「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 陛下と僕と獣の数字-00

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陛下と僕と獣の数字 第零話「彼女が生まれる前の話」】

「黒い服……あんた組織の人間か!?待ってくれ、殺さないでくれ!彼女は……彼女はただ!」

「偶然にも獣の数字を持つ少女の母体となった、それだけだ。君にも、君の恋人にも罪はない
 そして私ならば彼女を救える、私が君たちを救うことを確約しよう」

「じゃあ……」

「ああ、私に任せて死ね」

 漆黒のコートを纏った男は懐から短刀を取り出して青年に投げつける。
 青年はギリギリの所で短刀を都市伝説の能力で弾き飛ばし、男の方を凝視する。

「騙した……ガァ!?」

 騙したな、と言おうとしたその次の瞬間、男の膝が青年の顔面にめり込む。
 男は青年の首に深々ともう一本の短刀を突き刺して思い切り引っ張る。
 見事に物別れした首と胴体。
 男は青年の胴体を蹴り飛ばして懐から火炎放射器を取り出し、一気に焼き払った。

「私が何時嘘偽りを言った?若き吸血鬼よ。私は嘘をついてはいないではないか」

 男は火炎放射器を自らの能力で収納してからニヤリと笑う。

「私は貴様ら二人を救ってやろうといったのだ」

 男はドアを開けるとそこにはぐっすりと眠る美しい女性が居た。
 彼は自らの能力で巨大な斧を取り出して振り下ろす。
 大きな音がして女性は胴体から真っ二つになった。
 溢れ出る臓物の中にはまだ数ヶ月の胎児が紛れていた。
 男は迷うこと無くそれを踏みつぶす。
 そして焼き払う。

「せめて痛みを知ること無く……とは思ったのだがな」

 不快そうにつぶやきながら男はそのまま部屋を出る。

「―――――やあ、過激派の黒服さんだね?」

 男の目の前には一人の黒服が立っていた。

「そういう君は?」

「僕は……穏健派というか、なんというか、強いて言えば良心派
 嘘をつかない過激な黒服さんは今何をしていたんだい?
 ここの家族はそもそも僕の担当で……」

「ああ、そう。仕事は終わったから事後処理を手伝ってもらえると幸いなんだが……」

「あのさあ、こういう勝手な真似をされると困るんだ。君たちみたいな人のせいで組織のイメージが悪くなるんだよね
 そうなるとあちこちでの活動が制限されてしまって……」

 黒服は明らかに怒りに震えていた。
 男はその様を見て笑いが止まらないのだが、それを懸命に抑えようとはする。

「ククク……そうは言うがねえ、こうでもしないとあの女の胎から生まれる娘が世界を滅ぼしていただろうさ」

「だからって平和に暮らしていた家族を惨殺して家に火まで放っちゃう訳?」

 先ほどの火炎放射器による炎がカーテンに登り始めていた。

「ああ、万が一ということがあるからな。徹底的に滅ぼす」

「そうやってありとあらゆる物を傷つけて、殺して、滅ぼしていって、全てを滅ぼしきれると思っているの?」

「さあ?」

「さあって……」

「無一物」

 男は焔を背景にして語る。

「仏に逢うては、仏を殺し、祖に逢うては、祖を殺し、羅漢に逢うては、羅漢を殺し、
 父母に逢うては、父母を殺し、親眷に逢うては、親眷を殺して、始めて解脱を得ん
 何者にも囚われず、振りかかる火の粉をただ無心に潰す
 私はそういうシステムだ、そういう存在として世界に居ることを許されている」

「そういって殺された人間の気持ちになったことは?」

「無い」

「僕の家族はあんた達みたいな人間に殺された
 百のために一を殺す?それを百回繰り返せば百が死ぬんだよ」

「ああ、一万のためなら百程度死ぬさ」

 その言葉と同時に黒服は男に飛びかかる。
 疾い、驚くべき疾さだ。しかし、男の目の前でその黒服はバラバラの肉片へと変化する。

「ちなみに、先ほどの“佛に逢うては~”という話だが、あれは君を挑発するために言った誤りの解釈だ
 君はなにか勘違いしていたようだが私は嘘をつかないとは言っていない」

 男は話している間に展開していたワイヤーをしまうとそのまま燃え盛る家から脱出してしまった。
 翌日、現場検証に来た黒服は燃え残った家等を調べた結果“罪のない人々を殺すしかないと判断した心優しい黒服が罪の意識から自殺を試みたもの”と判断する。
 こうして“獣の数字”を持った子供を持ってしまった夫婦と、“獣の数字”を持つ子供の対処を任された黒服の事件は終幕を迎えた。

「よくやってくれました」

 翌日、黒衣の男のもとに“とある高貴な方”が訪れる。

「これで本物の“獣の数字”の持ち主は守られることでしょう
 あれが世界を滅ぼす存在だと信じているのは“教会”の愚者共だけですよ
 獣の数字とは“人という獣”を導きうる真の王者の証
 言うなれば人間という種の可能性です
 彼女を守るためならば……」

「これ以上私はその話を聞かない方が良いだろう、君にとって邪魔になるかもしれないからな
 あの事件はあくまで偶然起きた契約者同士の戦い」

「失礼しました、報酬はいつもどおり幾つかの別件の依頼の依頼料を水増しする形で支払わさせて頂きます」

「人の話を聞かぬ奴め……まあいい、そうしてくれ」 

 “とある高貴な方”はニコニコと笑いながら退室する。

「凶刃を堂々と振るうから疎まれるのですよ
 若者というのは本当に思慮が浅い……」

 “とある高貴な方”の独白を聞く人間は誰も居なかった。

【陛下と僕と獣の数字 第零話「彼女が生まれる前の話」 おしまい】

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