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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 次世代の子供達-57a

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匿名ユーザー

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 夕日が、地平線の向こう側へと沈み切る
 夕暮れが、逢魔が刻が終わり、夜が来る

「……あぁ、わかった」

 本部との連絡を終えて、天地がふぅ、と深く息を吐きだした
 「逢魔時の影」が姿を消したことを確認したようだ
 あの存在は、決まった時間帯しか出現しない事はすでにわかっている
 誰が呼び出したか「逢魔時の影」。その時間帯しか出現しないからそのように呼ばれているのだろう。昼から夜へと移り変わるその時刻にしか、出現しない
 すでに日が暮れきったこの時刻には、もう出現しない

「さて、戻るか……報告書面倒くせぇ」
「あんたはどっちかと言うと、報告書読む側だろ」
「俺も出たからには書かないと駄目なんだよ。あの異端審問官と遭遇した件と、その後のあの件も含めてな」

 面倒だ、といいつつ、この男は書類事務能力は有能だ。さっさと片付けてしまうのだろう
 K-Noにほしい、と言われたその手腕は、C-Noにおいて人間………「飲まれていない契約者」でありながら幹部クラスにまで上り詰めた要因でもある
 最も、当人は現場に出る仕事を好む性格のようで、事務能力の有能さを見せれば見せるほど現場に出る機会が失われているのだから、皮肉としか言いようがないのだが

「私も、報告書を書けば良いのかしら?」

 愛百合がそう言いながら、首を傾げてみせる
 その問いに、天地はいいや、と首を左右にふってみせた

「俺が書きゃいい事だ。そっちは書く必要ない」
「あらあら、楽させてもらっちゃってるわね」

 いいのかしら、ところころと笑っている
 内心は楽ができた、と喜んでいるのだろうが、そこは表に出そうとしない

「……ま、どちらにせよ報告書の前に飯だな。慶次、お前らはどうする?フォーチュン・ピエロかフェアリーモート、六華でよければおごってやるぞ」
「!六華のチャーシューと餃子頼んでいいなら甘える」
「100円プラスでの杏仁豆腐食べていいなら、お言葉に甘えようかしら」
「遠慮ねぇなお前ら」

 骨好堂のラーメンも美味いが、六華のラーメンも美味い事は知っている
 特に、あそこはチャーシュー麺と餃子が美味い
 奢ってくれるというのならば、それを逃すのは惜しい
 慶次は迷う事なく、天地に甘える事にした

「……それにしても。「教会」の人間まで、「逢魔時の影」の討伐に動いているのかしら?」
「いや。多分「バビロンの大淫婦」探しているついでに、見かけたから討伐したってとこだろ。傍に憐が居たから余計な。あいつ、憐に甘いし」

 天地のこの言いようからすると、ジェルトヴァに憐が付き添っているのは憐ならばブレーキになり得るから、と言うことらしい
 なんだかんだ言っても、「組織」以外の人物とも適度な付き合いがある分、他組織の人間の情報も入っているからわかるのだろう

(やっぱ、「組織」以外の連中とも、敵対以外で接触したほうが情報は手に入りやすいか]

 自分に一番足りないのは「情報」だと、慶次は近頃実感してきている
 「組織」所属ではないどころか、都市伝説契約者ですらない直斗の方が、「狐」絡みの情報を多く持っていた事実
 それが純粋に悔しかったという思いと、「組織」所属の契約者でありながら、どこかの組織に所属している訳でもなく契約者でもない者に情報面で劣っていたと言う事実への不甲斐なさ
 二つの思いを、同時に抱える
 そして、それら二つを同時に解決するには、やはり「組織」以外の者とも積極的に情報交換等した方がいいのだろう

(過激派や強行派がやるような、脅しつけて聞き出すようなやり方だとうまくいく気がしねぇし……普通に聞き出す方法……)

 ……どうやれば、良いのだろうか
 「組織」の親しい者以外との友好的な付き合いがあまりないせいで、よくわからない

(迷惑になんねぇ程度に、かなえに聞いてみるか……?)

 年下に頼る事は情けないとは思うが、背に腹は代えられない
 情報不足で敵対者相手に遅れをとるよりもずっといい

(そもそも、天地はあの半透明の女の正体、わかってるみたいだしな。「怪奇同盟」………最近、あまり聞かない名前だからって、完全にノーマークだったし、そこから調査を………)
「ねぇ、聞いてもいいかしら?」

 と、慶次が思考に沈んでいると
 愛百合が、何やら天地に問いかけているようだ
 何だ?と天地は少し面倒くさそうに対応している

「貴方、さっき「怪奇同盟」と連絡を取ろうとしていたわね?………あの半透明の女性、そちらの関係者かしら?」
「………断言はできない。ただ、姿は似ている。確認がとれたら、改めて伝える」

 慎重に答えているように感じた
 断言しきるには、判断材料が足りない、と言うことか
 もしくは、本当はすでに確信がもてる段階であったとしても、「組織」と「怪奇同盟」の関係が険悪にならないよう、慎重に発言せざるをえないのか
 天地のそのような回答に、愛百合はころころと笑う

「あら、姿が似ていると判断したのなら、早く動くべきじゃないかしら?早くしないと、対応が後手後手になってしまうでしょうし。手遅れになってからじゃあ、遅いと思うの」

 まるで、「白い服についた醤油は早く落とさないと染みになるからさっさと対処するべき」と言っている時と同じ口調でそう告げている
 …愛百合は、つまり、「あの半透明の女が「怪奇同盟」の関係者であれば、「怪奇同盟」が危険な存在を野放しにしているも同然。処分すべき」と言っているのだ
 「逢魔時の影」は、あの半透明の女が出現させているようにも見えた
 愛百合は、「逢魔時の影」出現の原因をあの半透明の女であると確信を持ったのだろう

 ただ
 だからと言って、「怪奇同盟」そのものを処分対象とし、「組織」が敵対して良いものか
 慶次は、考えて

「……いや、動くにしても。あの女が「怪奇同盟」の関係者だったとしても、当人が独断で動いてんのか、「怪奇同盟」全体の方針で動いてんのか、それくらいは確認するなり調べるなりした方がいいんじゃないのか?」

 そう、思ったことを正直に口に出した
 あら、と、愛百合はほんの少し、驚いたような表情をして
 しかし、すぐにいつものおばさんくさい笑顔を浮かべてきた

「あら、そんな事言っても。きっと、「怪奇同盟」相手に話を聞く、なんてしたら、知らぬ存ぜぬで誤魔化そうとしてくるんじゃないかしら?もし、あの半透明の女性が独断で動いているのだとしても、「怪奇同盟」としてはそんな独断でこの街を危機に陥れようとしている人と関わりがある、なんて知られたくないでしょうし」
「そこら辺、まずは聞いてみないとわからないだろ?少し調べて、相手の態度とか見りゃいいんだろうし………その辺も、あんたの仕事なんだろ」

 愛百合に答えながら、天地へと視線を向けた
 天地は、慶次と愛百合のやり取りにじっと耳を傾けていたようだったが、慶次からの視線を感じたのか、答える

「俺が交渉に行くとは決定してないけどな。行くとしたら、俺よりも「怪奇同盟」に関わっていて、かつ、俺よりも穏健に話し合える奴だろ」
「あらまぁ、「怪奇同盟」とと関わりが深い人だなんて。裏で手を組んでいたら怖いわ」
「お前、その台詞。大門 大樹の関係者の前で言えるか?」

 ……あぁ、なるほど
 あの大門 大樹なら、穏健に話し合えるかもしれないか
 あの、「組織」最強格筆頭の一人ではあるものの、性格の関係でものすごく、ものすごく扱いづらいと言うあの契約者の担当を20年以上に渡って続けているという、あの男ならば
 大門 大樹の名前を出されて、愛百合は苦笑した

「なるほど、あの方なら、大丈夫かしらね………もしかしたら、「組織」に対して愛想を尽かしているかもしれないけれど。もし、そうなっていたら彼のこと、とうに「組織」を抜けているでしょうしね」
「そういうことだ。あいつの仕事増やすのは悪いが。その分、書類事務ある程度こっちが引き受けて差し引き0になるようにする」

 そういった調整も天地が行うとなると、総合的に天地の事務仕事は増える
 自分で自分の事務仕事を増やす羽目になっているが、その方が効率が良いと考えれば、天地はやるのだろう

(ハッピートリガー野郎でも、戦闘以外の仕事をここまで出来るんだ)

 ………自分だって
 負けず嫌いにも似た何かを感じながら、慶次は天地のあとを付いて歩く
 少しずつ、歩み寄るようにしながら














(……そろそろ、捨て時かしら?)

 全く、困ったものだ
 ちゃんと、自分の言うことだけ聞くように育てていたつもりだったのに
 以前のように洗脳するのが手っ取り早いのだが、それをやるとそれこそ天地に目をつけられてしまうため、できなかった
 そのせいで、結局、慶次一人しかこうして確保できていなかったが………

(私が欲しいのは、「駒」。自分の意志で動かれては、面倒だわ)

 幼いうちから育てていけば、うまくいくと思ったというのに
 少し、自分が目をはなした隙に他の者の影響を受けてしまった
 せっかく、「都市伝説に襲われている人間を見捨てる」と言うリスクを背負ってまで確保したのに、台無しだ

(周りに不自然がられないように、始末しないと)

 冷たく、冷たく、慶次を見つめながら
 愛百合は憂鬱ゲに、ため息を付いたのだった


to be … ?





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