「死を従えし少女」より
「あ、えぇと………」
クラスメイトの桐生院 真降に話しかけれて、かなえは少しおたおたとした
ちらり、と、龍哉達の方を見る
彼らは、男子で集まって昨晩TVでやっていた刑事ドラマの話をしているようだった
こちらには注意を払ってはいない、が………
ちらり、と、龍哉達の方を見る
彼らは、男子で集まって昨晩TVでやっていた刑事ドラマの話をしているようだった
こちらには注意を払ってはいない、が………
「えっと……あ、あのね。お話、してもいいけど………ここじゃ、なくて」
「あぁ、そうだね。他の人に聞かれると、まずいか」
「あぁ、そうだね。他の人に聞かれると、まずいか」
こくんっ、と、かなえは小さく頷いた
このクラスには都市伝説契約者が集まっている。とはいえ、都市伝説とは無縁の生活を送る者もいるのだ
かなえは真降と共に、そっと昼休みの教室を出た
このクラスには都市伝説契約者が集まっている。とはいえ、都市伝説とは無縁の生活を送る者もいるのだ
かなえは真降と共に、そっと昼休みの教室を出た
自分達に向けられていた眼差しには、気づかぬままに
二人が移動したのは、空き教室
この時間だと、あまり人が来ない場所だ
かなえが適当な椅子に腰掛けると、その背後に岩融が姿を現す
この時間だと、あまり人が来ない場所だ
かなえが適当な椅子に腰掛けると、その背後に岩融が姿を現す
『主、話してもいいのか?』
「う、うん………桐生院君は、同じ「組織」の仲間だから……」
「う、うん………桐生院君は、同じ「組織」の仲間だから……」
それなら、「ある程度」は話せるはず
……そう、「ある程度」は
……そう、「ある程度」は
「えっと、私が話してもいい範囲、になっちゃうけど……」
「構わないよ。「組織」で働いている以上、ある程度の守秘義務も発生するからね」
「構わないよ。「組織」で働いている以上、ある程度の守秘義務も発生するからね」
ごめんなさい、と謝罪して………あの時の、「首なしライダー」の件を語る
事件を起こしていた首なしライダーを捕縛しようとしたら、自決されてしまった、その事の顛末を
事件を起こしていた首なしライダーを捕縛しようとしたら、自決されてしまった、その事の顛末を
「情報を漏らさないために死を選ぶ、か……」
『「組織」には、思考や記憶を読み取れる者もいるからな。恐らく、それを警戒したのだろうな』
「郁さんと慶次さんも、そう言っていましたね………」
『「組織」には、思考や記憶を読み取れる者もいるからな。恐らく、それを警戒したのだろうな』
「郁さんと慶次さんも、そう言っていましたね………」
そう言って、かなえは小さく俯いた
正直なところ、かなえは少し怖い
情報を漏らさない為に、自らの命を、自らの手で消し去ったのだ
そこまで、黒幕の情報を漏らそうとしなかった
それほどまでに………黒幕に対して忠誠を誓っていたのだろう
狂信とも呼べるそれを、恐ろしく思ったのだ
正直なところ、かなえは少し怖い
情報を漏らさない為に、自らの命を、自らの手で消し去ったのだ
そこまで、黒幕の情報を漏らそうとしなかった
それほどまでに………黒幕に対して忠誠を誓っていたのだろう
狂信とも呼べるそれを、恐ろしく思ったのだ
……そして、今、この学校街にはその黒幕の魅了の力によって精神を汚染された者が集まっていると言う
今のところ、学校街では新たに手駒を増やしてはいないようだが………
今のところ、学校街では新たに手駒を増やしてはいないようだが………
(もしも、身近な人が。その被害にあってしまったら……)
そんなことになってしまったら
……かなえは、それが恐ろしいのだ
……かなえは、それが恐ろしいのだ
「……大丈夫?」
「え?」
「顔色、真っ青だよ」
「え?」
「顔色、真っ青だよ」
指摘されて、気づいた
慌てて「大丈夫です」と答える
慌てて「大丈夫です」と答える
「その………黒幕は、学校街のどこかにいるようではありますが。今、どのような姿をとっているのかすら、わからない状態なのだそうです」
「外見も名前もわからない………他者の精神を汚染するような相手の情報がないのは、警戒しよういも難しいし、困ったものだな」
「そうなんです………け、警戒しようがないかもしれませんが、もしも、身近な方の様子がおかしくなったりしたら、ちょっと気をつけたほうがいいかもしれません」
「外見も名前もわからない………他者の精神を汚染するような相手の情報がないのは、警戒しよういも難しいし、困ったものだな」
「そうなんです………け、警戒しようがないかもしれませんが、もしも、身近な方の様子がおかしくなったりしたら、ちょっと気をつけたほうがいいかもしれません」
一応、魅了の解除方法は全くない訳でも、ない
ようは、その魅了さえ解除すればいいのだから、方法がない訳ではない(それが難しいのだ、と言う意見もあるが)
もしも、「組織」の者で魅了された者が出た等となれば、大問題である
見つけたら、即座に対応しなければいけない
ようは、その魅了さえ解除すればいいのだから、方法がない訳ではない(それが難しいのだ、と言う意見もあるが)
もしも、「組織」の者で魅了された者が出た等となれば、大問題である
見つけたら、即座に対応しなければいけない
「あぁ、でも。その黒幕がどういう都市伝説か、はわかっているんだよね。一体、どんな都市伝説なんだい?」
真降が気づいたように、そう問うた
あっ、そうだ。そこは……うん、伝えて大丈夫だ
かなえは、そっと真降にそれを答えた
あっ、そうだ。そこは……うん、伝えて大丈夫だ
かなえは、そっと真降にそれを答えた
「………!?それはまた、大物だね」
かなえから答えを聞いた真降は、少しだけ驚いたような表情を浮かべた
そう、その黒幕は、はっきり言ってかなりの大物である
そう、その黒幕は、はっきり言ってかなりの大物である
『昔は「都市伝説」なんて呼ばれ方ではなかったがな。妖かし等と呼んでいた………昔も大きな災いをもたらしていたが、今の世でも変わらないようだな』
「かつて、「組織」にはそれと契約していた方がいらっしゃった、と言う話も聞きますけど……」
「…何にせよ、できれば遭遇はしたくないところだな」
「かつて、「組織」にはそれと契約していた方がいらっしゃった、と言う話も聞きますけど……」
「…何にせよ、できれば遭遇はしたくないところだな」
彼からすれば、家族のことも心配なのだろう
…何せ、色々と首を突っ込みそうだ、と言うか現在進行形で首を突っ込んでいるから、余計に心配なのだろうが
…何せ、色々と首を突っ込みそうだ、と言うか現在進行形で首を突っ込んでいるから、余計に心配なのだろうが
「……ねぇ、紅さん」
「?えっと、ど、どうしたの?」
「…今、学校街にやってきているという、黒幕に関して。少し気になる事があるんだ」
「?えっと、ど、どうしたの?」
「…今、学校街にやってきているという、黒幕に関して。少し気になる事があるんだ」
それは、かなえが話さなかった範囲の事
しかし、真降は自分の持っている知識の中の情報と組み合わせて、ある事に気づいていた
しかし、真降は自分の持っている知識の中の情報と組み合わせて、ある事に気づいていた
「その黒幕……もしかして。「三年前」のあの事件の黒幕でも、あるのかい?」
そう、「三年前」の事件
中学校での、連続飛び降り事件の事
世間では、教師が生徒を次々と突き落としていたと言う事になっているそれは、真実はその教師が契約していた都市伝説の能力により、次々と生徒を飛び降り自殺させていたものだった
飛び降りた生徒が増えれば増えるほど力を増していく非常に厄介な相手だった
今は都市伝説事件関連専用の刑務所に入っているその犯人の男は、「組織」の尋問に対して、こう答えたのだ
中学校での、連続飛び降り事件の事
世間では、教師が生徒を次々と突き落としていたと言う事になっているそれは、真実はその教師が契約していた都市伝説の能力により、次々と生徒を飛び降り自殺させていたものだった
飛び降りた生徒が増えれば増えるほど力を増していく非常に厄介な相手だった
今は都市伝説事件関連専用の刑務所に入っているその犯人の男は、「組織」の尋問に対して、こう答えたのだ
『あの女だ。あの女が、俺に力を与えてくれた!!あの女の下につけば、俺は何もかも、全てを手にすることができる!!』
その男が契約したきっかけは、何者かにそそのかされたから
…「黒幕」がいたのだ
そしてその黒幕は逃亡し、その生家はわからないまま。詳しい情報は何もない
「三年前」の事件の黒幕と今回の件の黒幕は、恐らく同じ、もいsくはつながっている。真降はそう考えたのだ
…「黒幕」がいたのだ
そしてその黒幕は逃亡し、その生家はわからないまま。詳しい情報は何もない
「三年前」の事件の黒幕と今回の件の黒幕は、恐らく同じ、もいsくはつながっている。真降はそう考えたのだ
真降の指摘に、かなえはあわあわと慌てる
隠そうとしているのかもしれないが、これではバレバレだ
主の様子に、岩融はそっと苦笑する。主の正直な面は悪いことではないのだが、「組織」の人間としては、若干、問題があるように思える
隠そうとしているのかもしれないが、これではバレバレだ
主の様子に、岩融はそっと苦笑する。主の正直な面は悪いことではないのだが、「組織」の人間としては、若干、問題があるように思える
「うぅ、その…………あの、な、内緒に………」
「うん、わかっているよ。紅さんは、その事については話さないようにしていたからね」
「うん、わかっているよ。紅さんは、その事については話さないようにしていたからね」
本当なら、話してはいけない事だったのだろう
…それでも、真降としても家族を護るために、情報は必要なのだ
聞き出さなければならない
…それでも、真降としても家族を護るために、情報は必要なのだ
聞き出さなければならない
「紅さんは、「三年前」の件は…」
「ご、ごめんなさい。私、詳しくは知らなくて…」
「ご、ごめんなさい。私、詳しくは知らなくて…」
その当時は、まだかなえは「岩融」と契約していなかった
都市伝説の存在を知らず、世界の裏側を……非日常を何も知らなかった頃だ
ある程度の真実を知ったのは、事件が何もかも終わってしまった後だった
都市伝説の存在を知らず、世界の裏側を……非日常を何も知らなかった頃だ
ある程度の真実を知ったのは、事件が何もかも終わってしまった後だった
「私が、知ってる事、って言うと……「土川 咲李」さんの事、くらい」
「「土川 咲李」……「三年前」の事件で最後に飛び降りた人ですね」
「そう………あの人は、とても優しい人だったから。私も、親切にしてもらったんです」
「「土川 咲李」……「三年前」の事件で最後に飛び降りた人ですね」
「そう………あの人は、とても優しい人だったから。私も、親切にしてもらったんです」
そう、「土川 咲李」は優しい人だった
誰にでも優しくて、明るくて………誰からも好かれていた
だからこそ、「三年前」、彼女が飛び降りてしまった時、誰もが悲しみ、葬儀にはたくさんの人がかけつけた
かなえもそのうちの一人であったし………彼らもまた、参列していた
あの時、泣いていた憐のことを、かなえは今でも覚えている
誰にでも優しくて、明るくて………誰からも好かれていた
だからこそ、「三年前」、彼女が飛び降りてしまった時、誰もが悲しみ、葬儀にはたくさんの人がかけつけた
かなえもそのうちの一人であったし………彼らもまた、参列していた
あの時、泣いていた憐のことを、かなえは今でも覚えている
「龍哉君達は、咲李さんと仲が良かったから………あの時は、すごく、ショックだったと思う。特に、憐君は………」
かなえが、そう言いかけた、その時だった
「お前ら、こんなとこで何してんだ?」
がらっ、と二人が話していた空き教室の扉が、突然開いた
はっ、と二人がそちらに視線を向けると、そこにいたのは
はっ、と二人がそちらに視線を向けると、そこにいたのは
「あ、は、遥君……」
「次、移動教室だろ。そろそろ準備した方がいいんじゃないか?」
「次、移動教室だろ。そろそろ準備した方がいいんじゃないか?」
……言われてみれば、教室を移動する事も考えると、そろそろ支度しなければいけない時間だ
思ったより、説明に時間を使ってしまったようだ
思ったより、説明に時間を使ってしまったようだ
「あぁ。ありがとう……それじゃあ、紅さん。話は、また今度」
「う、うん………」
「う、うん………」
こくり、と頷くかなえの隣で、岩融はふっ、と姿を消した
真降も一旦教室に戻ろうと、立ち上がり……
真降も一旦教室に戻ろうと、立ち上がり……
「あぁ、そうだ。真降」
「うん?何だろうか?」
「……あんま、首突っ込んでくるなよ」
「うん?何だろうか?」
「……あんま、首突っ込んでくるなよ」
告げたのは、警告の言葉
「特に………咲李の事、よく知りもしないのなら。首突っ込んでくるな」
ほんの少し、苛立っているような声で真降に告げて、遥はふい、と背を向けて、この場を立ち去っていった
まるで、その件に踏み込まれる事事態を嫌がっているかのような
「土川 咲李」に関して、触れられることを嫌がっているような
……その件事態が、彼らにとって触れてはならないものであるような
「土川 咲李」に関して、触れられることを嫌がっているような
……その件事態が、彼らにとって触れてはならないものであるような
そんな気配を、真降は確かに、感じ取ったのだった
to be … ?