さて、昼食を終えて
学校街案内ツアーに、新メンバーが加わった
へっへっへっ、としっぽを振りつつ、Lにリードをふられている、柴の子犬だ
喫茶店「閑古鳥」の看板犬らしいが、Lにもよく懐いているらしく平気でリードを握られている
学校街案内ツアーに、新メンバーが加わった
へっへっへっ、としっぽを振りつつ、Lにリードをふられている、柴の子犬だ
喫茶店「閑古鳥」の看板犬らしいが、Lにもよく懐いているらしく平気でリードを握られている
「……と、言うか。憐、嬉しそうね」
「…………憐、犬、好き」
「…………憐、犬、好き」
Aの言葉にあぁー、と声をあげる
「閑古鳥」でポチの相手をしてやっていた時から思ってたけ、犬好きか、なるほど
ちなみに、こちらもポチを撫でてみようと試みてはみたのだけど、ポチはふんふん、とこちらの匂いをかぐと、ぷいっ、とそっぽを向いてしまった。自分じゃ駄目らしい
「閑古鳥」でポチの相手をしてやっていた時から思ってたけ、犬好きか、なるほど
ちなみに、こちらもポチを撫でてみようと試みてはみたのだけど、ポチはふんふん、とこちらの匂いをかぐと、ぷいっ、とそっぽを向いてしまった。自分じゃ駄目らしい
「犬って、犬が苦手な人間を敏感に見分けるからな。そのせいじゃないか?」
「うぅ………子犬相手なら、ちょっとは平気、かもしれないのに……」
「うぅ………子犬相手なら、ちょっとは平気、かもしれないのに……」
Nに言われた通り、確かに自分は犬が苦手だ
苦手だけど………っポチは可愛いから、いけそうなのに!
犬克服チャンスは、自分には訪れなかったらしい
……いや、でも……こう、犬苦手なの……って、弱々しくする方が男ウケいいか……?子犬だけならなんとか平気ー、とか、男ウケいいかも?
苦手だけど………っポチは可愛いから、いけそうなのに!
犬克服チャンスは、自分には訪れなかったらしい
……いや、でも……こう、犬苦手なの……って、弱々しくする方が男ウケいいか……?子犬だけならなんとか平気ー、とか、男ウケいいかも?
そんな邪な考えを抱いてしまったせいだろうか
道中、ポチがちっともなついてくれないまま、時間は過ぎていって
道中、ポチがちっともなついてくれないまま、時間は過ぎていって
「……さて、最後は、こちらになります」
連れて来られたのは、北区の神社
おぉ、これは神社お約束の長い石階段。これ、登るの大変そう
なんとか、登るのを回避した………
おぉ、これは神社お約束の長い石階段。これ、登るの大変そう
なんとか、登るのを回避した………
「きゅん!」
「っわ、ちょ、ポチ、あきっちもいるんだから、もうちょっとゆっくり………」
「っわ、ちょ、ポチ、あきっちもいるんだから、もうちょっとゆっくり………」
っは!?
しまった、子犬に、人間の疲労を気遣う気持ちは備わってなかったっ!?
い、いや、ここは新たなチャンス到来と考えるべきだろう
そう、先程Lも言っていたが、Aがいるのだ
体が弱めのA。あちこち歩きまわってちょっと疲れているみたいだし、ここはAを気遣って好感度をあげ………
しまった、子犬に、人間の疲労を気遣う気持ちは備わってなかったっ!?
い、いや、ここは新たなチャンス到来と考えるべきだろう
そう、先程Lも言っていたが、Aがいるのだ
体が弱めのA。あちこち歩きまわってちょっと疲れているみたいだし、ここはAを気遣って好感度をあげ………
「晃、疲れてきたでしょ、平気?」
「………大丈夫。でも、上に登ったら、さすがにちょっと、休む」
「………大丈夫。でも、上に登ったら、さすがにちょっと、休む」
うぐっ!?
しまった、さすが双子。Yが先に、Aにそう声をかけた
仕方ない、双子の絆と言うやつは強いのだ、勝とうにも強敵である。自分にはまだ早かった、というだけだ
いつかは、Aもしっかり落とすつもりだが、慌てちゃいけない
しまった、さすが双子。Yが先に、Aにそう声をかけた
仕方ない、双子の絆と言うやつは強いのだ、勝とうにも強敵である。自分にはまだ早かった、というだけだ
いつかは、Aもしっかり落とすつもりだが、慌てちゃいけない
「あちこち歩きまわったから、さすがに疲れたよな。階段、登っていけそうか?」
と、Nがひょこ、とこちらの顔を覗きこんできながら、そう言ってきた
あぁ、なんだ、ちゃんと気遣い出来るじゃないか、うん
あぁ、なんだ、ちゃんと気遣い出来るじゃないか、うん
「んー、ちょっとつかれたけど、登るくらいは平気、かな?」
「そうか、じゃ、問題ないな」
「そうか、じゃ、問題ないな」
っく、惜しい!
ここでこう、こっちの手をとって登ってくれたりしたらもっと良かったのに!
N、非常に、惜しい!
Rも
ここでこう、こっちの手をとって登ってくれたりしたらもっと良かったのに!
N、非常に、惜しい!
Rも
「無理はしないでくださいね」
と優しく声はかけてくれたが、手は貸してくれない
惜しい、本当に、惜しい!!
惜しい、本当に、惜しい!!
そんなことを考えつつ、皆と一緒に石階段を登っていった
一番上まで登り切って、先に登っていたR達の傍まで行って…・・
一番上まで登り切って、先に登っていたR達の傍まで行って…・・
「………わぁ」
思わず、小さく声を上げた
学校町の中では、どちらかと言うとまだまだ田舎な北区
しかし、山の上であるこの神社からは、街を一望するかのように見下ろすことができた
そして、夕日がゆっくりと沈みゆくこの時間帯、夕日に照らされる町並みはとても、綺麗で………思わず、見とれてしまった
何かにこうして見とれるなんて、久しぶり………どころか、初めて、かもしれない
学校町の中では、どちらかと言うとまだまだ田舎な北区
しかし、山の上であるこの神社からは、街を一望するかのように見下ろすことができた
そして、夕日がゆっくりと沈みゆくこの時間帯、夕日に照らされる町並みはとても、綺麗で………思わず、見とれてしまった
何かにこうして見とれるなんて、久しぶり………どころか、初めて、かもしれない
「ここ、綺麗だろ?」
Hの言葉に、うん、と、正直に頷いた
だろ?と、Hはなんだか誇らしげに笑ってくる
だろ?と、Hはなんだか誇らしげに笑ってくる
「私達のお気に入りなのよ、ここ」
「……ゆっくりできる、場所」
「……ゆっくりできる、場所」
YとAもそう言ってきた
確かに、ここはしばらく、ゆっくりしていたいかも
ポチもちょんっ、とLの足元にお座りして、夕日を眺めていて
確かに、ここはしばらく、ゆっくりしていたいかも
ポチもちょんっ、とLの足元にお座りして、夕日を眺めていて
………しばし、そこでゆっくりとしていると
「………あれ、幸太さん?」
「あ、遥君………と、みんな。ここで会うのは珍しいね」
「あ、遥君………と、みんな。ここで会うのは珍しいね」
…おや?
H達の知り合い、だろうか
若い男の人が、階段を上がってきて、境内に姿を現した
もうGWの時期だと言うのに、首元には薄手のマフラーが巻かれている
男の人はこちらに気づくと、にこりと笑って、小さく頭を下げてきた
知り合い?と、隣に居たRにたずねてみると、はい、と頷いてくる
H達の知り合い、だろうか
若い男の人が、階段を上がってきて、境内に姿を現した
もうGWの時期だと言うのに、首元には薄手のマフラーが巻かれている
男の人はこちらに気づくと、にこりと笑って、小さく頭を下げてきた
知り合い?と、隣に居たRにたずねてみると、はい、と頷いてくる
「僕達が、よくお世話になっている方です」
「まぁ、僕のほうがお世話になってる気がするけどね………そっちの子は、初めて会うね」
「えぇ、はじめまして。今年の春から、中央高校に通う為に学校町に来ました」
「まぁ、僕のほうがお世話になってる気がするけどね………そっちの子は、初めて会うね」
「えぇ、はじめまして。今年の春から、中央高校に通う為に学校町に来ました」
ぺこり、と頭を下げてみせた
推定、20代後半………といったところだろうか
左手の薬指に、指輪がはめられているのを見逃さない。どうやら、既婚者らしい
だが、しかし………既婚者を落とすのもまた、楽しいものなのだ、しっかりと、チェックさせていただこう
こちらの挨拶に、男の人もはじめまして、と笑ってくる
推定、20代後半………といったところだろうか
左手の薬指に、指輪がはめられているのを見逃さない。どうやら、既婚者らしい
だが、しかし………既婚者を落とすのもまた、楽しいものなのだ、しっかりと、チェックさせていただこう
こちらの挨拶に、男の人もはじめまして、と笑ってくる
「今年の春から、って事は、学校町に来てそろそろ一ヶ月………ってところかな。学校町には、もう慣れた?」
「えっと………学校には、慣れてきました。学校町自体は、まだわからない事が多いですけど」
「えっと………学校には、慣れてきました。学校町自体は、まだわからない事が多いですけど」
第一印象をよくするべく、なるたけ丁寧に答えてみる
そう、と、男の人は笑った
そう、と、男の人は笑った
「案外広いからね、学校町は…………まぁ、高校に通ってる三年間のうちに、きっと慣れるよ。ここは、慣れてしまえばいい町だから」
…慣れてしまえば、と
まるで念を押すかのように呟いたような気がしたのは、気のせいだろうか
柔らかい笑みを浮かべる男の人のマフラーが、風でゆらり、とはためいた
まるで念を押すかのように呟いたような気がしたのは、気のせいだろうか
柔らかい笑みを浮かべる男の人のマフラーが、風でゆらり、とはためいた
「ここで会ったのも何かの縁だし、ジュースでもおごろうか。下の自販機で、何か買ってくるね」
「え、マジっす?やったー、幸太さん、太っ腹ー、っす♪」
「あ、でも階段降りてくの、きついだろ。俺が代金受け取って、適当に買ってこようか?」
「え、マジっす?やったー、幸太さん、太っ腹ー、っす♪」
「あ、でも階段降りてくの、きついだろ。俺が代金受け取って、適当に買ってこようか?」
おぉ、Lの言うとおり、なかなか太っ腹
これはますます、キープしておかなければ
男の人から小銭を受け取って階段を降りていくHの後ろ姿を見送りつつ、そんなことを考えていた
これはますます、キープしておかなければ
男の人から小銭を受け取って階段を降りていくHの後ろ姿を見送りつつ、そんなことを考えていた
………その時、だった
「……そう、君が来た事で。また歯車が回る…………脚本が、動き出したんだろうね」
ふっ、と
今まで聞こえてきた風の音が、聞こえなくなったような気がした
ただ、一人の声だけが聞こえるような錯覚
今まで聞こえてきた風の音が、聞こえなくなったような気がした
ただ、一人の声だけが聞こえるような錯覚
「まぁ、仕方ない、と言うべきなのかもしれない。この町は、そう言う場所なのだから…………どれだけあがこうとも、動き出した以上、僕では止められない」
聞こえて来る声は、酷く冷たかった
感情がこもっているような、こもっていないような、そんな声
もしも、感情がこめられているとしたら、それは
感情がこもっているような、こもっていないような、そんな声
もしも、感情がこめられているとしたら、それは
「………今回の件には、僕はさほど介入できない。時はめぐり流れ、世代が移っている………僕らの世代は、主役には慣れない。せいぜい、ちょっと手を貸すことができるかどうか………裏で暗躍できるかどうか、その程度」
聞いていて、背筋に冷たいものが走る
まるで、喉元に、心臓に、冷たい刃を突きつけられたような錯覚を覚えるような
まるで、喉元に、心臓に、冷たい刃を突きつけられたような錯覚を覚えるような
「……………ようこそ、学校町へ。物語が動き出した以上、惨劇はきっと、起きてしまうだろうね………さて、君は。自分の役割に気づくことが出来るかな?」
諦めに似た絶望と、誰かに届かせようとしているかのような、憎悪、で
「ーーーーーひゃっ!?」
ひやっ、と、首筋に冷たいものが触れてきた
慌てて顔を上げると、Hがけらけらと笑っている
慌てて顔を上げると、Hがけらけらと笑っている
「どうした?やっぱ、あちこち歩きまわって疲れたか?」
「あ、ぇ…………ぁ………」
「あ、ぇ…………ぁ………」
…音が、戻っている
風の音が、皆の話し声が、ポチの鳴き声が
当たり前の音が、聞こえて来る
風の音が、皆の話し声が、ポチの鳴き声が
当たり前の音が、聞こえて来る
「あ、ぁー………そう、かも?とりあえず、そのジュースもらっていい?」
「ん、いいぜ」
「ん、いいぜ」
ほら、と、こちらの首筋に当ててきていたコーラの缶を渡してきたH
受け取って、ふぅ、と息を吐く
受け取って、ふぅ、と息を吐く
(何だったんだろう、さっきの………)
まるで、白昼夢でも見たような、そんな感覚
疑問を感じつつ、缶を開けようとして……
疑問を感じつつ、缶を開けようとして……
「あ、そうだ。コーラの缶、一つだけうっかり落として、階段登ってくるまでにわからなくなったから。コーラ選んだ奴はデンジャールーレット状態……」
ぶしゅわぁああああああああああああああああ!!
「わきゃーーーっ!?」
「……早速、アタリ引いた奴がいるみたいだぞ」
「あ。本当だ。悪ぃ、わざとじゃないんだが」
「……早速、アタリ引いた奴がいるみたいだぞ」
「あ。本当だ。悪ぃ、わざとじゃないんだが」
缶から盛大に噴き出したコーラは、先程の思考も全部、吹き飛ばしてきて
あたりに響く笑い声に、とりあえず、Hに軽くツッコミを入れても許される気がした
あたりに響く笑い声に、とりあえず、Hに軽くツッコミを入れても許される気がした
ようこそ、奴らの箱庭、学校町へ!!
物語られるならば、惨劇の発生率は99%
どうぞ、心ゆくまで残酷な悲喜劇をお楽しみあれ
物語られるならば、惨劇の発生率は99%
どうぞ、心ゆくまで残酷な悲喜劇をお楽しみあれ
お代が命になるかどうかは、君次第
さぁ、君はどんな役割を此処で手に入れるのかな?
さぁ、君はどんな役割を此処で手に入れるのかな?
Happy Jack