思い出すなぁ
(エーヴィヒ>何をだい?

ぴょこり、と彼女の肩に飛び乗り話しかけるのは、
ふさふさの毛を持った子猫、エーヴィヒだ
海を眺めて自分の世界に入り浸っていたのか、彼女は冷たい目でエーヴィヒを睨むと、
むすっとした表情のままで語り始めた

(ルート>・・・まだ「組織」にいた頃のことをちょっと、ね
(エーヴィヒ>へぇ、珍しいね。君でもそんな事を思い出す時があるんだ
(ルート>うっさいねぇ、アタシだって一応人間だしぃ!
(エーヴィヒ>ニャー
(ルート>こんな時だけネコの振りすんなぁ!!

首の付け根を摘んで、エーヴィヒを怒鳴るルート
暫くして気が治まったのか、それともそもそもそんな気分ではなかったのか、
彼女はエーヴィヒを定位置に戻して、また水平線の彼方を見た

(ルート>あの時のアタシは、まだ子供だった
     見た目はずっと子供のままだけど、心も子供のまんまで
     でも、あの人と出会って、ちょっぴり大人に近づいた気がした
     あの人が、アタシに色んな事を教えてくれた・・・

胸に手を当て、きゅっと縮こまるようにして赤く染まった顔を隠そうとする
やれやれ、とでも言うように、エーヴィヒは首を横に振って磯部に飛び降りた
と、その時だった

「・・・ルート?」

はっとして、ルートは飛び上がるように立ち、声のした方向に目を向けた
「噂をすれば影が差す」、とは正にこの事だろう
そこには、彼女の想い人である、R-No.3――栄 日天が立っていたのだ

(ルート>う、そ・・・日天、さん? どうして・・・

驚きの余り、上手く言葉が出ないルート
だが、日天も同じ様子だった

(日天>オレが聞きたいくらいだ・・・会いたかった、ルート

足場の不安定な磯部を、軽い身のこなしで跳び歩き、彼はルートの元へ辿りついた

(ルート>え・・・あ・・・ぅぁ・・・
(日天>ずっと話がしたかった・・・まだ、お前に言ってない事があったんだ
    頼むから、聞いてくれ。オレは―――――――
(ルート>っき、来ちゃダメぇ!!

一歩、足を踏み出した日天に、ルートが叫んだ
彼はピタリと動きを止めたが、すぐにまた歩み始めた

(ルート>・・・き、来ちゃダメだよぉ、日天さん・・・
     アタシに近づいたら、日天さんが汚れちゃう・・・
(日天>ルート、お前は汚れてなんかいない
(ルート>ううん、すっごく、汚れてる・・・血と、肉と、殺された人の怨念で汚れてるのぉ・・・
     だって、アタシは・・・沢山の部下も殺したし、何の罪もない人々も殺し続けた
     アタシの馬鹿な行いを止めようとした契約者まで・・・
     もうアタシは身も心も汚れきってる・・・アタシのした事は、決して許される事じゃないから
(日天>違う!!

突然の怒号に、俯いていたルートが顔をあげた
日天の表情は激しい怒りと、深い悲しみに満ちていた
今まで見た事もない彼の様子に、ルートは目を見張った

(日天>・・・これまでの殺人行為も、「組織」の味方殺しも、全部お前がやった事じゃない
(ルート>日天さん・・・
(日天>何かがお前にそれをさせていたんだ、オレには分かる
    お前があんな事する訳がない・・・そうだろ?
(ルート>・・・気持ちは嬉しいよ、ありがとぉ
     でも、ごめんなさい・・・やっぱり、あれはアタシがした事だよ
     アタシにははっきりと殺す意思があったし、復讐したいっていう意志もあった・・・
     日天さんがどんなに庇ってくれたって、アタシは立派な殺人鬼―――
(日天>ならどうしてあの時オレを殺さなかった!?
(ルート>――――――ッ!?




―――――アタシの知ってる日天さんは・・・もういないんだからぁ!!




―――――鬱陶しいよねぇ、それ・・・子宮ごと貫いてあげるわぁ!!




―――――でき、ないよぉ・・・




―――――だってぇ・・・日天さんはぁ・・・日天さん、なんだもん・・・




半年前の出来事が、光景が、言葉が
ルートと日天の脳内で映像となって蘇り、流される

(日天>あの時のお前には、オレを殺すくらい訳はなかった筈だ
    蓮華さんさえも圧倒したお前なら、オレくらい簡単に殺せた筈だ
    だが、お前はその手を止めた・・・どうしてだと思う?

ルートは何も答えなかった
否、何も答えられなかった

(日天>お前には・・・お前の心には、そんな優しさがあったんだ
    そんなお前が人殺しなんて、今でもオレには信じられない
    信じられないからとは言えこんな結論を出すオレもどうかしてるとは思うが・・・

自重気味に笑うと、彼はルートの手を取った

(ルート>ぁ・・・
(日天>お前はもう、人を殺すような事はしてない筈だ
    「組織」の見えないところで、各地で活躍してたのはお前だろう?
    既に、沢山の人々の命を、この手で救ってる・・・そうだろ?
(ルート>日、天、さん・・・あ、アタシ・・・
(日天>罪なんて忘れてしまえ・・・なんてことは言えない
    だが生きていれば、罪は必ず償える
    それを手助けするのもオレ達・・・「組織」の役目だから

日天が言い放った時、
ルートの目から大粒の涙が、腹の底から大きな声が溢れ出し、彼女は日天の胸に飛び込んだ
泣きじゃくるルートを、彼はそっと抱きしめた

(ルート>リーッ、ティエン、さぁん・・・ぐすっ・・・アタシ、アタシぃ・・・
     みんなに、謝りたい・・・許してもらえなくてもいいからぁ・・・あやまりたいぃ・・・
(日天>あぁ、オレも一緒に謝ってやるさ
    想いを込めて気持ちを伝えれば、きっと相手にも伝わるから
(ルート>でもッ・・・こわい・・・こわいのぉ・・・ゆるしてッもらえないからぁ・・・
(日天>・・・もしも世界がお前を許さなくとも
    オレは、オレだけは、お前を許し続ける、守り続けてやる
(ルート>ひっぐ・・・日天、さぁん・・・
(日天>世界を敵に回しても良い。オレはずっと、お前の味方だ
    オレは・・・ルート、オレはお前の事が、世界中の誰よりも・・・好きだ

その言葉を聞いて、ルートは尚一層泣き始め、
日天はただただ、彼女を泣き止むまで抱きとめていた





暫くして、ルートは泣き止んだのだが
2人は何故かその場から、しかも日天が彼女を抱いたままで、動く気配がなかった

(日天>(・・・気持ちを伝えたは良いが・・・)
(ルート>(・・・こ、告白、されちゃったけどぉ・・・)

理由はそれぞれ違えども
2人の想いは、同じだった


――――――――これから、どうしよう


(エーヴィヒ>(・・・全く、初々し過ぎて目も当てられないね)

エーヴィヒはルートと日天が自分達の世界に入ってるところをずっと傍観していた
と、彼はネコ団子状態を解いて立ち上がると、呆れたように首を振って、

(エーヴィヒ>ちょこっとだけ、手伝ってあげようかな

ふぅ、と溜息を吐くと、
一瞬だけ、エーヴィヒは本来の姿である豹の形相を出現させ、
肉食獣が獲物に狙いを定めるかのような鋭い眼を、2人に向けた

(ルート>――――――――ッ!?
(日天>―――――――ッ!?

その瞬間、ルートと日天の身体がビクッ、と飛び上がった
同時に、2人の呼吸が突然荒くなり始めた

(日天>なっ・・・ふ、ふざけっ・・・
(ルート>はぁ、はぁ・・・や、こ、これって・・・

エーヴィヒは「オセ」に飲まれた契約者、もとい契約猫だ
ソロモン72柱の悪魔の一つである「オセ」の能力は、
幻影を見せる、秘密を暴く、等の他に『気を狂わせる』というものがある
今、エーヴィヒが行ったのはその能力を少し解釈を曲げた力であり、
対象者の精神を弄る事で、興奮や冷静を人為的に作り出すのだ
この能力で、ルート達の興奮状態を高めた訳なのだが、彼はこの状況を見て思わず呟いた

(エーヴィヒ>・・・加減を間違えたかな

そんな事実は露知らず
ルートも日天も、己の湧きあがる欲求を抑え込むのに必死だった
何故ならば
その欲は、他ならぬ想い人に向けられているからだ

(ルート>リー・・・ティエン、さん・・・離れ、て・・・
(日天>そう、したいのは山々だが・・・か、身体が、言う事を・・・

それはルートも同じだったが、2人は大きな誤解をしていた
“離れられない”のではなく“離れたくなかった”のだ
しかし互いに互いの心から、その気持ちを押しのけたかった


――――まだ身体の幼いルートに手を出す訳にはいかない


――――日天さんを汚すようなことはしたくない


どれだけ強く願おうと、身体は意に反して2人を離そうとしない

(ルート>・・・ね、ねぇ、日天さん・・・
(日天>どうした、ルート――――――――――

声をかけられ、彼女の顔を見た瞬間に、彼の理性が音を立てて崩れ落ちた
ルートの紅潮した頬、潤んだ瞳に食い入るように、日天の顔が不意に近づく

(ルート>ふえぇっ、っちょ、日天さ―――――
(日天>すまない、ルート・・・許してくれ

ルートの唇を、日天の唇が包み込んだ





     †     †     †     †     †     †     †





数分後

(日天>ルート! 何も言わずにオレを殺せ!!
(ルート>えぇ!? お、おおおお落ち着いて日天さぁんっ!?
(日天>見た目だけとは言え、幼子に手を出すなんて男として情けない!
    お前にはオレに罰を与える資格がある! 無理なら、せめて介錯人になってくれ!!
(ルート>だ、だから落ち着いてぇ!

粗方叫び終えると、二人して息切れし、
すぅっ、と大きく深呼吸をした

(日天>・・・本当にごめん。謝っても、許してくれないだろうが・・・
(ルート>そ、そんなこと・・・あ、アタシは、その、ぜ、全然、気にしてないからぁ・・・

ぽ、と頬を紅色に染め、視線を反らすルート

(ルート>あ、あの、こ、このことは忘れよぉ? ね?
     じ、じゃないと、多分・・・
(日天>・・・良いのか?
(ルート>え?

日天から発せられた意外な言葉に、ルートは固まってしまった
―――――誤解されたか!?
そう思った日天は彼女に必死に弁解する

(日天>っち、違う、思い出にしようという訳じゃない
    た、ただ・・・正直言うと、嬉しかったんだ
    お前と触れ合って、お前の温もり肌で感じて・・・い、やっぱり、オレは最低な男か?
(ルート>・・・うぅん、そんなことない
     日天さんはいつでもカッコよくて、優しくて・・・世界でいっちばん素敵な人だよぉ
     日天さんがそうしたいのなら、アタシも忘れない
     今日、こうして日天さんと出会えた奇跡
     こうして、日天さんと・・・・・・・・・・・・・・・ぁぅ///
(日天>ん、どうした?
(ルート>ぉ、ぉもぃだしたらぁ・・・ぬ、ぬれてぇ///

はにかみながら笑うルートに、日天は申し訳なさそうな笑みを浮かべた

(日天>・・・なぁ、ルート
(ルート>?
(日天>もう、戻って来ないのか?・・・「組織」に

「組織」
その言葉を聞くや否や、ルートの表情が暗くなる
が、すぐに首を振って笑みを作る

(ルート>・・・うん。まだ、堅物の姉貴は、許してくれそうにないからぁ
     あと、蜘蛛のおじさんとかも・・・
(日天>オレが皆に事情を話すよ。そうすれば、分かってくれるかも知れない
(ルート>ありがとぉ、でも良いの。日天さんには、迷惑ばかりかけてるしぃ・・・

す、と彼女は立ち上がり、日天に背を向けて歩き始めた
それに続くように、日天もまた立ち上がる

(日天>・・・行くのか
(ルート>うん・・・これから、学校町に行くつもりぃ
     だから、もしかしたらまた会えるかも・・・知れないねぇ

小さく笑うと、少し振り返り、

(ルート>・・・日天さん。甘い物、食べ過ぎないようにねぇ?
(日天>・・・あぁ、分かってる。お前も、一人で突っ走ろうとするなよ?

互いに、くすっと笑い合う
まだ何か言いたげだったが、ルートはそのまま磯部を岩から岩へと跳びながら、
遥か向こうへと走り去っていった

(日天>・・・また会おうな、ルート
(エーヴィヒ>会えるとも、近いうちにね

突然の声に驚き、日天はきょろきょろと辺りを見回した
足元でちょこちょこと歩いているネコを発見すると、しゃがんでそれに話しかけた

(日天>お前は、確かルートと一緒にいた・・・
(エーヴィヒ>僕の名前はエーヴィヒ・・・そんなことよりも
       栄 日天と言ったかな? 君の推理・・・正しいよ
(日天>推理・・・っ、まさか!?
(エーヴィヒ>それが何者かまでは、僕にも分からないけどね

と言って、エーヴィヒはルートを追って歩き出す

(日天>待て! お前は一体――――
(エーヴィヒ>僕が知っていることはもう一つ
       「組織」内部で、「組織」全体を支配する計画が極秘裏に進められている
(日天>ッ!? ば、馬鹿な・・・し、信じて良いのか!?
(エーヴィヒ>仮にも僕は悪魔だ。けど、彼女には恩がある
       信じるも信じないも君次第だよ

くっと口角をあげると、エーヴィヒは一瞬黄金色の豹の姿になり、
その秀麗な姿を霧の中に隠し、その場を立ち去った
ザザァ、と静かに波の音が響いた

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