「ただいまー」
あくまで軽いノリを崩さずにマンションの誰もいない自室に戻る。
俺の声に応える存在は居ない。
この部屋には、居ないのだ。
俺の声に応える存在は居ない。
この部屋には、居ないのだ。
「お前、弟が居るって言ってなかったか?」
「弟なら居るさ」
そう言って天井を見上げる。
あいつは上の階に部屋を借りてるのだ。
最近までは一緒に暮らしていたというのに冷たい奴だ。
あいつは上の階に部屋を借りてるのだ。
最近までは一緒に暮らしていたというのに冷たい奴だ。
「ここに、ずっとね……」
少し寂し気な笑みを浮かべてポケットから煙草を取り出す。
実際寂しい。最近遊びに来てくれないのだから。
あれ、煙草湿気ってて吸えねえ。
ライターも壊れてやがる。
カチッカチッと何度やっても火がつかねえ。
煙草はそのままゴミ箱にシュー!
超!エキサイティン!
ちなみに葉っぱ買って手巻した高級品だ!
でも紙煙草より安いぞお!
それにしても完全に川に突っ込んでしばらく流されてたの忘れてたよ畜生!
寒いなあもう風邪引いちゃう!
実際寂しい。最近遊びに来てくれないのだから。
あれ、煙草湿気ってて吸えねえ。
ライターも壊れてやがる。
カチッカチッと何度やっても火がつかねえ。
煙草はそのままゴミ箱にシュー!
超!エキサイティン!
ちなみに葉っぱ買って手巻した高級品だ!
でも紙煙草より安いぞお!
それにしても完全に川に突っ込んでしばらく流されてたの忘れてたよ畜生!
寒いなあもう風邪引いちゃう!
「もしかして悪いことを聞いて……」
「さっ、急いで着替えようぜ。こんなんじゃあ風邪引いちまうよ」
「……ああ」
「女性用の服は無いけどまあパジャマ位なら問題無いだろう?
これ使ってくれ。弟の奴だから最近使ってないし良いだろ?
物は使った方が喜ぶしな」
これ使ってくれ。弟の奴だから最近使ってないし良いだろ?
物は使った方が喜ぶしな」
あの野郎、人の部屋にパジャマ脱ぎ捨てて行きやがって。
「まあ、今日くらいは素直に従ってやるか」
彼女は何故か大人しく指示に従うつもりらしい。
嫌がられるかと思ったけどそんなことは無かった。
嫌がられるかと思ったけどそんなことは無かった。
「濡れた服は洗濯してから乾燥機に入れてやるから
さっさとシャワー浴びてこい」
さっさとシャワー浴びてこい」
そしてどさくさに紛れて服を頭から被ろう。
「それなら必要ない。所詮、都市伝説の力で編んだ服だから消せば消える」
「あれっ、それならそもそもわざわざパジャマ着る理由は……?」
「……それよりだ」
意外にも切り裂きジャック選手これをスルー。
「そもそも私は切り裂きジャックだ
泥をすすり、屋根の無い場所で寝るのが当たり前さ」
泥をすすり、屋根の無い場所で寝るのが当たり前さ」
そういうこと言われると庇護欲マッハですぅ。
ああそういえば切り裂きジャックも娼婦だったって説は有ったな。
となるとそれで生活環境が酷いのにも慣れてるのかも……駄目だこの娘早く温かい物でも食べさせてあげないと。
ああそういえば切り裂きジャックも娼婦だったって説は有ったな。
となるとそれで生活環境が酷いのにも慣れてるのかも……駄目だこの娘早く温かい物でも食べさせてあげないと。
「そうか、じゃあシャワーとかも浴びなくて良いのか?」
「それは浴びさせろ」
ここでまさかの乙女発言である。
良いなあ、隙だなあこういうの。
良いなあ、隙だなあこういうの。
「良いぜ、僕は紳士だから女の子に先にシャワーくらい浴びさせるさ」
「……ありがとう」
「ああ待て、シャワー使うのは良いけどその前に僕が君をなんて呼べば良いか教えてくれ」
「え?」
「名前だよ、名前」
「私は切り裂きジャックで、それ以上でもそれ以下でもないよ」
彼女はそう言ってパジャマを持ったまま洗面室の奥のシャワールームに篭ってしまう。
シャワーの音が聞こえる。
それに洗面器にチャプチャプと溜まる水の音色。
あとで浴室ペロペロしようかな。
シャワーの音が聞こえる。
それに洗面器にチャプチャプと溜まる水の音色。
あとで浴室ペロペロしようかな。
「……よし」
「覗いたらバラバラにするからな」
「何故解った!」
僕の思考が盗聴されています。
しかたがないので僕は静かに彼女の呼び名を考えることにします。
ジャック……女の子がジャックはねえよなあ。
あーそうだ、ここはフラグを強固にする為に初恋の女の子の名前でもつけようか。
良いぞ、気持ち悪いぞ僕。
こういう時は弟に聞いてみるのが吉か。
さっそく携帯電話を……と思った時、突然ドアをノックされた。
三三七拍子なところからして弟だろう。
大して警戒もせずにドアを開けると……
しかたがないので僕は静かに彼女の呼び名を考えることにします。
ジャック……女の子がジャックはねえよなあ。
あーそうだ、ここはフラグを強固にする為に初恋の女の子の名前でもつけようか。
良いぞ、気持ち悪いぞ僕。
こういう時は弟に聞いてみるのが吉か。
さっそく携帯電話を……と思った時、突然ドアをノックされた。
三三七拍子なところからして弟だろう。
大して警戒もせずにドアを開けると……
「六条悲喜だな?」
デザートイーグルが僕の額に突きつけられる。
持ち主はサングラスをかけた屈強な男だ。
持ち主はサングラスをかけた屈強な男だ。
「お、お前は!?」
「動くな喋るな目を閉じろ、さもなくば貴様の脳天が綺麗な花火みたいに……」
「おい悲喜! 大丈夫か!」
レモンちゃん(今適当に決めた切り裂きジャックの呼び名である)が半裸で飛び出してくる。
「レモンちゃん……初めて名前で呼んでくれたね」
俺のことはガン無視で彼女は玄関に立つ大男を睨みつける。
「組織の追手か! 面倒なことに……」
「――――兄ちゃんの家に女だと!? しかもちょい電波入ってる!」
「「……ん?」」
プリンちゃんと我が弟がしばし困った表情で首を傾げる。
ここで戦わない辺りこいつら二人共平成ライダー一期シリーズの人間よりはマシなオツムを持っているらしい。
まあ戦った所でこの女に勝ち目など無いのだが。
ここで戦わない辺りこいつら二人共平成ライダー一期シリーズの人間よりはマシなオツムを持っているらしい。
まあ戦った所でこの女に勝ち目など無いのだが。
「どうもこんにちわレモンチャンさん……俺は六条路樹です。この男の弟です
なんか兄弟でよくやる寸劇に巻き込んでしまってすいません」
なんか兄弟でよくやる寸劇に巻き込んでしまってすいません」
先に挨拶をするとはできた弟である。
「ちなみにこれはライターです」
そう言って弟はデザートイーグルの先端を俺の額から外してから火を灯す。
煙草を吸うのに丁度良さそうなので玄関に置いてあった煙草の箱からタバコを取り出してその火で煙草を吸おうとする。
即座に火を消された。
彼女も何となく事態を理解したのか何故か俺の方を睨みながら彼女も路樹に挨拶をする。
煙草を吸うのに丁度良さそうなので玄関に置いてあった煙草の箱からタバコを取り出してその火で煙草を吸おうとする。
即座に火を消された。
彼女も何となく事態を理解したのか何故か俺の方を睨みながら彼女も路樹に挨拶をする。
「え、あ、お、おう……。私はキリサ……」
レモンちゃんの発言を遮って俺は弟に彼女を紹介する。
「レモンちゃんだ。まあ友だちみたいなもので決して怪しい関係ではないから気にするな
ちなみにレモンちゃんの語源は英語の古語であるlemaneだ
シェイクスピアを最近読んだからな」
ちなみにレモンちゃんの語源は英語の古語であるlemaneだ
シェイクスピアを最近読んだからな」
「え、ちょ、レモンちゃんって……」
「流石兄ちゃん、そうやってちょくちょく知識をひけらかすのが本当に好きだな!」
「まあな!」
レモンちゃんガン無視で兄弟の会話タイムである。
「でも兄ちゃん、流石に女の子を自分の部屋でシャワー浴びさせておいて何も無しはねえよ
むしろ有ってほしくねえよ、兄貴がガチホモ疑惑とか簡便だぜ?」
むしろ有ってほしくねえよ、兄貴がガチホモ疑惑とか簡便だぜ?」
我が弟はナチュラルに家に入り込んでドアを閉める。
「いやそもそも弟って、弟って、居なくなった……あれ?」
何故かレモンちゃんが頭を抱えている。
「でもマジなんだ。信じてくれ弟よ」
「今回ばかりはかばいきれねえよ兄ちゃん
しかも若干年下じゃねえかよ
どうみたって完全にちょい電波入ってる娘に話あわせてよろしくしましたって感じだよ兄ちゃん」
しかも若干年下じゃねえかよ
どうみたって完全にちょい電波入ってる娘に話あわせてよろしくしましたって感じだよ兄ちゃん」
「……はぁ」
レモンちゃんは諦めてシャワールームに戻っていった。
「馬鹿野郎お前の兄ちゃんはダメ人間だけどそこまでクズ野郎じゃねえよ
そんな良くあるエロ同人誌みたいなことは決してやらないよ兄ちゃんは
むしろあれだって
悪漢に追われていた美少女を格好良く助けてとりあえずシャワー浴びさせようとしてたところなんだって
僕だって川ポチャしたのに我慢してシャワー浴びさせてるんだよ?
紳士じゃね?
つーかそもそも兄ちゃん女の子に不自由してないし
瞳を閉じれば沢山彼女浮かび上がってくるし、ハーレムだし」
そんな良くあるエロ同人誌みたいなことは決してやらないよ兄ちゃんは
むしろあれだって
悪漢に追われていた美少女を格好良く助けてとりあえずシャワー浴びさせようとしてたところなんだって
僕だって川ポチャしたのに我慢してシャワー浴びさせてるんだよ?
紳士じゃね?
つーかそもそも兄ちゃん女の子に不自由してないし
瞳を閉じれば沢山彼女浮かび上がってくるし、ハーレムだし」
アイドル育成ゲームのあの子だって妄想するだけなら罪じゃないし。
本当はあの子に俺のレトルトカレーコレクションを食べさせてあげたかった。
本当はあの子に俺のレトルトカレーコレクションを食べさせてあげたかった。
「マジかよぱねえな兄ちゃん、俺は画面の前までしか付いてきてくれないよ」
「甘いなあ弟よ、俺なんか瞼を閉じるだけだからね
電気代も要らないし、エコだし
だから覗きに行こうぜあのシャワールーム」
電気代も要らないし、エコだし
だから覗きに行こうぜあのシャワールーム」
といった直後に彼女はシャワールームから出てくる。
僕と最初に出会った時の戦闘服っぽいものを着ながらである。
僕と最初に出会った時の戦闘服っぽいものを着ながらである。
「先に寝るから」
「あー……兄ちゃん俺やっぱお邪魔?」
「そんなこと無いって、それより偶に来たんだから少し飲んでいけよ
さっきすげえ面白いことが有ったの
プリンちゃん寝る前に棚の中から好きなレトルトカレー取り出して食べていいぜ」
さっきすげえ面白いことが有ったの
プリンちゃん寝る前に棚の中から好きなレトルトカレー取り出して食べていいぜ」
「……ありがとう」
レモンちゃんは死んだ目で棚から一番高いレトルトカレーとレトルトごはんを取り出して一人で調理を始める。
「マジかよ兄ちゃんがお気に入りレトルトカレーコレクションを開放するなんて貴重すぎるぜ
やっぱり付き合ってるんだな、遊びの関係じゃなくて真剣な交際なんだな
少し年下の義妹ができてもこの際だから気にしないよ
兄ちゃんでも人と真面目に付き合えるなんて俺は感動したな」
やっぱり付き合ってるんだな、遊びの関係じゃなくて真剣な交際なんだな
少し年下の義妹ができてもこの際だから気にしないよ
兄ちゃんでも人と真面目に付き合えるなんて俺は感動したな」
あ、なんかレモンちゃん泣いてる。
そんなに美味しかったのか。
そんなに美味しかったのか。
「言うな弟よ
俺だってこれでも頑張ってるんだからな
それよりさっきあった面白いことの話してやるから聞けよ」
俺だってこれでも頑張ってるんだからな
それよりさっきあった面白いことの話してやるから聞けよ」
「ははっ、どうせまた新しい小説の題材を思いついたとかそんなんだろ?
今度は俺も手伝ってやるからがんばれよ
兄ちゃんきっと才能はあるって」
今度は俺も手伝ってやるからがんばれよ
兄ちゃんきっと才能はあるって」
「ふっふっふ、ところがどっこいちが……」
レモンちゃんは涙を拭いてすっと立ち上がる。
「……悲喜サン、久シブリニ温カイモノヲ食ベラレマシタ
アリガトーゴザイマス」
アリガトーゴザイマス」
レモンちゃんが隣の部屋に行ってしまった。
あっち俺の寝室なんだけどなあ。
ちょっといじめすぎたかもしれない。
だってあいつ少し調子乗ってそうだったからガツンと行かないと駄目かなあって思っただけなのに。
あっち俺の寝室なんだけどなあ。
ちょっといじめすぎたかもしれない。
だってあいつ少し調子乗ってそうだったからガツンと行かないと駄目かなあって思っただけなのに。
「礼には及ばないよ」
ちょっと後悔しているくせに
( ・´ー・`)どや
みたいな表情で余裕かまして見せます。
( ・´ー・`)どや
みたいな表情で余裕かまして見せます。
「もしかしてあの子なんか複雑な事情有ったりするの?」
ああ、出会ってから只の人間である俺におちょくられっぱなしだよ。
あの娘の胃袋を心配してやって欲しい。
あの娘の胃袋を心配してやって欲しい。
「ああ、そうなんだ……実際俺があそこで彼女と会わなければどうなっていたか……
考えると今でも恐ろしいよ」
考えると今でも恐ろしいよ」
嘘ではない、嘘では。
「警察に相談とかできないのか?」
僕達二人は先程まで彼女がレトルトカレーを食べていたテーブルに座る。
開けるのは親父が好きだったのと同じ銘柄のウイスキー。
二人で飲む時はいつもこれだ。
ちなみに親父は元気で最近禁酒に成功した。
開けるのは親父が好きだったのと同じ銘柄のウイスキー。
二人で飲む時はいつもこれだ。
ちなみに親父は元気で最近禁酒に成功した。
「警察か……」
僕は静かに首を横に振る。
「何か助けられることが有ったら言ってくれよ?」
「勿論だ、僕が頼れるのはお前くらいしか居ないからね」
僕はそう言ってとりあえずシャワールームに向かうことにした。
このままでは風邪を引く。
このままでは風邪を引く。
「待ちな兄ちゃん」
「なんだ」
「面白い話を持ってきた。南区の幽霊屋敷のことは知っているか?」
「おう」
「誰かにあれの調査をしてほしいって俺の友達が言っていてな
そいつの親父さんが地主で建物をとっとと処分したいんだけどその噂のせいで買い手が出ないんだと
兄ちゃんこういうの詳しいだろ?」
そいつの親父さんが地主で建物をとっとと処分したいんだけどその噂のせいで買い手が出ないんだと
兄ちゃんこういうの詳しいだろ?」
「ふぅん……面白いね」
「お礼も十分するとさ」
「分かった、その話を受けよう」
「ありがとうな兄ちゃん」
レモンちゃんも居ることだし怪物の類が居ても大して問題は無いだろう。
只でさえレモンちゃんが居るのにこの上にゴーストハウスの調査なんてこれは天が僕に面白い作品を書けと言ってるに違いない。
僕はそう思った。
只でさえレモンちゃんが居るのにこの上にゴーストハウスの調査なんてこれは天が僕に面白い作品を書けと言ってるに違いない。
僕はそう思った。