ぺんっ、と三味線の音が響く
縁側に腰掛けて、鬼灯は三味線の弦を弾いていた
その隣に、獄門寺家を訪れていた憐が腰掛けていて、鬼灯の演奏に合わせて小さく、歌を口遊む
龍哉は二人のそばに腰掛けて、三味線と歌に耳を傾ける
しばし、ゆったりとした時間が流れて
縁側に腰掛けて、鬼灯は三味線の弦を弾いていた
その隣に、獄門寺家を訪れていた憐が腰掛けていて、鬼灯の演奏に合わせて小さく、歌を口遊む
龍哉は二人のそばに腰掛けて、三味線と歌に耳を傾ける
しばし、ゆったりとした時間が流れて
どぉんっ!!と
盛大な爆発音が、そのゆったりとした時間を破壊する…………と、思われたのだが
三人共、爆発音には割合慣れているのか、さほど気にしている様子はない
ここが「獄門寺家本家」でなければ警戒の一つでもしたのかもしれないが、場所が場所なせいか、あまり警戒していない
演奏が一段落ついた頃に、ぱたぱたと足音が近づいてきた
盛大な爆発音が、そのゆったりとした時間を破壊する…………と、思われたのだが
三人共、爆発音には割合慣れているのか、さほど気にしている様子はない
ここが「獄門寺家本家」でなければ警戒の一つでもしたのかもしれないが、場所が場所なせいか、あまり警戒していない
演奏が一段落ついた頃に、ぱたぱたと足音が近づいてきた
「麦茶出来ましたよ、どうぞ」
「あ、すみません、ありがとうございますー、っす」
「ありがとうございます、お母さん」
「あ、すみません、ありがとうございますー、っす」
「ありがとうございます、お母さん」
やってきたのは、龍哉の母親である在処だ
龍哉と憐が、在処から麦茶の入ったガラスのコップを受け取る
氷の入ったそれは、うっすらと表面に汗をかいていた
麦茶を口にする二人の様子に鬼灯は三味線を傍らにおきながら、和んだ笑みを浮かべる
龍哉と憐が、在処から麦茶の入ったガラスのコップを受け取る
氷の入ったそれは、うっすらと表面に汗をかいていた
麦茶を口にする二人の様子に鬼灯は三味線を傍らにおきながら、和んだ笑みを浮かべる
「あぁ、坊や達の分、どうも。俺の分がない件はつっこまないが、推定麦茶を入れるってだけで何を爆発させたのかを詳しく」
「あなたが来てから龍一さんが忙しそうで私へのツッコミがちょっとおざなりなのであなたの分はないです。後、爆発したのは薬缶です。せっかくなので新鮮な麦茶作ろうと思ったんですけど」
「旦那からのツッコミがおざなりで寂しいってどういう夫婦関係だ。あと、麦茶作るだけで薬缶爆発させんな」
「あなたが来てから龍一さんが忙しそうで私へのツッコミがちょっとおざなりなのであなたの分はないです。後、爆発したのは薬缶です。せっかくなので新鮮な麦茶作ろうと思ったんですけど」
「旦那からのツッコミがおざなりで寂しいってどういう夫婦関係だ。あと、麦茶作るだけで薬缶爆発させんな」
わりと容赦無い鬼灯のツッコミに、さらりと返す在処
居候状態(一応、ある程度宿泊費はいれているが)の鬼灯への態度はこんなものだが
居候状態(一応、ある程度宿泊費はいれているが)の鬼灯への態度はこんなものだが
「お母さん、あんまり爆破させて壊してしまうと、補修工事をする組員の方達が大変だと思うので、ほどほどでお願いします」
と、龍哉が微妙にズレた突っ込みをすると、うぐっ、となってしまった
息子からの突っ込みには、若干弱いらしい
息子からの突っ込みには、若干弱いらしい
「りゅうっちー、爆破はどっちにしろ、駄目な予感がするっす」
「そうでしょうか?お母さんは、昔から色々と爆破してきているのです。とりあえず、神棚爆破はしていないので、問題ないかと」
「問題しかねーっす」
「問題しかねぇな」
「そうでしょうか?お母さんは、昔から色々と爆破してきているのです。とりあえず、神棚爆破はしていないので、問題ないかと」
「問題しかねーっす」
「問題しかねぇな」
息子のどこかズレた発言と、それに対する息子の友人と鬼灯の突っ込みと言うあわさ技も、微妙にダメージ受けたのがぐぬぬぅ、となっている在処
普段なら、夫である龍一がフォローを入れたり入れなかったりするのだが、今現在龍一は外出中であり、フォローしてくれる人すらいない
普段なら、夫である龍一がフォローを入れたり入れなかったりするのだが、今現在龍一は外出中であり、フォローしてくれる人すらいない
「孤立無援とは、この事ですか………っ」
「日頃の行いは大事だ、と、お父さんが言っておりまいた」
「息子が時々容赦無いっ!?」
「日頃の行いは大事だ、と、お父さんが言っておりまいた」
「息子が時々容赦無いっ!?」
微笑ましい(?)母子の会話に、鬼灯がけたけたと笑う
憐は、在処に対して若干同情と言うか哀れみというか、そんな感じの表情を浮かべていた
憐は、在処に対して若干同情と言うか哀れみというか、そんな感じの表情を浮かべていた
「えっとー………在処さん。ファイトっす。大丈夫っすよ、何も、食べた人を一発で気絶させたり、なにか喋りながら跳ねまわる料理を作り上げる、って訳じゃないんすし、まだ大丈夫っす!」
「あんまし慰めになってない上、なんかそう言う料理作る人若干一名心当たりがっ!?」
「あんまし慰めになってない上、なんかそう言う料理作る人若干一名心当たりがっ!?」
さすがに、某生物兵器のような料理をつくる人物とは一緒にされたくない
うぐぐぐ、となっている在処の様子に、鬼灯はますます、楽しげにけらけらと笑っていた
うぐぐぐ、となっている在処の様子に、鬼灯はますます、楽しげにけらけらと笑っていた
「……と、いうことが、今日ありまして」
「そうか」
「妻が他の男に弄ばれたというのに、龍一さんが冷たいっ!?」
「………誤解を生む発言はやめておけ。あと、本日、台所を爆破で半壊させた件について。お前の小遣いから引く事にしたんだが」
「了承取るまでもなく決定されたっ!?」
「そうか」
「妻が他の男に弄ばれたというのに、龍一さんが冷たいっ!?」
「………誤解を生む発言はやめておけ。あと、本日、台所を爆破で半壊させた件について。お前の小遣いから引く事にしたんだが」
「了承取るまでもなく決定されたっ!?」
がびびびびん、となっている在処の言葉を流しつつ、龍一は書類に目を通している
時折、やや難しい表情
ちらり、と在処が書類を覗きこんでみると、どうやら新年度が始まる少し前からの、学校街での都市伝説事件についてまとめられた物のようだが………
時折、やや難しい表情
ちらり、と在処が書類を覗きこんでみると、どうやら新年度が始まる少し前からの、学校街での都市伝説事件についてまとめられた物のようだが………
「気になることがありましたか?」
「……いくつか。やはり、鬼灯が追ってきた対象が、学校街に入り込んでいるのも間違いないようだ」
「……いくつか。やはり、鬼灯が追ってきた対象が、学校街に入り込んでいるのも間違いないようだ」
ぱさり、と書類を置く龍一。長い前髪の下、鋭い眼差しが、射抜くようにその書類を睨みつけている
「………三年前の件の、親玉だ。見つけ次第、動かせてもらう」
ぼそり、そう呟いた龍一の声は、恐ろしいほどに、冷たかった
to be … ?