アットウィキロゴ

「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 鴉―KARAS― -08

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集
鴉―KARAS― 第八話「急襲」】

 九郎が異常事態に気づいたのはお化け屋敷に入ってすぐのことだった。
 前を歩いていたはずの三人が居ない。
 そしてどこかから自分を見つめる絡みつくような視線。

「なるほど、空間をいじれるのか」

 そうなると中々高位の能力者だろうと九郎は当たりをつけた。 
 空間をいじれるならばそれを用いた攻撃を仕掛けてくるはず。
 ワープして直接攻撃?
 それとも空間ごと引き裂いてくる?
 どちらにせよ細かく動いて攻撃を回避するのが一番だ。
 九郎はジグザグに走りだした。

「判断が早いね。でも、それは大きなミステーク」

 不意に、とても細いワイヤーが足元でちぎれる。
 それと同時にまばゆい光が彼の視界を包み、直後には銃声が響く。
 足に直撃して九郎はその場で転倒する。

「――――銃器!?」

「済まないわね」

 九郎の視線の先には尼姿の女性が袖をまくって拳銃を握っていた。
 H&K P2000、ドイツで女性警官の声に応じて開発された小型の拳銃。
 取り回しが容易で、安全装置の一部を犠牲にしてトリガーを軽くしていることが特徴だ。

「私に直接の戦闘能力は無いから」

 憎々しげに女性の方を睨みつける九郎。

「動かないで頂戴、次は貴方の頭を狙うわ」

 動けない。

「そう、いい子ね」

 女性はやさしく微笑む。

「今日は貴女に聞いてほしいお話があってきたの」

 話し合いにおいての必要条件。
 それは暴力。
 話しあうしか無い圧倒的な暴力を見せつけることで相手からそれ以外の選択肢を奪う行い。
 日常、人は法律という暴力で話し合い以外の選択肢を奪われているがこのような状況で法など役に立たない。
 九郎に残された選択肢は会話しかなかった。
 無言。
 それを肯定と受け取った尼姿の女性は話を続ける。

「この街には神が居る。ナイアトラップと呼ばれる混沌をもたらす神が
 貴方だってその一部を見知っているはずよ
 でも彼らの一部が今この街で何をしようとしているか、貴方は知らない」

 無言。

「ふふ、中々聡い子ね。見れば中々凛々しい瞳をしているわ。お姉さんはそういう人が好きよ」

「尼とは思えないね」

「あらあら、そんなこと言っていいのかしら?
 それともそういう物言いをする子が私の好みだと知っての言葉かしら?」

「俺は俺が正しいと思ったままに行動するだけだよ」

「ふぅん、私もそうなのよ。じゃあなおのこと話を聞いてもらわないと駄目ね
 結論から言うわ、貴方が今契約しているトト神は偽物
 あれは古代エジプトの魔術の神を名乗ったナイアトラップの化身の一つなんかじゃない」

「え?」

「そして正体不明の彼女は今、この夜刀浦の街に潜む祟神の解放を阻止しようとしている
 さらには集まっているナイアトラップの化身達を破壊しながらね」

「良い事じゃないのか?」

「いいえ、そうでもないのよ
 ナイアトラップの化身は破壊してもどうせ代わりが居る
 それどころか化身の一部は罪のない一般市民として暮らしていたりもするし
 巧妙に隠蔽しているけどナイアトラップの化身達の排除の為に彼女はかなり無茶な手を使っているわ
 それこそ一般市民にも害が及ぶこともあったみたい」

「ふぅん」

「そしてこの夜刀浦の街に住む祟神の解放阻止はこの街全体に被害を与えるわ」

「祟神は守り神ってことか?」

「ええ、“それ”が祟るのはあくまで街の敵にだけ
 この街にとっては守り神なのよ
 彼の解放は街の繁栄を意味するわ」

「何を以て信じれば良い」

「貴方の勘よ」

「訳がわからないね」

「信じざるを得なくなるわ」

 女性は九郎に自分の胸につけていたお守りを渡す。

「どうしようもなくなったら、これを使いなさい
 そして貴方は貴方の為すべきことを為せば良い」

「何故わざわざこんなことを」

「私はね、敵も味方もそうでない他人も、皆を幸せにしたいの
 そして幸せっていうのは疑い得ぬ自らを確信すること
 貴方の本質を目覚めさせてあげたいの
 貴方もまた、私が救うべき対象」

「救われなくてはならないような状況に俺が陥るとでも?」

「ええ、もうすぐ陥るわ。だって貴方の可愛いトトちゃんは……死ぬもの」

 笑い声と共に女性の姿は消滅した。

「なんだと!?」

 そう言って立ち上がる九郎。
 何故か撃たれた痛み、そして銃創はなくなっていた。

「くそっ!」

 どのみちここにとどまり続けている訳にはいかない。
 女性からもらったお守りを投げ捨てて九郎は走りだした。
 彼はまだ気づかない。
 そのお守りが黒いスライム状になって地面に溶け込んでいったことに。
 “それ”こそが彼の力を最大限引き出せる都市伝説であることに。

【鴉―KARAS― 第八話「急襲」 続】


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー