「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 夢幻泡影-74

最終更新:

Retsuya

- view
だれでも歓迎! 編集
舞い上がる砂塵の中、落ちた巨石が徐々に消えていき、
洞窟内に残されたのは、隕石が落下して出来た巨大な穴だった
尤も、その穴も洞窟が光を失い闇が支配してしまっているが為に、直視する事はできない

「………ッハ、ハァ……うぐっ」
「っ大丈夫か?」
「ボクは、大丈夫だけど……お兄ちゃんが……!」

腕の装置のライトを点け、ぽっかりと空いた穴へとよろめきながら進んでゆく
がしっ、と正義の肩を掴んで、大王は俯きがちに首を振った

「…諦めろ。あれはもう、助からん」
「離してよ大王。お兄ちゃんは生きてる」
「気持ちは分かるが、あの隕石はかつて巨大戦艦を破壊したもの…恐らく少年の兄は―――」
「でも!」
「じゃあ……俺はあの悪趣味な戦艦以上ってか……」

掠れ気味の少年の声
驚き、咄嗟に正義はライトを目の前の穴の方に向けた
ぼろぼろになった黒衣を纏い、右手で顔の右半分を覆って立っている裂邪の姿がそこにあった
右手の下にある右目の辺りは真っ紅に濡れており、血が滴り落ちていた

「ッヒヒヒヒ………光栄、だな………」
「お兄ちゃんっ…!」
「馬鹿な…あれを耐えたというのか!?」
「…都市伝説の力……特に契約した、個体の力量は……契約者の心に、比例する……
 正義……最後の最後に手を抜きやがったな?……ヒハハハハハハ」

笑いながら構える裂邪
それに反応して正義と大王も身構えた、が

「…………ゔ、ぉぶっ!?」

突如として血を噴き出し、裂邪はその場で膝から崩れ落ちた
あ、と声が漏れ、正義が駆け寄ろうとした

「来る、んじゃねぇ…!」
「意地張るのはやめてよ! そんなにぼろぼろになってるのに!!」
「…こんな状態にしたのは、お前だろ、が……
 ウヒヒヒヒ…まぁ、俺も悪いか……手加減されてこのザマだからな…」

傷だらけの身体で尚も笑う裂邪に、
正義は真剣な表情で歩み寄り、口を開いた

「……聞いて、お兄ちゃん。ボク達は「水晶髑髏」を―――――」
「「水晶髑髏」を2012年までに13個集めれば、人類滅亡を回避できる」
「え!?」
「それくらい知ってる…病院で寝てる間、お前等の話は全部聞いてたんだ
 お前等が「水晶髑髏」の契約者と協力してる事も、清太も漢も戦いに行ってる事も、全部な」
「じ、じゃあ……それを知ってて何でこんな!?」
「例え人類滅亡を止めたとしても……麻夜は……「太陽の暦石」は止められない
 人類全てが無理なら、学校町を滅ぼすか、巻き込んで自爆か……それくらいはやってのける筈だ
 そうなったら、お前等は麻夜を止められんのか? “いざという時”の覚悟は出来てんのか?
 ……その為に俺は、ローゼちゃんとお前を試した」
「試す、だと?」
「ローゼちゃんにとっては友人が、正義にとっては兄が、
 目の前に立ちはだかり敵として殺そうとしてきた時
 その覚悟を決められるか……」
「…やっぱりそういう事だったんだ……馬鹿だよ、お兄ちゃんは!」
「知ってたさ…その馬鹿な考えに乗ってくれた“あいつら”には心底感謝してる
 それに、お前等にもな」
「っ……?」
「お前等やローゼちゃんと戦って、やっと分かったよ……優し過ぎるんだよ、お前等
 俺はその優しさが弱さになるんじゃないかって思ってた…逆、だったんだな
 お前等は気づいてねぇかも知れないが…お前等にとって、“優しさ”が力の源だったんだ
 誰かを守りたい、誰かを救いたい、誰かに手を差し伸べたい…そんな気持ちが
 …はらわたが煮えくり返る思いだよ。もっと、早、く…うぷっ」

喉を通ってこみ上げるものを気合で胃に押し返す
激しく深呼吸を繰り返した後、裂邪は話を続けた

「正義……ローゼちゃんに、謝っといてくれねぇか?」
「…謝る?」
「俺は…あの子の心を深く傷つけてしまった
 あの子の純粋な心を裏切り、踏み躙ったんだ
 …多分、俺ももう、永く無い……だから、代わりに―――――」
「ふざけないでよ!!」

怒号が、洞窟内に響き渡った
ハッとしたように、裂邪は一瞬飛び上がって顔を上げた

「何でボクにそんなものを背負わせるんだよ!? お兄ちゃんらしくないよ!
 お兄ちゃんは昔から悪くて、強情だったけど…本当は優しくて、何より強かった!
 そんなお兄ちゃんに、ボクは少しだけ憧れてたんだ!
 それなのに……らしくないよ!」
「っ……」
「そんなにローゼちゃんに謝りたいなら、自分で謝りに行きなよ!
 こんなところで倒れてないで、立ち上がってよ!
 ボクなんかに負けないでよ!」

正義の言葉は、一つ一つが拳となって裂邪の胸に突き刺さった
粗方叫び終えて、正義が深呼吸を一つした時までは茫然としていたが、
暫くして、彼は呆れたように小さく、笑った

「……あぁ…これがお前の“説教”か……あの都市伝説共がお前についてったのも納得だな」

呟き、裂邪は紫のパスを取り出してそれをベルトのバックルに翳す
電子音声が響き、そのパスは一瞬にして金の柄の剣へと変わり、
彼は剣を杖代わりにしてゆっくりと立ち上がった

「有難うな、正義……でも、やっぱ無理っぽいわ」

言葉の直後、がらがらがら!!と岩が崩れる轟音が届いた
それは正義の後方から、つまり出口側の方から聞こえ、そしてライトがその音の主を照らす

「なっ……これは!?」

黒い、煙のような流体で出来た、獅子の姿の化物
だがその口は胴体まで裂けており、びっしりと並んだ牙の間から多量の涎を溢れさせていた

「どどぎゅううううううううううううううううううううぅん!!!」
「新手が!? こんな時に……くっ、行くよ大王!」
「その必要はない!!」

ぼう!!と化物と正義達を紫炎の壁が隔てる
え、と振り返る正義に、裂邪はヒヒ、とまた笑う

「馬鹿野郎……お前は他にやる事があるだろうが
 ここは俺に任せろ、お前は行け」
「お、お兄ちゃん!?」
「おい少年の兄! いくらお前でも、その身体では本当に死ぬぞ!?」
「……正義。優しさを失うんじゃねぇぞ
 弱い者を労わって、互いに助け合って、
 どんな都市伝説とも契約者とも、友達になろうとする気持ちを忘れるな
 例えその気持ちが、何百回裏切られようと」

裂邪は剣を―――「ティルヴィング」を構え、その刃を撫でた
暗がりでも刃は銀色に美しく輝いていた

「…お前のことは大嫌いだ。でも……お前は俺の誇りだ」
「――――――――」
「黄昏裂邪が命じる……“あいつらを病院に帰せ”」

刃が紫に光ると、その願いは履行された
洞窟内から、正義と大王の姿がぱたん、と消える
見える範囲で残ったのは、裂邪と巨大な化物のみ
がくんっ、と裂邪がバランスを崩して地に跪く

「ぐぅっ……く、そ……流石に限界、か………
 せめて、あいつらだけでも…」



―――全ク性懲リモ無イ奴ダ。マタ一人デ背負イ込ムツモリカ?



―――残念でした♪ 今度こそ逃がしませんからね、裂邪♪



―――もう契約者を置いて逃げる真似なんざしたかねぇ。道連れにしてもらうぜ、主!



―――死ぬ時ゃ皆一緒でさあ! その時はその時、あっしらもお供致しやす!



「……あいつらだけ、でも………守っ……て………」

ふら、と身体が大きく揺れ、どさりと力無く倒れ伏す
その影響か、紫炎の壁が消え、黒い化物を抑えるものが無くなった
化物は雄叫びを上げ、涎を滴らせる
裂邪は、目を覚まさない



   ...

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
ウィキ募集バナー