紅 かなえは、自身の少しぽっちゃりした体型を気にしている節がある
太っている、と言う訳ではないが、「ぽっちゃり」と言う言葉がよく似あってしまう体型
確かに、年頃の乙女としては気にしてしまうところだろう
慶次から見れば、さほど気にする事でもないと思うのだが
太っている、と言う訳ではないが、「ぽっちゃり」と言う言葉がよく似あってしまう体型
確かに、年頃の乙女としては気にしてしまうところだろう
慶次から見れば、さほど気にする事でもないと思うのだが
「…運動、してるのになぁ」
少ししょぼんとした声でかなえはそう口にする
確かに、彼女は薙刀を習っており、その稽古は週5回あるようで、夏休み中は稽古時間を増やしてもいるようだ。かなりの運動量のはずだ
それなのに、かなえのぽっちゃりめの体型はそのままである
………慶次はその理由を、なんとなくではあるが察していた
確かに、彼女は薙刀を習っており、その稽古は週5回あるようで、夏休み中は稽古時間を増やしてもいるようだ。かなりの運動量のはずだ
それなのに、かなえのぽっちゃりめの体型はそのままである
………慶次はその理由を、なんとなくではあるが察していた
「とりあえず、かなえ。今、お前が食ってるのは何だ?」
「え?えっと…………金魚鉢パフェです」
「え?えっと…………金魚鉢パフェです」
……ぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷに
とりあえず、正面の席に座っているかなえの頬をつっつくと、あぅあぅあぅあぅ、と声を漏らしてきた
とりあえず、正面の席に座っているかなえの頬をつっつくと、あぅあぅあぅあぅ、と声を漏らしてきた
「お前のその肉の原因は、どう考えてもカロリーとりすぎだ。平気な顔して食ってんじゃねぇよ、そのあからさまに重たそうなもんを。こないだも、フォーチュン・ピエロでよくばりカレーだかって、トッピング全載せみたいなカレー一人で食いきってたよな」
「え、あ、う、その………」
「え、あ、う、その………」
おたおたとしているかなえだが、どう考えても、原因はそれだ。食べ過ぎだ
ちらっ、と、かなえの隣で実体化している岩融…実体化といっても、契約者以外には見えない程度にとどまらせているようだが…を見ると、ふっ、と視線を逸らしてきた
どうやら、岩融も、自身の契約者のぽっちゃりの原因を察してはいたらしい
じゃあ止めろ、と言いたいのだが、この岩融は契約者に若干甘い面があった気がする。いや、それでも契約者のことなのだから、止めろ
ちらっ、と、かなえの隣で実体化している岩融…実体化といっても、契約者以外には見えない程度にとどまらせているようだが…を見ると、ふっ、と視線を逸らしてきた
どうやら、岩融も、自身の契約者のぽっちゃりの原因を察してはいたらしい
じゃあ止めろ、と言いたいのだが、この岩融は契約者に若干甘い面があった気がする。いや、それでも契約者のことなのだから、止めろ
「間食やめろとは言わないから、ちったぁ量を抑えとけ。カロリー少なめのもん食うようにしろ」
「うぅ…………ど、努力します」
「うぅ…………ど、努力します」
しょぼーん、としながらも、かなえは金魚鉢パフェの残りを食べていっている
残すのは勿体無いから仕方ない、が…………本当に大丈夫なのだろうか
残すのは勿体無いから仕方ない、が…………本当に大丈夫なのだろうか
「……で。だ。本題は?原因があからさまなぽっちゃりに関する話をする為に俺を呼んだ訳じゃないだろ」
「あぅ、ご、ごめんなさい」
「あぅ、ご、ごめんなさい」
はむっ、とパフェ中段辺りのプリンを口にしながら。かなえはようやく、本題を切り出してくる
「その………「三年前」の事件の、黒幕。「狐」の、その部下の人達も、学校町に入り込んできてる……って、聞いたのだけど。慶次さんは、どんな人達が入り込んできたのか、知ってますか………?」
恐る恐る、と言うように、彼女は問うてきた
…なるほど、そういう事か
このように聞いてくると言う事は、かなえもその辺りも情報は聞いていない訳か
…なるほど、そういう事か
このように聞いてくると言う事は、かなえもその辺りも情報は聞いていない訳か
「いや、俺も聞いていない。まだ調査中なのかもな………っつか、かなえ。お前、「組織」から聞いていないにしろ、他の連中からはその話、聞いていないのか?ほら、あいつら。いつも固まってる、あの連中」
それこそ、「三年前」の事件の関係者たるあの連中から、かなえは話を聞いていなかったのだろうか
慶次の言葉に、かなえは、少ししょぼんとした表情を浮かべる
そんなかなえの代わりに、岩融が答えてきた
慶次の言葉に、かなえは、少ししょぼんとした表情を浮かべる
そんなかなえの代わりに、岩融が答えてきた
『聞いていないな………彼らにとって、「三年前」の事件は他者からは触れられる事すら好まぬ過去だ。こちらから聞く訳にもいかんしなぁ』
「かなえだって、あの………土川 咲李とは知り合いだったんだろ?関係者に数えてもいいと思うんだがね」
「………うぅん。私は。関係者には、数えてもらえないと思う」
「かなえだって、あの………土川 咲李とは知り合いだったんだろ?関係者に数えてもいいと思うんだがね」
「………うぅん。私は。関係者には、数えてもらえないと思う」
ふるふると、慶次の言葉にかなえは首を左右にふった
「私は………………あの頃は、岩融さんと契約していなかったから。契約者じゃなかったから………あの時には、関係者にはなれなかったのだと思います」
「…そうか。悪ぃ」
「…そうか。悪ぃ」
かなえにとっても、あの件は辛い思い出なのだろう
土川 咲李は、誰に対しても平等に優しかったと言う。かなえも、それなりに関わっていたと言うし、優しかったのだろう
その人が、自殺した………己の父親の愚行を止めようと、無謀な手段をとって死んでしまった
当時中学1年生だった彼女にとっては、トラウマに等しい出来事だったのかもしれない
土川 咲李は、誰に対しても平等に優しかったと言う。かなえも、それなりに関わっていたと言うし、優しかったのだろう
その人が、自殺した………己の父親の愚行を止めようと、無謀な手段をとって死んでしまった
当時中学1年生だった彼女にとっては、トラウマに等しい出来事だったのかもしれない
「あ……でも、その。慶次さん。どうして。龍哉君達が、「狐」の部下の事、知ってるって思ったんですか?」
「…あいつら、鬼灯と仲がいいだろ。あの「通り悪魔」と。あいつは、「狐」を追って世界中回ってたらしいからな。その辺の情報を持っている可能性がある。そんな鬼灯と仲がいいなら、聞いているかもしれないだろ」
「…あいつら、鬼灯と仲がいいだろ。あの「通り悪魔」と。あいつは、「狐」を追って世界中回ってたらしいからな。その辺の情報を持っている可能性がある。そんな鬼灯と仲がいいなら、聞いているかもしれないだろ」
ーーー「通り悪魔」
江戸時代の随筆に見られる妖怪の一種で、ぼうっとしている心に憑依すると言われている。「通り魔」の語源にもなっており、ふとした瞬間に魔が差し、自分では思ってもみない行動を起こしてしまうと言われている
鬼灯は江戸の時代にそれと契約し、その果てに飲み込まれた男だ。別の存在と多重契約して飲まれた、とも言われているようだが、慶次はそこまでは把握していない
とにかく、それは「悪魔の囁き」に近い性質を持っており、それと契約して百年を超える時を生きている鬼灯を「組織」としては危険視しているのだ
獄門寺家の客人である以上、学校町にいる間は手を出せないのが本当に恨めしい
江戸時代の随筆に見られる妖怪の一種で、ぼうっとしている心に憑依すると言われている。「通り魔」の語源にもなっており、ふとした瞬間に魔が差し、自分では思ってもみない行動を起こしてしまうと言われている
鬼灯は江戸の時代にそれと契約し、その果てに飲み込まれた男だ。別の存在と多重契約して飲まれた、とも言われているようだが、慶次はそこまでは把握していない
とにかく、それは「悪魔の囁き」に近い性質を持っており、それと契約して百年を超える時を生きている鬼灯を「組織」としては危険視しているのだ
獄門寺家の客人である以上、学校町にいる間は手を出せないのが本当に恨めしい
(とは言え、情報を持っているなら、吐いて欲しいところだが………)
なんとかして、「狐」の情報を鬼灯から聞き出せないか、慶次はそう考える
「鬼灯さん………あ、そっか。龍哉君達、あの人と仲がいいから………うぅん、ごめんなさい。私、鬼灯さんとは、あんまりお話した事、ないから。その、あの人、ちょっとだけ怖くて…」
「気にするな。ありゃ、本来はどっちかってとかかわらない方がいい部類だろ」
『………やれやれ。二人共、その程度にしてやれ。あの男も、昔、色々とあったのだから』
「気にするな。ありゃ、本来はどっちかってとかかわらない方がいい部類だろ」
『………やれやれ。二人共、その程度にしてやれ。あの男も、昔、色々とあったのだから』
二人の会話に、岩融がそっと苦笑した
どうやら、鬼灯の昔の事情を多少は知っているらしい………具体的に何があったのか、話すつもりはないようだが
どうやら、鬼灯の昔の事情を多少は知っているらしい………具体的に何があったのか、話すつもりはないようだが
とりあえず、この日はそれで、かなえとは別れた
何かわかったら伝えるように、とは言っておいたし、こちらも何かしら情報を得たら伝えるとも言っておいた
かなえとは、仕事上組む事が多い。情報は共有しておいたほうがいいだろう
何かわかったら伝えるように、とは言っておいたし、こちらも何かしら情報を得たら伝えるとも言っておいた
かなえとは、仕事上組む事が多い。情報は共有しておいたほうがいいだろう
………そして、慶次としては
できれば、かなえには都市伝説との戦いで犠牲にはなってほしくない
彼女には生きて欲しいし、きちんと幸せな生活を掴んでほしいと、そう感じていた
それが、どのような感情から生まれた考えなのか、心の底では理解しているが、表面上では理解していない事にしている
そうでもしないと、仕事に支障がでそうだった
できれば、かなえには都市伝説との戦いで犠牲にはなってほしくない
彼女には生きて欲しいし、きちんと幸せな生活を掴んでほしいと、そう感じていた
それが、どのような感情から生まれた考えなのか、心の底では理解しているが、表面上では理解していない事にしている
そうでもしないと、仕事に支障がでそうだった
そうやって考え事をしながら、一人で歩いていると
「…………あれ、今、あんた一人か?」
声をかけられ、そちらを見れば
そこにいるのは、「三年前」の事件の関係者の幼馴染グループの一人
契約者ではない癖に平然と都市伝説の存在も契約者の事も受け入れている変わり者が、そこにいた
そこにいるのは、「三年前」の事件の関係者の幼馴染グループの一人
契約者ではない癖に平然と都市伝説の存在も契約者の事も受け入れている変わり者が、そこにいた
「一人じゃ悪いか?花房 直斗」
「悪くないけど、あんた、たいてい担当の黒服と一緒にいるだろ………赤鐘 愛百合だっけ?あのおばさんくさい黒服」
「おばさんくさいって……いや、そうだけど」
「悪くないけど、あんた、たいてい担当の黒服と一緒にいるだろ………赤鐘 愛百合だっけ?あのおばさんくさい黒服」
「おばさんくさいって……いや、そうだけど」
否定はしない
実際、愛百合は雰囲気とか雰囲気とか雰囲気とか、おばさんくさいし、昔から
実際、愛百合は雰囲気とか雰囲気とか雰囲気とか、おばさんくさいし、昔から
「愛百合は、今、忙しいんだよ。「狐」絡みで」
「調査中、ってとこか……その最中に、余計なことしなけりゃいいんだが」
「調査中、ってとこか……その最中に、余計なことしなけりゃいいんだが」
直斗の言葉に、慶次は少し、むっとした
お前な、と口を開こうとして。しかし、それよりも先に直斗が言葉を続ける
お前な、と口を開こうとして。しかし、それよりも先に直斗が言葉を続ける
「「三年前」、赤鐘 愛百合は、致命的なミスをした。咲李さんの性格を知らなかった、ってのがミスの原因だろうな。あぁいうことを聞かされたら、彼女はあぁ言う行動に出る可能性があった。それが、どれだけ無謀だろうがな」
「……………」
「あれは、咲李さんも悪かったと思う。咲李さんは、都市伝説を甘く見ていた。しかも、契約者付きの都市伝説だったんだ。咲李さんのような、契約していない一般人がどうこうできるようなレベルじゃなかったんだよ。たとえ、命をかけようが、な」
「……………」
「あれは、咲李さんも悪かったと思う。咲李さんは、都市伝説を甘く見ていた。しかも、契約者付きの都市伝説だったんだ。咲李さんのような、契約していない一般人がどうこうできるようなレベルじゃなかったんだよ。たとえ、命をかけようが、な」
……少し、意外だった
あの幼馴染グループは、全員、土川 咲李のことは大体肯定しているとばかり思っていたから
今、直斗は明らかに、土川 咲李の行動を否定するような………やや、非難するような事を口にしたのだから
慶次の視線に気づいたのだろう、直斗は笑う
あの幼馴染グループは、全員、土川 咲李のことは大体肯定しているとばかり思っていたから
今、直斗は明らかに、土川 咲李の行動を否定するような………やや、非難するような事を口にしたのだから
慶次の視線に気づいたのだろう、直斗は笑う
「咲李さん自体は、いい人だったと思っているよ。ただ、完璧な人間だった訳でもない。正直、彼女は都市伝説には関わるべきじゃなかったんだろうが………彼女のお陰で良かった影響もあるからな。俺としては複雑だよ」
「……そうか」
「……そうか」
そうさ、と直斗は肩をすくめてきた
契約者ではない癖に、まるで契約者側の立場から土川 咲李を見ていたような違和感を感じなくもないが、幼少期から契約者やその関係者と接し続けた結果が、これなのかもしれない
両親ともに契約者ではなく一般人、そして彼自身も器が小さすぎて契約者にはとうていなれないと言うのに、幼馴染が関係者ばかりであったことが、果たして彼にとって幸運なのか不運なのかは、慶次には判断できなかった
契約者ではない癖に、まるで契約者側の立場から土川 咲李を見ていたような違和感を感じなくもないが、幼少期から契約者やその関係者と接し続けた結果が、これなのかもしれない
両親ともに契約者ではなく一般人、そして彼自身も器が小さすぎて契約者にはとうていなれないと言うのに、幼馴染が関係者ばかりであったことが、果たして彼にとって幸運なのか不運なのかは、慶次には判断できなかった
「ま、とりあえず、一人ならちょうどいいや話したい事があるんだ」
「話?………「強行派」の俺にか?」
「「強行派」つっても、20年以上前よかマシなんだろ?人体実験とかに関わってる訳でもないし。これくらいなら話してもいいと思うしな」
「話?………「強行派」の俺にか?」
「「強行派」つっても、20年以上前よかマシなんだろ?人体実験とかに関わってる訳でもないし。これくらいなら話してもいいと思うしな」
……死者が出るリスクは減らしたい
直斗がそう呟いたのを、慶次は聞き逃さなかった
直斗がそう呟いたのを、慶次は聞き逃さなかった
「「狐」の手駒の情報、鬼灯から聞いた分でよけりゃ、教えるぜ」
……そして、今、目の前に
己が求めていた情報がまさに、現れようとしていた
己が求めていた情報がまさに、現れようとしていた
to be … ?