「………だからさぁ、そいつの家に上がり込んでやったらさ、漫画なんて描いてやがったんだよ。そいつ。それも、すっげぇへたくそなの」
「はぁ」
「くっだらねぇだろ?くそみてぇな時間の使い方しやがってよ。残業嫌がるから何かと思ったらそれだよ。あんまりにも腹たったからビリッビリに破いてやった訳」
「……はぁ」
「傑作だったぜ、そん時のあいつの顔。あんな事に無駄な時間使ってたって、ようやく気づいたのかねぇ」
「はぁ」
「くっだらねぇだろ?くそみてぇな時間の使い方しやがってよ。残業嫌がるから何かと思ったらそれだよ。あんまりにも腹たったからビリッビリに破いてやった訳」
「……はぁ」
「傑作だったぜ、そん時のあいつの顔。あんな事に無駄な時間使ってたって、ようやく気づいたのかねぇ」
違うと思う
彼なら確か、今日、社長宛に退職届を出したとかって聞いている
なるほど、原因はコレか
と、言うか、聞いた感じだと土足で上がり込んでいるじゃないか
よく警察呼ばれなかったな
彼なら確か、今日、社長宛に退職届を出したとかって聞いている
なるほど、原因はコレか
と、言うか、聞いた感じだと土足で上がり込んでいるじゃないか
よく警察呼ばれなかったな
(よくもまぁ、酔っ払ってるからってこんな事自慢げにぺらぺらと………あー、もう。俺もこの職場辞めるかな……)
こんな事する人間が、社長から表彰されるような会社ならさっさとやめようか
自分が持っている資格なら、東京あたりにでも出れば他に仕事見つかるだろうし
自分が持っている資格なら、東京あたりにでも出れば他に仕事見つかるだろうし
泥酔している上司の散々たる姿に、彼はため息を付いた
「すいません、自分、そろそろ帰らないと最終バス逃すんですが」
「あ゛ー?タクシーで帰れりゃいいだろうが」
「あ゛ー?タクシーで帰れりゃいいだろうが」
うっわ。まだこの蛮族みたいな自慢話聞かせる気か
いい加減、こんな奴の話聞いても体内に毒がたまるだけだから帰りたいのに
他の連中め、こっちに押し付けてさっさと帰りやがって覚えていろ
いい加減、こんな奴の話聞いても体内に毒がたまるだけだから帰りたいのに
他の連中め、こっちに押し付けてさっさと帰りやがって覚えていろ
「課長だって、早く帰らないと奥さんが五月蝿いでしょ。玄関、鍵かけられてても知りませんよ」
「ぐ………仕方ねぇな。あの女、ヘタに遅く帰ると水ぶっかけてくるしな……」
「ぐ………仕方ねぇな。あの女、ヘタに遅く帰ると水ぶっかけてくるしな……」
泥酔して帰るからでは、と言いたかったがぐっ、と抑える
と、言うか。奥さんを「あの女」呼ばわりか。浮気されているという噂は本当かもしれない
と、言うか。奥さんを「あの女」呼ばわりか。浮気されているという噂は本当かもしれない
会計を済ませて店を出る
課長はふらっふらな訳だが、タクシー乗り場にぐっと押し込んだ
課長はふらっふらな訳だが、タクシー乗り場にぐっと押し込んだ
「寝ないでくださいよ?自分はバス逃す前に全力で走らないと駄目なんで)
「おー、走れ走れ。バス行っちまったらそのまま走って帰れ」
「おー、走れ走れ。バス行っちまったらそのまま走って帰れ」
ふざけんな。そんな事したらぶっ倒れるわ
てめぇと一緒にするなお手本にしたくない体育会系め
てめぇと一緒にするなお手本にしたくない体育会系め
薄暗いタクシー乗り場からダッシュで離れていく
背後で、何か聞こえた気がするが気にせず走る。次のバスが本当に今夜ラストなのだ。逃すとまずい
何か言われたとしても、もう知らん
背後で、何か聞こえた気がするが気にせず走る。次のバスが本当に今夜ラストなのだ。逃すとまずい
何か言われたとしても、もう知らん
彼は気づかない
あの泥酔した姿が、最期に見た課長の姿になるなどと
あの泥酔した姿が、最期に見た課長の姿になるなどと
ガリッ、ボリッ、ガリッ、ボリッ
「かたいー」
「まぁ、柔らかい肉ではねぇだろうよ」
「でも、おなかやぁらかいー」
「たるんできてたみたいだからなぁ」
「まぁ、柔らかい肉ではねぇだろうよ」
「でも、おなかやぁらかいー」
「たるんできてたみたいだからなぁ」
もっしゃもっしゃもっしゃ
口の周りを真っ赤に染めながらそれを食べる皓夜の様子に、、アダムはほっと息を吐き出した
今日はなんとか、皓夜の食事を確保できてよかった
口の周りを真っ赤に染めながらそれを食べる皓夜の様子に、、アダムはほっと息を吐き出した
今日はなんとか、皓夜の食事を確保できてよかった
「なー、このおっさんの鞄とかはどうする?」
「財布の金は使うとして……身分証やらクレジットカードやらは、ヘタに使うわけにもいかないな。なんとか処分するか……」
「財布の金は使うとして……身分証やらクレジットカードやらは、ヘタに使うわけにもいかないな。なんとか処分するか……」
ヴィットリオが持っていた、皓夜の「食事」の鞄を受け取りながらそう答えるアダム
今回は、今までのように「いなくなっても、すぐには気づかれない」対象を狙えなかった
と、言うより、そろそろそういった対象を狙う事を気づかれて、「組織」やらに警戒されつつある
少々、危ない橋を渡らなければならなくなってきた
今回は、今までのように「いなくなっても、すぐには気づかれない」対象を狙えなかった
と、言うより、そろそろそういった対象を狙う事を気づかれて、「組織」やらに警戒されつつある
少々、危ない橋を渡らなければならなくなってきた
(ミハエルが、まとまった「食事」を手に入れられるかもしれないとは言っていたが………)
それがうまくいかないと、まずい
今夜の中年男性を食べきっても、皓夜の腹は満たされないだろう
何も食べられずにいた時間が、あまりにも長過ぎたのだから
今夜の中年男性を食べきっても、皓夜の腹は満たされないだろう
何も食べられずにいた時間が、あまりにも長過ぎたのだから
早くしなければ、早く何とかしなければ
アダムは、足元に火がついたかのような思いだった
アダムは、足元に火がついたかのような思いだった
to be … ?